○ 「不合格でもいい」開き直りが合格を導く公認心理師試験
1.序
さて、公認心理師試験も余すところ3週間を切って20日間となりました。元々メンブレやすい心理職のみなさん、そして他職種から参戦するGルートのみなさんもこの試験の困難さにメンブレて戦々恐々として試験までを過ごしているかもしれません。ですがそれは当たり前のことです。
2.実情
⑴ 新卒のみなさん
新卒の人々は前回合格率8割を超えました。多分今年も高い水準での合格率が出てくるものと思います。
「忘れている」つもりでも学部のころから基礎心理学を叩き込まれ、「うちは試験勉強は面倒みないから自分でやってね」という大学院は実に多いもので、手取り足取り教えてくれる大学院はかなり僅少です。
しかも臨床心理士とダブルライセンス狙いの人たちが多く、公認には出ない投影法解釈や精神分析をやらなくてはなりません。
しかしながら臨床の試験は例年と同じ6割程度の合格率、公認と重なったからといって双方干渉し合って合格率が下がったわけではありません。
大学院では確かにリンシ、公認の勉強を叩き込まれたわけではないのですが「勉強のやり方」は徹底して身につけたはずなので両試験、これまである程度真面目にやっていれば恐れるに足らずです。
⑵ 心理専攻者
この人たちは再チャレンジ組も多いでしょう。石にかじりついてでも受からなければならないという多大なプレッシャーの下に受験に臨むはずです。しかし待ってください。D1、D2ルートの人は一生受験資格があるのです。
臨床心理士を取得している人がかなりの割合でいると思います。つまり心理に関する勉強のコツは心得ているはずです。リンシも受験資格者が3回、4回と落ちまくって最後に合格した人々は実は結構います。
一度資格試験に不合格だと「落ち癖」がついて不合格になりやすいのは本当のことですが、こういった多数回不合格の人→合格した人と話しているとその共通点は「楽観的」なことです。
まあ別に落ちても心理職の仕事(無資格でもできる仕事は公務員をはじめとしていろいろあります。)をクビになるわけでもありません。
臨床心理士が雇用条件になっている職場が多いので、リンシを持っていれば別にクビになることもないのです。プレッシャーも多いかも知れませんが、職務があまりにも多忙で勉強の時間が取れなかったのは職場の責任であなたの責任ではありません。
⑶ Gルート受験者のみなさん
Gルートの受験者がきっと今年も来年度も多いと思いますが、試験を受けるGルートの人たちはそれだけで「選ばれし人々」です。
受験しないで諦めて脱落していく人たちがいかに多いことか。毎年1万人程度のGルート受験者がいますが、現任者講習会の受講者も毎年1万人程度います。
つまり滞留しているはずのGルート不合格者、または現任者講習会受講者が「戦う前に諦めてしまっている」人たちが多いわけです。
高い現任者講習代金を支払ったとしても①なんだかわからないけど記念受験の人②職場のプレッシャーで受けざるを得なかった人たち③受けてはみたものの、到底合格点には届かないだろうと諦めた人④現任者講習でもう無理だと悟った人たち
などなどさまざまな理由で脱落していった人々は多いはずです。前回第3回試験で50パーセントというのは非常に高い合格率と思いました。Gルートの人たちの中でも心理職の方々がいます。
そういう人たちはだいたい第1回の試験で公認心理師の資格を取得していたようです。となるとこれから受験するのは他職種の人たちが多いわけですけれども、かなり頑張ってこの道のりをたどってきた、それは間違いないでしょう。
3.結語
Gルートの人たちはかなり固い決意を持って、心理学の基礎から学んでいる人たちが多く、それが教科教員や栄養指導をしていた栄養士など、心理専修者から距離が遠くなればなるほど勉強は大変だったと思います。この試験に必要な教育心理学は教採の教育心理学とは多少なりとも異なっているはずです。
医学問題が出るからといって、医師、看護師が産業分野、教育、福祉制度、司法分野に詳しいわけでは全くないわけですし、多忙な医療従事者は勉強の時間を作るだけでかなり苦労をしたと思います。
Gルートはあと一回受験のチャンスがあります。たとえ記念受験的な受験になってしまったとしても「まあ受けてみればいいじゃない?」という開き直りもどのルートにかかわらず大切だと思います。
問題を開いた瞬間にわけのやからない、聞いたこともなく、過去問をやり込んでいたとしても歯が立つとは思えない問題がずらっと並んでいるのがこの試験の特色です。
たとえそういった問題が多くても
❌「○○では決してない」「〜の可能性は低いですよと伝える」「(査定の前に)まず診断をする」
⭕️「まず話を聞いてみる」何か心理の領域を超えていそうだったらまずは医師の受診を勧める、などなと手がかりはたくさんあります。
知識問題でもよく読み込んでいけば正解に至ることもありますし、知っている誤答を除くと正答に至ることもあります。
しかしながらこれは気持ちが落ち着いていればこそできる技です。
わけがわからない問題に接して慌てて「正しいものを選べ」と「誤っているものを選べ」をまちかえたら、知っているはずの問題を落としてしまうこともあります。
この試験に落ちても人生終わるわけではない、という開き直りが落ち着いた態度となり合格を導く場合がある、と現在進行形でメンブレている人たちには伝えておきたいのです。
photo by ᴷᵁᴿᴼ' @PhotoKuro_
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