ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2021年10月

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のんちゃん公認心理師合格体験記

1.はじめに

僕のTwitterの相互フォロー、フォロワーさんにのんちゃん@jungpsychology7 という方がいます。

とても博識な方で最初はどこかの大学の先生と思ったのですが、なんと院生だった…彼女のツイートは知的なものでとても読んでいて心理職の僕も勉強になります。さて、そんなのんちゃん、去年は以外にも公認心理師試験惜敗、今年は捲土重来で再受験、見事合格を手に入れました。

以下のんちゃんの合格体験記を掲載します。

2.のんちゃん合格体験記

2回目の資格試験にて合格しました。去年の大学院新卒1年目は、就職先が決まっておらず、あんまり勉強に身が入っていませんでした。

ですから、去年の不合格は当たり前だなぁと思いました。今年の4月より、地方都市で児童福祉の発達支援センターで、心理職一人の常勤職員で働くことになり、私以外の職員が皆資格保持者(保育士、幼稚園教諭、社会福祉、精神保健福祉士)であり、急に去年がんばって勉強しなかった自分に悔しくなりました。

ですから、過去問題を繰り返し解いて、わからないもの、苦手分野をあの沢山の文献で調べまくり試験に備えました。ハングリー精神というか、自分に対する悔しさが今回の合格に繋がったように思っています。資格取得は、あくまでスタートラインです。クライエントさんに学び、臨床研究に学び、地道な臨床実践をコツコツ積み重ねることですが、資格取得勉強も、繰り返し過去問題を解く、わからない苦手分野を調べるの繰り返しだと思います。

私の場合、統計学、神経生理心理学、法律、基礎心理学が苦手だったので、過去問題を解きながら、テキストで調べることをやり続けました。また、臨床心理士試験の問題集も、事例問題、基礎心理学など非常に役立ちました。

さいごに

また、なぜ資格を取るのかですが、これは、クライエントさんに一定の社会的信頼を与えるものになるからではないでしょうか?

いくら、大学院まで6年間臨床心理学を学んだとしても、資格があるから、安心して悩みや苦しみを相談してみようと思えるように思っています。心理の専門性を深め、クライエントさんに役立つ心理援助を行うために、一定水準の訓練を受け、アセスメントや心理療法が行える基礎的な学びをしている公認心理師の資格を取ることは、心理職として働く上で必要不可欠だと思います。これから、受験する皆さんには、ぜひがんばって資格取得して欲しいと思います。

(以上)

3.おわりに

資格を取ったばかりがスタートと言います。試験後にスペース(Twitterのラジオ配信機能)も一緒にやったのですが、真面目な話だけでなく、ウィットにも富んだ素敵な方です。資格を手にこれから心理の深い海の世界を縦横無尽に泳いでいって欲しいと思っています。

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○ 第5回公認心理師試験日は7月頃

【今後の公認心理師試験について】

日本心理研修センターの公式発表です。例年通り詳細な日時や出題委員については試験半年前に発表になる予定です。

新卒者は卒業後3カ月あまりで試験というタイトなスケジュールですが、これまでの素晴らしい実績で高い合格率を上げてくれるのではないかと期待しています。

また、その他のルートのみなさんにおいては第4回試験で合格点が5点ハードルを上げられたことで衝撃を受けている方々も少なからずともいらっしゃると思いますが、試験勉強に王道はありません。

なるべく早く勉強に取り掛かって勉強時間を確保していくことをお勧めします。

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○ 第4回公認心理師試験分析〜合格点6割138点神話の崩壊

1.はじめに

さて、合格発表から一夜が過ぎました。まだ忙しさにかまけて、あるいは結果は郵送で届くものだからと不安でも腹をくくって結果が送られて来るのを待っている人たちも多いのではないでしょうか。

