ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2022年01月

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インターネット版官報 に公認心理師試験日程が出ました。

試験委員も出ているので後ほど委員の解析を行います。

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公認心理師法省令改正・児ポ法も欠格事由へ

受験生のみなさんにとっては公認心理師法は必須学習領域です。

この度官報で児ポ法による罰金刑以上の刑罰も公認心理師法第3条の欠格事由に省令改正により入りましたので覚えておくといいでしょう。

公認心理師法施行令の一部改正関係(第三条関係)

本稿は児ポ法対象の定義を行うという政治的なものではなく、あくまで現行の運用上のものを対象とした法文の紹介ですが、現行の運用を以ってして公認心理師倫理として許されないものであることは自明だと思います。

さて、公認心理師法第三条は

(欠格事由)
第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。
一 心身の故障により公認心理師の業務を適正に行うことができない者として文部科学省令・厚生労働省令で定めるもの
二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
三 この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
四 第三十二条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者


となっています。

三号の中に児ポ法が入ったということです。全国的に教育者等によるこういった事案は後を絶たないのですが、当然の流れとして公認心理師法に導入されたということです。

三号規定に違反すれば必要的取消事由として公認心理師資格も取り消されます。

児ポ法は所持〜略取誘拐まで全て罰金刑・懲役刑の重大な刑罰が規定されています。

公認心理師には高い倫理観が要求されているということを再認識すべくこの法が定められたということでしょう。

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○ 公認心理師の将来性

1.はじめに

何度も心理職は給料が安い待遇が悪いとばかり書いていたのですが、さて、公認心理師には将来性がないのか、せっかく国家資格になったのにそのままなのかということについて考えてみると、そればかりではないということを考えてみます。

いわば思考実験みたいなものですが、公認心理師として働く心理職の待遇について、将来性が明るくなっていく可能性も大いにあるだろうということです。その理由について考えてみます。

2.将来性がある理由

これには何十年もかかる課題になるかもしれないということを最初に言っておきます。

学部からの公認心理師養成課程純粋培養組が公認心理師となるのが2024年、ここをターニングポイントとして公認心理師の質は大きく変わることが予測されます。

公認心理師は実習が多いだけに学部段階でGPAでかなり絞られます。しかしながら心理職の実情は厳しいもので、これまでも学部段階で臨床心理ゼミや臨床心理大学院を出た後に一般就職をする人たちはいました。

しかし今回はそれよりもかなり母数が限られてくる、精鋭集団になってくるでしょう。

2023年までに公認心理師を取得した層と2024年以降に取得した層とは平均的な質の点でかなり上がっていくことが予想されます。

しかも数が少なくなるでしょう。これまで臨床心理士は1300人程度が毎年の合格者でしたが、2024年からは公認心理師については1000人足らずの数値になることが十分予想されます。

「大学院を出た、試験に受かれば心理職」→「学部でなんとか公認心理師課程に入れるチケットを手に入れた、終わった、大学院に入ることを決めた、大学院卒業後、心理職になることを決めた」と臨床心理士よりも踏まなければならないステップが多いので「少数精鋭」になるのではないかと思うのです。

3.現在〜2023年の公認心理師は?

僕も含めてですが、2024年になるまでは純粋培養組ではないということで、それなりの目で見られることにはなると思います。

ひどく穿った見方をすれば「あー、あの年代に資格を取った人ねー」ですが、先人は常に後進の育成のために存在するとも思っていて、多くの医療関係職の職能団体倫理規定にも後進の育成は理想追求倫理として明記されています。

大学教官も実習先でも公認心理師がいないと新人が公認心理師にはなれないので、そのためのステップとして僕らが活躍できるとしたら、それはこの制度創始の大きな役割を果たしていくことになるでしょう。

