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◯ 公認心理師試験必須項目-「司法面接」萩野谷博士研究日心受賞

以前ブログ記事で

「児童虐待調査司法面接・萩野谷博士の研究参加体験記/心理士参加者募集中(謝礼あり)」

を取り上げました。

萩野谷俊平博士1,2)Pekka Santtira(New York University Shanghai1),2)法政大学ライブスキル研究所

によるこの研究「日本語版面接者訓練ツール(EIT-JP)の効果検証」(pdf)は明治安田こころの健康財団を受けて行われていたもので、日本心理学会で学術大会優秀発表を受賞しています。

司法面接とは何か?

虐待(性的)を受けた子どもに対するワンチャンスかつ「虐待は本当にあったのかどうか?」に関する心理職が行う、数少ない事実関係調査のための面接です。

虐待調査にかかわる心理職がこういった専門訓練を受けないで漫然と児童調査面接をすることはとても危険です。

萩野谷博士の心理専門家によるこの実験トレーニングは2時間以上続き、無料どころかと謝礼付きという大盤振る舞いだったのですが、トレーニングを受けた臨床心理士の面接スキルが確実にアップしたという結果が出ています。

僕もトレーニングを受ける立場の心理職被験者となって感じたことなのですが、かつて児童臨床にかかわった経験がある(この研究では78%)でも、事実認定のための子どもへの面接は非常に難しいということでした。

普通の子どもと遊ぶ児童面接と違って、ケア的な暖かい接し方を念頭に置きながら誘導質問をしてしまったらそこで事実認定は台無しになってしまいます。

以下萩野谷博士の論文の一部抜粋ですが、明確な誘導的な質問として

「パパと遊ぶの」

「パパは悪い人」

ともし聞いたとしましょう。

そう決め付けてクローズド質問をすると子どもは「うん」

あるいは「知らない」と回答拒否するかもしれません。

大人の面接でもそうですが「お話しすることあるのはわかってるよ,お話して」

これは不明確な誘導尋問です。

(ひなた注:「仕事行くの大変だったでしょ?どんな感じだったんですか?」は大人はOKかもしれませんが、「大変」と決め付けています」

※ 子どもの認知レベル、認知機能は未発達、防衛的というよりは、わからないと「わからない」と答えてくれないのでそういった質問はNGと萩野谷博士は指摘しています。

「パパとママの関係はどんな感じ?」

「おじいちゃんのことどう思う?」

「あなたがパパだったらどうするとおもう?」

※ これらは大人でも高度な質問です。

「両親は不和かと思えば機嫌良く僕と外食に行くこともあって」

「祖父は短気ですがちょっとすると内省して機嫌取りします」

「そうですねえ、僕が父の立場ならぷいと喫茶店に逃げるかも。気まずいのはイヤですしね」

※ 上記のような回答を4歳児や6歳児がするわけはありません。

AIによる子どものアバターに対して話しかけるこの研究に僕は被験者として博士の実験に参加したのですが、「知らない」「わからない」「もう話したくない」

と子ども役のAI顔はなかなか難物でした。

「さあ、虐待はあったでしょうか?」

と萩野谷博士から聞かれて答えに詰まるのですが、

虐待の内容、起きた場所、虐待者の情報がすべて得られた場合正しい結論に至る心理専門職はわずか18.8パーセントで、司法面接がいかに難しいかがよくわかります。

最適なトレーニングを受けた場合、50パーセントにまで上昇するという研究結果で、司法面接は、こういったアバターによるAIトレーニングで飛躍的にスキルを向上させることが可能です。

論文のAPPDNDIX(追補)に心理士への教示文が示されています。

大切な事柄と思えるので萩野谷先生のAPPDNDIXから要約を下記に記します。

(望ましい質問)

・ 司法面接のガイドラインですが、オープン質問をすること。

・ おうむ返しや「それから?」を使う。

(望ましくない質問)

・ 「お父さんに無理やり触られたんだよね?」(ひなた注:誘導尋問ですよね。)

APPDNDIX2には4歳児の女の子の例が示されています。

(臨床家が日ごろ出会うのは定型発達をしている子どもとは限りません。親の精神疾患や貧困もこういった家庭だと影響を与えることが十分にあるでしょう」

⭐︎ 所感1.(ひなた)

萩野谷俊平博士は以前警察でのプロファイリング経験も豊富にあり、司法関連の著作も多数ある方です。

一般的に心理、精神医学の世界では人の「感じ方」や「感性」の事実の正誤は扱いません。

司法面接は子どもが「述べること」が全てで、おもらししたからパンツを替えてもらったことを「恥ずかしかった、でもヒミツなんだ」=性虐待ととらえかねてしまいません。

この司法面接についてはもちろん実際の児童は登場させられないのですが、
そこでAIアバターで専門家もトレーニングを受けて行きます。

僕も被験者としてトレーニングを受けているうちに研ぎ澄まされていく感覚を十分に味わうことができました。

大人でも微妙な事柄について触れられると否認したり話題をそらします。

さて、この研究は心理学的科学論文です。

研究デザイン、ANOVA分散分析、信頼区間などの統計手法の理解が児童を救うための研究に必要ということが理解できると今後心理学を学ぶ人々にも役立つのではないでしょうか。

所感2.

萩野谷博士との連絡はLINE、Skype、メールなどでしていたのですが、国境を超えて研究実験者-被験者という体験ができたことは僕にとっては大変貴重でした。

僕は司法面接は司法臨床場面でだけ行われるものかなあと思っていましたが、萩野谷博士は医療機関、福祉、教育場面でも活用されるものと述べており、こういったトレーニングの重要性について指摘しています。

司法面接は純粋培養された臨床家には困難なタスクかもしれません。

困難だからこそ取り組む意義もあると思うのです。

(萩野谷俊平博士の紹介)

https://www.shaginoya.com/