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◯ 厚労省・公認心理師試験実施スケジュール計画の意図

2019.10.25公認心理師発表資料は固まっていなかった公認心理師制度に対して現実的な予測を可能にして、そして試験制度の変革を明らかにしました。

その点について考察してみたいと思います。

1.大学院卒業見込者の受験が可能に

D2大学院新卒ルート卒業見込者の受験が初めて可能になります。

これまで公認心理師試験受験が念頭になかった卒業見込者はあわてて受験の準備を始めているかもしれません。

ただ、「まだ勉強あんまりしてないから受験は来年でいいや」と考える人は僅少だと思いますし、社会に出るのが遅れるかもしれない危険を回避するためには受験をした方が得策です。

心理学大学院新卒者のうち、公認心理師受験者は第1回試験1,176人、第2回試験1,253人でした。

卒業見込者という新たな受験者が増えることにより、D2ルート新卒者に加え、ほぼ同数近くの受験者数が増えそうです。

・考慮しなければならない点

現行の臨床心理士養成大学院のほとんどは修士論文を必須として卒業要件としています。

したがって、修論+受験勉強、臨床心理士試験を並行して受験する学生さんたちも多いでしょう。

D2ルート卒業見込者が公認心理師のライセンスを手にするには大学院を修了することが(多分)必須で、公認心理師試験に合格して大学院を留年したら合格は取消しになってしまうのでしょうか?

これは正式発表がないのでまだわからないことです。

卒業見込者が受験することで合格率はどうなるか?

正式な大学院教育を受けた人たちなので「上がる」と言いたいところですが、上述のようにとても多忙なスケジュールの中にいる人たちなのでなんとも言えません。

2. 2020年からE、Fルート受験が可能に

Eルートは新課程プログラムを大学院で全て修了した大学院生です。

この新卒者は経過措置D2ルートに取って代わるものなので合格率、受験者数は変わらない(試験難易度が同じと仮定すれば)なるでしょう。

Fルートは大卒ルート、公認心理師法施行令で定める5施設(家裁、法務省矯正局、一部の病院)なのでそれほど数は多くないと思います。

3.合格率や合格者数はどうなるのか?

受験者数によって合格者数は変わります。

2020年度は受験者数は今年と同じ17000人、それより少し減少する程度、ただし不合格だったリチャレンジャーがどんどん多く割合の中に含まれていくことになるのでそのリチャレンジャーの人たちの頑張りにかかって来るのかなと思います。

試験レベルが本年度と変わらないと考えた場合です。

4.現任者Gルート

現任者Gルートは2022年度最終受験チャンスで、通算5年経験見込み者も含まれることになります。

5.心理臨床学会日程との関係

心理臨床学会は来年、再来年は8月下旬に横浜パシフィコで行われます。

2020年(8/27(木)〜8/30(日))

2021年(8/19(木)〜8/22(日))

※ 公式発表済

第1回試験は心理臨床学会と試験当局との連携が取れず、2018年8/30(木)〜9/2(日)日程、2018年9/9(日)第1回公認心理師試験という超ハードなスケジュールでしたが、第2回試験は2019年6/6(木)〜6/9(日)日程、第2回公認心理師試験2019/8/4(日)実施という配慮があったのでははいかと思われます。

第3回試験以降は 

2020年6月
2021年5月
2022年4月
2023年3月
2024年2月

ごろと発表されていますので、心理臨床学会と重なって支障を来すことはないでしょう。

6.総括

以下試験当局の考え方ではないかな?

と僕が推察する内容です。

公認心理師試験は現在は現任者Gルート受験資格を認定して(現在心理職をしている旧院ルート、大卒臨床心理士を含む)の経過措置できちんと現場の心理臨床家を拾い上げる。

次に科目読み替えが可能な経過措置対象、心理学専修院卒者もきちんと受からせる。

以上2点で公認心理師数を確保、この制度の地盤を固めた後に本来の王道、A、Bルート新課程卒業者を対象とした試験にしていくというものです。

さて、試験傾向には多少の見直しはあるでしょうけれども、6割得点率必須、事例3点、知識1点の傾斜配分は今後も変わらないと思われます。

そして試験難易度は第2回試験が基準となるのではないかと思います。

そうすると合格者数、合格率は受験者層のレベルに依存していくことになるのではないか、そしてその数も当局側では既にある程度試算済みと思います。