ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2022年02月

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スーパーヴィジョン

1.はじめに
このところスーパーヴィジョンにかかわる議論がTwitterで盛んに行われるようになって、僕も思うところあり、この拙文を書き起こしてみました。

2.結論

スーパーヴィジョン、SVは受けておくに越したことはないし、受けるべきだと思います。

やはりケースの見立てというのは初学者や心理1人職場だと自分自身で不安なものですし、不安、というよりもSVを受けておくことで独りよがりのケースマネジメントを先達の目で見てもらえる、という大きなメリットがあります。

SVがいなかったらこのケースはこれほどまでにうまく行っただろうか、SVを受けたおかげでクライエントさんを文字どおりその命を助けることができたのではないかという経験を受けた人たちも多いのではないかと思います。

3.推論過程

(1) 受けなくていい、受けられない理由

やはり「お金」の問題は大きいと思います。無料でSVを受けられる人もいればそれを羨む人もいる。受けない、受けられない理由はいくらでも挙げられるでしょう。

ア.天才と言われる先達はどこでSVを受けてきたのか。受けていない人もいるのではないか。
イ.SVというよりハラスメントのようでサディスティックで厳しすぎると聞いた(場合も本当にあります)。
ウ.心理が多い職場の中で常にケースマネジメントについて学ぶ機会がある。
エ.SVを受けている人を見ているが、それほどぱっとしない。
などなど「受けない理由」探しをしたらそれこそキリがありません。

(2) 受けた方がいい理由

これは受けないよりも受けた方がいいに決まっています。どんなにお金が苦しくても自分の生活を犠牲にしてでも高いお金を払う。それだけケースに対して真摯に取り組んでいるということは素晴らしいことです。実際、個人的な人格は?というような人でも(人のことは言えない)夢中にSVを受けてケース対応能力が高い人もいます。

SVというのはヴァイジー、SVを受ける側を抱きかかえてホールディングして大切に扱うコンティナーのような機能もありますが、思い出してみると僕も経験した、ピリピリとした「対決」「対峙」のような場面は多々ありました。そしてそれでもそれだけのお金を苦心して工面して貪欲に学ぼうという姿勢は尊いものです。

SVを受けて独りよがりの見方だったことを気づかされるとケースに向かう際に何よりの糧になることは多いのだろうと自分の体験を振り返っても思います。

さて、僕は精神分析のプロパーではないですし、それほどの勉強をしているとはとても恥言えませんが、世の精神分析家と言われる人たちは教育分析、SVこそが全てと言ってもいいほど分析やSVを受けています。

知人の精神分析家は1回1万5千円の教育分析を週1で受けていました。別の人は渡米して精神分析を学びました。その人の話を聞くと約1,500万円ほどかかったということです。僕の知っている分析家は知見豊かで透徹した物の見方ができる素晴らしい人たちです。

ただし、そうすると精神分析を学ぶ、行うというのは特権階級に許されたことだけのように思えますが、実際そうかもしれません。かなり価格を抑えてSVをしているところもあるにはあるのですが。

4.お金の問題

高額なお金を払ってでもSVを受けることはケースに対する最高の礼儀だと思います。ただし、人には人の理由があるので「SVを受けない奴はダメな奴だ」というのはまた違うのではないかと思います。

遊びほうけていて高額なものを買いあさり、それなのにSVを受けない、というのは必死にSVを受ける人から見たら到底許しがたいものに思えるかもしれません。

考えてみましょう。心理職というのは高額な学費を出して大学院まで出た、心理職が見ているクライエントさんよりもたいていの場合、はるかに経済的に恵まれている人が多いでしょう。経済的に恵まれていない心理職の人たちは地頭がよく、成績のいい人に与えられる奨学金で進学をしている人かもしれません。何をおいても心理職というのは人より恵まれていて「特権階級」とみなされかねない、それでもワープアが多い仕事なのです。

5.おわりに

SVは大切です。大抵の場合、受けないよりは受けておいた方がいいに越したことはありません。ただし、SVを受けない人に対して「受けなければならない」と言うことについては賛否両論があると思います。

僕も初学者のころを離れて久しく、それほど自分が熱心にSVを受けてきたわけでもないのにSVを頼まれることもあります。これも賛否が多いと思うのですが無料で引き受けてしまっています。「甘い」というそしりを受けても仕方ないでしょう。

SVを受けるか否か、これは心理職、というよりもその人の人生にかかわる問題と言えるでしょう。仕事、お金、どれを取っても根源的です。この駄文をつらつらと書き連ねたところで結論は出なかったのですが心理職にとって大きな問題であることは間違いありません。

※ この記事に対するS女史のコメント

臨士会の調査では半数近くがSV受けていないとか。ではその男女比は?女性が3/4程の職種であるが、受けない層もその比なのか?

