ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2020年03月

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◯ 公認心理師事例問題対策・生物・心理・社会的理解とインフォームドコンセント・連携の哲学

1.序・とにかく難しい事例問題

第2回公認心理師試験は客観的に見ても難しかったと思います。実際僕も解いてみてそう思いました。「え?そう?」と言っていたのはとある超名門スパルタ大学院新卒者で楽々8割程度正答していましたが、彼女は各領域を転々とした後、Gルート受験も可能だったのですがあえて大学院卒業を待って受験した才媛なので例外と思うことにしましょう。

「事例問題対策のコツ」はさまざまな人が書いていますが、そこをすり抜けてきわどい設問をしてくるのが公認心理師試験だと思います。

実際知識問題よりも事例問題不正答率が高かったという解析結果も出ています。

2.事例問題には医学優位の思想がある

事例問題には思想があります。試験委員にも数多くの医師がいて、この試験のスローガンは生物・心理・社会モデルBio-Psycho-Social modelです。

一番先に生物が来ることに注目します。たとえ司法や教育領域に勤めている心理職でもこの試験に合格するためには事例問題を解く上では「医師に相談する」「医師に報告する」という選択肢があったらサービス問題で、ラッキーと思ってその選択肢を選ぶことです。

どうしても医師に話す際に患者さんの了解が得られないときには説明(インフォームド・コンセントIC)を懇切丁寧に取り医師に報告することは正解になります。

「いや、オレは心理職としての矜恃があるからクライエントとの治療同盟が第一、そのあとに医師への報告は1カ月後でもいい」などと臨床哲学をマークシート相手に戦ってもムダです。

貴重な3点を失うだけです。あくまでも第一は生物=医学です。一方的に医師勢の味方をするわけではありませんが、実務的にも臨床面接をする上で心理職は何度もこの哲学に直面します。

「何でこんなに具合が悪いんでしょうねえ、不思議だなあ」

そうクライエントさんが言う時に、今まで毅然と業務指導をしながらクライエントさんにできる仕事の割り振りを細かく行い、支えていた上司が転勤などで不在になってしまった。そしてクライエントさんの業務負担が増えて仕事への不安が高まってなお不安が高まった容易に推測できたとします。

そういう「社会→心理」が予測される場合でもまずは生物的要因として考えなければいけないということです。

もちろん投薬をこうしましょうと心理師が言うと誤答になるのですが「不思議だなあ」というクライエントさんの言葉こそが「医学=生物」的な発言です。インフォームドコンセントなしに職場や家庭に連絡をするのは医療保護入院以外は×です。医療保護入院でも心理職でなく医師が家族に連絡をするでしょう。ケースワーカーが家族に連絡するかもしれません。入院において心理職はケースワーカーではありませんし権限はありません。

3.生物学中心の発想とは何か

春が訪れそうな季節、どんどん具合を悪くする人は多くいます。「この季節はみんな調子崩すから気をつけてね」という医師もいます。

しかし「春だから」という選択肢はありません。社会・心理的・季節的変化が患者さんに不調をもたらしていると強く予想されたとしても、それは患者さんがそう言わない限りはあくまで生物学的な問題なのです。

ただ、その理由がわかるのならば患者さんに早すぎる洞察を押し付けるのでなく、「こうでしょうか?医師に伝えてもいいですか?」とインフォームドコンセントが取れた時に初めて「社会・心理>生物学」になります。

臨床心理学における教育や各種心理療法の基本は、心理的原因の結果として不調が発生すると仮定しています。

しかし生物学重視の発想で言えば、患者さんが不調になるかどうかの原因は「誰にもわからない」のが正解です。

上記のようなクライエントさんが来て「これまであなたの上司はよくあなたのことを支えてくれていたと思いますよ」と早すぎる先回り洞察をしたら患者さんから拒否されてカウンセリングも治療も中断するかもしれませんので相当な注意が必要ということです。

事例問題については医師がいる環境であればあくまで医師中心の生物学的要因を重視しなければなりません。これは医師の肩入れを一方的にするわけではないです。「わからない」「原因不明」という不調は実際多いです。同じような環境の変化があっても変わらないかむしろ逆方向に精神状態が変化する人といるわけです。

