ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2021年04月

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◯ 憧れのステキなお医者様と結婚するためには

1.はじめに

医療業界の頂点、高学歴高収入、多少ルックスが悪くたってガマンしてあげる。恋愛上手なワタシが手ほどきしてあげる。あるいはこれだけSNSが発展しているとTwitterで片っ端からお医者様をフォローすると女性ということでフォローバックしてくれてお友だちになれるかもしれません。

お医者様はイケメンも多く、Twitterに顔出しをしている人もいるので「まあどうしよう」と想像して夢ふくらむかも知れませんが、ここで厳しい現実を知っておかなければなりません。

2.お医者様のお家柄は普通ではない

まず庶民とのお家柄の違いを見てみます。私大医学部だと学費は寄付金含めて6年6千万円ぐらいでしょうか。私大出身の先生は診察の時は威張らず笑顔で接してくれる先生方が多いのですが、それは育ちの良さというゆとりがあります。

おうちは代々お医者様、もちろんお義母様は超お嬢様です。お医者様の家系を辿ると普通ではありません。ウィキペディアに載っている政治家や有名大学の先生が親戚縁者に山ほどいます。

きっと憧れの先生はさらっと「ああ、叔父さんは◯商事の重役でね。」と話し東大慶應等エリート街道のご親戚も多いのです。

国立大卒のお医者様が庶民的かというとそういうわけではありません。小さなころから普通でないエリート教育を受けるには莫大な教育費がかかっています。国公立も私大も度外れた地頭の良さと努力と育ちの良さ&プライドを抱えているのです。

3.お医者の「普通」の結婚相手とは?

お医者様はもれなく超お嬢様と結婚します。お嬢様のお父様は最低でも年商数十億はある実業家でしょうか。これには理由があります。最初は勤務医としてスタートした医師もいずれは開業したいという夢を持っています。できれば借地貸しビルよりも自前の物件がいいですよね。

そして建物は内装ばかりでなく、手術をする、CTを撮るなど設備投資もかかります。CT1台4千万円ぐらいですね。リースでもいいですが内科、外科、普通の科でだいたい7千万円ぐらいは開業で飛んでいきます。勤務医は研修医が終われば年収1千万円は固いです。ただし勤務医は研修医に引き続いて無茶苦茶忙しく、医師も医師の世界で厳然としたヒエラルキーがあり、それを崩すことはできませんので、外科系などは主執刀医(あるいは監督役の副執刀医)に手術中に足を蹴っ飛ばされることもしばしばです。

早朝出勤、深夜まで帰れず毎週当直、早く独立して一国一城の主になりたいと思うのは当然のことでしょう。さて、そこで普通の家庭にお婿さんの開業資金を出せるでしょうか?

脳外科を開業したいと思ったら数千万円の CT スキャンのほかに1億近い MRI も必要ですし、患者が急変した時のために入院病棟も必要になります。

お医者様が結婚したいと思っているのは、いくら頭がよくて顔立ちがいいからといって、また、どんなに狩りが上手な肉食系でも容易には狩ることができない相手だということを覚えておきましょう。億単位でスポンサーになってくれるお嬢様、代々お医者様で婿に入ればそのまま病院の引継ぎができる、そろそろ引退して2代目に仕事を任せたい大先生(おおせんせい)の娘です。

もしくはお坊ちゃまなので家柄がハイパーエクセレントなご家庭のお嬢様なのです。これならば自分で勉強をしてお医者さんになった方が早いぐらいです。

4.婚活エージェントを利用する

さて、世の中には「医婚会」(仮名)などの医師と婚活をしたいという女性のためのエージェントがあふれています。どのエージェントも大都会の一等地のビルの中に大フロアの事務所を構えていますが、新卒医学部生は毎年8千人、世の中に結婚適齢期、上記の超高いハードルを潜り抜けてまだ未婚でいる男性医師がどれほどいるでしょうか。限られたパイを奪い合おうと思っても婚活エージェントに登録している男性医師の数は疑問に思えるところです。

