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◯ 精神保健福祉法・5つの入院形態について

精神保健福祉法(正式名称・精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)では精神疾患患者の入院についての類型が定められています。

日本の精神科暗黒の歴史としては1900年制定の精神病者監護法によって精神病患者を私宅監置することが許されていました。

1950年に制定された精神衛生法はまだ精神科薬物療法も皆無だったころでしたが、やっと私宅監置が禁止されました。それでも1965年、アメリカの高官ライシャワーが統合失調症患者に刺されたことから、世論は治安維持に傾き、社会的入院を積極的に行うようにしました。

1987年にやっと精神保健法が制定されます。その背景としては1983年に看護職員の暴行によって患者2人が死亡したという宇都宮病院事件で、今度は精神病患者の人権を重視するようになったからです。

1995年の改正で現行法となったのです。入院形態はこの精神保健福祉法によって決められています。本人の意志で入院する形態を①任意入院と言います。

精神保健福祉法上、法二十条では「精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。」とあり、本人の意思を尊重することが望ましいとされています。

任意入院は文字通り任意なので、原則入院した次の日に「帰る」と言えば患者さんは勝手に帰れます。

試験では主治医に相談するようにするというのが正答ですが、退院制限があるからだと思いました。

まず、精神科医の中でも精神保健指定医がいて、精神保健福祉法における精神疾患患者の入院について大きな権限を持っています。

この指定医が任意入院患者の退院は時期尚早と判断した場合には72時間以内の退院制限ができて、なお入院継続が必要と思われる場合には後述の医療保護入院に切り替えられます。

任意入院患者には文書により開放処遇が受けられることを伝えなければなりません。

ただし、

1)他の患者との人間関係を著しく損なうおそれがある等、その言動が患者の病状の経過や予後に悪く影響する場合。
2)自殺企図又は自傷行為のおそれがある場合。
3) 1)又は2)のほか、当該任意入院者の病状からみて、開放処遇を継続することが困難な場合。

は開放処遇の制限を行い、それを文書で本人に通知しなければなりません。

本人が任意入院をしたくないという場合、「家族等のいずれかの者」の同意によって患者さんを入院させる事ができるようになりました。②医療保護入院という入院形態です。

これは2013年の法改正によるもので、それまでは家裁で保護者選任の手続きを経ないとならなかったのですが、保護者の要件としては保護者が後見人・保佐人、配偶者以外の場合には家裁で選任の手続きをしなくてはならなかったのですが、精神障害者に治療を受けさせること、財産管理をする義務も課せられていたのでその負担を軽減すべく保護者制度が廃止されました。

家族等には内縁関係の配偶者は含まれません。後見人または保佐人、誰もいなければ市町村長も同意者となれます。

この精神保健指定医は、医療保護入院をさせるべき患者について自傷他害のおそれがなくとも家族等に連絡が取れない場合には③応急入院といって72時間以内の応急入院指定病院に入院させることができます。 介護の求人・転職の介求マガジン にも詳しく応急入院が記されています。(以下引用)
「精神障害をもつ人に対する強制的な入院措置は、通常は保護者の合意と精神保健指定医の診断が前提とされているが、保護者の合意は得られていない段階だが医療保護が必要と判断される場合もある。その場合は、精神保健指定医の診断のもとに、72時間に限って応急入院という措置が認められている。
精神保健指定医に判断を仰ぐことができない場合は、特定医師(精神科の臨床経験2年以上を含む臨床経験を4年以上もつことなどの要件を満たし、特定医師と認定された医師)の判断で12時間に限って入院措置を施すことができる。
例「保護者の同意がないが医療保護が必要であると精神保健指定医が判断した場合は、応急入院という措置がとられる」
(引用終わり)

入院の類系については、意外とWikipedia が優れものです。他の入院形態についてもWikipediaで調べるといいでしょう。例として応急入院をあげました。

④措置入院は自傷他害のおそれがあり、都道府県知事の権限で精神科病院に強制的に入院させる制度です。通告者は警察官、検察官、保護観察所長、矯正施設長、精神科病院管理者、一般人と要するに誰でもいいのです。この措置入院は、官の側の要請による入院なので入院費用はかかりません。(公費負担医療・三十条)

精神障害者が緊急に入院を要する場合、指定医1人の診察で72時間以内の
入院をさせることができます。これを⑤緊急保護入院と言います。

措置入院の一部(症状消退失か自傷他害のおそれがなく実地審査(実務上ほとんどない厚生労働省の立入り検査)を経た場合は別)が指定医の診察を受け、医療保護入院は精神医療審査会の審査を経て退院することができます。

精神医療審査会は都道府県精神保健福祉センターに設置されていて、弁護士である法律家委員、精神保健福祉士である有識者委員、精神保健指定医である医療委員らの合議体により実施されます。

退院請求のほか、患者の処遇改善について本人や家族からの請求があった際の審査も行う機関です。

なお、医療保護入院と応急入院については指定医が偏在しているという日本の精神科医療の現状を鑑みて12時間患者を留め置く措置を行うことができる「特定医師」制度があります。(1)医師免許取得後4年以上であること、(2)2年以上の精神科臨床の実務経験があること、(3)精神科医療に従事する医師として著しく不適当な者でないことの要件で特定医師となります。

それから通信・面会の自由について試験では出題されました。

「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十七条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準」

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80136000&dataType=0&pageNo=1

基本的に面会・通信は自由ですが、患者の病状が悪化すると思われる場合には制限ができます。通信において刃物などが同封されている場合は制限できます。

また、隔離は精神保健指定医でなくとも12時間を超えない範囲で行うことができます。任意入院と同様で基本的に自傷他害や患者同士の人間関係を著しく損なう、器物損壊のおそれが高い場合などに行われます。

身体拘束についてもほぼ同様ですが、縄や紐などを使用してはならず、衣類や特別に配慮された綿入り帯を使用、身体拘束をした時間と拘束を解いた時間を診療録(カルテ)に記載します。