
2016年、発達障害者支援法が改正されました。
発達障害者支援法は、2005年までは「軽度発達障害」という文言が学校現場でも使われていて、知的障害を伴わないADHDやアスペルガー、広汎性発達障害(現在はASDが広義の概念を含む)知的障害を伴わない発達障害はいわば知的障害の付属概念のようなものでした。
2007年、文科省は「軽度発達障害」の文言使用を禁止、発達障害そのものが相当に困難な障害だと認めたと言ってもいいのかと思います。
いくつか改正点の中で注目すべき点は
・社会的障壁の除去
・乳幼児期から高齢期までの切れ目なく援助
・司法手続きの意思疎通手段確保
・国、都道府県による就労支援
・教育支援現場での個別支援、指導計画の策定
・支援センター増設
・自治体による協議会設置
この法改正で行われた大きなところは、基本理念として社会的障壁を取り除くことが明記されたことです。
社会的障壁を取り除くというのは、発達障害者を変えましょうというわけではなく、環境や社会を変えて彼らを生きやすい世の中にしようということです。
ここでTEACCHという概念も出てくるわけですが、ASDとその家族を生涯にわたって支援するというプログラムです。
ASD診断、評価、療育、家族、支援者サポート、就労支援など一生にわたるプログラムです。
「TEACCH」は「Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped CHildren」(自閉症及び、それに準ずるコミュニケーション課題を抱える子ども向けのケアと教育)の略です。
ノースカロライナ州で始まったTACCHは自治体介入、生涯支援、自閉症を文化としてとらえる、親の療育への期待でしょうか。
自閉症を1つの文化のあり方としてとらえるという概念は画期的なものでした。
また、ASDは整理されていない混乱した状況に置かれることが多いためにこのTACCHでは「構造化プログラム」が重視されています。
一人で勉強できる場所を作る、物理的構造化、イラストなどを多用する視覚的構造化があります。
特別支援学級でも取り入れられるようになって来ているのは個別のスケジュール、(予定外のスケジュール変更は混乱を招く)、また、ASDの子どもたちが一人でもこういった課題に取り組めるように十分課題を視覚化することがワークシステムとして望まれています。
ABA、応用行動分析は人間の行動を環境との相互作用で見ていくというものです。
行動分析そのものはアメリカの心理学者スキナーによって創始されたもので、ごく簡単に要約すると、本人、周囲の活動を阻害、本人の学習を妨げて危険さを招く行為を禁止するというものです。
例:音楽を聴けないとかんしゃく
:遊びに熱中して周囲を見られない
:子どもの気持ちで大人に抱きつく
こういった行動の原因特定、適切な手法で対応、成功できたらなお続ける。do moreですね。
ABA、応用行動分析ではかんしゃくを起こしておもちゃを買うとなおかんしゃくを起こす(要求の実現)、回避して問題から逃れる、叱られるのを喜ぶ、不適切な行動(辺り構わず踊る)、これらは全て強化子になります。
これらの制止のためには不健全な強化子の消去が必要です。
物やトークンを与えるのもいいことができた時にはいい強化子となります。
別に発達障害に罰を与えていけないわけではないのです。
ひどい罰でなく、負の強化子の消去を親も科学的に考える必要があるということです。
TACCHやABAを使ってペアレントトレーニングを実施するにはいろいろな原則があります。
問題行動を起こした時だけ構ってはいけない、よくできてこれから増やして欲しい行動を褒める。
問題行動が起きた時にはクールダウンとして別室で少し頭を冷やしてもらう。
罰は重すぎる罰、ゲーム機破壊や食事抜きはダメ、罰は行為との連続性があるものを、などです。
ゲームを約束を破って夜9時までやったから次の日はゲームの時間を減らす、はいいですが、お肉を食べさせないのはダメです。
合理的配慮
目が悪いから眼鏡をかけたい→OK
前の席に座っていたい→OK
ユニバーサル化を進めるために校舎全体を建て替えて欲しい→ムリ
いつも支援員がいて教科書を読み上げて欲しい・・・→人員がいればやります。
と支援する側とされる側の考え方が一致することが必要なわけです。
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