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◯ 国家公務員総合職から公認心理師を目指す。

新卒、公認心理師養成課程を履修した心理学科大卒、院卒30歳まで、司法、矯正に興味がある方は是非国家公務員総合職に応募してみてはいかがかと思います。

矯正関係では少年鑑別所勤務で、心理テストをやりながら少年面接、鑑別結果通知書を家庭裁判所に提出します。

ただし、裁判官(少年審判官)と直接面談して少年の処分に対する意見が言えるわけでもないので、いかに心理的に問題がある少年、あるいは問題性が少ない少年でも家裁調査官と裁判官が膝詰めで話し合って処分が前歴によって決まることが多いので、その意味ではがっかりすることもあります。

だからといってやりがいがないというわけではなく、きちんと心理的な少年の傾向を把握しておくことはその少年が再犯をして再び鑑別所に入所してきた時に役立ちます。

また、少年院、刑事施設では矯正プログラムを組んで実施、カウンセリングを行うという仕事をしています。再犯防止という意味からはこちらも大切な仕事です。

公認心理師法第7条第2項に定められた数少ない施設なので、大学院を出ていなくてもここで経験を積んで公認心理師を目指すことが可能です。

また、既に大学院卒、公認心理師有資格者や社会人経験がある人も心理経験の実践があるという点では(アピール次第では)有利になるかもしれません。ただし、国家総合職は合格するまでがとても大変です。

一次試験は教養問題ですが数的処理と判断推理という、パズルのような知能検査のような問題が出ます。こういった問題の解き方にはコツがあるので参考書や問題集、過去問をやり込むことで正答率が上がります。

むしろこの数的処理や判断推理を全問正解できないようでは一次試験突破は難しいかもしれません。それから幅広い教養問題があります。

一昔前と違って官庁訪問をして東大京大卒でないと言われていたのは過去の話で今は大学にあまりこだわらなくなって来ています。とはいえ相変わらず一流大学、大学院卒でないと一次試験を通過できないのはそれだけ問題が難しいからです。官庁訪問前の最大のハードルです。

そしてこの官庁訪問がかなり難関で、内示まで5〜6回訪問して面接を受けなければなりません。行政区分の総合職でも数カ所省庁巡りをしてやっとどこかに引っかかるということはあります。

学部卒区分で入職してから公認心理師を目指すのは効率はいいですが、上記のとおり生半可でない努力が必要です。臨床心理学で上位と言われている名門大学院の入試には合格しても総合職、地方上級公務員試験に落ちる人は多いです。

ちょっと話は逸れますが、エリート大学院を卒業し、すでに公認心理師を取得している人なら地元の市役所受験はおすすめです。

例えば京都大学卒業見込みの学生が国家総合職に受かってもただのキャリア官僚の1人です。京都府庁にもそこそこ卒業者はいそうです。では京都市役所はどうでしょう?よく来てくれたという扱いをされてちやほやされます。生涯年収はそれほど変わらないので名門大学院出身者ほど市役所は狙い目です。

地方上級公務員も公認心理師を優遇する動きは出てきています。院卒者ならば幅広くチャンスがあります。

さて、国家総合職に話を戻すと公認心理師を目指すのでなければ実は人間科学区分合格者はあちこちの省庁で募集をかけていますので、省庁巡りをする価値はあります。今のスケジュールだと院卒者は入職してから公認心理師を受験して合格しても構わないわけです。

厚生労働省で採用する人間科学区分の採用者は医療行政の専門家として扱われることもあり、労働行政の専門家としてILO(国際労働機関)で働いたり内閣官房に出向したり、キャリアとしてかなり幅広い経験が積めます。

文部科学省、警察庁、公安調査庁、会計検査院、総務省、内閣府でも人間科学区分の採用実績があるので省庁訪問をする価値はあるでしょう。

ただし、国家総合職はどの区分でもそうですが、一次試験合格者の半分かそれ未満の採用率しかありません。

大学院進学希望者、他の就職希望者はそちらも並行して考えないとただのフニーターになってしまう可能性もあるので、きちんと自分の人生設計をしましょう。

キャリアは入職直後から幹部待遇なのですがハードワークで全国どころか海外で勤務する事も考えられます。

さて、矯正職に限って言えば義務官舎といって徒歩ですぐの場所に住まなくてはならないので、官舎は家賃が格安ということです。ただし職場がすぐ近く、上司が同じ官舎に住んでいるので息苦しさを感じるかもしれません。

鑑別所は家裁調査官の出張や保護者の面会のためか比較的都市部に所在していますが、少年院や刑務所はもれなくど田舎にあります。

とは言え空気はキレイで物価も安く住みやすいでしょう。転勤スパンは短く、2年に1度広域異動があると思っておいた方がいいでしょう。

昔は行政職や法律職の方が出世は早く本省勤務がほとんどなのですが、人間科学区分の総合職も幅広い領域の仕事を任されて本省勤務をする事もあります。ただし法務省では司法試験合格者がスーパーキャリアなのでその辺りは違う種類の職種と割り切って仕事をします。

セクションによりますが霞ケ関キャリアは朝9時から朝4時までの勤務はデフォです。

人間科学区分のいいところ、デメリットを含めて書いてみましたが、学部卒でも現場経験2年で公認心理師受験資格が得られる、公認心理師有資格者も優遇されるかもしれない?総合職は受験する価値はあります。

インターンシップを行っている鑑別所も多く、現場の雰囲気を3日間程度実習で学ぶことができます。合否にかかわらず人間科学区分の受験は幅広い視野を持てるのでチャレンジする価値は十分にあると思うのです。