ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2020年08月

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photo&lyric by sora (@Skylit_Blue)
人生って、解答のない問題を解き続けるようなものだね。


◯ 上位資格と学会について公認心理師協会に聞いたぽよ

1.序

2020.8.26に日本公認心理師協会に電話したところ事務局長不在ということで2020.8.27に再電して聞いてみました。この日も事務局長不在ということでしたが事務局長からの伝言を事務局の方が預かっているということでその結果を記載します。
(取材なので掲載了承済)

1.上位資格

理事会の中の研修委員会で話し合っている。内部で検討中。その上で厚生労働省などに話を聞く機会もあるだろう。

ただし現段階で公式に発表できることは何もない。

2.日本公認心理師学会について

7月の総会で設立が承認された。ということで中味は何も決まってないのでこちらも公式に発表できることは何もない。

※ ということでした。現在厚生労働省障害福祉局で進めようとしている内容とリンクしているのかもしれません。あるいは現段階で発表できることはないと言いつつやはり上意下達である日突然下りてくるかもしれないことを危惧しています。

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フォロー
に関しての最近の傾向として。

自分からフォローしにいくことはほぼなく、一方でファボやRTやリプくださる方でフォローして下さってる方は、#基本フォロバ しています。

理屈的な部分は、あまり深く考えてません。
#深く考えてもそれ自体に意味がないということに辿り着いたので。※私見


◯ 公認心理師の活動状況等に関する調査計画は師会によるもの

1.序

以前 「公認心理師の活動状況等に関する調査計画」進行中 という記事を書きました。

この計画を行う主体はどこかと障害福祉局に問い合わせたところ「研究が終わるまでは言えない」ということだったのですが盟友ウサネズミさんがまたしても教えてくれました。

令和2年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業
「公認心理師の活動状況等に関する調査」
のご案内

が日本公認心理師協会(以下、「師会」という。)からこの案内 が出ていましたが、全公認心理師を対象に9月から公認心理師全員が調査対象で日本心理研修センターから郵送通知、師会のホームページにバナーを貼るのでそこからログインして欲しいとのことでした。

https://www.jacpp.or.jp/survey/info.html(師会の案内)

ちな、研究計画みん↓

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師会と日本心理研修センターは癒着しているのかいとか個人のプライバシーの問題はどうなっているのだ?やばたんという疑問はさておき、師会が行う調査ということで公認心理師の会の公認心理師たちはこの調査に参加しないかもしれません。僕は師会主導だけの結果にならないためには参加して欲しいと思いました。

で、臨床心理士会が臨床心理士に行っている動向調査も回答率がすごく高いというわけでもないので、意識高い系の人たちしか参加しないかもしれません。

臨床心理士ダブルホルダーで「臨床心理士オンリーラブみん」な人も参加しないかもしれません。

Gルート他職種参戦合格者は公認心理師で食べていくわけではないので受かって資格はタンスにしまってやはり調査には協力的ではないかもしれません。

実はアンケート調査というのはRCT(無作為割付試験)と呼ぶのは難しいのではないかということは政権支持調査などでも言われています。

そもそもこの「将来的な公認心理師制度の 適正かつ円滑な運営及び推進を図るための検討材料とする。」という意図で行われるもので、5年後の見直しに向けた提言をするということです。

そこでいつも気になるのはこういった調査結果として「公認心理師の専門上位資格を作成することが望ましい」という結果が出たらやばたにえんということです。

厚生労働省制度推進室に以前電話照会したところ、「国家資格ですからその上の資格はありまみん」という趣旨の回答を受けたのですがしばらく時間が経ってから「上位資格できるの?」とメールを送ったらなしのつぶてでした。これは公認心理師制度推進室としては珍しいことで、いろいろ質問メールを送ったらかなり丁寧に親切に回答してくれていました。

そこで危惧するのは、厚労省+師会で新しい上位資格を作ってしまったらどうしようかということです。

現在行っている研究結果が大本営発表師一人勝ちにならないようにと願うばかりです。

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枯れる瞬間まで
咲き誇れたなら༻


◯ 頼れる認知行動療法家・原田隆之さん再登場

1.序

Yahooニュースに掲載されていたのですが、筑波大学で心理学を教えている原田隆之さんという人がいます(知らない人も多いでしょうからあえて所属を書きました…)。

さて、原田さんの記事「ニセカウンセラーに要注意 - 心のケアを誰に任せればよいのか・・・」を読みました。印象的な事柄が多く記載されていたので今日は原田さんの記事の内容を紹介しつつ、僕が感じたことを書いてみます。

