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◯ DSM-5総論/DSM-Ⅳからの変更点  
素行性障害 ASD 神経発達障害復習

名著、DSM-5虎の巻を参照しています。杉山登志郎先生の名著です。

以前の記事と重なりますが復習に復習を重ねます。

ちなみになぜDSM-5が数字なのかというと、version5.1、version5.2などの改訂を予測しているからだと言われています。

DSM-Ⅳは診断基準が狭かったことから、「特定不能の」(not other specified)という診断が多かったという反省がなされています。

DSM-ⅣまではⅠ軸=精神疾患、Ⅱ軸=人格障害、知的障害、Ⅲ軸=一般的身体疾患という軸を廃止、DSM-5ではディメンション型の診断システムとなったので、精神に影響している身体疾患も含めて記載することになりました。
Ⅳ軸の心理社会的・環境的問題は、それまであまり使われていなかったことから、ICD-CMコードを使用することになりました。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/dl/icdabc_h26.pdf

「ICDのABC 」厚生労働省

また、Ⅴ軸のGAF、機能の全体的評定尺度Global Assessment of Functioning) 概念は、主観性に欠けるものとして廃止になり、
WHODASという、36項目による自己評価によって自己評価尺度が出されています。

認知(Cognition)理解とコミュニケーション

可動性(Mobility)動き、移動して回ること

セルフケア (Self-care)自身の衛生をケアし、着衣し、摂食し、自立すること

人との交わり(Getting along)
他の人々と関わること

生活(Life activities)
家庭の責務を担い、レジャー、職場や学校の場を持つ

参加(participation)
コミュニティ活動に加わり、社会へ参加する

です。

◯ 児童青年期精神疾患

・ AD/HD
DSM-Ⅳでは「AD/HDと破壊的行動障害」と位置付けられていたのが、神経発達障害(neurodevelopmental disorders)として従来の発達障害群の中に組み入れられたということです。

日本では2006年発達障害者支援法施行以来、AD/HDは発達障害のカテゴリーにあったので、認知は広まっていたのですが、DSMでは初めての改定です。

うつ病群に含まれていた重度気分不全障害(Disruptive Mood Dysregulation Disorder:DMDD)、重度のかんしゃく等、はいまだ診断された疾患例も少なく慎重に扱われるべきとされています。

これまでも重症気分調整不全(Severe Mood Disreguration:SMD)子どもの双極性障害に近い概念:筆者注,として検討されてきたグループです。

AD/HDが破壊衝動的な行動障害から除外されたのはDSM-5の大きな変更点です。

反抗挑戦性障害、素行障害、間歇性爆発障害、反社会性人格はひとまとめにされて、DSM-Ⅳでは「どこにも分類されない衝動行動制御衝動障害」も包含するものとなりました。

※ ちなみに従来行為障害として記述されていた概念が現在では素行障害となっています。

素行障害(cunduct disorder)はDSM-5の診断基準を覚えましょう。

※ ここで児童に戻ります。

神経発達障害中で、

知的障害
知能指数での分類ではなく、生活適応能力としての分類になっています。
学力領域(Conceptual domain)
社会性領域(Social domain)
生活自立能力領域
(Practical domain)
の状況から重症度判定をします。

コミュニケーション障害は言語表出と理解双方の区別をなくしました。

会話音声障害(Speech Sound
Disorder)と流暢性障害・吃音症(Childhood-onest F luency
Disorder(Stuttering))は発達初期に発症すると明記されました。

DSM-5で新設されたのが

社会的(語用論的)コミュニケーション障害Social (Pragmatic)Communcation Disorder))です。

社会的コミュニケーション能力は弱いけれども従来の特定されない広範的発達障害(Pervasive Developmental Disorders = PDD、PDD-NOS)
に分類されていたり非定型自閉症と診断されていた子どもが明確なこだわりや感覚異常がなく、ASDの診断基準を満たさない場合にこの診断がつきます。

特異的学習障害(Specific
Learning Disorder)がDSM-ⅣのLDにとって変わっています。

症状記載が詳細になったという点が変更点です。

例えば読みの障害では、単語の読み、読む速度、流暢さ、 文章の理解度合い等を評価します。

書き障害でもスペル、文法、句読点、明確さや構成、算数でも数の感覚、計算の正確さを見ます。

発達段階と支援の必要性の度合いによって診断をするということです。