(官報スクショ掲載については当局の許可を得ています。)
◯ 10.30公認心理師法施行規則改正への危惧-精神疾患は資格取消しになるのか?
令和元年10月30日、官報で「公認心理師法施行規則の一部を改正する省令」
として「公認心理師法(以下『法』という。)第三条第一号の文部科学省令、厚生労働省令で定める者は、精神の機能の障害により、公認心理師の業務を適正に遂行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切にできない者とする」
という項目が新設されました。
(インターネット版官報10月30日版https://kanpou.npb.go.jp/)
つまり、公認心理師の欠格事由として、成年後見人、被保佐人、犯罪で禁固刑を受けた者や医療、教育、福祉で罰金刑に処せられ、それぞれ2年間経過しない者と精神・認知機能障害者は同じ扱いを受けるようになったということです。
これを読んで「ああそうか、公認心理師になっても極度の精神・認知機能障害だと仕事はできないからなあ」と納得する人がいるかもしれません。
「もし精神疾患や交通事故で意識不明になっても治ってから試験を受ければいいんじゃないかなあ」
というのは非常に甘い考え方になる可能性があります。
というのもこの新設項目は、公認心理師法第三十二条とリンクしていて、
(登録の取消し等)
第三十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。
一 第三条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至った場合
にリンクしているので、新設項目により、精神、認知障害を来たした者については公認心理師の取消事由として厚生労働省大臣、文部科学省大臣が公認心理師の取消しをしなければならない必要的取消事項に当たるからです。
また、例えば精神疾患に罹患していた人が公認心理師試験に合格したとしてもこの三十二条二「虚偽または不正の事実に基づいて登録を受けた場合」として登録を取り消される可能性もあるということです。
今のところどこがこの欠格自由の審査を行う具体的機関かはわかりませんが、厚生労働省公認心理師制度推進室は通報があれば知らんぷりはできないかもしれません。
「あの公認心理師、精神疾患で休職してるみたいよ」という通報で資格取消しになってしまうのか?
大変な危険を感じます。
他医療職(医師・看護師等)でも多忙さのためにメンタルダウンしてしまい、治療を受けて復帰する人はいますが、公認心理師だけ一律登録取消しになってしまうのか?
今後公認心理師について示された省令と他法律等の改正を注視していく必要性があります。
コメント
コメント一覧 (1)
「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」の一部施行に合わせるものです。
つまり、これまで資格の欠格事由を、「成年被後見人又は被保佐人」(公認心理師法第3条第1号)と一律に定めていたものを
「精神の機能の障害により、公認心理師の業務を適正に遂行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切にできない」かどうかの判断を個別的に行いなさい。とするものなので、どちらかというと緩和措置(被後見人等になったとしても欠格事由にあたらない可能性を作る)的な改正です。
他の資格でも、当該法律の施行に伴い、公認心理師と同様の改正をすることになっていたと思います。