◯ 2020.3.16.現在COVID-19新型コロナ情報・心理職には何ができるか?
2020.3.16正午までの集計厚生労働省発表によるとこれまでの累計感染者数814人、患者714人、無症状陽性者82人、164人退院、138人退院、無症状陽性者25人です。(クルーズ船除く)
この数字を見て「ああ日本はどんどん感染が広がっているからおしまいなんだなあ」と思う人もいるかもしれませんが、この数字だけでそういう判断をするのは無意味どころか有害に過ぎません。
日本地図を出してここの地域でこれだけ感染者が出たぞ、というマスコミの報道はぜひやめていただきたい。
COVID-19は発症源と推定されている中国でも新規感染者よりも回復者が多くなっています。2020.3.9実効再生産数(患者1人が患者を感染させる数が専門家会議では1前後ということは、これから感染者が出てこないという意味ではなく、感染者が出ても鎮静化するのは実効再生産数R0>1.0の場合で、これは日本においてはまだ今後はわからない数字です。
日本の初動体制がかなり批判されていますがクルーズ船3,711人乗員を停泊させて降さなかった、密閉空間で712人感染、うち334人、退院者は458人です。日本の医療スタッフが政府の封じ込め施策後にいかにクルーズ船内の患者救命に尽力したか、これは当該医療従事者としては十分誇っていい数字だと思います。
厚生労働省も今回の感染がこれで全て収束するとは考えておらず、再感染の可能性があると明言しています。
この感染症はパンデミックだとWHOが宣言したので「ああ、この世界は終わりだ」と思うのはやめましょう。この感染症は致死率1.0パーセントから3.5パーセントと言われ、80パーセントが軽症で80パーセントが他者に感染させない病です。
重症呼吸器肺炎、致死率9.6パーセントSARSからは多くの国がその封じ込めに成功しています。顕著な施策に成功したのは台湾で、SARSにもCOVID-19にも特効薬がなかったにもかかわらず、発症者を隔離、人工呼吸器や輸液の活用で数多くの生還者が出て、やがて鎮静化しました。
台湾における感染症対策はスマートフォンとQRコードを利用してビッグデータを解析して124項目にわたって分析を行なっています。台湾はいち早く日本を危険感染国として入国制限をしているのはこういうデータに基づいているからでしょう。(Medical Tribune)
致死率5割と言われるエボラ出血熱もこうした封じ込め作戦で鎮静化させたのですが、潜伏期間が長く、症状が顕在化しにくいCOVID-19はクラスターで分類しても長期化する可能性は確かにあります。
ただし、これもR0数値にかかわって来ています。発症してからの日本の感染者数は必ず増えます。 ただし、回復者がどのぐらいいるのかという数値にも注目しないと「あ、ほらまた出た、日本は危険だぞー」というマスコミに踊らされます。この国に限らず、人というものは破滅的な情報を信じたくなるものです。
2009年、夏に流行した新型インフルエンザはタミフルの有効性も確認されないままにいつの間にか収束しました。1918年のスペイン風邪は不安だけが世界中にウイルスとともに蔓延していました。
わからないわからないばかり言っていても仕方ないので、手洗いはきちんとしましょう。一介の心理職ですが、不安だ不安だと不安を広げるよりは、正確な情報で安心と安全を確保する方が大切だと思っています。
今この状態で心理職は医療業務有資格者でもなく、できることは限られています。この人手不足の中行動することを制限されているようで歯がゆいかもしれません。正確な知識を得ること、そして流言に踊らされないこと、手洗いの重要性を伝えること、それだけでもかなり大切な役割で、培ってきたコミュニケーション能力を発揮できる場だと思うのです。