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◯ 北川景子が映画「ファーストラヴ」で公認心理師役を演ずることについて心理職が考えてみた

作家、島本理生の作品「ファーストラヴ」が映画化されます。

本作品は幸せな家庭生活を送っている主人公、テレビで子育てについて語る心理学の識者、女性公認心理師真壁由紀(原作は臨床心理士)が犯罪心理のドキュメンタリー本を書くというテーマで語られていて、その作品が映画化されるわけです。

公認心理師の由紀は実父を自ら手にかけて葬り去り逮捕された女子大生、聖山環菜(ひじりやまかんな)の取材をしていきます。

その過程の中で環菜の深い心の奥底を見ながら、公認心理師自らも彼女の感情に巻き込まれ、平和だったはずの生活にも大きな影響が出てくるというもので、公認心理師役由紀の心象風景が精緻に描かれています。

実際には心理職がテレビに出て一般論として子育て心理学のような番組を持つことは稀です。

また、ドキュメンタリー本を書くこともほぼありません。

心理職はカウンセリングやテストをしても個人のプライバシーを守り、個人が特定されないようにデータ化されたものを研究していくという地道な仕事をするのが本分です。

大きな心理的葛藤を抱えている対象者でも、その心理的内奥を世に出す文章として描き出すのはむしろルポライターの仕事でしょう。

「子どもの死を祈る親たち」「鬼畜の家」等精神疾患や児童虐待に関するノンフィクション書籍は数多いのですが、そのほとんどは心理職ではない人々が著しています。

本作品は大学在学中から人間ドラマを次々に描き出してきた直木賞作家、島本理生の力作である事は間違いありません。

この主演公認心理師を演ずるために抜擢された有名女優北川景子は、作品と同様のキャラクター設定のために髪型をベリーショートにして役作りしています。

映画クランクインのニュース記事を見ると北川景子が迫力がある鋭い顔つきで写っています。

北川景子は黒のスーツ、クールな顔つきで、理知的な公認心理師像が描き出されるているような印象を受けます。

学問としての心理学、また現場の心理職の日常は淡々としています。

小説のようなドラマティックな展開はなく、「科捜研の女」のようなダイナミックな展開もありません。

さて、こういう映画やドラマが出てくると現場の心理職からは「心理の仕事はこんなものじゃない」という批判的な見方が出てきます。

また、高校生くらいのティーンエイジャーには「カッコいい、将来公認心理師になりたい!」いう憧れが生まれます。

いずれにせよ初めて「公認心理師」という単語が世間で著名になるのは悪い事ばかりとは言えません。

興味を持った若い人たちがいろいろと現実の心理職の仕事を調べてくれるのもいい事ではないかと思います。

どういった意味合いであっても公認心理師が世間に浸透していくことについて、ネガティブな側面だけでとらえなくてもいいのかなと思います。

(本記事は本小説を読了、島本作品の数々を読破した千美梨様の校閲、監修を受けています。)