世代は必ず入れ替わります。公認心理師がどの程度のクオリティを持って育って行き、10年後、20年後にどうなるのかは楽しみです。

4.阻害要因とその解決策

⑴ 歴史的意味

多職種連携でやっていきたいのに、ここまで年数が経ってしまうと、もう他の職種にかなり独占されている領域へ参入していこうとする領海侵犯は縄張り荒らしと取られません。

しかしながら医療領域はこれから高齢社会が進展していき、大きく変わりつつあります。

政策がどのように変わっていくかによりますが、少子社会の中で少ない子どもを大切に育てること、それから高齢者や高齢者福祉に関与していく人たちのメンタルケアはかなり大きな課題になっていくと思うのです。

そこに活路を今後見出していくことはできないかと思っています。

個人的には僕は賛同できないのですが国営ギャンブル構想、IR法にはギャンブル依存への公認心理師の関与が明記されています。

新しい事業、新しい時代変遷とその課題に公認心理師が積極的に関与することには大きな前進があると思っているのです。

⑵ 職能団体分裂

これは公認心理師制度の生死を賭けた課題です。行政は公認心理師全体の政策を前向きに考えていますが人手はいくらあっても足りません。バラバラの職能団体がバラバラなことを言っていては何も解決しないでしょう。

生臭い話ですが柔道整復師が国会議員を選出できたように心理職を全面的にバックアップしてくれる政治家が出てきた時に何か変革が出来るかもしれません。

惜しむらくは河合隼雄先生御大が亡くなられた後に河合先生に代わるような大物臨床心理学者の世代間継承ができていないことです。

何事も不可能と決めつけるということはできないのですが、心理から国会議員が出るということは大変可能性は薄いことです。

せめて大きな味方をしてくれる勢力が政界にあればとも思っています。

そして上位資格にかなりイラついているのも何十回も書いているのですが、勝手に各々の職能団体が適当な上位資格を作り上げたら、まだできたばかりの脆弱な国家資格を揺るがすことになると思うのです。

敵を内部に作るようなことはやめた方がいいと考えます。キャリアポートフォリオなんぞは例えば看護師が就職してからどんなキャリアポートフォリオを経て心理職になったかは全くできなくないでしょう。

5.おわりに

マイナス面もありますがさまざまに考えるとこの仕事の将来性はあり、待遇面でも徐々に良くなってくると信じたいです。レベルの高い後進がレベルの高い心理職として働いて欲しいと願っています。

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第5回公認心理師試験・Gルート受験者が今やっておくべきこと

1.はじめに

あくまで私論ですが、Gルートの人たちがどんな勉強法を取れば合格への切符を手に入れられるかを考えてみました。

統計を取っているわけではないのですが、第5回受験者の中でGルートの人たちは大きく2つに分かれているような気がします。

⑴ 再チャレンジ組

⑵ 自分にも受験資格があると思って聞き伝えて今回初めて受験をする人たち→(今回の現任者講習受講者数2万6千人〜2万7千人程度)

第1回試験は平易な国語問題が多かったと言われていたにせよそれなりに苦戦したのは覚えています。

2.出題傾向分析

この試験を独断で解析すると

第1回→現任者優先とする出題レベル
第2回→合格者をかなり絞るレベル(オーソドックスな心理学問題多し)
第3回→知識に重点を当てた問題
第4回→過去問知識中心の出題

だったのではないかと思います。

僕から見ると出題傾向はかなり迷走していたようにも思われるのですが、多く出題されていたのはPTSD、認知症、心身症、精神薬理学とその副作用あたりは必須と思えました。

だいたい第4回レベルの過去問中心の試験が第5回も出題されるような気がします。

3.学習スケジュール

僕はかなりスロースターターで3カ月ぐらいひか勉強をしなかったのですが、第1回試験が現任者救済レベルだったこと、曲がりなりにも心理プロパーだったことは大きなメリットだったと思います。

