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◯ 第3回公認心理師試験重要追加項目・心理的負荷による精神障害の認定基準

平成23年に精神的負荷によって労働者が被る心理的負荷を労災認定するかどうか、でこれまで煩雑で認定されにくかった精神障害の労災認定基準を柔軟に対応できるように変えたものです。

新しい認定基準は以下のとおりになります。

ポイントは迅速・弾力化です。

まず冒頭の表(概要)

に示されているとおり、これまでの労災評価は

出来事の評価+出来事後の評価→総合評価

の2段階でした。

新基準では

出来事+出来事後の総合評価に変わりました。

出来事がどうだったのか?「うん、たいしたことない、出来事後は?元々不安定そうなやつだったからまあこんなものかな」と労災対象者に対する恣意的な判定を減らそうとしたのでしょう。

極度の長時間労働を月160時間の時間外労働(だいたい日付けが変わるまで毎日仕事)

また性被害も「心理的負担が極度のもの」と定義されるようになりました。

評価期間は6カ月に限ってでしたが、セクハラやいじめの継続については6カ月を超えるものも評価します。

複数の出来事があった際には

中(ぐらいの出来事)+中でも→強または中

中+弱→中

と重度の判断を労働者側に有利に判定しています。

出来事自体は「中」であってもその後の労働者の対応が困難なものである場合も強と認定します。

これら基準を要約して記しますが、わかりやすい心理的負荷評価表を作成、ストレス強度の測定を定めたという事です。

旧来は

1.調査計画の策定

2.請求人、事業主等の関係者からの聴取書作成

3.医証(医師の意見書、診療録)労働時間の記録等の関係資料の収集

4.調査結果のとりまとめと事実認定

5.精神科医3名による構成する専門部会での協議

6.専門部会の結果に基づく業務上・業務外の決定

となっていて労災認定基準のハードルが高かったのですがこの手続きを大幅に簡略化しました。

精神科医の専門部会は判断が困難なものだけ、業務以外のストレスの詳細な調査を行うとなっていたのですが、その調査を簡略化することとしました。

また、精神障害の中には頭部外傷、脳血管疾患、中枢神経質変性等疾患、器質性脳疾患の併発疾病を含みます(心身症は含まない)。

また、セクハラについての認定をしやすくしました。

セクハラは従来被害者が加害者を恐れて、加害者に迎合するような言動をしたりメールをする事があったのですが、そうした行為があったとしてもセクハラがなかったという事実認定の根拠にはならないという事です。

こういった労働者のストレスの強弱については

重度の傷害を負った

(例え本人が起こした事故でも相当のペナルティを負えばショックを受けます。)

自らは傷害を負わなくても生命への危機を感じるような体験をした

はいずれも強度と認定されます。

社業遂行中に経済上の損害を企業に与えた事でも中-大の認定を受けます。

会社を倒産の危機に陥れてしまった、厳しい世間からの評価を受ける事になった場合です。

また、社業に際して重大な違法行為を強要された、過重なノルマを要求された等も精神的ストレスとなります。

1カ月に80時間以上の労働や12日間連続勤務は心理的負荷と認定されます。

パワハラ防止法の施行時期は、大企業については2020年4月、中小企業については2022年4月という報道があります。

パワハラ・セクハラは産業現場では困難な対処を心理職が迫られる領域で、事例問題としてもかなり回答が難しい設問が出てくるかもしれません。

第2回公認心理師試験だと「ブループリントには載ってなかった、知らなかった」では済まされないような出題が全分野にわたってありました。

ここで労働関係の法制度について学んでおく事は心理職の実務にも役立てられるでしょう。

以上、かいつまんで要約してみましたが詳細は厚生労働省の資料を閲覧する事をお勧めします。