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◯ コールバーグの道徳性発達理論
kholberg,L.

※ Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの中に6段階が入っています。

Ⅰ 慣習的水準以前(pre-conventional morality)


この水準の子どもは、文化の規則と「善い」「悪い」「正しい」「間違っている」というような、行為につけられたラベリングに敏感です。

それらのラベリングは、行為によって生じた物理的な結果または快楽主義的な意味での結果(罰、報酬、好意の交換)がどうかという点で解釈されるか、あるいは規則やラベリングをした人の身体的な力がどうであるかという点から解釈されます。

この水準は、二つの段階に分けられます。

第一段階 「罰と服従」(punishment and obedience)志向

結果で行為の善悪を判断し、人間的な意味や価値を無視し、罰を避けます。

力のあるものに対して盲目的に服従することは、それ自体価値のあることだとされます。

罰を避けることそのものが目的です。

しかし、罰や権威が価値観を定めるのであって、本来の道徳性とは異なっています。(価値を認めるのは第四段階です。)

第二段階「道具主義的相対主義」(instrumental relativist)志向。

正しい行為というのは、自分の欲求や場合によっては他人の欲求を満たすための手段です。

人間関係は取引の場のようにみられています。

公平、相互性、平等な分配という要素は含まれていますが、それらは常に、物質的-実用主義的に解釈されます。

相互性は、「何かしてくれればして返すと」といったもので、正義や尊敬とは無関係です。

してもらってして返すのはそれが得だからするという程度のことです。

Ⅱ 慣習的水準
(conventional morality)

この水準では、所属集団の持つ期待がそれ自体価値をもつものとしてとらえられます。

庇護者の期待や社会秩序に同調するという態度だけではなく、忠誠心を持った正しい態度が尊重されます。

この水準は次の二つの段階に分けられます。

第三段階 「良い子」(good boy/girl)志向。

よい行為は、他を喜ばせたり、助けたりすることで、他人が褒めるような出来事です。

多数派の行動、普通の行為という習慣化されたイメージに自分をフィットさせます。

行為は、元となる意図の善し悪しによって判断されます。

善いことを意図していることが大事です。

善良であることに価値があります。

第四段階 「法と秩序」「特権者と社会秩序の維持」の志向
(authority and social order maintaining)

権威や法、社会秩序の維持が目的です。

義務を果たし、権威を尊敬し、社会秩序を尊重、維持することに価値があります。

Ⅲ 慣習的水準以降、脱慣習的レベル
(post-conventional morality)

道徳的価値や道徳原理を規定しようとします。

道徳的価値や道徳原理は人や集団、権威が決定するのではなく、自ら規定しようとします。

この水準もまた、二つの段階に分けられます。

第五段階 社会契約的遵法(social contract, legalistic)


さまざまな価値観があるのを認めた上で、社会契約的な、あるいは遵法主義的な精神は常に尊重されます。

その上で正しいことというのは自己決定ができるという自由さがあります。


社会契約的遵法」(social contract, legalistic)志向。

法的な観点や社会契約は常に重視されますが、それのみによって規定されているわけではありません。

どのようにしたら道徳性を実現できるのかは自分で考えます。

しかし基本的には法の尊重が大切です。

第六段階 「普遍的な倫理的原理」(universal-ethical-principle or conscience)への志向。

正しいことというのは自分の良心によって規定されるものです。

自分自身で選択した良心です。

この倫理的原理は、抽象的ですが、愛他的でもあります。

公平さ、公正さ、平等さによって支えられている原理です。

ここでは道徳性は自ら決めることができるので、法を超えることもできます。