6月までのほほんとして慌てて9月の試験に臨んだのですが、小川俊樹先生が出題委員だからとロールシャッハを一生懸命勉強したりしていました。

Gルートに限らずですが、今度は第5回試験についてみなさんの大きなアドバンテージはなんと言っても過去5回分の問題が集積していることです。

ですので過去問をやることをまずおすすめします。

実際問題として、心理職でない方々が基礎心理学、そして事例問題でも臨床心理学的センスで正答を選び出すのはなかなか難しいことです。

心理職、心理専攻者にとっては簡単な国語問題に思える事例問題は他領域の方の現場感覚とは明らかに異なっていますので、そのあたりの事例センスを身につけておくことも必要になります。

Gルートの受験生の人たちと話すことがたまにあるのですが、まだ過去問解析まで進んでいない人たちの割合がかなり多いです。

心理プロパーでない方々で仕事、家庭に多忙なのはよくわかりますがまずは過去問を解いておかないと自分が今置かれているレベル、弱味と強味がわかりません。

なかなかまだ過去問までたどり着いていない人たちが多いのは知っていますが、テキストをイチからやってやり尽くすことができなくなってしまう危険性を考えたら過去問中心の学習が望ましいです。

※ 手前味噌ですが過去問は買わなくても手に入るのでブックマークするなり、できれば本番さながらに解けるよう、印刷しておいてください。

公認心理師試験過去問・解答等まとめ 無料

ハイスコア合格者の話を聞いていると「絶対の自信があって」正答選択ができていたわけではなく「これは感覚的に(絶対に)違うな」と誤答を取り除いて正答にたどり着いたようです。

したがって過去問をやってみる、過去問の正答選択肢がなぜ正答だったのかを調べる、誤答選択肢の用語を調べていくという方法が有効ではないかと思います。

3.具体的学習方法

自分が何も考えずにすらすらと解ける問題(は少ないと思いますが)、とにかく解けなかった問題は解いてみましょう。

統計法・実験法の扱いをどうするかは大きな問題です。受験生のみなさんは文系が多く、イヤイヤながらも統計法を叩き込まれた心理院卒生とは違います。

ですけれども全て統計・実験法を捨ててしまうのはもったいないことです。

古典的テスト理論は読んで覚えてしまえば特に数字は使いませんし、過去問にも出ています。

公認心理師試験テスト理論・ワタシをキライにならないで。

公認臨床対策統計はやっぱりやっとうけい

統計実は気楽みん。とりま主成分分析とか分散やるぬ

構造モデリング方程式も別に数字で理解しなくてもできます。

今だからできることです。

さて、統計に限らずわからない設問はテキスト、ネットで徹底的に調べることをおすすめします。

4.おわりに

Gルートの人にとってはあと半年ぐらいと言ってもその期間はあっという間に過ぎてしまうでしょう。とにかく空いた時間があれば勉強に集中すること、空いた時間がなかったらなんとか時間を作り出すこと。

厳しい戦いになると思いますがぜひ頑張ってください。ご健闘をお祈りしています。

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公認心理師・臨床心理士「やってはいけないこと」=多重関係なのはどうして?

1.はじめに

一昨日Twitterのスペースで「公認心理師と倫理」のタイトルで話をさせてもらったばかりなのですが、心理職には明文化された、あるいは暗黙のうちにやってはならないルールのようなものが満載です。どんな行為をなぜ、どうしてやってはいけないのかということについて僕なりに考えたことについて触れたいと思います。

2.関係性

⑴ 恋愛感情をともなうもの

これはやはりまずいのですが「何が多重関係か?そしてなぜまずいのか」について考えると際限がありません。

恋愛感情をお互いに抱いて行動化してしまえばまずいのは想像はつくのですが、以前行政関係のお偉いさんから話を聞いた時「お互い独身だったら結婚してもいいんじゃない?」と言われて、一般的な感覚というものはそういう人もいるのかなあと思ったものです。

実際のところ、クライエントさんというのは自分が既婚者であってカウンセラーが既婚者であっても熱烈にカウンセラーのことを好きになってしまうと「かなわぬ恋」になってしまうことになります。

どんなに恋焦がれてもその欲求は実現しません。ここでひとつクライエントさんは傷つきを感じるのですが、その恋愛感情が満たされない時にもし究極の関係性をカウンセラーとクライエントが結んでいたらどうなるのでしょうか?

