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◯ サイコロジカルファーストエイド
Pshycological First Aid

ツイッターの某心理職のツイート

「サイコロジカルファーストエイド、私の心がクライシス」

http://www.j-hits.org/psychological/pdf/pfa_text.pdf#zoom=100

サイコロジカルファーストエイド
実施の手引き 第2版から

National Child Traumatic Stress Network

日本語版作成:兵庫県こころのケアセンター

本手引きによる定義: サイコロジカル・ファーストエイド(Psychological First Aid;PFA)は、災害やテロの直後に子ども、思春期の人、 大人、家族に対して行うことのできる効果の知られた 1 心理的支援の方法を、必要な部分だけ取り出して使えるように構成したものです。
(以上手引きから引用)

※ 3.11の未曾有の大災害をへてPFA教育、PFAの考え方は対人援助職の人々にも浸透してきましたが、PFAが困難な作業で、心理の専門家が現場に入ることが侵襲的になってしまう可能性もあります。

僕も某所でPFA教育を受けてきたのですが、その介入のタイミング、ターゲット、留意点は相当な困難を伴います。

まずPFAを行うタイミングについてです。

1.時期

報道等で大災害(戦乱かもしれません)。情報が正確に入って来ていないかもしれません。

ここでDPATのような公的機関の出動に合流していないのに自ら現地入りしてはいけません。

(DPATは精神医療ですが、それに先立って身体医療救援チームDMATがまず組織されます。)

災害派遣精神医療チーム
Disaster Psychiatric Assistance Team(DPAT)

は確かに臨床心理技術者を同行して災害現場に向かうことがあるのですが、ごく少人数の派遣ですし、

チームの陣容が
https://www.dpat.jp/images/dpat_documents/2.pdf

災害派遣精神医療チーム(DPAT)活動要領(厚生労働省策定)

にあるとおり、

「1.2 都道府県等 DPAT における各班の構成」


「 以下の職種を含めた数名(車での移動を考慮した機動性の確保できる人数を検討)で構成すること。

・精神科医師※
・看護師 ・業務調整員(ロジスティクス):連絡調整、運転等の後方支援全般を行う者

※先遣隊を構成する医師は精神保健指定医でなければならない。先遣隊以外の班を構成する医師は精神保健指定医であることが望ましい。

被災地のニーズに合わせて、児童精神科医、薬剤師、保健師、精神保健福祉士や臨床心理技術者等を含めて適宜構成すること。」

(引用終わり)

となっており、全ての被災地で臨床心理技術者は求められていません。

発災後、まずは医学的な救命措置、それから安全な救護所、食料資源確保、トイレの整備、紙おむつ、生理用品の準備など膨大な物的資源のニーズに現場は応えなければなりません。

少なくとも心理学的にきちんと倫理規定、要領のしっかりとした団体が支援を呼びかけるまで、心理職がボランティアでも現場入りをすると自らが救援を必要とする対象になりかねません。

3.11ではまず地元の保健師が人心の安定に大きく寄与しました。

地元のことをよく知り、顔を知っている人の心身両面にわたる援助をすることは机上の心理技術より心強いでしょう。

2.対象

被災のような特殊な状況では弱者、被災で弱者に追い込まれた人々が特に重点的な心理的援助の対象になります。

・子ども
・障害を持つ子ども
・発災で親を失い、事態を理解していない子ども
・老人
・障害のある老人
・身体障害者
・精神障害者
・傷害を負った人
・トラウマティックな風景に出くわした人
・家族、家屋を失った人
・マイノリティ
・何をしたらいいのかわからず困っている人
・アルコール、薬物依存者

(継時的概念から)

・ハネムーン期を過ぎて空虚感を味わっている人(この災害をこの国も自分も乗り越えられる、と援助者が多い時期には思っていたのが、援助者も少なくなり、撤退すると「この事態は良くなる」と思っていたのが、精神的に孤立感を感じるようになる)。

・救援活動を行う災害派遣チーム(警察、消防、自衛隊、海保などへの心理的支援も必要です。ただし彼らは自前で救援者のためのメンタルケアチームを同行していることが多いです)

ちなみにDPATの活動履歴はこれまで熊本震災、御嶽山噴火、東北水害など多岐にわたっています。

3.活動内容とその留意点

・被災した人に被災体験の詳細を微に入り細に入り聞きたださない→二次的トラウマを負わせることになる。

・生活上の不便(医療、食料は整っているか、「被災者が今一番困っていることは何か?」のニーズを聞き出す。

・心理至上主義に陥らない。
大切なのは心理支援よりもライフライン整備であることがほとんど。

・全ての人がトラウマティックな体験をしていると決めつけて話をしない。

(被災者の中でも義務感を持って他の被災者の援助をしている人もいれば、トラウマティックな体験をしてもダメージが僅少な人もいます。トラウマを負っているだろうと決め付けるのはスティグマを負わせることになります。)

・ストレス反応を全て「症状」「疾患」「病気」と呼ぶこともスティグマになります。

以下サイコロジカル・ファーストエイドの 8 つの活動内容(前掲 サイコロジカル・ファーストエイド実施の手引き第2版からの引用)

1. 被災者に近づき、活動を始める Contact and Engagement 目的:被災者の求めに応じる。あるいは、被災者に負担をかけない共感的な態度でこちらから手をさしのべる

2. 安全と安心感 Safety and Comfort 目的:当面の安全を確かなものにし、被災者が心身を休められるようにする

3. 安定化 Stabilization 目的:圧倒されている被災者の混乱を鎮め、見通しがもてるようにする

4. 情報を集める―いま必要なこと、困っていること Information Gathering: Current Needs and Concerns 目的:周辺情報を集め、被災者がいま必要としていること、困っていることを把握する。そのうえで、その人に合った、PFAを組み立てる。

5. 現実的な問題の解決を助ける Practical Assistance 目的:いま必要としていること、困っていることに取り組むために、被災者を現実的に支援する

6. 周囲の人々との関わりを促進する Connection with Social Supports 目的:家族・友人など身近にいて支えてくれる人や、地域の援助機関との関わりを促進し、その関係が長続きするよう援助する

7. 対処に役立つ情報 Information on Coping 目的:苦痛をやわらげ、適応的な機能を高めるために、ストレス反応と対処の方法について知ってもらう

8. 紹介と引き継ぎ Linkage with Collaborative Services 目的:被災者がいま必要としている、あるいは将来必要となるサービスを紹介し、引き継ぎを行なう

(引用終わり)

※ PFAチームの中で心理職が何をするか、ですが、ASD、 PTSDの違いなど心理教育も有効と思われます。

深呼吸をする、現実感を取り戻す働きも有効です。

成人も子どもも精神障害のあるなしにかかわらず怒りとイライラの感情を誰かにぶつけたい、それが心理職かもしれないということを理解しておく必要があります。

3.11の時のように子どもは津波ごっこなどトラウマティックプレイをするようにトラウマや悪夢を語り続けることがありますが、それが悪影響を与えることもあります。

PFAはあくまでもファーストエイドです。

今後どのような支援を受けることが可能か、心理的支援に限らずあらゆる支援内容を保証して欲しいと思っています。

適切に引き継ぎを行うことが良いPFA活動です。

ここで真剣にカウンセリングをして子どもを依存させて別れ際に子どもが泣き出すような心理支援はマイナスになります。

支援者もまた自らの心身の安定化を大切にしながらPFA活動を行うことが大切です。