Yahooニュースのurlを貼ってもいいのですが、著作権法上は合法でも、強い倫理観を持つ原田さんから訴えられると困るのであえて貼らないことにします。

2.記事感想文

これはあくまでも僕の単なる「個人的な感想」で事実やその効果を保証するものではありません。

⑴ 臨床心理士、公認心理師とその他のカウンセラー

原田さんはとりま「ニセカウンセラーに注意」という趣旨で記事を書き始めています。カウンセリング、カウンセラーという行為や言葉は名称独占ではなく、業務独占でもないので臨床心理士や公認心理師といったしっかりした資格でなければ信頼性がなく、症状が悪化することもあるぽよという指摘をしているのです。

僕はこの主張に対して確かにそれな!と納得する部分もあったのですが、資格がないカウンセラーに満足して通うこともその人の自由であって止めることはできないと思いました。

以前乃木坂46を引退してオンラインカウンセリングサロンを行っている中元日芽香さんのことを記事にしました。彼女は現在早稲田大学人間科学部で臨床心理学を学んでいます。

彼女がカウンセリングを始めた時には無資格だという批判もあったのですが、中元さんのファンがたくさんこのオンラインカウンセリングを利用したということは、それだけ顧客満足度が高いということを示しています。

病院で働くカウンセラーは、ほとんど臨床心理士か公認心理師の資格を保有していますが、必ずしも専門的な技量が患者さんを納得させることができるわけではありません。

心理テストに拒否的な感情を持っていてもカウンセリングルームの中でそれをなかなか言い出すことはできません。

インテーク(初回査定)面接で根掘り葉掘りいろなことを聞かれて嫌な思いをしてカウンセリングアレルギーになる人もいるかもしれません。

その点、薬品の匂いがして白衣の人たちが歩いている病院のカウンセラーよりは民間のカウンセリング事務所でティーサロンのような場所で家庭的な雰囲気、話したいことを自由に話せてうんうんと聞いてくれるカウンセラーを好む人もいるでしょう。

また公的に認められたものとしては遺伝カウンセラーも学会認定資格としてあります。

公認心理師、臨床心理士は確かに心理学の素養があり、知識が豊富です。しかしながら心理学史、精神物理学、多変量解析の知識がそのままカウンセリング能力に反映するわけではありません。

資格が絶対かというとそういうわけではなく、例えばLGBTの人が性別適合手術を受けるに当たってはそのクリニックには専門のカウンセラーがいます。たいていその人もLGBTで、やはり性別適合手術を受けていることも多いです。どの程度別の性に身体を変えていくか、そのコストは、健康上もたらされるリスクと性別違和に関するメンタルの影響など、何も知らない院卒の公認心理師、臨床心理士がぽんと入ってもそういった専門的な話には対応できないでしょうし、真の共感も難しいと思うのです。

⑵ 認知行動療法推し

原田さんは認知行動療法にはエビデンスがあるから信頼性があるけれどもその他の精神療法、例えば精神分析にはエビデンスがないと言います。

僕はどうしたらいいんだろう、1人でいることの能力を獲得しなければならない人や依存する能力を必要としているクライエントさんに精神分析的な概念なしにどうやって説明したらいいんだろう、そして愛着障害を抱える人に対する精神分析を援用したメンタライゼーションMBTは使ってはいけないのだろうかと泣きそうでつらたみが深くやばみんな気持ちになりました。

そもそも精神分析は境界性パーソナリティ障害概念を作り出しその有効性はアメリカ精神医学会でもエビデンスは出ています。

そしてメンタライゼーションのエビデンスもあるのに原田さんは知らないのか、いやまさか国立名門大学の先生なのにそんなことはないだろうと不思議な気分です。

精神分析箱庭芸術療法をやらせるようなカウンセリングは全部ダメそういうカウンセラーにかかったら別のカウンセラーを探した方がいいと書いてあるのを見て、「あ、そうか」これは納得したのです。

きっと原田さんは前世療法、ホメオパシー、チャクラヒーリングを勧めているんだなと理解しました。心理学で扱う精神療法に限らずヒーリングも効果があるということがわかりました。

