
◯ 地域保健法
地域保健法は平成6年、1994年に改正されました。
※ 法律制定年度、改正年度が出るのではないかという噂があります。
地域保健対策、保健所設置、その他保健対策推進の基本について定められています。
地域保健対策は対人保健としては健康増進法、感染症法、予防接種法、母子保健法、精神保健福祉法、難病法、がん対策基本法、肝炎対策基本法など。
対物保健としては(なぜか現認者講習では講師が強調していたような気がします)
食品衛生法、興行場法などの業法、水道法、墓地埋葬法、狂犬病予防法、医薬品医療機器等法(旧薬事法)、建築物衛生法(ビル管法)、生衛法など。
これら施策が地域で総合的に推進されることを確保し、地域住民の健康保持増進に寄与することを目的としています。
全市町村に保健センターが設置、保健所と市町村が提供してきた地域保健サービスを一元化して市町村保健センターが実施しています。
保健所は疾病予防、衛生向上など地域住民の健康の保持増進に関する業務を行っています。
保健所は地域保健法に基づき都道府県、指定都市、中核市、特別区など2017年4月現在で本所481支所101計582カ所に設置されています。
地方衛生研究所は、公衆衛生向上のための各種試験検査、公衆衛生情報の収集・解析・提供、調査研究、研修指導を行い、ほとんどの都道府県、指定都市に設置されています。
市町村保健センターは、健康相談、保健指導、健康診査など地域保健に関する事業を地域住民に行うための施設で、この法律に基づいて2017年4月現在2456カ所設置されています。
市町村保健センターが地域の健康づくりを中心とした施設であるのに対し、保健所は公衆衛生を中心とした施設です。どちらも地域保健法において定義されていますが、役割をはじめ、設置場所・運営、職員などに違いがあります。
<役割>
保健センターは、母子保健をはじめ、成人・老人保健や予防接種などのサービスを提供しており、対人サービスが多いのが特徴です。それに対して、保健所は保健センターよりも幅広い役割を担い、さらに専門性が高いです。
と解説されています。
◯ 精神保健福祉法
条文
第一条
この法律は、精神障害者の医療及び保護を行い、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)と相まってその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行い、並びにその発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進に努めることによって、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることを目的とする。
目的は
1 精神障害者の医療及び保護
2 自立・社会復帰の促進
3 精神障害の発生の予防
です。
1950(昭和25)制定精神衛生法では私宅監置の禁止(精神病者監護法で定められていましたが、同法は精神衛生法施行により廃止)措置入院制度と指定病院制度が定められました。
精神衛生法は精神保健福祉法の前身となったものです。
この法律では都道府県に公立の精神病院の設置義務も課せられました。
「精神保健福祉の歴史」
http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/060303/rekishi.html
1965年アメリカ駐日大使ライシャワーが精神障害者の少年から傷害を受け、精神障害者通院公費負担制度(旧精神保健福祉法32条)が定められました。
ライシャワー事件は保健所による定期訪問、緊急措置入院制度創設、病床増床など在宅医療移行には反した世論を受け、政策もそのようになりました。
1987年(昭和62)精神保健法制定、人権保障、自立社会復帰促進が謳われ、1995年(平成7年)現行名称精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)となりました。
現行の精神保健福祉法が施行されてからの
23年間を長いと評価すべきか
短いと評価すべきかどちらでしょうか。
32条が自立支援法に変わり、患者さんの負担が5パーセントから1割に増えたのを改悪ととらえる人もいるでしょう。
2013年には家族への過剰な負担を軽減するため、医療法保護入院による保護者同意が要件でなく、家族いずれかの同意が要件になりました。
家族とは直系親族、兄弟姉妹、三親等以内の親族を含みます。
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000149864.pdf
(厚生労働省資料
医療保護入院に関する参考資料)
精神科医の中でも精神疾患患者の入退院に大きな権限を持っているのは精神保健指定医です。
五年以上の治療経験
厚生労働大臣が定める基準にその経験が適合していること
厚生労働大臣委託機関による研修修了者
と指定医取得のハードルは高いのですが、実質上指定医を取得していないと精神科医としては半人前の扱いです。
指定医は患者さんの自由意志を職権で大幅に制限できます。
指定医取得のためには厳しい基準が設定されており、ケースレポート提出、審査があります。
資格更新は5年ごとです。
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