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◯ 物質関連障害と動機づけ面接MI及び嗜癖障害群・神経認知障害群

・覚せい剤などの精神刺激薬は使用障害(使用・濫用)と誘発性障害があります。

・DSM-5ではアルコール関連障害はアルコール依存症候群からアルコール使用障害に名称変更されていて、こちらも誘発性障害(中毒・離脱・精神病性障害)があります。

また、ウェルニッケ・コルサコフ症候群では作話症状が出ます。

物質関連障害群としてあげられるのは

このほか、抗不安薬過剰服用と鎮静薬、カフェイン、大麻(マリファナと合成カンナビノイド)、幻覚剤(LSD、フェンシクリジン、シロシビン)有機溶剤(塗料用シンナーや接着剤など)オピオイド(フェンタニル、モルヒネ、オキシコドンなど)中枢刺激薬(アンフェタミンやコカインなど)ニコチン

が対象となっています。

アルコールに関してはほぼ毎日飲酒している、飲酒により生活に支障があるか、飲み方に異常があるか、離脱症状があるか、γGTPやGPT、GOT、UA(尿酸値、アルコールで水分が体から足りなくてなると少なくなる)が高いかがポイントです。

アルコール使用障害の診断基準 (DSM-5)

※ 正確な診断基準は原典に当たってください。(著作権上)

アルコールの多量摂取

減らす努力に成功しない。

強い欲求、身体や社会性にに悪影響があっても続ける。

依存のため耐性がつき大量摂取を要する。

やめた際の離脱症状

とDSM-5ではあくまで「使用障害」に力点を置いて診断基準優先となっているので、依存症治療を考えるとアルコール依存症のICDの診断基準がふさわしいという見方もありそうです。

日本には80万人のアルコール使用障害者がいるとされています。

独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター 木村 充

アルコール依存症への理解を深める
肝炎情報センター
http://www.kanen.ncgm.go.jp/study_download/20141205_03.pdf

アルコールスクリーニングテストCAGE、AUDITはアルコール依存症専門治療機関の国立久里浜威力センターのホームページから簡単にアクセスできます。

http://www.kurihama-med.jp/alcohol/

医師による診断と異なり簡単に自己診断やチェックができるというメリットがあります。

シアナマイドやノックビンのような抗酒剤が使われていることもあるのですが、

動機付け面接法
Motivational Interviewing (MI)や
個人・集団心理療法の中でも認知行動療法、コーピングスキルトレーニングが使われます。

今回ブループリントにも記載されていますので動機付け面接法の復習を兼ねて記載します。

MIはアルコール依存症に対する介入で有名で、周囲からいくら止めるように言っても本人の断酒意思がないと止められません。

野球の試合も勝ちたいと思って取り組まないと勝てないでしょう。

このような治療意欲に対する動機付けを高め、「自己動機付け発言」(チェンジトーク)を引き出すのが動機付け面接法です。

DARN-Cが動機付け面接法のポイントとなる頭文字です。

DはDesire(変化への希望)

AはAbility(変化できる能力、自信があるという楽観的な見通し)

RはReason(変化することの利点)で、いい結果がともなってくるという理由をあげているような発言です。

NはNeed(変化しないことへの心配,懸念)です。

このままでいたら困る、このままだと仕事がなくなる、など,ネガティブな理由です。CはCommitment(変化に必要な実際の行動の具体的な計画や考え)に関する発言です。

つまり、変化をしたいという動機のためにはポジティブな側面もネガティブな動機もあるのですが、それをクライエントが自覚して話せるようにならないといけないということです。

そこから続けて変わることができるという自己効力感(セルフエフィカシー)を高めていくわけです。


五つの原則

動機づけ面接には,五つの原則があります。

1.共感
2.矛盾を広げる
3.言い争いを避ける
4.抵抗を手玉に取る
5.セルフエフィカシー(自己効力感)を支持する

です。

1.共感

クライエントが言ったことが不健康なことでもそれを頭ごなしに否定はしません。
決めつけもしません。
相手が間違っているというというような価値判断をしないことです。

2.矛盾を広げる

このようにクライエントが自己中心的な主張をしていたとしてもそれを否定せず、話し続けてもらうことで、クライエント自身が矛盾に気づくということです。

3言い争いを避ける

カウンセラーがエキスパートで専門家なのだからとクライエントに対して一方的な価値観の押し付けや説教をしないようにします。

カウンセリングの主体はあくまでクライエントなのです。

4.抵抗を手玉に取る

変化しようとすると必ず抵抗も出てきます。それをカウンセラーは、でも、けれども、と否定的な構えで話を聞かず、抵抗があっても頑張り続けていることをプラスに評価します。

