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◯ 公認心理師第1回試験と第2回試験・乖離の理由

想像というよりも妄想に近いものかもしれませんが、標題の件について他国家資格とも対比させながら考えてみます。

1.難化していく各国家資格の実情

⑴ 言語聴覚士

第1回試験と第2回試験で大幅に合格率が減少した試験の代表としてあげられているのは言語聴覚士(ST)があります。

STは機能的な聴覚、発話機能に加えて、よりメンタルな要因にも踏み込み、発達障害圏の患者さんへの機能回復にも取り組んでいる、心理職とも近縁の資格です。

この言語聴覚士は

第1回試験(1993年)

受験者数4,556人

合格者数4,003人

合格率 87.9パーセント

第2回試験

受験者数1,565人

合格者数 664人

合格率 42.4パーセントでした。

さぞこの時は阿鼻叫喚だったのかもしれませんが、ST試験の40パーセント台合格率は第5回まで続き、第6回目から突然68.2パーセントに転じていて、それから6割〜7割で推移しています。

言語聴覚士も公認心理師と似たような経緯で設立されており、言語聴覚士側の団体がアメリカのような修士レベルの教育を資格要件として求めたのに対し、日本医師会、日本歯科医師会は専門学校卒を要件としました。

言語聴覚士法でも「医師の指示」をめぐって紛糾があり、結局は医師、歯科医師団体の意向が反映されて現行制度となりました。

⑵ その他の国家資格

公認心理師とよく同等に対比される精神保健福祉士も第1回試験89.1パーセント→第2回73.2パーセントで現在はほぼ6割前後の合格率です。

初回試験に限っては現任者優先、その後は一定レベルを想定して問題の難易度を上げ下げしているのかもしれません。

昔は自動車整備工場の社長さんが簡単に取得できた行政書士資格の合格率も今では10パーセント程度、不動産取引に必要な宅地建物取引主任者は資格創設時には9割超えの合格率が現在は15パーセント程度です。

2.公認心理師試験の狙い

初回は他試験と同様、現任者救済の意味合いが強かったと思われます。

第2回試験難易度が高かったのは試験結果、登録者数、資格協会への加入者数、実際に公認心理師資格取得者がどの程度現場で活躍しているのかさまざまな要素が勘案されていたのではないかと今になってみると思います。

試験委員会は「この程度の知識やセンスは最低限欲しい」と要求水準を高めましたし、官の側も合格点調整はしませんでした。

2024年度の制度見直し、公認心理師課程修了新卒者を見据えてこの水準の試験を出題するという予鈴とも思えますし、2024年まではこの難易度の試験で合格者を制限するという意図があるようにも思えます。

官の正確な意図はわからないので、試験は来年度は揺り戻してひょっとしたら易しくなるかもしれませんが不明です。

少なくとも138点合格点、知識1点事例3点の配分は今後も変わらないということだけは確からしく思えます。