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◯ 公認心理師の新常識/心が弱い≠精神疾患

カウンセリングをしているとクライエントさんが「自分はメンタルが弱いから◯◯って病気になったんですよ」と言われることがあります。

ここで「まあ少しづつ頑張りましょうねえ」等、患者さんのことを励ます言葉がけをする対応をするカウンセラーは多いと思いますが僕はこんな時「いいえ、違います。●●さん、メンタルが弱いのが原因じゃないでしょ?」
と答えてしまいます。

結構なベテラン心理士(師)でもこういった応答をしているのを見聞きします。

例えばパニック障害、脳内物質セロトニン、ノルアドレナリンの乱れで起こるわけで決してその人のメンタルが弱いわけではありません。

ただし、死ぬほど辛くて息苦しいパニック発作を何度も起こしていると「自分はメンタルが弱いからこうなってしまうんだなあ」と思い込んでしまいます。

そうなると気弱になるのは当たり前で「また発作が出たから自分はダメだ」という認知になるわけです。

ネガティブな認知とポジティブな認知についての講義を聞いたことがあるのですが人は内容を何も言われなくても「ダメ、ダメ、ダメ」と繰り返して言われるとやるせなくて嫌な気持ちになります。

反対に「大丈夫、うまくいく、きっとできる」という事を何も中身がなくても人から言われたり自分で言い聞かせることができるとポジティブになれます。

心理職はその人の心的脆弱性の要因を時としてご本人が「自分は弱いから」「いやいやだんだん頑張っていきましょうか」と患者さんか自分で認識している「弱さ」を知らず知らずのうちに肯定してしまうことがありますが、それは患者さんの「弱さ」を強化してしまうことになりかねません。

確かにどんな疾患でも疾患が原因で心的な強さが崩れてしまうことがありますが、あくまでそれは結果論で、元々は遺伝要素や脳内物質の乱れ、生活のリズム障害から起因しているものも多いでしょう。

この人たちは疾患で損なわれた部分が確かにあるかもしれませんが「僕は弱いですから」「だんだん変われるといいかもしれませんね」と言ってしまうと「疾患の原因=自分の弱さ」と誤解してしまう可能性もあります。

統合失調症、双極性障害やAkiskalが提唱した双極スペクトラムうつ病などは遺伝要素が高いわけです。

それに加え、発達障害や依存症の遺伝因子も分析が進んでいて例えばアルコール依存症は遺伝率=.50と大変高い数値を示しています。

公認心理師試験で医学分野が多く出題されるのは決して悪いことだけではありません。

こういった地道な心理教育も広まっていくといいなあと、メンタルダウン=心因論を聞くと思うわけです。

公認心理師の方々や患者さんには正しい知識を持って疾患に取り組んで欲しいとも考えています。