その中でイケメン、高身長細マッチョなど自分好みの男性を選ぼうとしても無謀なことのように思えます。上記に述べたように、婚活市場に出て来る医師の結婚相手は超お嬢様というだけでなく美貌にあふれた 20 代前半の女性がほとんどです。「医婚会」で熱心にお見合いをしようとしている女性会員でごく普通の家庭に育った普通の容姿の20代後半から30代、果ては 40 代の女性がどれだけのパーセンテージで医師と出会って結婚できるかは甚だ疑問です。

5.注意点

僕は何かの間違いで医師の結婚式に出席したことがありました。奥さんは看護師だったのですが、新郎友人テーブルからは「あーあ、あいつ負け組だよなあ」と言う声が口々に聞こえました。知人看護師女性に「お医者さんと結婚したいと思ったことあるの?」と聞いたら「いやもうそんな夢を追ってる年齢じゃないから」と答えた彼女は20代後半でした。

確かに看護師さんも合コンで知り合ったほかの女性でも美人は多いでしょう。しかしひょっとするとひょっとしなくても医師にとってその相手はその場限りの遊び相手で医師はただのチャラ男という可能性も高いわけです。世の女性の方々はそういう不真面目な男性にはひっかからないで欲しいと思います。

とはいえくだんの看護師と結婚した男性医師は非常に真面目に奥さんと結婚したわけですし、「可能性がないわけではない」という、まだるっこしい言い方しかできません。実際に庶民の女性と結婚して幸せに生活している医師の家庭も多いわけです。

6.おわりに

日本と違って欧米では男女平等の考えが行き届いているため、男性医師の収入を当てにして結婚しようとすると「Why、なぜ君たちは自立して自分で稼ごうとしないんだい?」と言われかねません。それにお金を稼ぐ旦那さんが性格的に最高の旦那さんとは限りません。人格的に陶冶された方でない可能性も高いです。稼ぐ=奥さんにお金を自由にさせる、というわけではないのです。

それに年収 1 千万円の家庭というのは思ったほど裕福なわけではありません。東京23区のはずれや市部に自宅を買うと1億円、猫の額のように狭い家です。

それから子どもにお父さんと同じような高いレベルの教育を受けさせようとすると悲鳴を上げるような経済状態に陥ってしまいます。サラリーマンや自営業者でも年収1千万円稼ぐ男性はいます。時としてプライドが高く帰宅してからも「先生」扱いされたがるかもしれ
ないお医者様が最適な結婚相手かどうか、人は職業ではなくて人柄で見るものだということをここは強調しておきたいものです。

ひなたあきら
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Gルート審査落ちを避けるために

私設開業領域や企業勤務の心理職の場合、Gルートで受験資格があるかどうかの審査はかなり厳しいと毎年聞きます。

ということでとにかく考えられる疎明資料一式を書き出してみました。受験の手引きに掲載されているものは除きます。

なおこの件については日本心理研修センターに電話して問い合わせようとしたのですがこの時期ですので電話が混み合っていたため、真剣な受験生の邪魔になると思い電話問合わせはやめました。

日本心理研修センターはとにかく公的なものを好むようです。

開業届、登記簿謄本、課税証明書等は必須としてもその他の書類だけで業として心理的支援を行なっていたのを証明するのは困難な場合もあります。

私設開業領域で個人事業主の場合、他の先生方が提出していたようにカウンセリング事務所のパンフレット、ホームページのコピー、あるいは事務所のブログ、Facebook、Twitterのタイムライン、著作、学会発表履歴、臨床心理士資格証明書、心理テスト等発注書、納品書、事務所内や屋外の写真、賃貸契約書、所属学会の領収書、研修証明書、勤務割表、とかくありとあらゆる疎明資料があった方が良さそうな気がします。

私設開業領域で働いていた人ならば雇用契約書の中にカウンセリングや心理テストを委嘱すると書いてあればいいのですが「◯事務所のカウンセラー紹介・毎週月、水、金曜午前中)と書いてある何かがあるといいと思います。就業規則も有効かもしれません。