さて、そこで昨日のフィーバー状態から少し目が覚めた(僕が)ところで、まずは公認心理師試験全体の様子を見てみます。

2021.9月末公認心理師登録者数42,678人に加えて昨日発表された合格者数が12,329人、推定合計5万7千人ほどの公認心理師が誕生していくわけです。

今後この人たちがどの程度の割合で心理職を行っていくかどうかはGルート他職種の登録者の動向にかかっています。僕の知っている人で精神保健福祉士に加えて心理職としても働き始めた人もいますが、ごく少数派でしょう。

※ 以下図はウサねずみ@usanezume さん作成
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公認心理師カリキュラム検討会委員会で概算されている実働心理職数は5〜6万人、同程度の公認心理師数はすでに確保されているわけですが、実際に心理職専業として稼働していくかどうかは上記他職種の方々の動向を見てみないとわかりません。

よく聞く発言ですが「公認心理師受験勉強をすることによって心理学の知識が深まり、仕事に深みと幅が出てきた」ということで他職種のフィールドをそのまま行っていく人も多いのではないかと思われます。

したがって必要公認心理師数がどの程度なのかは試験当局にも大元の厚生労働省にも正確にはわからず「多分この程度だろう」という概算で補正をしたのではないでしょうか。最終的には実働公認心理師登録者数≒必要公認心理師数≒現在活動心理職数が望ましいと当局は考えていることが予想されます。この「必要公認心理師数」が試験難易度にも得点調整にも影響を与えたことは想像に難くありません。

2.得点調整の意味

心理職試験ではもとより臨床心理士試験の採点や合格点はブラックボックスなのでわからないのですが、国家資格試験は「6割程度」の難易度で補正されることはよくある話で、実際、介護福祉士では68.3パーセントが「6割程度」になったこともありました。

この国家資格試験は「落とすための試験ではなく、6割138点取れれば必ず合格できた試験」ではなくなりました。「問題の難易度で調整」というのは実際には異なっており、問題の難易度ならば問題ができた時点で難易度は決まっているわけで、実際には合格率や合格者数を見ながら得点調整を行ったわけです。

この得点調整の意味合いは、確かに問題の難易度にも得点率は依存するのですが、受験者の得点分散(散らばり具合、どの国家試験でも非公表)からも影響を受けていると推察されます。

多分今回得点調整が入ったのは、第3回試験の受験者数が(多分)コロナ等の影響で減少していたのが7,426人増加したのである程度合格者数を抑制しなければならなかったからだとも考えられます。

これには第5回、最終現任者講習会受講者数推定2万6千人から逆算して全体の合格者数を調整していたということも大きな要因として働いていたのではないでしょうか。

そして試験問題作成は受験生の出願が全て終わって資格審査が終わり、受験者数が確定する前に行われています(常識的に考えてもそうでないと間に合わない)。

3.今後の動向

得点調整、補正は今後もあると思わなければならないでしょう。得点調整は問題があまりにも困難な際にも合格基準点を6割未満にすることも考えられるのですが、6割超という今回のような補正も十分にあり得るわけです。

今回の問題について、これまで評価を明らかにしていませんでしたが、難問、捨て問題もあったものの、僕は比較的オーソドックスな心理学、臨床心理学に基づいた良問も多かったのではないかと感じます。

しかしそういった良問というのは得てして解きやすいもので、良問が多い試験は今回のように上方得点調整もかかりやすくなってくるでしょう。

4.終わりに

今回の得点補正はこれまでの公認心理師試験にとっては「激震」でした。今後この試験に挑戦しようとする受験者の方々は7割以上の得点率を目指した方が良いものと思われます。

といっても「どうすれば7割を目指して勉強できるか」というと、一回一回の試験ごとに出題傾向が異なっていてブレ幅も大きく見えるこの試験ですが、ひとつの仮説としては、だんだん回数を重ねるごとに出題傾向も安定してきたと思えるので、今回の試験をゴールドスタンダードの基準として考えてみることにも意味があるでしょう。

どんなに試験問題の難易度を調整しようとしても出題範囲は決まっている「心理学の試験」なのですから出題傾向もだんだん固まって来つつあります。過去問と同じ出題も多く、データが集積されつつあります。

