ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2022年02月

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○ カウンセリングでは問題は解決しない?

カウンセリングに来る人たちは話を聞いて欲しい人、話をする中で自分で「気づき」を得たい人がいます。

他方、現実の問題をカウンセラー室に持って来る人もいます。

「気づき」を得たい人というのはカタルシスとして色々とカウンセラーに話したい、また、精神分析やメンタライゼーションの中で自分の生育史とそれらを癒す方法を知りたい、認知行動療法や弁証法的行動療法で自分の思考法の「クセ」を知りたい、EMDRでトラウマケアを受けたいetc…実にさまざまな動機を持って来ます。

クライエントさんの中の「心理的事実」について否定しないというのがカウンセリングのセオリーなのですが「ストーカーをなんとかして欲しい」「パワハラ上司をなんとかして欲しい」「転勤したいから『診断書』!を書いて欲しい、などの動機で来る人もいます。

カウンセリングルームの中で起こることはクライエントさんの「心理的な洞察」であって事実は変えられません。

「ああ、苦しみが話しているうちにホッとしました」とドアを開けたその先にまたストーカーがいる、ということではカウンセリングの問題、というよりは現実の問題です。

心理カウンセラーは現実の問題を扱わない、精神科医療も何が現実で何が現実でないか(明らかな妄想でない限り)扱わないということになっていますが、ともすると「さあ、どうしたらいいんでしょうねえ」とばかり繰り返していたら冷たいカウンセラーとして見られることもあるでしょう。

難しいのはこれからですが、カウンセラーが人手が足りない職場だとケースワーク的な役割をすることもあります。

前述ストーカーの場合だと「警察には行きましたか」パワハラの場合だと「職場にパワハラホットラインのような相談機関はありませんか?」

などですが、「もうそこには相談してみたけどどうにもならなかった」というと息が詰まるような感じを受けます。

目の前のクライエントさんはどうも本当らしいことを言っている、それではどうしたらいいのか?心理カウンセラーの仕事ではないものの、踏み込んで「警察の監察に言ってください」「労働基準監督署に行ってみたらどうでしょうか?」というのは踏み込み過ぎた介入の気がします。

心理職は現実とクライエントさんの悩みのはざまの中で苦しみますが、クライエントさんはもっと苦しんでいるでしょう。「精神障害者でもできる仕事はありますか?」と言われてフッ軽な心理カウンセラーや精神科医師がどこかに電話をするというのはどうも違うだろうと思います。

地域連携室があるような病院だとサクッとワーカーさんにつなぐのが正解だと思います。困るのは僕が勤務していた小規模のクリニックや診療所で、困っているクライエントさんを見ると、こちらも知識を持っているので色々と紹介したり電話してあげたくなるのですが、何もかもしてしまうとクライエントさんの自立性を奪ってしまいます。

お金があれば解決するだろう事柄もありますがお金を出すわけにはいきません。

また、クライエントさんが著しく混乱していて機能が低下していたら解決の糸口を差し伸べたくなるものです。

「カウンセリングは役に立つのか?カウンセリングは解決に導いてくれるのか?」本当に蜘蛛の糸をたぐってくるように来た人をリファーする、見捨てられたと思われないようにしてそれをスムーズに「つなぐ」ことは難しいことです。

「法律のことは弁護士へ」は確かなのですが、法律家のところに相談に行く前にクライエントさんの気持ちを整理する手助けをすることはできるものでしょう。

だからこそ、ではないのですけれども日本では故宮田敬一先生はソリューション・フォーカスド・アプローチSFA(解決志向アプローチ)の中で稀代の催眠療法家、ミルトン・エリクソンを紹介しておられた。

SFAを突き詰めていくと催眠が確かに早道のような気がします。もちろんクライエントさんが言いたいことを受容、傾聴を十分にした上で「催眠」というと抵抗を示されないだろうか?と思いつつ提案してみると意外のほかすんなりとトランスに入っていくのを僕は常に見ています。

心理職ができるのは「終わったこと」「終わっているけれどもどうにも気持ちの整理ができないこと」「現在進行形で気持ちが収まらないこと」などなどいろいろあります。

気をつけなければならないのは心理職が「心理至上主義」に陥ることで、上記に述べたような身に危険がクライエントさんに迫っている場合、また身体症状が出ているにもかかわらずそれをカウンセリングで「解決」してしまおうとすることです。

近年整形外科でも心理職の採用が進んできているのは喜ばしいことだと思っています。医師がきちんと見立てた上で心理職がカウンセリングを行う、これで慢性腰痛などが軽快したという事例も聞いたことがあります。

耳鼻科では感音難聴や失声も扱いますし眼科も心因性視覚障害に取り組んでいます。

「解決」の糸口はどこにあるのかわからない、しかし「解決」ばかり追い求めていると大きな陥穽に落ちかねない、難しい仕事を求められているものだなあと思うのです。
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○まりぃ先輩の「公認心理師試験問題集を使って勉強していく方法」

僕は前回第4回試験受験生の立場になって一緒に勉強するに当たり、「心理学検定基本キーワード」のみを使って約3カ月勉強してみました(Twitterスペースもやってかなりの部分がその中から出されたと自負しています。)。

心理学検定を使ったのは自覚はしていなかったのですが心理学に日ごろから触れていたので簡単だと思ってしまっていたのでしょうね。難しいという声も聞きました。

僕の時は第1回受験者なので試験用の対策本、問題集なし、今は過去問の情報も集積しています。

まりぃ先輩は初学者でもできる赤本、ペンギン本などを駆使して勉強する最も効率的な勉強法について紹介しています。

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第5回公認心理師試験のお問い合わせについて

日本心理研修センターから

第5回公認心理師試験のお問い合わせについて
が出ています。

メールによる問い合わせがかなり多く、早急に回答を要する人はこのホームページに記された電話番号から問い合わせた方が良さそうです。
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「公認心理師」は無能な資格なのか?