4.ぶれるBio-Psycho-Social modelの軸

教育領域についてはチーム学校概念を重視することです。そして虐待においては子どもや親の了解がなくともすぐさまアクションを起こすのはこれまでの事例問題の傾向です。子どもや保護者に内密にしながら教員チームに情報提供をします。極端に「全く理解を得ずに強引に」というのは不正解ですが。

これは教育というeducational-Socialな視点が臨床心理学的視点を超えるからです。たとえスクールカウンセラーの外部性が重視されたとしても、子どものために心理職がドン・キホーテのように全ての大人と戦って孤立無援になったら何もできないどころか子どもや保護者を追い詰めてしまうというのは真実です。

この試験は正答選択原則があるようです。巧妙な軸のぶれを問うこともあります。

5.心理vs社会

産業場面にいると明らかにパワハラを受けていて通報したい、あるいは通報を勧めたいクライエントさんがいます。ただし、この場合に労働基準監督署や公益通報制度を使うように勧めたら一発で誤答になります。十分に気持ちを聞くことです。また産業医がいれば独立機関としての産業医に相談させることです。

心理面接はどんなに苦しくても(と予想されます)常識の範囲で誰とも調整行為をせずにひたすら延々とクライエントさんの話をまずは聞かなければいけないようです。

6.まとめ

いろいろな視点から見て
・医療領域=生物学>心理・社会
・教育領域=社会>心理
・産業領域=生物学>心理>社会
という構図が成り立ちそうです。

隠された事例問題正答のコツはこうしたいくつもの哲学に支えられているようです。

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◯ 新型コロナウイルスCOVID-19情報2020.3.23・心理学的検証

※ この記事は事実と予期される危機、そして日本人が抱える心理的不安について記録をすることを目的として書いています。

1.感染者数と退院者数

厚生労働省発表、2020.3.21、1200時
   
   国内感染者数 1,007人

     内訳
       患者 887人
無症状病原体保有者 117人
    陽性確定例  6例
      死亡者  35人

退院者数      232人
     内訳
       患者 198人
 
無症状病原体保有者 34人

です。

2.専門家会議

2020.3.19 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では北海道で行っていた大規模封じ込め対策(休校、イベント中止)の結果が発表されています。(以下専門家会議発表結果抜粋)

北海道は実効再生産数(感染症の流行が進行中の集団のある時刻にお ける、1人の感染者が生み出した二次感染者数の平均値 )は0.9〜0.7となりました。

※ 実効再生産数が1.0より増えると感染者は増加、1.0より少なくなると感染者は減少し、収束に向かいます。

また、専門家会議は日本全体の実効再生産数が3月上旬以降、1を下回り続けていることを指摘しているのです。

だからといって専門家会議が現状に予断を許しているいうわけではありません。感染源(リンク)がわからないクラスターが増加するといずれどこかで爆発的感染(オーバーシュート)を起こすかわからないという危険性について指摘しています。

オーバーシュートが起きる時にはその前兆がなく、もしオーバーシュートが起きた際には都市を大規模感染を起こした欧米のように強制的にロックダウンして、人の行き来を禁止し、必要最小限以外の外出や生活必需品購入のための商店を閉鎖するという措置をとらなければならなくなる事態についても専門家会議は想定しています。

基本再生産がR0がドイツのように2.5だとすると最終的には人口の79.9パーセントが感染するとのことです。

専門家会議が重視しているのは3つの条件が重ならないような注意喚起

 1.換気 の悪い密閉空間
 2.人が密集している
 3.近距離での会話や発声が行われる

が大切
という事を指摘しています。
(以上専門家会議結果要約)

3.社会現象

静岡県袋井市でWHO職員を装った男が各戸訪問をして検査費用名目で金銭を騙し取ろうとしたとして逮捕されました。不安につけ込もうとした犯罪です。

不安はPCR検査のあり方にもかかわっています。PCR検査をすればするほどいい、というわけではなく、PCR検査も陰性患者を陽性と判定する偽陽性、その逆に偽陰性と判定してウイルスをばらまくという危険性もあります。

