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◯ 合格発表カウントダウン「踏み絵」となった公認心理師試験

公認心理師法第二条に規定されている「二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。」

は、心理職が日ごろ行っている心理業務のうち、カウンセリングという対人援助業務の中でも最も大きな比重を示す領域と思います。

クライエントさんもカウンセリングを受けることを目的として来談に来る人は多いでしょう。

例外があって、心理検査業務をメインに仕事をしている心理職も多いです。

カウンセリングやテストに心血を注ぎ、臨床心理士その他の専門性を生かして業務を遂行している人々は相当に多いでしょう。

そういった人々の中にはある種の技法の達人のような領域に達し、クライエントさんからも絶大な信頼を得て医療機関その他の施設などで相談業務に当たっている人は当然いるわけです。

人格識見の高さから尊敬されている方々も多いでしょう。

さて、公認心理師試験はそういった臨床実践能力だけを測定するための試験ではありません。

明日の発表の言い訳、エクスキューズをするわけではないのですが、試験である以上、必ず不合格者も出てくるわけです。

自分の専門流派では優れたカウンセリング能力があっても、他流派のカウンセリング方法を知らない、心理学の基礎分野や統計は忘れてしまった、多種類の心理テスト全てをやらない心理職の人はかなりいるでしょう。

ただしそういった人、心理的な業務に日常的に接していなくとも週一回のペースで心理相談に当たっているGルート、実務経験者ルート受験者も勉強さえすればきちんと公認心理師試験には合格できます。

医療分野で活躍している心理職が司法領域の事を知らなくても仕事はできます。

統計や基礎心理学を知らなくてもカウンセリングの上手な心理職はいるでしょう。

「それでは何のために脳科学や難しい学説、使ったことがない心理テストの問題を出すの?実務能力に関係ないじゃない」

と思う人もいるでしょう。

公認心理師試験は踏み絵です。

出題範囲を示したブループリントにしたがって試験委員会が出す問題、ブループリント用語周辺領域を徹底的に学ぶ姿勢がある人が合格できる試験でしょう。

実務能力を測定するのではなく、公認心理師法を遵守、脳科学に詳しく、服薬指導はしないものの、なんらかの副作用について患者さんの微妙な変化をいち早く察知して医師の指導を受けられる心理職が求められています。

公認心理師養成にかかわるシラバス、教育課程はかなり細分化されて決まりつつあります。

何百もの関連団体が綱引きを繰り返した挙げ句に決定された出題委員、その独特のクセがある出題傾向を熱心に学習した者が高得点と合格証書を手に入れられます。

臨床心理士試験とも他の心理関連試験とも傾向が異なっているこの試験は、国家資格を入手するためのいわば「踏み絵」だったと解することができるでしょう。