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泣いてばかりいる彼女、最初はどうしたのかと思いますし、理由がわからないと困ります。

可愛がっていたハムスターが死んでしまったという理由がわかったとします。

確かにそれは悲しいことには違いありません。

ただ20分経っても30分経っても、1時間経ってもまだ泣き止まなければ、どうしたらいいでしょうか。

あなたは対応に困ります。

少し泣き止んだ時、あなたがお茶を入れてあげても飲まないか、少し口にしたらまた泣きだします。

ちょっとだけ落ち着いた時、あなたと話をしてしても「ハムちゃんが死んじゃったー」とびいびい大泣きして涙と鼻水で顔はぐじゃぐじゃ、目も真っ赤です。

こうした体験をしたことがないのであなたはますます戸惑うわけです。

ここで、彼女を見ているあなたは何だか落ち着かなくなります。

「そんなに泣くなよ、死んだハムちゃんもお前がそんなに悲しむのを望んでいたわけじゃないだろう。」

「お前がそんなに泣いているとハムちゃんは安心して虹の橋を渡って天国に行けないぞ」

などと止めたくなります。

ティッシュ二箱、三箱使ってもまだ泣いています。

今日はきれいな湖を見に行きたいなあという彼女の希望に合わせて予定を組んで彼女のアパートに遊びに来たのです。

あなたは彼女が早く泣き止まないかなあと思う反面、面倒だなあ、と思うとだんだん帰りたくなってしまうかもしれません。

しかしそれこそあなたがやってしまったら一番いけないことなのです。

彼女を泣きたいだけ泣かせてあげましょう。

ここであなたは安易な保証をしたくなってしまいます。

「もう大丈夫、きっと新しいハムスターを飼ったら元気になれるよ」

そんなことはありません。

彼女は可愛がっていた、何にも替えられないほど愛していたたった1匹のハムちゃんに去られたのです。

他のハムスターでは代用できません。

そんな無責任なことを言ったら彼女は自分の気持ちをないがしろにされて傷つけられたと思うかもしれません。

「お墓に埋めてあげようよ。そうしたら悲しみもやわらぐよ」というのも同じです。

あなたは泣いてばかりいる彼女を見ているとうんざりしてしまって、悲しみはきっと消えるし、よくなるだろうという思い込みを彼女に押し付けているだけです。

だんだん安心できるようになってくるよ、というのも不明な将来を断言して決めつけてしまう禁句です。

こんな時には彼女の気持ちを受け止めながら、彼女の心身の状態を心配してあげましょう。

眠れているか、食べられているか、悲しいのはわかるけど、それで自暴自棄になっていないかを質問しましょう。

その上で、悲しいのは当たり前、悲しい時、辛い時は動けないし、何もできないのが当たり前なんだよと言いましょう。

悲しい時はいくらでも悲しんでいいんだよ、と彼女が自由に感情を表現することを保証します。

本当に悲しかったね、辛かったね、と彼女の気持ちをありのままに受け止めます。

もし何も食べられていないのなら、おかゆを作ってあげる、経口補水液やゼリー飲料を買ってきて、最低限の体力だけは保ってもらいたいものです。

あなたは泣き続ける彼女の感情表出を黙って見ているだけでいいのです。

あなたがそこにいることが、彼女と悲しみを共有することになるのです。

泣くことは決しておかしなことじゃないんだよ、と彼女に伝えます。

心細い彼女は何かにすがりたい気持ちでいっぱいです。

だからあなたは最初はそっと、そしてぎゅっと彼女を抱きしめてあげましょう。

そこでまた彼女はわんわん泣くかもしれませんが、それでいいのです。

人間には悲しいという感情が当然備わっています。

もしこれが学校や会社に行ったら悲しみを押し殺してただニコニコしているだけかもしれません。

あなたの目の前だからこそ安心して彼女は感情表出できるのです。

その事実を重く受け止めましょう。

あなたが心配するべきなのは彼女の事です。

ちゃんと食べて眠って欲しいんだ、ということは伝えます。

泣くだけ泣いて、あなたの心配が伝わってきたら彼女はひっく、ひっくと言いながらも泣き止むかもしれません。

あなたが彼女にできるのは、この場所は安心して安全な空間で、自由に悲しみを出せるという事です。

人間にはカタルシス効果があります。

いい漫画や小説、映画を見て感動して泣いた経験は誰にでもあると思います。

ただ、泣いたあとはすっきりとした気持ちになり、気分もだんだん晴れ晴れとしてくることが多いのです。

彼女がこれからどうしていくのか、どうやって自分の感情処理をしていくのかは彼女に任せましょう。

あなたが決めることではありません。

彼女がそのうち自分で自分の気持ちを整理していくことに期待をしましょう。

それでも処理しきれない悲しみが再び湧き起こってきた時、そこでまた彼女はあなたを頼ってきます。

嫌がらず、面倒がらずに彼女を受け止めてあげることは彼女にとって何よりの救いになります。