
最新情報等・公認心理師試験対策
1.はじめに
公認心理師試験は最新の知識が問われる試験です。ICD-11 で認められたばかりの複雑性 PTSD(PTSDよりも重篤なトラウマにさらされて感情統制も悪くなる)ゲーム依存、コロナによるせん妄が前回も試験に出題されました。そこで主に令和4年4月から施行される改正少年法について見てみたいと思います。
少年法が変わります!(法務省)
2. 少年法改正の趣旨
選挙権が 18歳、民法における成年年齢が18歳に引き下げられたことから18歳、19歳の少年を「特定少年」として扱うという趣旨です。
少年犯罪の推移→少年犯罪は減少傾向にあります。少年犯罪が凶悪化しているわけでもありません。
18歳、19歳の特定少年でも家裁は全件送致主義を取っているので家裁には送致されます。し
たがって原則逆送(検察官送致事件)対象事件が拡大されます。(18、19歳が全て逆送されるというわけではないです。)
※ 逆送とは 警察官→検察官→家裁という順番で事件は来るが、家裁から検察官に送致すると流れが逆になるので「逆送」と呼ばれます。
特定少年の原則逆送事件は、死刑、無期懲役、又は短期(最低限)1年以上の懲役刑事件が原則逆送になります。例:現住建造物等放火罪、強制性交、強盗、組織的詐欺有印(刑法上で短期1年以上の事件はいくつかあります。有印公文書偽造同行使、危険運転致死罪、営利目的覚せい剤所持・譲渡・譲渡、拳銃など不法所持、児童ポルノ製造目的売買。)
※ 全ての事件が検察官を通って来るわけではないく、14歳以上の少年で法定刑罰金以下の犯罪を起こした場合には家裁に事件直送(直送事件)例:過失致死、過失傷害、軽犯罪法違反(ただし一定の事件の重さ:微罪の場合には簡易送致ができます。)
以下復習
検察官送致=14歳以上で可。16歳以上で人を故意に死に至らしめた(殺人、傷害致死)ら原則逆送(※ 今回の改正でこれに特定少年が加わります。)
保護処分=少年院送致、保護観察、児童自立支援私設等送致(旧教護院)、知事又は児童相談所送致(処分を児相に任せます。(児童相談所を通じて児童自立支援施設に入所することもあります。)
家庭裁判所調査官の試験観察(民間篤志家の施設に預ける補導委託、在宅試験観察)中間審判です。審判を経て試験観察になります。試験観察に付された結果、もう一度審判を経て処分が決まります(不処分、保護観察、少年院送致などの保護処分)。
※ 鑑別所に入るのも中間審判です。原則4週間以内で観護措置が執られ、審判を経て処分が決まります。(2週間〜8週間、実務的には4週間)
※ イメージとしては逮捕→鑑別所(家裁調査官の調査及び鑑別技官による心身鑑別(鑑別所教官による行動観察を含む)
※ 過去問にも出ていましたが少年相談も鑑別所の業務の一部です。ヤフーニュースでは一部の鑑別所でオンライン相談を行うことも報じられていました。非行ばかりでなく、育児に関する保護者からの相談、いじめ相談、引きこもり相談にも対応しています。
育児やいじめの相談、無料で受け付けます 少年鑑別所がオンラインで
不処分=裁判官のお説教(訓戒)
審判不開始=家裁調査官のお説教(訓戒)
今回改正によって実名が明らかになるような報道が特定少年においては可能になります。(推知報道=報道から少年が特定できるような報道はこれまで禁止されていました。
覚えにくい複雑そうな概念が少年のカテゴリーです。
「少年とは,20歳に満たない者を意味し,家庭裁判所の審判に付される非行のある少年は,(1)犯罪少年(14歳以上で罪を犯した少年),(2)触法少年(14歳未満で(1)に該当する行為を行った少年-14歳未満の少年については刑事責任を問わない),(3)ぐ犯少年(保護者の正当な監督に服しない性癖があるなど,その性格又は環境に照らして,将来,罪を犯し,又は刑罰法令に触れる行為をするおそれがあると認められる少年)に区別されます。」
検察庁ホームページから引用。
ぐ犯事由は
⑴保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
⑵正当の理由がなく家庭により附かないこと
⑶犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し,又はいかがわしい場所に出入すること
⑷自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること
です。
また、「ぐ犯性」という概念があります。少年が将来○○という罪を犯すおそれがある場合でなければぐ犯少年とも認められません。
少年院種別についても付記しておきます。
第Ⅰ種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない、おおむね12歳以上23歳未満の少年が収容される施設
第Ⅱ種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害のない、おおむね16歳以上23歳未満の、犯罪傾向が進んだ少年が収容される施設
第Ⅲ種少年院
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がある、おおむね12歳以上26歳未満の少年が収容される施設です。
第Ⅳ種少年院
少年院において形の執行を受ける者を対象とした施設です。つまり検察官送致となって禁固刑以上の刑罰を受けた少年が入所する施設です。
※ そのほかに3月31日までをめどにWISC-ⅣがⅤにバージョンアップされます。発売されて実際にWISC-Ⅴが手に入る環境にあるなら、きちんと見ておく方がいいと思います。現段階でも実はWISC-Ⅴの下位検査と、どのカテゴリーに入るかはわかっているのですが日本語は探してもありませんでした。
時間がある方は英語文献をネットで探して読んでおいてもいいかと思います。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
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