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◯ 2020年診療報酬マイナス改定が公認心理師制度に与える影響

1.序

11月1日に開催された財政制度等審議会で、2020年度に実施される診療報酬改定について、財務省は国民負担を抑制するためにマイナス改定を行うことを提案しました。

診療報酬全体がマイナスになるわけで、主に調剤報酬がターゲットになるので、心理技術については無関係かというと必ずしもそうではないのではないか?

と思い本稿を書き起こしています。

診療報酬全般がマイナスになる→医師全体の給与が引き下げになる可能性もある

ということで日本医師会は猛反対、財務省+厚生労働省側では医師も「働き方改革」に向けて残業時間を短時間として医療費全体を圧縮したいという意図が透けて見えます。

さて、現行の働き方改革は「超ブラック」と言われる医療現場には馴染みにくいもので、患者さんにきゅうへんがあれば24時間動く医師、慢性人手不足で夜勤ばかりの病院看護師にとっては下手をすると無給残業ばかりが増えそうです。

現場が多忙な中で診療報酬報酬だけ切り下げられたら賃金抑制にも繋がりかねないのではないかというのは、医療機関の誰もが持ちそうな危惧です。

2.心理技術診療報酬

このような動きはもうすでに出てきているのですが、臨床心理技術は将来的に公認心理師が行うものしか認められなくなります。

したがって診療報酬全般が引き下げられ、医療機関に財政的余裕がなくなると特に新採用者を公認心理師オンリーにして、従来から臨床心理技術者として働いていた公認心理師資格なしの心理職が淘汰される可能性もあります。

医療機関、大病院などはかなりシビアに財政を緊縮化する、そうすると公認心理師ホルダーがない人はかなり急かされて公認心理師を取得しなければなりません。

3.臨床心理士制度の衰退

大学、大学院とも臨床心理士養成をやめて公認心理師のみにする教育機関が増えています。

臨床心理士資格認定協会がいくら臨床心理士制度の崇高さを語っても行政は臨床心理士のみのホルダーに何の保険加算もしません。

そのように過日臨床心理士の偉い先生が公認心理師制度について語っていたのを思い出します。

4.今後の動向

⑴ 制度

企業など事業所へのストレスチェック実施者、ギャンブル依存症対策、精神障害者に対する多職種地域包括ケアシステム、これらに対する心理職のかかわりは全て公認心理師と明記されています。

臨床心理士や臨床心理技術者という記述はありません。

⑵ 採用

病院、自治体、児童相談所任用資格はすでに公認心理師シフトが始まっています。

スクールカウンセラーも採用段階で公認心理師シフトしていきそうです。

臨床心理士ホルダーだけでは厳しくなっていくというのが現実になって来そうです。

災害時に行われる迅速な心理的介入、サイコロジカルファーストエイドにはこれまで臨床心理技術者が現地に赴くことが多かったのですが、これも公認心理師になりそうです。

5.結語

以前から公認心理師シフトは始まっていたのですが、中央社会保険協議会という、厚生労働省所轄の診療報酬裁定機関では臨床心理技術者を全て公認心理師に書き換えています。

中央社会保険協議会が公認心理師に臨床心理技術者を総塗替えしていたのが今回のマイナス改定で予算関係上、各医療機関で制度の見直しとともに公認心理師に早まっていく可能性もあるのかなと思っています。