それではPCR検査を大量に行えばいいのか?というとそれには疑問があり、ただでさえ感度に絶対的な信頼性がないPCR検査をさらに感度を下げたPCR検査をやりまくった韓国が今後どうなるのか?まるで感染症対策を巨大な容れ物に人類を入れた大規模医療実験をしているかのようです。

ソフトバンク孫正義氏が簡易PCR100万キットを配布しようとしてストップがかかりました。仮に日本において今で医療・検査機関が水際で対応しているのに、PCR検査を大量にしなくてはならなくなったとしたらその次に予測されるのは医療崩壊です。医療は検査に追われてCOVID-19も他の疾患の治療もできなくなります。

実際、COVID-19でない重症結核性肺炎の老人が「もうちょっと様子を見て」と言われて危うく手遅れになるところだったという事例も聞きます。

医療体制としては引き続き、感染重症者への治療、重症者→中程度を目指すことが大切と指摘されています。

仮に日本がオーバーシュートしたらエクモ(人工肺)、人工呼吸器を全ての患者に提供することは困難になると専門家会議は指摘しています。医療資源というのは医療資材や器具だけでなく、人的資源として医師や看護師等のスタッフ人員、そしてスタッフが使える有限の時間です。

4.現状と社会不安

厚生労働省、そして専門家会議も2020.3.19北海道の結果を感染症対策の一つの結節点として注目していました。厚生労働省指導としては5月までは各種イベント自粛を行うようにとのことです。果たしてその期間を伸ばすべきなのか短縮すべきか、どうなのかについての言及は一切行われていません。現状維持、ということでしょうか。

学校は閉校のまま卒業式が行われなかった完全中止、そして規模を縮小して卒業生のみで行った学校、きちんと実施した学校と種類が分かれました。

閉校のまま春休みに入った学校あり、一時的に登校させてからすぐ春休み、文部科学省は2020.3.17に「春季休業を迎えるに当たり学校において留意すべき事項について、事務連絡」を発出しています。

文部科学省は新学期以降の学級経営の衛生上の留意点について記述するとともに、やはりこの感染症の日本における流行状況は日々刻々と変わることについても言及しています。新学期になったとしても再び閉校とならない、という保証は誰にもできないでしょう。

さて、一部医療関係者を含んでいる、不安を過度に煽り立てるような発言は避けて欲しいですが、事実流行拡大もあり得ます。実効再生産数が1.0未満となって収束の方向に向かうとしても再流行しないとは言い切れないのは前回の専門家会議でも警鐘を鳴らされているところです。

心理職の方々は人の不安に向かい、そして今回は自らも不安とともに止むを得ず共生しなければならない状況です。

上記「3つの条件」が重ならないようにする、手洗いを徹底すること、という心理教育というよりは感染症対策について留意、また経済的な不安、子どもを持つ親の不安、子どもの不安にも対処しなければいけません。

この世界は今大きな社会心理学的実験の中に否応なしに放り込まれています。世界中で根拠のないトイレットペーパーの買占めが起こる、これはデマだとわかっていても先行して他者を出し抜かないと勝てないという囚人のジレンマです。

Gustave Le Bonが「群衆心理」を個人心理とは違った大きな権力として固有の規範的行動があると規定しています。「トイレットペーパーがヤバイ」と一回記述するだけで、スリーパー効果が起こる可能性があるわけです。そうした扇情的なsensation seekingセンセーション・シーキングの方が人々には受け入れられやすいです。

最悪のシナリオとしての流行拡大やロックダウンを避けるためには、情報に踊らされず、中立的な自分を保ち続ける事が肝要でしょう。医療だけでなく市民の節度ある行動によって日本はもちこたえている可能性が高いです。危険性はあると認めつつも、冷静に事態を受け止めて自己を安定させること、それが他者の不安や恐怖を伝播させる防止になると認識が大切だと思うのです。

