◯ 公認心理師医療保険適用正式決定可能性濃厚・ギャンブル依存症対策
厚生労働省は12月11日、ギャンブル依存を保険点数化することを発表、保険点数340点(3400円)集団精神療法の対象とすることに決定しました。
元々国営カジノ運営にかかわるIR法(統合型リゾート法)について「ほら、僕らはきちんとギャンブル依存症対策やっているものね。」
というアリバイ作りのマッチポンプにしか思えないなあというのは下世話で余計なお節介で、以前からギャンブル依存症対策に公認心理師もかかわらせることは政策としては決定済みでした。
医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士若しくは公認心理師がかかわると保険点数になるわけですが、
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00056.html
(参照)
○外来医療(その3)について
p57
p61には薬物依存治療について公認心理師の関与を保険点数化することが認められています。
拙ブログでも一度記事にしているのですが
http://hinata.website/archives/17773858.html
首相官邸が鳴り物入りで作成したこの ギャンブル等依存症対策推進基本計画(案)
は、競馬対策に農林水産省、モーターボートレースに国土交通省、相談拠点設置に厚生労働省、総務省、依存症家族支援のために厚生労働省・消費 者庁・警察庁・金融庁・総務省・法務省・文部科学省・農林水産省・経済産業省・国土交通省、多重債務相談窓口の相談体制の強化【金融庁】とおよそほとんどの省庁、大臣がかかわっているわけです。
青少年教育には文部科学省のギャンブル依存教育、多重債務者には財務省と至れり尽くせりです。
金融庁もギャンブル依存対策に「心を砕いて」いるように見せようとしてか、ギャンブル依存症の患者さんが借金しに来るのを銀行員が食い止めるという荒技をするようにと勧奨しています。
お金を借りに来る人がギャンブル依存かどうかのアセスメントはどうするの?
新しくギャンブル依存度テストを作るの?
本人が嘘をついていたらどうやって見抜くの?
銀行員にも公認心理師が配置しなければならず、公認心理師活躍の場、第6領域として金融分野にも職域が広がるのではないか?
と思った次第です。
そんなにIR推進法(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律)を通したいのか内閣府、首相官邸と思うわけですが、
建設に5兆の内需、運営に2兆円の利益が見込めるとあらば、日本経済が相当に潤うことは間違いありません。
観光、カジノ売上げ、雇用促進といい事づくめに錯覚させる本法案は、実際にはギャンブル依存症の貧困家庭を生み出すでしょう。
そうすると当然児童虐待は増加すると思います。
いくら心理職が頑張って治療に取り組んでも依存症は増えるわ虐待家庭やDVも増加して、果たしない作業になってしまう事を危惧しています。
そうは言っても以前から依存症治療に真面目に取り組んで来た医療機関はきちんと対応せざるを得ないです。
全国にあまねく配置されていなくとも、国立久里浜医療センターや他私立病院でも依存症対策に熱心に取り組んでいる著名な機関は数多いです。
また自助グループもありますが、一気に依存症患者が増えたらお手上げでしょう。
専門医療機関でなくてもやって来た依存症患者さんの治療に四苦八苦しながら当たらざるを得ないです。
そして一番の問題は依存症は病識がない人が多い事です。
「もう10万円ぶっこめばこれまでの負けを取り返せるぜい」と湯水のように諭吉さんがマシーンに吸い込まれていく様子が目にみえるようです。
また、問題は依存症治療機関と国営カジノが近ければいいのですが、治療を受けたい、受けさせたい人が治療機関からとても遠くに住んでいる場合です。
どんな依存でも自分の意志だけでどうにかなるのはほぼほぼ不可能です。
そして心理職は良く知っている事ですが、依存症の人は他の精神疾患を併発している場合も多いという事です。
依存症の人は何にでも依存しやすいので複数の依存を抱えている場合があります。
双極性障害の人は躁転した時には金遣いが荒くなり依存の問題が出やすいですし、希死念慮が高い様々な疾患の人はうつ病や適応障害、PTSDを含めて依存を断ち切れない人もいるでしょう。
ベースラインとなる基礎疾患があり、それに加えて治療者が依存の問題を取り扱っていくのはとても困難な事に思えます。
依存症は効き目のある投薬治療ができず、心理職の出番が多い疾患です。
中央社会保険医療協議会(中医協)440回で定められた依存性対策は薬物依存もターゲットにしていますが、国家として様々な依存症対策に取り組んでいるよ、というアリバイ作りにしか思えないのは果たして僕だけでしょうか。
既存のぱちんこ(平仮名にすると可愛いのか?といつも思う。)依存、薬物依存治療は付け足しで、そこに隠れた意図を見てしまうのです。
コメント
コメント一覧 (4)
資料では
「ギャンブル依存症に対する集団療法プログラムの有効性が示されたことを踏まえ、依存症集団療法の対象にギャンブル依存症を位置付け、「標準的治療プログラム」に沿った治療を行った場合に評価することとしてはどうか。」という論点が提出された、と読めるのですが。
いつもコメントありがとうございます。
中央社会保険医療協議会は厚生労働省の諮問機関でありながら、厚生労働省の保険診療案を拒否することもある強大な権限がある団体です。
中医協が提示、提案した案はほぼ100パーセント通ることから、先走った記事になったかもしれませんが、まず間違いないだろうと思った次第です。
中医協が提案したものはほぼ通るとのことは、その通りと思います。
ただ、ニュースサイトなど見ましたら
今回の当該資料は厚労省が中医協へ提案したものであり、当日議論(まだ議事録はupされてないですね)では、支払い側委員は難色、診療側委員は賛同、と意見が割れていたとのことです。
中医協の提案資料でなく、中医協の当日の議論に提出された資料であるので、やはり決定とするのは尚早ではないかと…
コメントありがとうございます。
確かに確認させていただいたところ、ねずま様がおっしゃる通りでした。
そこで迷った末、いちおうタイトルのみ可能性があるというニュアンスで変更させていただきます。
内容については今後検討課題と今のところします。
貴重なご意見ありがとうございました。