さて、箱庭、描画もよくないと書かれていましたがこうしたプレイセラピーに近い心理療法は教育相談所などで子どもが喜んで行ってから不登校の子どもたちがやがて教室復帰していくのを見てきた僕としては原田さんの「子どもは遊んではいけない、首根っこを掴んででも泣き叫ぶ子どもを学校に連れて行けば不登校は治る」という戸◯ヨットスクール流の手法にエビデンスがあるというんだなあとも思いました。

箱庭療法の脳科学動態研究で脳血流量が増加して活性化されるという研究は最近かなり多く出てきているのは知らないのかな、いやこれはもし調べて知らなかったようなことがあったらその人は勉強していない証拠だろう(反実仮想)と心理学徒を試していることにはっと気づきました。

イライラ、いや色々と意義がある原田さんの記事を読んでこの人は認知行動療法ではなく、「The HARADA therapy」というまだエビデンスのない精神療法を創設したいという、生きているうちには誰にも共感されず、死後その業績が認められるようなアートを打ち立てていく大望があるのだということがわかりました。

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それを棄てたら
大切な何かが消えてしまいそうで ༻


◯ 公認心理師試験事例には出ない・か?「自殺予防」院生と話してみたぬ

1.序

僕もこの業界が長くなってくると、もちろん自分が研修を受けることや先達に指導されることもあるのですが、後輩に指導、というよりもカウンセリングの手法について話し合う機会があります。

この前現役美人院生(たまたまそうだっただけで、狙って若い女性と話す意図はありませんでした。)と話す機会がありました。ふと自殺予防とカウンセリングにおける対応について話題になり、彼女からカウンセリングにおける希死念慮の扱いについて質問されました。

2.実際の会話

院生:ぴゃ?おはみざわとしひこ

僕:おはみん

院生:ね、ひなたん希死念慮が高い人の希死念慮を止めるとかえって高まるんでしょ?

僕:ちょwおま先生って呼ばなくてもいいからさん付けぐらいとりましてみん。場合によるかな?みおみん

院生:この前ね、先輩たちのやってるケース検討会出席してちょっと思ったことがあってね、ワタシ自分で考えてみたんだけど希死念慮を家族やカウンセラーから否定されると内にこもって言い辛くなってなおさら希死念慮が高まるんじゃないかって。あきらんどう思う?

僕:いやだから、ま、あの、みおみん鋭い視点だね。児童虐待も同じような問題抱えててね。例えば性的虐待を女の子が学校で話し始めて学校の先生が「ナニソレ!」的な対応をすると子どもは「まずいこと話しちゃった!」とそれ以上話さなくなる。こっちの反応はダイレクトにカウンセリングのプロセスに影響する。希死念慮を止めた方がいいのはきちんと止める側の真意や熱意や愛情が伝わる時。この見極めが難しいぬ

院生:それな!家族から泣きながら止められたり、カウンセラーから否定されると内攻するクライエントは「ワタシ家族をこんなに苦しめてる。カウンセラーさんも困ってる。ワタシは悪い子だから死にたい」ってなるんじゃないかなぁ。カウンセラーは仕事でやってるってことは投影同一視するような子には区別つかないんじゃないかぬ?

僕:そんなつらたんなんだったら死にたくなるのも無理ないよ、よく頑張って来たねと言うこともあるよ

院生:うん、クライエントだったらほっとするんじゃないかな。ここでは希死念慮をカウンセラーの先生が受け止めてくれるし、自由に死にたい気持ちやつらみを話せるって泣いちゃうと思うぽよ

僕:よく頑張ってきたね、そんなに辛いのにどうして生きてこられたんですか?っていうのは教科書的なセオリーだけどみおみんどう思う?

院生:どうしてそんなにつらいのにやってこられたんですか、と言われたら、「分かりません。やるしかなかったんです。進まなければ社会に捨てられると思ったんです。」と怒りを表出するかもぽよ。でも怒りを表出できたらカタルシスになっていいかもしれないぬ

僕:みおみんすごいね、臨床的なセンスあるみん。ちな、僕叱りつけることもある

院生:どんな?

僕:死ぬなんて甘えるんじゃねえ、一流会社クビになっても土木作業でもなんでも地を這いずって泥をなめても働け。お前はまだ役に立てるだろ

院生:すごみん

僕:頭くる?