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◯ スクールカウンセラー常勤化の理念と実態

公立学校スクールカウンセラー研究事業は平成7年から始まり、最初はあくまで「研究」だったのですが、平成18年には14の自治体では90パーセント(中学校)配置終了。

平成25年度には「スクールカウンセラー等活用事業実施要領」となり、研究事業から一応予算化された正式な事業となったと考えています。

さて、スクールカウンセラー導入当初から課題、というか日本臨床心理士会の悲願だったのがスクールカウンセラーの常勤化です。

一部の私立学校ではどんどん常勤のスクールカウンセラーを採用、主にその学校の卒業生から名門大学、大学院に進学した候補者を選んでいました(落ちこぼれて不登校になったり中退したぐらいの人がいいと個人的には思ったのですが)。

現在もほぼスクールカウンセラーの主流は非常勤、例外は名古屋市です。平成26年「なごや子ども応援委員会」が発足し、任期付きながら毎日出勤するというスクールカウンセラー制度が導入されました。

もし理論的にですが、毎日スクールカウンセラーを月〜金曜まで非常勤かけもちで行うとことができたら理論的には年収700万円(実際にはそんなに毎日勤務できるわけではないのでありえないのですが)、ところが名古屋市については常勤年収800万円を基準とするという、ワープア心理職としては画期的な制度です。

「理念と実態」という大仰な事を書きましたが、常勤化の理念が実態としてどうなるかは、学校という有機体、特に校長教頭という管理職がスクールカウンセラーという存在をどうとらえているか、そして当該スクールカウンセラーがどういう働き方をしているのかということが実態として反映されているのだと思います。

文部科学省のスクールカウンセラー活用事業では教職員のカウンセリングをすること、というのは重要課題としてあげられていました。教職員のうつ病発生率などが喫緊の課題となっていたからです。

スクールカウンセラーの「外部性」というのは大切なことながら、疎かにされがちです。ある日出勤したら「おーい、◯◯先生が病気で休職したからひなたさんの携帯番号教えておいたよ」と、ひきつった思いをしたのですが、外部性と内部性はSCにおいては大変不分明なところです。

学校の定期の飲み会に学校で誘われたらどうするのか?さしつさされつ宴席で平静でいるのは難しいです。スクールカウンセラーが常勤化されると職員室に机があって毎日先生方と雑談しながら外部性を保っていくのはなかなか難しい課題です。

外部性を貫いているSCの方には申し訳ないのですが、僕のところに「家族の悩み」として子どもの悩みを話してきた人には、担任に話してみようか、信頼できるとしたら副担任?部活の顧問、もしじっくりと話を聞いて欲しかったらスクールカウンセラーもいいですよ。そしてスクールカウンセラーに相談したら自動的に校長まで話が伝わるからいいですよ。

という、カウンセリングに行っても守秘義務なんかないよ、というSCにとっては情け容赦ない話し方をしています。

実際、カウンセリングというのは自分の秘密を守ってくれる、という子どもも心理カウンセリングに対する期待を当然のごとくしていますが、相談した翌日に保護者校長教頭、コーディネーターを含んで会議が行われることが度々あり、子どもから「スクールカウンセラーは秘密を守らない」という不信感につながっていることはとても多いです。

所詮スクールカウンセラーは週イチで数時間しか来ない、どこかにいるかいないか、しかも何をしているのかわけのわからないおじさんお姉さんなのです。

家永理論の「チーム学校」は子どものころからカウンセリングに対する不信感を醸成するということを余儀なくさせています。

バレンタインデーに「友だちだと思っていたAちゃんから友チョコもらえなかったよ、うわーん」という相談室に来た女の子の話をきちんと担任に伝えて、担任がしっかりとした人だったらそれとなくAちゃんとの仲を取り持つようにしてくれますし、担任はそういう情報を伝えてくれたSCに感謝します。

ところがどうでしょう。解決したといってもこのSCとしての不全感は。いくらなごや子ども応援委員会にSCは所属していて、校長の配下にないという形態であっても子どもはそうは見ませんし、SCも校長もそう考えてはいません。朝礼に出ない、とかカウンセラー室に詰めている、としても内部の人です。