心理職として働いていて給料をもらっていたならば給与明細、源泉徴収票も疎明資料のひとつになりえます。

企業等の産業領域で働いていた場合、会社の登記簿謄本、定款、雇用契約書を求められる場合もあります。

その会社は本当に存在しているのかというそもそもの成り立ちから証明しないとなりません。

あまり想像力が働かないのでこれぐらいしか思いつかないのですが、902その他の領域で働いていたのを証明して日本心理研修センターに認めてもらうのには高いハードルが存在することは確かです。

受験資格なしという書類が届いたら、結果的にやり取りをして認められたとしても非常に心臓に悪い上にモチベーションだだ下がりなのでこの曖昧とされる領域の基準の間口をもう少し広げてもいいと思います(本当に怪しげなところを認めるべきという主張ではありません。)。

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2021.春情報・通信制大学・大学院から公認心理師を目指す

1.はじめに

現在通信性大学で公認心理師養成課程を修められるのは聖徳大学、東京福祉大学、京都橘学園、放送大学の4大学になっています(放送大学については以前書いたので今回は割愛します。)。

これらのうち大学院で公認心理師養成課程があるのは聖徳大学大学院、東京福祉大学(昼間)です。

さて、学費、進学条件などさまざまに調べてみましたのでそれぞれの学校について見てみます。

2.聖徳大学

聖徳大学の学部は高卒後の入学、また3年次の編入も可能です。学費に関してはシミュレーションがホームページにあり、高卒後入学した場合、3年次編入の場合など親切に
学費シュミレーター

がついています。

入学時学費198,600円、卒業までの学費823,100円は4年制大学としてはリーズナブルに思えます。ちなみに3年次編入の場合には489,100円です。

ただし公認心理師課程に進むにはGPA(成績評価値)2.5が必要です。なかなか高い数値です。

併設の大学院については平日18時以降、また土曜日にも集中的に授業を受けられます。もちろん他大学院に進学してもいいのはどの大学も同じです。

聖徳大学は社会人100パーセントというのが特徴、奨学金制度もあり経済的負担も軽減できます。

なお実習先は学校の指導で自分で探すことになり、探し方も教えてくれます。実習先を自分で探さなければならないのは大変に思えるかもしれませんが実習先と交渉することで日程や時間の自由が効くというところが魅力かもしれません。

2.東京福祉大学

東京福祉大学も学部で通信教育、公認心理師課程を設けています。東京福祉大学は学生のために奨学金・教育ローンを用意しており、学生の経済状態に配慮しています。

学費は高卒の場合4年間で979,160円、3年次編入の場合には606,680円(2年間)になります。東京福祉大学はホームページによると卒業率が 50~60パーセントということで、これは文部科学省調査の通信制大学入学→4 年次在籍率 14 パーセントと比べると飛躍的に高い数値と示されています。

この大学で公認心理師課程に進むためには GPA3.5 以上という高い数値を取らなければなりません。その意味では入学してからのハードルが高いと言えますが、公認心理師試験そのものが難しいので、心理学をイチから勉強して通信制で時間がない中、学ぶ人にとってはこのぐらいの成績値がないと大学院進学や公認心理師試験にも支障があるかもしれません。

3.京都橘学園通信教育課程

京都橘学園では GPA制度を導入していませんが、心理演習(3年次後期開講) 30 人(参考、1年次からの入学者 180 人)、心理実習(4年次通年開講) 40 人の中に入らなければなりません。そういった意味ではどの通信性の大学も公認心理師課程に入るのは難しいわけです。

学費は1年次から入学した場合、入学金3万円、前期 14万円後期 14万円×4年間と実習費用が 10万円かかり、だいたい他2校と大差はないような気もします。やはり奨学金・教育ローンがあります。公認心理師課程がある唯一の関西圏の大学であることから、関西圏で通信教育で学部を卒業するには十分な条件と言えるのではないでしょうか。