院生:いや、泣くと思う。がんばるかぁって。その言葉で、すぐ立ち直れるわけじゃないけど、力にはなるかな

僕:治療アドヒアランスやコンプライアンス低いクライエントには怒鳴ることもある。治る気がないならカウンセリング来なくてもいいし病院も行かなくてもいい。いい加減にしろ。明日また来い病院には今予約すると言ってその場で家族と病院に電話。

院生:うん

僕:飲酒で崩れていたら高い利子払うなと言う。昨日一億借りて今日三億払うのかと言う。どっかで聞いてパクったけどすごい言葉。

院生:一理ありみんぽよ

僕:スパルタカウンセリングぬ

院生:あきらんは本当にクライエント助けようとしている感じがあるぬ

僕:あとね、医療者はいつも救命を考えているから未遂した患者には陰性転移が起こることもある。プロでも言いかねないのは未遂をした患者に向かって「そんな方法じゃ死ねないよ」と言うこと。カウンセラーは死なないで欲しいから「そんな方法じゃ無駄だからもうやらないで生きてて」と思って焦る。クライエントはそんな方法じゃ死ねないんだったらどんな方法だったら死ねるのかとすぐ頭の中でぐるぐると死に方を考える。

院生:あとさ、実習でケース持った時気づいたのは、こっちが何かでメンブレな時には面接終わるとつかれみが半端ない。きちんとコンディション整えておかないとダメぬ

僕:みおみんはえらいぬ。僕だけじゃなくていろんな人に聞いてみるといいと思うみん

院生:そうするぬ

3.結語

僕の対応は習ったものもあれば自分で身につけたものもあり、まともな心理職の人から見るとかなり変わっていたり、反論もありよりかもしれません。

僕は美人で可愛い彼女に限らず、他の院生や、なりたての心理職の人とも話す機会があるのですが今時の若い人たちはものすごくよく頑張って勉強している。しかも想像力も臨床的センスも高い、とこの会話を通じて感心しました。

現役院生や卒後間もない若い心理職の方々にはこれからどんどんいろいろなことにチャレンジしてよく学び、僕なんぞのような「心理シカやる仕事ない」「心理職デモやるか」というデモシカな、ぐうたら心理職をどんどん乗り越えて活躍してもらいたいものだと思ったのです。

※ この会話を校閲して下さった上で記事にすることを快く了承してくださった美人大学院生みおみんさんに謝辞を表したいと思います。

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ひとが何かを感じるのは大なり小なり環境に変化があった時。美味しい(まずい)ものを食べた時、美しい(醜い)ものを観た時、夢から醒めた時、それに伴って喜怒哀楽の感情が生まれた時など。無感情に近い静かの海を漂うも佳し、激情の大空を舞うも佳し。そのどちらもあるからこそ人生は面白いんだろうね。


◯ 認知症患者をdisる医師を軽蔑します

1.序

Twitterで某クリニックの医師が長谷川式知能検査(HDS-R)で認知症患者さんの取り繕い反応(今日は何月何日?→カレンダー自分で見たら?100から7引いたら?→いやだ)を「大喜利」と呼んでいたことについて、僕がtweetしたりクレームを入れたら医師から謝られたということがありましたが、まだ大変不愉快な思いをしています。これについて自分自身の体験とオーバーラップしているところがあり自分語りを混ぜながら書いてみます。



母が昨年10月に悪性リンパ腫で悶え苦しみながら死去、その1カ月後に元気だった父が突然ラクナ性脳梗塞を起こし左後頭葉壊死による右側半側空間無視、頭頂葉前頭葉にも病変部があり流動性知能はめちゃくちゃな状態、HDS-Rは12点被保佐人です。

傾眠傾向がひどく、血栓を融解させるバイアスピリンを通常の倍量服薬していて転倒出血したらすぐ救急車を呼ばなければならない状態で僕も含めた親族で在宅介護を緊張しながらしています。

今度梗塞を起こしたら心筋梗塞なのか脳梗塞なのか、今度はどの脳の部分にダメージがあるのか、ALSのように意思表示ができなくなるのか、歩くこともままならないけれども入院を死ぬほど嫌がっている父の在宅介護を追求しています。

何千回も同じ話を楽しそうにしている父のことを昔からわかってくれている喫茶店のマスターはいつもニコニコしながら父が話を繰り返すのを聞いてくれているのです。

DMというベースライン疾患も持っている父の余命は限られているだろうことと、感染症に注意を払い僕も大きく行動制限をせざるを得ないという事情があったのでなおさら不快に思ったのでしょう。しかしどの家族も何かを必ず抱えているのは医師なら知っているのが当たり前と思っています。

