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【コロナウイルスやその他の新興感染症の発生時における患者の心の健康ケア:臨床医向けガイド】

※ 以下新型コロナウイルスCOVID-19に関する多くの情報が多く含まれている記事になります。こういった内容の記載によって精神的にショックを受けそうだと感じた方は読まずにこのページを閉じることをお勧めします。辛い思いや不安を抑え込むことは勇気ではなく、自らを傷つけることにつながります。

先日記事にさせていただいた白川美也子先生が院長を務める「こころとからだ・光の花クリニック」アカウントは国際トラウマティック・ストレス学会に掲載されている【コロナウイルスやその他の新興感染症の発生時における患者の心の健康ケア:臨床医向けガイド】をTwitterで紹介しています。

読ませていただいたところ、心理職にもかなり役立つ内容なので紹介がてら記事にしたいと思います。
以下要約しながら私論を交えて記述します。きちんと読みたい方は上記ツイートリンク先を参照してください。臨床医が行わなければならないのは、米国であれば米国疾病管理予防センター Centers for Disease Control and Prevention (CDC)の情報を確かなものとして信頼すること、正確な情報を入手、患者教育として医療教育、心理教育を行い、誤情報を正すことです。

また、メディアの見聞きについて制限をすることです。

(僕が感じるメディアのあり方は常に煽情的という事です。例えば日本地図を映し出して今まで感染者がいなかった県を1人感染者が出たらその県を赤色で塗り潰す、今まで1人でも感染者が出ていた地域も赤く強調し、人にショックを与える演出をしています。売り切れの空の棚、ひと気がなくなった街を放映することにも悪意すら感じてしまいます。)

ストレス反応から何が起こるか予測、こういった普通時ではないアウトブレイクが起きた時にこういった心配を人と話すのが気分を向上させるという事の大切さも記載されています。医行為として医師が正確な医療情報を伝えた方がいいこともあれば、心理職が行えることもあるのではないかと感じました。

このガイドの監修を行っているのは災害精神医学の専門家で災害救援者メンタルマニュアル発刊に際しても監修を行った重松淳防衛医科大学校教授、翻訳は筑波大学で災害地域精神医学を教えている高橋晶准教授です。

ちなみに原文はCenter for the Study
of Traumatic Stress(CSTS)のものです。PFA、サイコロジカルファーストエイドにかかわった心理職の方なら肌身に感じて知っていると思いますが、あまりにも長時間ストレスを抱えながら患者さんたちの凄まじい体験や不安の物語に暴露されていると<b>自らも精神的に二次受傷することが多々あります。

心理職は医療領域だけでなく、教育、福祉などあらゆる場面で不安をクライエントさんと共有することになります。福祉施設で大量に感染者が発生したニュースがありましたが、対人援助職のみなさんはどのように援助をしながら自らも危険の中に置かれながらどのようにしたらいいのでしょうか?

【コロナウイルスやその他の感染症アウトブレイク中における医療従事者の健康維持】
国際トラウマティックストレス学会のホームページ、日本語版もあるのでご参照ください。

きっとこのCTCSの文献が役立つでしょう。心理職は直接の被災者だけでなく、支援者のPTSDや急性ストレス障害ASD Acute Stress disorderに接することもあります。近年はこうした保安関係者に対するメンタルケアが徐々に整備されてきているとはいえ、十分過ぎるということはありません。

僕ら心理職は治療の最前線現場に出ることはおそらくないわけですが、タイベックスという宇宙服のような防護服を着て治療に当たらなければならない、トイレにも行けない、タイベックスの着用法に少しでもミスがあればウイルスが侵入してくる、そして救援活動を行った後は医療者も隔離される可能性があります。