4.おわりに

通信制大学というのは働きながら学ぶという意味ではなかなか時間が取れず、卒業するまでのハードルは高いものです。その中でも限られた定数枠の中に入り公認心理師課程に入り、修了するにはなかなかのエネルギーが必要だと思います。

しかしながらもちろん通信制のいいところもあります。社会人として働きながら心理学に触れてみて、自分が本当に心理学に向いているかどうか、公認心理師実習に参加してみて「果たして自分は心理職としてやっていけるのだろうか?」という問いかけをしてみて、もし元の道に引き返そうとしてもそれが可能というところです。

そういった意味では通信制大学公認心理師課程で学ぶ意義は大きいと思いますし、そこから大学院に進むとすれば相当な決意と覚悟をしてきた優秀な人も多いことが期待できます。

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◯ disられる公認心理師、臨床心理士(関西大学に問い合わせてみた)

TwitterのTL(タイムライン)に山内太地氏のツイートが流れて来たので「えっ、ウッソー!と思いながら見てみました。


関西大学文学部心理学科

ホームページです。

なかなか気合いが入ったホームページで、引用すると、自由で魅力的な心理学のあり方を追求するために 本専修では,新たな国家資格である「公認心理師」や「認定心理士」(公益社団法人日本心理学会)の取得を目指す教育はやりません。

と明記してあります。

これはなかなか舌鋒鋭い書き方で続けて資格を目指すカリキュラムは縛りが多い、そして心理職に就いたとしても非常勤掛け持ちが多く、常勤職で働ける人は少ないのだとも書いてあります。

これは正に真実です。

しかしながらわざわざこれを大学のホームページに書かなければならない意味があるのでしょうか?
(´・ω・`)←※ なんとなく頭にくる顔文字

まあ何も知らない高校生にきちんとした事実を伝えるという意味では正直なのかもしれません。

しかしながら関西大学社会学部社会学科心理学専攻では公認心理師課程を設けるよう厚生労働省にあると申請しているということでまあこれを見て少し安心したわけですが(電話で問い合わせたところ社会学部ではきちんと公認心理師養成課程があります。

専門職大学院では公認心理師養成を行っているということなので安心しました。)、文学部心理学科では関西大学自体で公認心理師養成を行っていない、という誤解を招くような表現だなあと思ったわけです。

これに限らず名門の慶應義塾大学でも基礎心理学のみで臨床心理学専攻はないわけですし、眞子様佳子様が卒業された国際基督教大も公認心理師課程はないわけですし、あれ?お坊ちゃんお嬢様学校からは見放された?とも思います。

立教大学現代心理学部は公認心理師課程もある心理学科の一方で映像身体学科は美大のような制作課程もあり、なかなかアバンギャルドな雰囲気がします。

まあ認知行動療法家原◯隆之さんも名門とは言え心理学科のない一橋大学を卒業されたのでGルート受験だったわけですしいろいろとあってもいいのかもしれません。

くだんの関西大学文学部心理学科はなかなかパンチが効いていて、心理学専攻者のうち数パーセントの限られた人間しか心理職にはならないとか、心理学を学んだことと就職のつながりはデータを用いて相手のことを説得することに役立つだろう等と書いていて、それはその通りなのですがそれは臨床心理学を専攻して一般就職をする人にも共通することなので、ひょっとして基礎心理、応用心理学者たちは臨床disってマウント取りにかかってる?

とあらぬ?疑念を抱いてしまうわけです。

実は基礎心理学者の臨床心理学に対する疑念はなかなかのものです。ロールシャッハ、あれは科学からほど遠いと言い放ち、僕が「いや、あのね、エクスナー法なんかはね、エクスナーが実験に実験を繰り返して認知療法も精神分析も取り入れてね」とでも言おうものなら「精神分析?ああ?、あんだと?」とパチンコ屋にジャージサンダルで座っているヤン◯ーに絡まれそうな勢いです。