噂なので本当かどうかわかりませんし、作り話なのかもしれませんが、昔、とある既婚者の男性カウンセラーが女性クライエントとお互いにそういう関係になってしまいました。女性は「○○先生とは来世で一緒になれるものと思っています」と書いて自害してしまったのです。

そこで女性の配偶者は激怒して訴えたというものです。

これが一番強烈に記憶に残っている話なのですが、クライエントさんはカウンセラーのことを好きになったとしてもそれがかなわないことを知っているからまずそこで痛みを覚えます。

そして次に関係を結んでしまったら次は関係を断ち切らなければならないということで二重に深く傷つくことになります。

クライエントさんはひどく繊細なので「恋愛感情を持ってしまった」「好きと言ったけどそれが受け入れられなかった」ということだけでカウンセリングから離脱してしまうことがあります。

これが性的多重関係になってしまったらどうでしょう。ニュースにもなったので2例ほど知っているのですがクライエントさんには深い怒りの感情が湧いて来ます。

それは「利用された」というもので、相当な怒りを抱くことは想像に難くありません。医療倫理の4原則「傷つけない」を大きく逸脱してしまっているのです。

こうなるともうカウンセリングの行為そのものどころか人と人としての信頼関係も崩れてしまうでしょう。

僕の今までのカウンセリングの経験からは加害者臨床、子ども、男性が多く、たまにクライエントさんが女性だったとしても風采の上がらない貧相な男で良かったと思います。

女性クライエントには慣れていないのでたまに出会うことがあると、とても苦手な意識を感じます。みなさんがどうしてやり過ごしているのか知りたいぐらいです。

相手をカウンセリング関係を超えて好きにならせるカウンセリングは侵襲性があるとも思うのですがそこをどう乗り越えて行くかはとても難しいことです。

成田善弘先生の「青年期境界例」では若い男性から恋愛感情を寄せられた事例が書いてありましたが、成田先生は全く動ずることなく堂々とした態度を取っていて、息を飲むように読んだのを覚えています。あれは正に名人芸の域に達しているから可能だったのでしょう。

⑵ 友情を求められる

ひどく高価な品物を送りたいと打診されて(住所を聞かれたので)断ったことがあります。

また、飲みに行きましょうよ、食事に行きましょうよ、お茶でもどうですか、おごりますからと言われたこともありますしおごってくださいと言われた経験をしたことのある人も多いでしょう。

狭い街に住んでいると(僕も多々経験がありますが)街中でクライエントさんに会うことは多いです。そんな時も誘われることが多いですし延々と終わらない立ち話をされるのも困ったなあと思いながら切れなくなったこともありました。

⑶ 携番

携帯の番号を僕は同性には教えることが多いです。クライエントさんがかなり重度で命にかかわっているけれども手立てがない時、あるいはカウンセリングを受けたくて仕方ないけれどもなかなか予定が決まらない人の場合で、苦渋の決断をしています。

「友達じゃないんだから携番教えるのやめろ」と言われたこともありますが、大抵のクライエントさんは自制して連絡をしてこないのですがその結果夜中、早朝に電話がかかって来るのを覚悟しています。

高名な精神科医に「死んだ」って電話と「死ぬって電話とどっちがいい?」と聞かれたこともあります。

3.おわりに

何が多重関係かそうでないかは、はっきりとしたものから境界が曖昧なものまでさまざまにあります。心理職の倫理については考えても明確な答えがなかなか出ないと思っているのです。

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