5.セルフエフィカシー(自己効力感を支持する)

結果としてうまくいっているところを支持します。

動機付け面接にはカウンセラーの具体的話し方がOARSとして示されています。

OARSは,

開かれた質問(Open Ended Question)

是認(Affirm)

聞き返し(Reflective Listening)

要約する(Summarize)

の略語です。

開かれた質問(O)はどんな気持ちですか?どんな考えですか?どんなことがしたいですか?などクライエントがさまざまな答え方ができるような質問です。

答えにくければカウンセラーから具体性を持たせてクライエントが答えやすいようにしてみます。

是認(A)はクライエントの話す内容から、いいと思えるものを抽出、聞き返して確認していくことです。

本人ができる、やりたいということを話しているときに聞き返していくような場合は,是認の手法を使っています。

聞き返し(R)は動機づけ面接で最も使われています。

クライエントが使った言葉をそのまま聞き返したり、気持ちを聞き返す単純な聞き返し,相手の言っていることを増幅して聞き返したりすることがあります。

これらは自己動機づけ発言(チェンジトーク)を引き出すために用いられます。

要約(S)では,相手の話の中で使える部分を拾い上げていきます。

これは,花束をつくるという比喩で表現されることも多いです。

矛盾する発言や行動,それらに付随する態度や感情の中から役立ちそうなポジティブな点を注意深く聞いて、その中から花を選んでいきます。

花をまとめてクライエントに花束という成果物として提示するわけです。

コーピンスキルトレーニングCSTは、アルコールという誘惑に負けそうな時点でストレスにどうやって対処するかというスキルトレーニングのことです。

悶々として誘惑に負けそうになっているよりも、うまくストレスを逃がすスキルを獲得していれば心理的には楽なわけです。

◯ 神経認知障害群 DSM-5

記憶などの認知機能や生活機能が障害され、生活に支障があっても自立生活可能な状態を軽度認知障害MCI、自立生活困難な程度に低下していれば認知症とします。

軽度認知障害の厚労省の定義です。

「物忘れが主たる症状だが、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない状態。

軽度認知障害は正常と認知症の中間ともいえる状態です。その定義は、下記の通りです。

年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
本人または家族による物忘れの訴えがある。
全般的な認知機能は正常範囲である。
日常生活動作は自立している。
認知症ではない。
すなわち、記憶力に障害があって物忘れの自覚があるが、記憶力の低下以外に明らかな認知機能の障害がみられず、日常生活への影響はないかあっても軽度のものである場合です。

しかし、軽度認知障害の人は年間で10~15%が認知症に移行するとされており、認知症の前段階と考えられています。

厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-033.html

軽度ではない認知症について、脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状が記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能の低下など中核症状と呼ばれるものです。(厚労省定義)

中核症状が起きると周囲で起こっている出来事の現実を認識できなくなります。認知症の復習です。

・中核症状

複雑な注意、失行や学習障害、失認、失行(着替え)見当識障害(自分がどこにいるかわからない。

HDS-Rカットオフ値は20/30

服薬コンプライアンスができない、金銭管理ができない。

周辺症状BPSD Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaと呼ばれる「周辺症状」は

幻覚、幻聴、妄想(よく起きるのは物取られ妄想です。焦燥、攻撃性。
抑うつ・アパシー(無為症状)
不安・緊張・易刺激性、睡眠障害といった心理症状のほか、介護への抵抗、徘徊、異食、失禁、暴力などの行動異常も見受けられます。

認知症の薬物対応としては、暴れるのを鎮静化させるためにリスペリドン、不眠には睡眠導入剤、不安に抗不安剤が使われることがあります。

(程度はあくまで目安で、実際の病状とは一致しないことがあります。)

軽度〜中度認知症には認知機能伝達物質を補うアセチルコリン分解酵素アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、アリセプト、中度にはレミニール、イクセロン・リバスパッチ(同じくアセチルコリンエステラーゼ阻害薬)

重度にはメマリー(PTSDへの治験も行われているメマンチン)があります。

ただし、どの認知症薬も進行を遅らせることはできても根本治療薬はまだ開発されていません。

※うつ病の仮性認知症、薬物惹起性認知症は治ることがあります。

四大認知症はアルツハイマー、レビー小体型、前頭側頭型(ピック病他)、血管性認知症です。

以下厚労省資料です。

認知症高齢者等にやさしい地域づくりに係る関係省庁連絡会議資料
「厚生労働省の認知症施策等の概要について」厚生労働省老健局
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000031337.pdf