確かにこれは基礎心理側にも一理あり、統計実験をやらずに臨床心理の修論が認められるゼミもあります。

「A君とプレイセラピーを行った意味を振り返って」というような修論は臨床心理学だけしか認められないでしょう。

また査読論文でも事例研究が認められるのも臨床心理学だけですし、日本精神分析学界、日本精神分析協会も雑誌精神分析研究も神田橋條治先生をはじめとした錚々たるメンバーで構成されているわけです。

こればっかり書いていると僕が基礎心理をdisっているように思われるかもしれませんが、学部で基礎心理をきちんと学ぶことは大事だと思います。

一般の患者さんからすると「医学の基礎はキライですし忘れました」という精神科医に生化学的エビデンスに基づくまともな薬を出してもらえるのだろうかという不安が生じるでしょう。

心理学も同じことで「大学院の2年間しか臨床心理学をやっていません。公認心理師に合格したのははカンでなんとかなりました。基礎心理学も制度も知りません。論文は読みません」というカウンセラーに相談したいと思うでしょうか?

みなさん面倒だと思うでしょうけれども僕は割と法律や制度などは元々好きです。産業−医療場面にいるからかもしれませんが、カウンセラーにとっても制度、法律知識は大いに役立ちます。

「休職の診断書が出て休ませて休みぐせがつくよりも働かせて元気にした方がいい」
「クスリには中毒性があるから飲ませない方がいい」
「病院に行きたいというのは本人の甘えだから
行かせない」
などという管理職は本当にいます。

聞くと唖然としますがここで理路整然と相手を怒らせずに淡々と説得することができれば、患者さんを守り、ひいては組織を守ることにもつながります。

基礎系と臨床系の溝は深い(というか敵視されることが多い)わけですがせっかく国家資格ができたわけですし、国民の信頼を得るべく地道に努力していくしかないと思うのです。
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◯ 臨床心理士・公認心理師に向いている人、向いていない人

1.序

心理職の仕事を将来やりたいという人を見ていていると「この人向いているのかな?大丈夫なのかな?」と漠然と思うことがあります。(注;自分は棚上げ)努力を何もしなくても自分自身を「この仕事に向いているに違いない」と思っている人は危うい気がします。

それではどんな人が心理職に向いている・あるいは向いていない人なのでしょうか?

2.やる気のある人

⑴ やる気があって向いている人

これは大変素晴らしいことです。いろいろと研究や勉強をやり、いいバイザーにもついて目の前のクライエントさんにも熱心に対応します。クライエントさんにとってもいいカウンセラーでしょう。

⑵ やる気があって向いていない人

こういう人の存在が一番頭が痛いです。やる気があるのはいいのですが莫大な課題を周囲にも強要します。権限をこういう人に与えるとパワハラです。仲間の人権を尊重できない人がクライエントさんのことを大切にできるかどうかは甚だ疑問です。

松岡修造ではないので山道を走って荒波を乗り越えることをクライエントさんや同僚後輩に強要しても良くなるわけではありません。

⑶ やる気がなくて向いている人

朝起きます。「はぁーまた仕事かあ」と思います。安月給(時給)で働かされてイヤイヤ出勤、クライエントさんがもう何もしたくないという気持ちが痛いほどよくわかります。「辛いですよねえ」という言葉はとても信憑性があります。

この人が向いているのはやる気が職業人としてはないとしても共感性はあり、センスもあります。いつも困り切っているので人に支援を求めます。どうしようかと思いケース検討会にケースを提出、自信がないので研究会に出たり、みなのアドバイスを聞き入れます。自分で決めきれないところは周囲に聞くので自然に多職種連携ができてしまいます。

⑷ やる気がなくて向いていない人

朝起きると「あぁー、仕事行きたくない」というのは上記と同じです。そして実際に行ったり行かなかったりします。そうするとクライエントさんはすっぽかされてしまいます。

こういう人はまず社会人としてどうか、というところがあります。イヤイヤながらも仕事に行ってカウンセリングや心理テストをすることができるレベルにあるとしましょう。しかしこのイヤイヤ感はクライエントさんにも伝わってしまいます。

