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◯ 公認心理師が医学・精神腫瘍学に期待される役割

「がん診療連携拠点病院等の指定要件の見直しに関する報告書」

平成 30 年4月 11 日

がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ作成
(厚生労働省資料)

上記報告書では

「緩和ケア 医療心理に携わる者として、公認心理師の資格制度の開始直後であることを踏まえ、原則公認心理師とした上で、一定期間は現行の臨床心理士でも可とすべきである。」(p9)として、がん治療緩和ケアチームへの公認心理師への関与を明記しています。

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000208621.pdf

およそ治療に際して多領域の連携が必要ながん患者さんやその家族への支援は、あらゆる領域の医師、歯科医師、薬剤師、看護師、放射線技師、臨床検査技師etc.と全てのコメディカル(医療従事者)を総動員して治療や説明を行ってきました。

臨床心理士技術者もそうです。

従前からがん治療チームの一員には臨床心理士が加わっていたことが多く、ホスピスではアメリカにおいては常勤の哲学者を雇用していた経緯もありました。

もちろん心理職が生死がかかわってくるかなりシビアな現場で働くためには、医療(主として医師)が主導的に患者さん、家族へのムンテラ(病状説明≒インフォームドコンセントIC)を行いますが、医師の見立て、患者さんや家族の病状への理解を医療職との共通言語として理解しておかなければなりません。

ここについて医療側から心理職への耳の痛い指摘があるのですが

・がんや身体医学についての知識がない・教育を受けていない

・せん妄(意識・見当識障害、覚醒レベル低下)、うつ状態のケアができない

等です。

日本心理学会作成公認心理師教育養成課程シラバス(教育プログラム)には内科、医学全般が学習範囲として入っています。

確かに医療知識がなければ医療者との共通言語は持てず、患者さんの病態の理解もできないでしょう。

それではどうすればいいのかというと、きちんとその時に学べばいいのだと思います。

抗がん剤治療、放射線治療、外科治療の特徴と限界、白血球(顆粒球)増加、腫瘍マーカー、代謝拮抗薬と抗腫瘍抗生物質のそれぞれの長所と副作用、免疫力数値の読み方、これらの知識がないと医療職とは対等に話せないですし、僕も看護師さんの話す言葉を必死に調べながらカンファレンスをしたことがあります。

緩和ケア段階ではもう打つ手がない、何をしてもこのまま全身衰弱をしていき最終的には心停止を待つしかない。

腫瘍科ではたいてい主治医が丁寧に患者さんにも家族にも緩和ケアの意味や方針を話します。

ただ、そこでメンタルケアを担当するのが心理職ということも十分あり得ます。

主治医は患者さんが今後心停止した際に「どうしますか?」と聞きます。

挿管で気道を確保、呼吸を可能にして心臓マッサージを行う事は可能です。

それは一時的な延命になるかもしれませんが、患者さんが死の瞬間に激痛と苦痛を味わうことにもなります。

患者さんも家族も「一瞬でも長く生きたい」「でも傷みは嫌だ」という決定を迫られ、決めきれない。

多忙な医師の代わりに患者さんや家族の気持ちを十分に聞かなければならないかもしれません。

緩和ケアに関する第2回公認心理師試験は、アドバンスケアプランニングACP(生きる意志の表明)は患者さん本人も参加して話し合うべきという問題が出ていて、これは心理ケアに関連した良問と思いました。

腫瘍に限らず心理職はおよそ全ての科で働いています。

耳鼻科では感音難聴、整形外科では全身疼痛のカウンセリングをしています。

心理職が医療知識を得ようとするとはっきり言ってキリがないのですが、医師団体は公認心理師に出来る限りの医療知識を得てもらい、コメディカルのような扱いをしたいのか?と思うのは僕の単なる邪推でしょうか?

第2回試験問70、炎症マーカー、血中クレアチンキナーゼCKという用語は心理職の必須知識なのだろうか?と思います。

必要な医学知識は学ぶべきだと思います。

精神腫瘍学や緩和ケアに対する心理職への期待も果たす役割も大きなものになっていくでしょう。

ただし医療以外で働く心理職にも高度な医療知識を要求されることについてはどうかとも思っていて、この線引きはとても難しい問題だと考えています。