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◯ 新型コロナウイルスCOVID-19情報2020.3.23・心理学的検証

※ この記事は事実と予期される危機、そして日本人が抱える心理的不安について記録をすることを目的として書いています。

1.感染者数と退院者数

厚生労働省発表、2020.3.21、1200時
   
   国内感染者数 1,007人

     内訳
       患者 887人
無症状病原体保有者 117人
    陽性確定例  6例
      死亡者  35人

退院者数      232人
     内訳
       患者 198人
 
無症状病原体保有者 34人

です。

2.専門家会議

2020.3.19 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では北海道で行っていた大規模封じ込め対策(休校、イベント中止)の結果が発表されています。(以下専門家会議発表結果抜粋)

北海道は実効再生産数(感染症の流行が進行中の集団のある時刻にお ける、1人の感染者が生み出した二次感染者数の平均値 )は0.9〜0.7となりました。

※ 実効再生産数が1.0より増えると感染者は増加、1.0より少なくなると感染者は減少し、収束に向かいます。

また、専門家会議は日本全体の実効再生産数が3月上旬以降、1を下回り続けていることを指摘しているのです。

だからといって専門家会議が現状に予断を許しているいうわけではありません。感染源(リンク)がわからないクラスターが増加するといずれどこかで爆発的感染(オーバーシュート)を起こすかわからないという危険性について指摘しています。

オーバーシュートが起きる時にはその前兆がなく、もしオーバーシュートが起きた際には都市を大規模感染を起こした欧米のように強制的にロックダウンして、人の行き来を禁止し、必要最小限以外の外出や生活必需品購入のための商店を閉鎖するという措置をとらなければならなくなる事態についても専門家会議は想定しています。

基本再生産がR0がドイツのように2.5だとすると最終的には人口の79.9パーセントが感染するとのことです。

専門家会議が重視しているのは3つの条件が重ならないような注意喚起

 1.換気 の悪い密閉空間
 2.人が密集している
 3.近距離での会話や発声が行われる

が大切
という事を指摘しています。
(以上専門家会議結果要約)

3.社会現象

静岡県袋井市でWHO職員を装った男が各戸訪問をして検査費用名目で金銭を騙し取ろうとしたとして逮捕されました。不安につけ込もうとした犯罪です。

不安はPCR検査のあり方にもかかわっています。PCR検査をすればするほどいい、というわけではなく、PCR検査も陰性患者を陽性と判定する偽陽性、その逆に偽陰性と判定してウイルスをばらまくという危険性もあります。

それではPCR検査を大量に行えばいいのか?というとそれには疑問があり、ただでさえ感度に絶対的な信頼性がないPCR検査をさらに感度を下げたPCR検査をやりまくった韓国が今後どうなるのか?まるで感染症対策を巨大な容れ物に人類を入れた大規模医療実験をしているかのようです。

ソフトバンク孫正義氏が簡易PCR100万キットを配布しようとしてストップがかかりました。仮に日本において今で医療・検査機関が水際で対応しているのに、PCR検査を大量にしなくてはならなくなったとしたらその次に予測されるのは医療崩壊です。医療は検査に追われてCOVID-19も他の疾患の治療もできなくなります。

実際、COVID-19でない重症結核性肺炎の老人が「もうちょっと様子を見て」と言われて危うく手遅れになるところだったという事例も聞きます。

医療体制としては引き続き、感染重症者への治療、重症者→中程度を目指すことが大切と指摘されています。

仮に日本がオーバーシュートしたらエクモ(人工肺)、人工呼吸器を全ての患者に提供することは困難になると専門家会議は指摘しています。医療資源というのは医療資材や器具だけでなく、人的資源として医師や看護師等のスタッフ人員、そしてスタッフが使える有限の時間です。

4.現状と社会不安

厚生労働省、そして専門家会議も2020.3.19北海道の結果を感染症対策の一つの結節点として注目していました。厚生労働省指導としては5月までは各種イベント自粛を行うようにとのことです。果たしてその期間を伸ばすべきなのか短縮すべきか、どうなのかについての言及は一切行われていません。現状維持、ということでしょうか。

学校は閉校のまま卒業式が行われなかった完全中止、そして規模を縮小して卒業生のみで行った学校、きちんと実施した学校と種類が分かれました。

閉校のまま春休みに入った学校あり、一時的に登校させてからすぐ春休み、文部科学省は2020.3.17に「春季休業を迎えるに当たり学校において留意すべき事項について、事務連絡」を発出しています。

文部科学省は新学期以降の学級経営の衛生上の留意点について記述するとともに、やはりこの感染症の日本における流行状況は日々刻々と変わることについても言及しています。新学期になったとしても再び閉校とならない、という保証は誰にもできないでしょう。

さて、一部医療関係者を含んでいる、不安を過度に煽り立てるような発言は避けて欲しいですが、事実流行拡大もあり得ます。実効再生産数が1.0未満となって収束の方向に向かうとしても再流行しないとは言い切れないのは前回の専門家会議でも警鐘を鳴らされているところです。

心理職の方々は人の不安に向かい、そして今回は自らも不安とともに止むを得ず共生しなければならない状況です。

上記「3つの条件」が重ならないようにする、手洗いを徹底すること、という心理教育というよりは感染症対策について留意、また経済的な不安、子どもを持つ親の不安、子どもの不安にも対処しなければいけません。

この世界は今大きな社会心理学的実験の中に否応なしに放り込まれています。世界中で根拠のないトイレットペーパーの買占めが起こる、これはデマだとわかっていても先行して他者を出し抜かないと勝てないという囚人のジレンマです。

Gustave Le Bonが「群衆心理」を個人心理とは違った大きな権力として固有の規範的行動があると規定しています。「トイレットペーパーがヤバイ」と一回記述するだけで、スリーパー効果が起こる可能性があるわけです。そうした扇情的なsensation seekingセンセーション・シーキングの方が人々には受け入れられやすいです。

最悪のシナリオとしての流行拡大やロックダウンを避けるためには、情報に踊らされず、中立的な自分を保ち続ける事が肝要でしょう。医療だけでなく市民の節度ある行動によって日本はもちこたえている可能性が高いです。危険性はあると認めつつも、冷静に事態を受け止めて自己を安定させること、それが他者の不安や恐怖を伝播させる防止になると認識が大切だと思うのです。