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◯ 公認心理師試験は文系?理系?

公認心理師第1回カリキュラム検討委員会では

(以下引用)
○北村座長 ありがとうございます。心理士というのは文系ですか。
○林構成員 文系です。
○北村座長 精神科医は文系ですか。
○林構成員 理系です。
○北村座長 高校段階で文系と理系にきっぱりと分けてしまうのは、非常に問題かなと。今、先生がおっしゃったように、心理士の人にも医学を勉強してもらおうと思ったときに、往々にして生物学の基本を知らなかったりして、びっくりすることがあります。そんなに文系、理系と早い段階で分けなくても、やっていただいたほうがいいと思うのですけれどね。
 公認心理師の人というのは、ほとんど文系出身ですか。理系というのは、余りいないのですか。そうすると、このインタープロフェッショナル・エデュケーション、多職種連携教育と言うのですが、こういうものも会話が合わなかったりすることがあります。そういうことから、やはり教育してほしいかなという気もします。」

(引用終わり)

※ 北村座長は内科医、林構成員は精神科医です。

という質疑がありました。

考えてみれば統計的手法は完全に数学的分野ですし、高校数学の域を超えた出題もされています。

実験法、研究法についても同様です。

さらに言うならこういった統計的手法を用いた分析を利用して効果的な心理療法を行うわけですから、医学における治療と同様にエビデンス・ベイスドの要素も強いわけです。

また、脳科学領域は医学・生物学的分野です。

神経細胞の生理や視床下部に関する出題が過去にありました。

そしてこれは医学の中でもアメリカ診断基準DSM-5やICD10(11)による精神疾患の分類も精神医学分野となります。

抗精神病薬副作用についても薬学、医学的知識ですし、医療制度論については文系とも言い切れない分野です。

身体疾患はALS (筋萎縮性側索硬化症)や女性更年期障害等についての出題がありました。

こういった出題が心理職にとって適切かどうかということについて、研究活動を行うためには統計法、調査法、実験計画法は必須、不要の知識とは思えません。

ただし心理学や関連諸科学専攻者で受験する人々の中には文系の人が多く、手こずる、というか苦手な人は多いかもしれないと思います。

また医学的な知識や薬理学的副作用の知識についてですが「さっきお医者さんの診察では言えなかったんですけどこの薬(ラモトリギン)を飲んでから身体中に湿疹が出ましてね」と言われたら心理職といえども「えっ、なにそれヤバい」

と思って滅多に出ない副作用でも出たら命にかかわりかねないスティーブン・ジョンソン症候群(重度の皮膚の壊死で致死的になりかねない)かもしれないのですぐに医師に報告しなければならないでしょう。

公認心理師試験は臨床心理士試験に比較して基礎心理学分野、科学的、医学的、生物学的分野が多く出題されていることがよく言われていますし実際そのとおりです。

法律や制度、五領域分野が臨床心理士より詳しく出題されることも事実です。

看護師さんや保健師さんのように理系知識が十分にあると思える人たちがこの試験に苦心して挑戦しているのも知っているのですが、文系領域オンリーでは解けない問題はこれからも出てくるでしょう。

解剖学や精神腫瘍学も出題領域として明記されているこの試験で得点率を上げようとしたらそれなりの理系学習も必須ということになります。