したがってこれからチャレンジする受験生の方々に勧められる方針としては、基本に忠実に過去問をやりながらテキスト、模試、人によっては予備校も活用しながら勉強していくという、従来の学習方法と大きく異なっていくわけではありません。

今回の補正に戦々恐々とせず、落ち着いて目の前の課題にコツコツと取り組んでいくことが合格を手中に収める確実な手段なのではないでしょうか。

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第4回公認心理師試験結果の講評(日本心理研修センター発表後)

1.得点補正

なんと言っても今回初めて行われた「得点補正」が特徴的です。前回までは138点が鉄板の合格点だったのですが、今回は初めて得点を143点と、62.17パーセントに補正しました。今回は問題難易度が易しかったと判断されたのでしょう。また、得点分散が138〜143ほどの点数にかなり集中していたのではないでしょうか。

得点補正は絶対に行われないという前例を破る衝撃的な結果でした。

第4回公認心理師試験(令和3年9月 19 日実施)合格発表について

2.受験者総数

今回の受験者総数は21,055人でした。今回の現任者講習定員が約1万人と思われたのですが(訂正があれば教えてください)これまでの試験のうち、Gルートリベンジ組が相当数リチャレンジしたことが受験者総数を押し上げたことが推察されます。

コロナが多少落ち着いたことで受験をした人が多かったのか、詳細な事情は一人一人異なるのでわかりませんが、前回第3回試験受験者総数が13,639人だったことを考えると相当数受験者は増加しました。

2.各ルートごとの考察

⑴ Dルート

この人たちはなんらかの事情で受験を見送っていた、あるいは再受験者です。既卒D1ルート67.3パーセント、既卒(中心)D2ルート68.6パーセントはかなりの高数値に思えます。

⑵ Eルート

Eルートは、昨年度不合格だった新卒再受験者と新卒者です。ここで見ておかなければならないのはまず受験人数です。1,335人と、推定臨床心理専攻院卒者数よりもかなり少ないようです。

ということはスキマ世代で受験資格が与えられなかった新卒者がいかに多かったかを示しています。合格率85.5パーセントの8割超えは前回の81.0パーセントに続く快挙です。

かなり急いで公認心理師養成課程を作り上げた大学院と、歯を食いしばって耐えた受験生たちに敬意を評したいものです。

⑶ Fルート

まだ公認心理師法7条2号施設のうち病院などが入っていないと思われるので、法務省矯正局と家庭裁判所調査官と思われます。国家総合職だけあって19人中18人が合格しています。数は少ないものの、今後の国家総合職の受験者の合格率を示す基準となっていると言えるのではないでしょうか。

※ 訂正 平成30年に認定を受けている医療機関もあります。

⑷ Gルート

受験者全体の81.7パーセントを占めることから、合格率を大きく左右する受験者層です。何らかの理由で受験を見送っていた科目読み替えが効かなかった臨床心理士などの心理職や再受験者組、実務経験者です。この中には心理学専攻者でない現任者が相当数含まれていたことを考えると55.7パーセントというのは相当な快挙と言えると思います。

3.全体講評

今回初めて行われた得点補正から「6割程度」はある程度幅がある点数ということがわかりました。次回受験からの人はある程度高い点数を取れるように幅を広げて学習する必要があると痛感した試験でした。

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第4回公認心理師試験割れ問解答について

今回の試験について最も話題になったのは問146.いじめで登校しづらくなっている児童について、教員にスクールカウンセラーである公認心理師が確認することとして
② 合計欠席日数
⑤ 学級における児童全体の様子

でした。

これについては②が正解

プロロゴス、公認心理師試験解答修正2021.9.21版

拙記事の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が根拠となっているようです。

また、問154の18歳の母親が0歳児を養育する気がない場合、考えられる措置先として解答が割れたのは
② 里親委託
⑤ 母子生活支援施設

でした。
これについては僕が根拠を示したのですが、根拠が完全に正しいかどうかはともかく正答は日本心理研修センターと同じでした。

公認心理師試験割れ問・里親委託・母子生活支援施設

※拙ブログ記事

今回不適切問題はありませんでした。

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