クライエント:どうしてもやる気が出なくて
カウンセラー:わかるわぁ、私もさっぱりやる気が出ないのよお。今この瞬間も

クライエント(この人は真面目に話を聞く気があるのだろうか…)

3.この仕事しかないと思っている人

⑴ 向いている人

この人はおそらく高校時代から心理職になりたいという思いがとても強い人です。これからは心理学科内の厳しい競争をくぐり抜けるために GPA(成績評価値) 3.5(平均 90点)を取らなければならない場合も多く、とんでもない成績を取る熱意のある人です。

よく本を読み実習にも熱心に取り組み、自らを振り返ることに余念がありません。ベテランの人でもそうです。若いころから経験を積み重ね、心理職という仕事の大変さも素晴らしさを知っています。ある程度以上経験を積むと今度は若手の育成に熱心になります。

⑵ 向いていない人

「この仕事しかない」のは「ほかに社会人経験がないしこの仕事以外しらないしできることないし」という「心理デモやるか、心理シカない」というデモシカ心理職です(と書いていて大変耳が痛いです。) 今さら転職することができないでずるずるとこの年齢まで来てしまいました。あるいは思い込みで「この仕事こそ俺の人生だ」と酔いしれて心理職をしている人です。

ナルシシズムのあまり自分のことしか見えていないので周りも目の前の相手も見えていない、聞こえていない人もいます。

⑶ この仕事にこだわらないで向いている人

このタイプの人は開業をするとなんでもやります。企業に営業をかけてメンタルヘルスパッケージ(カウンセリング・メンタルヘルス)をうまく売り込みます。口達者です。人をほめるのが上手なので個人療法もうまいのですが、集団へのウケもよく、講演会で話し上手、ある意味マルチプレイヤーです。

こういう人はベンチャーの社長に向いていて、人材派遣業務をやらせても金融商品の営業会社を作ってもそれなりにやれるレジリエントな人です。

しなやかで苦労を苦労ととらえず、悩んでいる人のことを心理学というバックボーンで理解していきます。

⑷ この仕事にこだわらずに向いていない人

世の中にはいろんな人がいます。臨床心理学を専攻して病院に就職したもののふらっとやめてしまい、地球物理学を次は学部から学び直し、それからロココ時代の建築史を学びという人は実際にいます。

臨床心理士を取ったのか取っていないのかわからない、心理職なのかどうかというとほんの一瞬はそうだったのかもしれないけれども心理職というアイデンティティもない人、自我同一性が拡散しまくっている人、ここまで行かなくてもよくわからない人も多いというのは聞いたことがあります。半分ライターなので僕も書きながらスマホの指が痛いです。

4.努力をしない人

書きながらなんとなくスマホに触れる指どころか右腕全体が痛くなってきたような気がします。

クライエントさんのために真に役立ち、歴史ある名著を読み最新の知識を仕入れながらなおかつさまざまな勉強会で知識に触れる、そういう人に私はなりたい、と思います。

腕のいいカウンセラーの序列というものは昔から決まっています。

努力するベテラン>駆け出しでも熱心な若手>慢心していても、やがて鼻をへし折られ謙虚になる若手>勉強もせず心理職としての矜持なく何もかもを捨てて知ったか振りをして何もしない馬齢を重ねただけの心理職

と決まっています。

6.神

さて、この領域になると「向いている・向いていない」を超越して人類愛に満ちた救世主となります。その先生は崇め奉られ、人々は神の足元にひれ伏し、はらはらと涙を流し、神に出会えたことにたとえようもない感動を覚えるのです。

実際、これに近い心理職の人はいます。高名な先生の人格に打たれ、打ち震えるような気持ちになるクライエントさんもいれば、近づいて稲妻に打たれたような衝撃を感じる後輩心理職たちもいるでしょう。

僕のような凡人(未満)は決してこの高みを目指してはいけません。高潔な人格で若いころからそのカリスマ性を十分に発揮してきた先達の足元にも及ばないわけですから。

そしてこの神の領域は目指そうとして目指せるものではなく、無理に人の心を操ろうとすればそれは邪神に過ぎないでしょう。
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