現在治療に当たっている医療者もそうですが、使命感がある一方で過労に倒れそうになりながらどれほどの恐怖や不安と戦いながら孤立感を味わっているのだろうかと思います。

医療者も人間です。医療者もリラックスして休みを取り、同僚と支え合ってコミュニケーションを取り、可能な限り家族と連絡を取ることが望まれます。これが医療崩壊につながれば医療者もどんどん追い詰められます。だから外出制限が厳しく行われつつあるのです。手洗い励行で医療を守り人命を守るということを一般の方々の義務的な責任となっているということを理解して欲しいと思います。

【コロナウイルスやその他の新たな公衆衛生上の脅威直面時のリーダー用リスクコミュニケーションガイド】は情報の正しい選択の仕方についての知識をコミュニティにおけるリーダーが行うことにとって役立つでしょう。リスクコミュニケーションは通常とは異なる、さまざまなチャンネルを人々に提供していくものだからです。

そして僕がかなりインパクトを受け、心理職の方々に知っておいて欲しいと思ったのは【コロナウイルスやその他の新興感染症発生に対する準備と対応のためのメンタルヘルス・行動マニュアル】です。

1918年のスペイン風邪から始まってSARS、エボラ、ジカウイルスによる教訓を大切にすること。そしてこのパンデミックそのものがPTSD、不安やうつを引き起こす原因となることが示唆されています。

以下私論です。マニュアルの指摘していることは今の日本の現状を示しています。このパンデミックはマニュアルに記載しているとおり、スケープゴートを求めます。日本では厚生労働省や保健所といった行政、そして医療に不満がぶつけられています。最も働いている人々は最も忙しく、そして時間がなくヒューマンリソースは限界に達しています。そして残念ながら本当なのはあまりに人手が足りなくて対応がおざなりになりがちで、COVID-19以外の重症罹患患者たちが危機に晒されているということです。

そして不正確な情報は人々を混乱に陥れます。味覚、嗅覚を感じ辛くなるとコロナの疑いがあるという報道は救急医療機関をパンクさせました。人工呼吸器を量産しろという要求は24時間体制で人工呼吸器や体外肺、エクモ管理をする医療者を膨大な数必要とすることを要求している人々は知りません。

さて、マニュアルに戻ると震災などの被災ではコミュニティの中の被災者同士のコミュニケーション、支援者と被支援者との連携は密になります。しかし感染症はどんどんそれらの関係を疎遠にします。タイベックスを着た異星人の姿をした医療者を見て患者は絶望感を感じるかもしれません。

何もかも隔離するということはメンタルヘルスに悪影響があるとマニュアルは指摘しています。通学や最小限の買い物、礼拝を禁ずると人々は無力感を抱きます。そして指摘のとおり少数者に対する差別、スティグマ、社会的烙印は始まっています。中国人差別は日本に長らく居住している2世、3世には関係がないことです。

悲嘆のプロセスの阻害要因についても指摘がありますが、患者の死に立ち会えない、葬儀には儀式よりも感染症対策が優先されるということは遺族の悲嘆を強めます。

以上です。ここまで調べる機会を与えていただいた、白川美也子先生に感謝いたします。国際トラウマ・ストレス学会ISTSS: International Society for Traumatic Stress StudiesのホームページはCOVID-19のためのあらゆるリソースを提供しています。

アメリカ心理学会American Psychological Association:APA

アメリカ精神医学会 American Psychiatric Association :APA

European Society of Traumatic Stress Studies :ESTSSもCOVID-19がトップの記事になっています。

世界的なメンタルヘルス救援の必要性、こころとからだ・光の花クリニックで行っているような遠隔治療法のようなオンライン支援の必要性は各所で指摘されています。  

マスコミと医療との共同戦線は最も難しいという指摘もあります。そしてマスコミは政府や行政を動かし、現場はとてもその要求に応えることは不可能で、PCR検査を大量に行えば医療はストップします。せめて国民の方が正確な情報を選択できればと思います。

photo by excellent artist,sora

soraさんの写真のようにみなさんの心に平穏が訪れるよう、祈っています。