2.医の倫理

ヒポクラテスの誓いにあるように患者に危害を加えない、そして固く口を閉ざすという倫理基準は多くの医学部で新入生が宣誓させられています。

ヒポクラテスの倫理を現代版にしたジュネーブ宣言でも人間への尊厳や守秘義務が書かれていて、この宣言をさせる医学部も多いです。

3.個人情報保護

そもそも刑法134条1項には医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処するが定められていて、心理職も当たり前ですが、守秘義務は自他の危害のおそれがあるごく限られた場合を除いて(患者が殺人予告をして実行したことを誰にも言わなかった医師が訴追されたタラソフ判決、労働契約法第5条安全配慮義務)個人情報には重い守秘義務が課せられています。

神経質なのかどうかはわかりませんが僕は急な呼出しがかかった時は父の介護中、交代で叔母に来てもらう時にも「どうして?」と言われて「言えない」と言っています。

患者情報は関係のない同僚ばかりでなく心理職同士で引き継ぎをする時でも僕は患者さん本人の同意が得られなければ交換しません。 

そう言えば若い青年のクライエントさんがやって来た時に「主治医の先生には言わないでください」と痛切に訴えたことに対し、じっと秘密を守り続けた津川律子先生の「面接技術としての心理アセスメント」中の症例紹介は実に堂々とした心理士としての揺るぎないどっしりとした態度が描かれており、感心して読んだのを覚えています。

「医療・介護関係事業者における個人情報の 適切な取扱いのためのガイダンス」 に関するQ&A(事例集)平成29年5月30日 個人情報保護委員会事務局 厚生労働省 には医療における個人情報保護についての詳細なガイドラインが示されています。

診療録(カルテ)開示についても触れられていますが、診療録はかなり重い個人情報です。家族に開示しない場合もありますし、弁護士にも開示しない場合もあります。

(話は逸れますが本人からの開示によっても病状が悪化するおそれがある場合は診療録開示を行わないことができます。異議申立ては都道府県に対してできるのですが、ほとんどの場合却下されています。精神科における情報取扱いの暗黒部分と言えます。)

という法律や通達、各種ガイドラインでぎちぎちに縛られている患者さんに関する情報を、この医師だけでなく
なぜ安易にSNSに書き込む医師がいるのでしょうか?

ちな、Twitterでは非常に立派でSNSを通じて医療情報発信や医療社会活動をしている医クラ医師の先生たちはとても多く、呼吸器内科医キュート先生、病理医ヤンデル先生ほか内外の先生方から多くの情報を得ていて感謝していることも書き加えておきます。

4.患者や家族の尊厳

母の担当医は若い研修医出立ての医師でした。意思表示がもうできなくなった母が亡くなる寸前、医師がどうしても聞かなければならない選択肢を家族に聞きます。心停止した場合、挿管(気道確保)をするか、心臓マッサージをするかについてです。

医師は慎重に言葉を選びながら、母はもうどんな治療をしても命は助からないこと、救命措置をした場合、生きられる時間は伸びるかもしれない、ただし挿管の苦しみと心マで肋骨が折れるかもしれない、その場合もし少しでも意識があったら最期の記憶は激痛だろうと説明してくれました(この心停止後のIC=インフォームドコンセントのやり方について議論はあります。)。

死の際という最も家族にとってはショッキングな事態に際し、落ち着いた口調で丁寧に説明してくれた若い医師に対し、僕は並の心理職よりも高いICにおける心理的介入のスキルに感心しました。

若い医師は家族に選択権があることを伝える義務がありながらも母に苦しみを与えたくなかったのでしょう。なるべく心停止後は救命措置を行いたくないニュアンスを込めながら、どうしますか?と医師が言ったとき父が「一瞬でも長く…」口を開きかけたのを僕と妹(仲悪し・看護師)が同時に「やめてください」と言い、父も肩を落として「わかった…」と。

前置きが長くなりました。若くて研修医終わり立てでも何科でも優秀な医師は心理学者としてもカウンセラーとしても優秀なのです。

僕が前掲tweetの医師の発言に悔しい感情を持ったのは、メスも薬も持てないけれども、心理職として一人の命を大切にするためにいつも心砕いている自分の仕事が大切にしている宝物のような患者さんや家族の尊厳を穢されたような気がしたからです。

クライエントさん、患者さんがどんなに破綻していても機能が低下していても、まず否定から入ったり、笑い者にしたり、それを大喜利とまで呼んでSNSに書くような心理の後輩がいたらまず怒鳴りつけるか淡々と心理職を辞めるように説くでしょう。そして見放すのではなく見捨てると思うのです。

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