E80CAD5F-D0D4-47F1-9D1A-10495223AFFA

◯ 公認心理師のスクールカウンセラークライシス

以前もスクールカウンセラー(SC)の記事を書きましたが、1)「スクールカウンセラーが公認心理師試験で持つ憂うつと不安 」2) 「公認心理師スクールカウンセラーきらみちゃんの憂鬱 」SCがひとつの自治体、学校に勤め続ける連続性の危機に晒されていることやSC制度が持つ構造的な問題点について書いてみます。

SCの任用資格としては従来臨床心理士がトップになっていたのですが、現在では公認心理師が任用筆頭資格になっています。

これについて僕は積極的な異議があるわけではないです。

学校心理士、臨床発達支援士、特別支援教育士や学校に以前から勤務していた相談員が今後SCとして働く事は十分に意義があることでしょう。

SCになる臨床心理士は都市部在住者が多かったので、就職は都市部になるほど困難でした。

そのため、片道3時間半かけて通勤、朝7時から夜10時ぐらいまで働くSCの話を聞いた事があります。

また、例えば京都府は以前は半日勤務、週1日が限度、東京都も週1日が原則でした。

いわばワークシェアリングの状態にあったのです。

SC制度が定着するにしたがって学校でのニーズが高くなっています。

SCは半日ではなく1日勤務が原則、名古屋市は全国に先駆けて定年までの常勤雇用を昨年度15人のほか、任期制の常勤雇用で毎日出勤のSCも採用しています。

ただ、これからSCの応募母体が増えることによって非常勤でも競争率が高くなるでしょう。

毎年採用試験を行っている自治体では長年その学校で勤めてきたSCが試験に落ちて再雇用されなくなり、これまで当該SCを頼りにしていた児童生徒保護者が連続性のある支援が受けられなくなる可能性があるという事を危惧しています。

そしてSCがその職務として自身のメンタルヘルスに問題を抱えた教職員の相談に乗ることとありますが、これはカウンセラーが同僚をクライエントとして扱う多重関係に当たるんじゃないの?

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/066/shiryo/attach/1369916.htm

(文部科学省には教職員の相談に乗ることも職務の中に記載されています。)

と思うわけです。

また、外国の事情について見てみるとアメリカのスクールサイコロジストやスクールカウンセラーは州によっては博士号取得者が採用要件です。

そしてこれも州によるのですが、アメリカのスクールサイコロジスト、スクールカウンセラーは学校とは全くの独立機関で、学校の対応に間違いがあれば是正できるいう強力な権限を持つ、医師よりも高い給与を得て高い地位を持つ専門家です。

日本は家近早苗公認心理師出題委員が提唱するようなチーム学校ヒエラルキーの中ではSC最下位にあります。

どの程度SCは児童生徒保護者のために機能できるのか?

昨今民間団体が文部科学省から委嘱を受けたり、自治体が自らSNSでLINEカウンセリングをしていると匿名性が担保されて多数の相談が引きも切らない。

SCは潜在的ニーズは高いのですが「相談したら秘密がバレてしまうのではないか?」

という相談者側の不安は「8割方当たっています。」

「集団守秘義務」という指針の中で、SCが相談内容をカルテに起こしてそれを全て教員に提出させられることもあります。

SCに相談室の予算がついたので相談担当者に「相談の待ち時間用にマンガでも買ってください」と言われて流行りのマンガを買ったら管理職に「なぜそんなものを買う、マンガと言えば手塚治虫のような教育的なものだろ」と叱られました。

子どもの描いたアニメキャラを「上手に描けてるねえ」と相談室だよりに載せたら「アニメは教育的でない」とおたより発禁、相談室で子どもが楽しみにして描いた絵を相談室内でも掲示禁止などSCはいろんなところで板ばさみになります。

今SCのカウンセリングを受けたことがある児童生徒たちがSCになりたいと言っているのを聞きます。

それはとても心理職にとっては嬉しいことです。

そして彼ら彼女たちが夢をかなえた時にSCが働きやすくなっているといいなとも思います。

これまで臨床心理士がたどって来た学校内での様々な苦労や軋轢を教育現場に初めて入る公認心理師が味わう事がなければ良いとも思っています。