我思ふ。
最近そのやうな記述や言説があると聞き話題の雑誌開こうとするも引っ越しのどさくさにて打ち捨ててしもうた。

なかなか読みにくい文章にて「認定心理師」なる架空の(誤字?)の資格が役に立たぬのかそれとも公認心理師が役に立たぬのか文意がよくわからぬ。

然しながら噂に聞くに、公認心理師なる資格は心理職の賃金引き下げと心理資格の大安売りのやうかの記載ありしと。

確かに世の中では北川景子ほか公認心理師流行盛んなれど臨床心理士と公認心理師は共存共栄と言い続けてきた某団体と言が翻されていると思ふ。

この雑誌を発刊した団体に問いたい。

ホンマに共存共栄望んでるのかと?

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○ 公認心理師資格オンリーの人のための就転職術

1.はじめに

公認心理師ホルダーオンリーで心理職に就転職をしようとする人もいます。きっとこれから増えて来るものと予想されます。例えばこれまでやっていた福祉関係の職業はどうにも待遇が満足がいかない。金銭的に(or労働時間)を考えるとどうしても心理職に転職したい人がいたとしましょう。

元々臨床心理士資格を取る条件がなかった、また新卒者で臨床心理士の条件を満たしているのに公認心理師は不合格だったなどのなんらかの理由で取らなかった、そういう人はどのようにして心理職に就けばいいのでしょうか?

2.新卒者の場合

今はまだ過渡期、ハローワーク求人を見ると公認心理師の資格の方だんだん幅を効かせているようです。臨床心理士は「きちんと今年取ります」と言っておけば大丈夫と思います。

ただし厳しい事業所だと(特に病院など)は両方資格を取得していることが求められていることが多いようです。

3.他職種から心理職への転身

これがなかなか難しい問題で、心理テストやカウンセリングの経験がない、しかしながら都会でもスクールカウンセラーに公認心理師オンリーホルダーも徐々に出てきているようです。

就職、転職というのは経験値、志望動機、そして一緒にいて働きやすい人かどうかを見ます。

以前書いたのですが心理の人は40代になっても志望動機を述べるのがとても下手です。「家族の面倒を見るのがひと段落したから就職したい」というような「遊ぶ金欲しさです」と犯行動機に似たような志望動機では落とされてしまう可能性が高いでしょう。

ですので他職種でも志望動機をきちんと言えて、これから就職したい事業所と似たような職務経歴を持っている場合は就転職は有利と言えます。

例えばこれまで社会養護や放課後デイサービスで情緒不安定な子どもの心理的支援を行っていたり、発達障害の子どもの面倒を見ていた、などの経験は教育領域や小児領域で大きなアドバンテージとなるでしょう。

医療領域を見てみます。小さな病院やクリニックだとそれほど待遇がよくない場合も多いです。しかしながら保険点数請求の関係で公認心理師ホルダーは優遇される傾向を最近の求人情報を見ていると思います。

アルコール依存症減酒の治療、ナメルフェンの服薬教育ににかかわる専門職は心理では公認心理師のみです。

福祉領域だと公認心理師ホルダーが保険点数となっているので公認心理師も必置資格となっていることが多いです。

産業領域でもストレスチェック実施者は公認心理師等で、臨床心理士は入っていません。

さて、司法領域を見てみましょう。僕が公認心理師の就職に関する取材を始めた2019年ごろは「公認心理師を取得しようがしていなかろうがその後のキャリア形成には関係ない」と明言していた最高裁家庭局や法務省矯正局は公認心理師養成課程となる7条2号施設になりました。

どの省庁でも優秀な人材が欲しい、そのためには国家総合職としてある程度の倍率の中からいい人物を採用したいわけです。

実際、地方の家庭裁判所では協議会で公認心理師になれることを優秀な人材確保に活用できないかという論議がされていました。

そして2021年になると家庭裁判所も法務省も「公認心理師を取得するぐらい心理の勉強に熱心だった、取得したいと思うぐらい勉強したいという人は積極的に採用するかもしれない」と大きな転換点がやって来たように思いました。

公認心理師制度を創設した厚生労働省は臨床心理士資格はどこ吹く風になってしまい、厚生労働省管轄の就職は臨床心理士から公認心理師へとバタバタと変わっていきました。

政府や10省庁を超える官庁で構想がある国営カジノについての法律(IR法)のギャンブル依存治療者は(マッチポンプ的な政策で僕はどうかとも思うのですが)臨床心理士の記載はなく、公認心理師にも依存症治療を任せるようになっています。

臨床心理士は今は心理職就職市場の中で重宝されている花形資格であることは間違いありません。しかしながらだんだんとそれが公認心理師ホルダーに置き換わっていることは事実です。

3.おわりに

心理職はいつも書いているように常勤の仕事がない、待遇が悪いのないない尽くしであることは事実です。

それでは福祉職は高待遇かというとそうではなく、心理職と同様に非常勤掛け持ちをしている人も多いです。

心理職の採用は資格採用だけではなくてスキル採用のところもあります。これまで高齢者領域しか知らなかった心理職が乳幼児の発達検査を知らずして転職をすることは困難です。

僕の知っている福祉職の人は自分で勉強したり、講習会に熱心に出たりしていて発達検査のスキルを身につけ、それで心理職&福祉職の二足のわらじを履くことに成功しました。

どうやったら就転職できるかというのは、上述したように資格だけよりもスキルや人物評価にかかわってくるところも多いです。

そういった意味では臨床心理士単独ホルダーや臨床心理士、公認心理師ダブルホルダーの人にもぜひ頑張って欲しいと思うところです。
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