【アルツハイマー型認知症】
・ 中核症状として記憶障害(もの忘れ)が必ずあり、多くの場合、記憶障害から始まる。
・ 発症及び進行は緩やかで、記憶障害を含む複数の認知機能が持続的に低下し、段取りを立てられない、気候にあった服を選べない、薬の管理ができない等、日常生活において、以前でき ていたことが、できなくなってしまう。
・ 歩行障害は病期が進行しないと出現しない。
・ 行動・心理症状(BPSD)では、妄想、徘徊、せん妄等が多い。

【血管性認知症】
・ 脳血管障害が発生した脳の領域により出現する症状はさまざまだが、記憶障害、言語障害等 が出やすく、階段状に進行することが多い。
・ アルツハイマー型認知症と比べると比較的早期から歩行障害が出やすい。

【レビー小体型認知症】
・ 認知機能の激しい変動
・ なまなましい「幻視」
・ 筋肉のこわばり(パーキンソン症状 )

【前頭側頭型認知症(ピック病他)】
・ わが道を行く行動(会話中に突然立ち去る、万引きなど) ・ 常同行動(同じ行為を繰り返す)
・ 感情・情動変化(多幸・不機嫌・情動鈍麻など)
・ 食行動異常(食欲・嗜好の変化など)

です。

血管性と呼ばれる認知症は脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などのために、神経の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなり、その結果その部分の神経細胞が死んだり、神経のネットワークが壊れてしまう脳血管性認知症です。

血管性以外は、神経変性が一次的な主たる原因と考えられています。

多くの認知症性疾患では、その原因は不明です。しかし、脳血管性のものは比較的わかりやすく、アルツハイマー病についても、確定したわけではないものの深く研究されています。

脳血管性のうち、わが国に最も多いタイプに広範な梗塞・不全軟化があります。このタイプは、大脳深部の白質線維の連絡機能が断たれることで認知症症状が出現します。大脳の表面付近の梗塞に起因する例では、梗塞巣の容積が100mLを超えると認知症の発現頻度が増加します。

また海馬、視床、尾状核など重要な脳構造に梗塞を生じると、それが限局性であっても高次脳機能障害をきたすことがあります。

アルツハイマー病の病因は不明です。しかし、病理学的な特徴とされる老人斑を構成するアミロイドβ(Aβ)にその原因を求める考えが主流になっています。

つまりAβの切り出し、凝集に始まるプロセスに起因して神経原線維変化を生じ、さらに神経細胞死へと至るという考え方です。これをアミロイドカスケード説といいます。

このAβ中心説に対して、神経原線維変化を構成するリン酸化されたタウ蛋白質に注目する立場も有力です。

レビー小体型認知症と前頭側頭葉変性症については、鍵となる脳内構造物が明らかになりつつあります。

これによって原因解明が期待されています。

なお、スピロヘータ、ウイルス、プリオンなどの感染性因子により、神経細胞が傷害されて起こる認知症があります。たとえば脳梅毒ともいわれる進行麻痺、エイズ脳症です。

高血圧が原因となっているBinswanger病とアミロイドアンギオパチーは血管性ですが、神経変性を伴います。

アミロイドアンギオパチーも微小血管障害が神経変性につながっています。

・ アルツハイマーは海馬周辺が主病変で、大脳新皮質に移っていきます
側頭葉、頭頂葉の障害は記憶障害になりますが、運動機能障害にまではなりにくいです。

・ レビー小体型は幻覚やパーキソニスム、転倒しやすいという後頭葉の障害があります。

・前頭側頭型のpick病は前頭葉の障害のために理性が保てなくなり、犯罪を起こすことがあります。

側頭葉障害の場合は失語につながります。

認知症の基礎~正しい理解のために~厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/20170606_ninchisyotoha.pptx

論文では核磁気共鳴MRI
SPECT検査
単光子放射型断層撮影(single photon emission computed tomography; SPECT)検査
などの脳状態撮影検査が認知症診断に有効なことが示されています。
SPECTは静脈に薬剤を入れて脳血流の状態を撮影します。

PET検査
陽電子放射型断層撮影(positron emission tomography; PET)検査は,消滅放射線を生成する陽電子放出核種を標識した薬剤を使用しますが、正常脳と認知症の鑑別診断に有効です。

また、dat-scan検査では、脳内でドーパミンが異常低下した状態のレビー小体型を検査することができます。

また、社会的理解と援助のため、特定非営利法人地域ケアネットワークによって、全国認知症サポーターキャラバンメイトが組織され、サポーターの育成、認知症患者さんとその家族に対する社会的な支援を行っています。

http://www.caravanmate.com/

絵:千美梨画伯「果物のある2089年の風景」
タイトル:ひなたあきら

千美梨「あなたホンっとにテキトーなんだからこの記事の中のいろんなのに当てはまってるんじゃない?」

(おしまい)