Twitterではお金の問題もさることながら、育児や介護との兼ね合いの問題への言及もあったような。

これもまたステレオタイプな偏見かもしれませんが、家のことを妻に押し付けてSVを受けに行く夫。家計を顧みずに「俺の稼いだ金に文句言うな」という夫。

これだけ女性の多い職種で、指導層は男性が多いというねじれ構造がある以上…

「受けなければならない」に賛否両論があるとして、それに賛を唱えるのはやはり男性が多いように思うので…

育児は女性が担いがち。仕事の間は保育所を利用できるとして、じゃあSVを受ける間は誰が子どもを見るの?とかはお金ではなくライフスタイルの問題かも?

本邦のSVを考える際に、それが仕事の一部として包含される制度になっていないというのが大きいんじゃないかなと。

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【重要】第5回公認心理師試験の受験申込みを予定されているみなさまは、このお知らせを必ず確認してください!

まあ普通の日本語で書いてあるのでわかるのですが、僕自身も混乱したもので、デジタルブックでそのまま書類を作って提出すればいいのではないかとか、試験前にテンパっていると普通のことがよくわからなくなったりしたものです。

というわけで初回受験者の人も再受験者の人も「受験の手引き」は必ず取り寄せましょう。

700円です。

インターネットでの受験の手引き申込書類請求は3月24日まで。試験申込締切は4月6日、期間が徒過すると資格試験というものは絶対に許してくれません。カレンダーやスケジュール帳に書いておきましょう。

あと日本心理研修センターは「キャリタス資格・検定サポートセンター」に事務を委嘱しているので、万が一インターネット申込みをして自動返信メールが届かなかったら迷惑メールフォルダを開けてみましょう。

大学、大学院が作る受験資格申込書類が統一化されたようです。学校に伝えておきましょう。

区分Gの受験者は2022年9月14日までに実務経験5年を満たす場合にはみなし受験ができます。

第5回試験だけに限られた特例措置のようです。

なんにせよこの「お知らせ」は舐めるように読んでおきましょう。

再受験者も受験の手引きを請求してください。証明書以外は提出書類は同じなので…

それから毎度思うことなのですが、疾患や障害がある方は遠慮なく配慮を要すると診断書を書いてもらえば特段の措置をしてくれることがあります。

トイレに近いとか、ゆったりとした部屋で受験できるとか、妊婦の方も安心して受験できるようになっています。

水が飲めない試験なのでそれでは困るということだったらそれも診断書に書いてもらいましょう。

国家試験だけあって、受験に際して差別的な条項はもうけられていません。発達障害の人でも精神疾患の人でも受験できます。パニクりそうな人はきちんと配慮してもらうのがいいと思っています。

こういう案内が来るといよいよという感じがしますが受験生のみなさんのご健闘を期待しています。

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経営心理士、顧客心理士、産業カウンセラー

心理関係の民間資格は山ほどあれど、
経営心理士協会

が認定する「経営心理士」「顧客心理士」「コミュニケーション心理士」「組織心理士」は異色です。

ホームページを見てみると、ドラッカーも引用されていて、大企業や官庁での講演実績もあって、実績のある団体ということが銘打ってあります。

民間心理資格は「臨床心理○○カウンセラー心理士」といったとても紛らわしい心理資格が多く、経営心理士は全く違った異色の心理資格であることを謳っているのがむしろ好感が持てました。

例えば経営心理士は「人の心・感情の性質に基づいて、人を育て、営業・マーケティングの成果を高め、組織を成長・拡大させる力を身に付ける、あるいはそういった指導ができる力を身に付けることを目的とした資格。」とホームページ上に記載されています。

顧客心理士は顧客の心理をつかむ力を育て、コミュニケーション心理士はその名のとおりコミュニケーション能力を高めること、組織心理士は組織分析と、それぞれに若干違った目的を持って資格が作られています。

