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◯ 第2回公認心理師試験結果分析

1.序

今回の公認心理師試験は46.4パーセントの合格率という、大変受験生にとっては厳しい結果となりました。

なぜこういった数字となったか自分なりの分析をしてみました。

2.問題の質の変化

各予備校等の結果でも第1回試験に比して平均点が20点近く落ちたという情報がありました。

相当に試験難易度が上がった、僕自身が解いてもそう思ったことからこれについて合格水準点を補正すべきなのではないかと思いました。

それでも問題が難しかった、合格しなかった、だから見直してくれという異議申し立てはどの試験実施機関も受け付けたことはありません。

試験委員会としては今回の試験は適正な問題で、平均点が落ちたのは受験者の側の問題じゃないか、第2回は初回で出さなかった領域を出したからたまたまこうなった、といくらでも言いようはあります。

3.受験者の質

大変心苦しいのですが、去年は7千人の不合格者が出て、この方々も合格率は低かったのだろうということについて触れておきます。

7万円の現任者講習料を払った方々もいて、昨年の不合格者で再度受けた方々がほとんどだったのでは?

と思いました。

どの試験でも第2回目のチャレンジャーは第1回目よりも困難なハードルをくぐり抜けないと合格できません。

業務や家庭の多忙な中、かなりの不利さを乗り越えて時間がなく受験した方々も多かったでしょう。

しかも問題が難化したということは相当に苦しかったのではないかと思います。

3.行政的思惑

これが一番今回の合格率に影響したのだと思います。

さまざまな可能性があります。

第1回試験では傾斜配分(今回もありましたが)をしてまで合格者数を28,500人確保した、果たしてそれはこの公認心理師資格にとって良かったのか?

という批判があったのかもしれません。

受験の時に配布されるアンケートは個人の合否とは関係ありませんが、「心理の専門職として今後活躍してくれるか?」という判断材料になったかもしれません。

3月末での未登録者4千人は厚生労働省にとっては意外なことで、即戦力として公認心理師業務をする多くの合格者を求めていたのかもしれません。

公認心理師の合格者数、合格率は国家施策や予算との兼ね合いとして決められることになるだろうとこのブログのコメントをいただいたふみさんの文中にもありましたが、これはかなり説得力がある見解です。

大きな予算を使って公認心理師制度が導入した、さてその効果は?

という予実管理(予算と実効性)で厚生労働省が財務省を説得できるだけの材料があったのかどうかについての折衝はどうだったのでしょうか。

国益を出すことができるだけの大きな説得力がないと、たとえば財務省は公務員の定員についてただの1人も増やすことは認めませんし、合格者を大量に出した第1回試験の正当性について、つつかれた可能性もあります。

公認心理師制度が現在うまく機能しているかどうかという結果価値を求められたのかもしれません。

4.各関係団体の意向

この要因が一番大きいかもしれません。

医学寄りの設問や基礎心理学重視の問題が多かったというのは第1回試験に対しての批判が関係団体や学会からあったからそうなったのかもしれません。

そこで練って作成された問題について「この程度の問題で6割取れなかったらどうするの?」ということで6割基準厳守となったことも考えられます。

今後も第2回試験について考えていきたいと思うのですが、この試験の難易度水準はこれがゴールドスタンダードになっていく可能性がきわめて高いと言えるでしょう。