受講料がそれぞれに数十万円かかるので「資格」というよりも勉強会なのかもしれません。

これらの資格を取ったことで従業員が増えたとか、顧客が増えたなど体験談や断言形で銘打っていて、そこはまあ民間資格なので目をつぶることにして、他の心理系の資格とは違っているところは個別のカウンセリングを一切しないというところで、そこが最大の違いです。

むしろ個別カウンセリングをしない、ということで他の怪しげな「この資格さえ取れば心理カウンセラーとして就職も選び放題、独立して仕事もできるよ!」といった資格に比べて潔さを感じます。

さて、産業カウンセラーは従業員支援プログラム(EAP)に似たようなところがあり、働く従業員がその中でも困ったことを個別に解決するという資格です。

したがって産業カウンセラー試験の中にはカウンセリング実習もあるわけです。

産業カウンセラーはそれを取っただけでは仕事はなかなかないということが以前から言われていましたが、僕の知人は産業カウンセラー&開業や、産業カウンセラー&保健師、医療従事者で、立派に仕事をこなしています。

2人ともなんとか公認心理師を取得したのですが「特にメリットは…」と言っていました。ストレスチェック実施者になれたことはよかったとのことでした。産業カウンセラーはキャリアコンサルタントと両方持って産業場面で活躍している人も多いようです。

実は僕も産業カウンセラーは持っていて、なんだか更新性になったということで資格を取ったのが昔なので失効してしまったかと思って連絡してみたら「一回取った資格は一生大丈夫ですよー」と言われたので安心しました。

産業カウンセラーは割と求人が出ていて、非常勤でハローワークや市区町村役場の就労支援の仕事もあります。調べてみたらそれらの求人が200件近くありました。

きっと産業カウンセラー協会に入っていれば非公開求人も出ているものと思います。実際電話して相談員をEAPプログラムで産業カウンセラーを雇用している事業所もあり、まあ常勤でバシッとこの資格だけを武器にして就職するのは難しそうですが。

ただ、産業カウンセラーの1段階上のシニア産業カウンセラーが臨床心理士と同等の資格として扱われていて採用条件となっていた求人は見たことがあります。

僕が民間会社でカウンセラーとして働いていた時は人事部の人がリワーク支援やメンタルヘルス理解のために産業カウンセラーを取得していたようで、自分がやっている仕事に幅を持たせるために、上述経営心理士や産業カウンセラー等を取得する、といった選択肢は十分にありそうです。

実務には生かさない資格とは、という意味でGルート論争を聞いているといつも頭が痛くなりそうです。経営心理士や産業カウンセラー資格の使い方として、就職だけを目的としない、こうした資格がきちんと自己研鑽のためだけという、羊頭狗肉にならないように詐欺的な商法をしていないのは好感が持てます。

「○○心理士」「○○カウンセラー」というと確かに資格商法のようで2、3日ちょっとだけ講習会に出たら取れる資格もあるわけですがそれを売り物にして独立開業して仕事をするのはなかなか難しいことではないでしょうか…(実情は誰かが言った「野良カウンセラー」が多く、そうでもないのですが)

専門職としての臨床心理士、公認心理師はだんだんと必要としている職場ではきちんと認知され、採用はその資格がないとされないようになってきています。

公認心理師という国家資格は実務経験者Gルートの人たちにとっては今回の試験を逃すと大学学部からやり直さないと資格を取得できません。

公認心理師試験は今回かなりの受験者数が見込まれます。そこで難易度がどうなっていくのかもはっきりとはわからないのですが、自分の領域で自己研鑽を深めるためならば他の資格もあるよ、と広い視点で物事を見てみてもいいのかなあと思い本記事を書き起こしました。

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第30回心の健康会議 (沖縄) について 〈緊急公告〉

日本臨床心理士資格認定協会から沖縄での研修中止の公告がでました。

第30回心の健康会議 (沖縄) について 〈緊急公告〉

ここで無理やりに開催したら感染者がこの研修会で出たのではないかと危惧しますし、英断だったと思います。

資格認定協会にはこういった時勢なのですし、遠隔地の臨床心理士が研修を受けられるように、研修は今後オンラインでやることを基本にして欲しいと思いました。
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○ 第5回公認心理師試験「受験の手引一式」インターネット経由による請求分の発送のご案内

第5回公認心理師試験「受験の手引一式」インターネット経由による請求分の発送のご案内

が日本心理研修センターから出ています。

送信元が「キャリタス資格・検定サポートセンター」となっているので(資格検定申込会社)ダイレクトメールだと思って捨てないように注意してください。

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