終身雇用制ではなく、任期制ということで、なごや子ども応援委員会にSCは首根っこを掴まれているも同然なので、きっと学校からクレームが行けば次の年の採用はない。とSCは思って仕事をしています。

これは名古屋ではないのですが、とあるSCと校長との、生徒の守秘義務をめぐっての激しい軋轢に県教委がより激しく校長を諫めて不愉快な校長が定年するまでSCは安泰に勤められたという例外もありました。

結論:チーム学校は理念そのものは間違いはない。ただし、校長が頂点となったチーム学校の中の最下位にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが置かれるのはおかしい。スクールカウンセラーは外部性、というよりも外部機関として任期なしでの常勤化をされていかないと学校の相談機能はSCにはできなくなるだろう。ということです。

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◯ 心理療法再復習・動作法・EBP・TTM・対人関係療法

・動作法
脳性麻痺肢体不自由児童の改善を目的として始まった動作訓練が発端の心理療法です。

Jacobson,Eの漸進弛緩法(Progressive Muscle Relaxation=PMRもこの中に位置付けられます。
)PMRはストレッチでなく、
手、首と肩、顔 、胸、腹、背中、脚といった全身に力を入れてそれから緩めるというリラックス法で、緊張→リラックスを繰り返すという動作法のエッセンスが多く含まれています。

日本における動作法の大家は成瀬悟策教授で、当初は催眠、トランスの専門家でしたがほぼ動作法の研究に専念するようになりました。(動作法も催眠でないとは言い切れませんが)

動作法の適用範囲は幅広く、乳児に対して子育て支援、疼痛症患者、身体表現性障害、ASD、不安症によく適応するほか、ADHD、ダウン症、脳卒中後遺症、スポーツのリラクゼーション、高齢者健康法、強迫神経症、BPDにも有効性があります。

脳性麻痺で坐位、膝立ちが課題であれば股伸ばしを行います。

不安、緊張が高いクライエントだとカウンセリングののち動作法を導入することも多くあります。

動作法ワークショップでは肩の上下運動がイントロダクションとして使われることが多いのですが、肩を上げて思い切り筋緊張させた後に力を抜いてリラックスします。

それを全身に対して行い、それまで体がいかに緊張していたかということへの気づきを促します。

動作法は上記の記述だけだと、単なる筋肉の運動ととらわれてしまうかもしれませんが、実際には動作を通じ、いかに自分がそれまでメンタル的に緊張していたかを知ることができます。

身体がかるくなるというのは動作法を行った人が多く実感として体験することですが、自己肯定感の高まりも効果としてあげられます。

緊張もまた生活には必要です。

緊張とリラックスの調和で精神を安定させる心理療法です。

◯ 心理療法に関するエビデンスベイスドプラクティス(EBP)

DSMでアセスメント、実証的に支持されている心理療法(Empirically Supported Treatment)EST及コクラン・レビュー(医学論文のシステマティックなレビューを集めたデータベース)で、エビデンスがある心理療法を優先的選択肢とする。

コクラン共同計画(Cochrane
Collaboration)はまた、このメタアナリシスに基づいたレビューをオンライン上で誰にでもアクセス可能としたことが画期的でした。

コクラン共同計画のレビューは

1.根拠に基づく医療の浸透による診療の質向上、そしてそれによる患者アウトカムの向上

2.医療者と患者双方に、よりバランスの取れた確かな情報の提供と共有による、関係性の向上

3.臨床研究の推進(手法も利益の相反も含めて質の向上)

と、医療を選択して受ける権利が患者の側にあることが明示されています。

一方的に心理療法を指示されると抵抗を示すリアクタンスが低い方が効果的なアプローチです。

コクラン共同計画(リンクフリー)
https://www.cochrane.org/

また、コクラン共同計画日本支部に関するプレスリリース
https://www.ncchd.go.jp/press/2014/topic140530-1.html
(国立成育医療研究センター)

GuattによればEBM(Evidence-
Baced Medicine)とは、研究者による最善のエビデンスと臨床的技能、及び患者の価値観を統合するものである。

実際、アメリカ心理学会でもEBPは「患者の特性、文化、好みに合わせて活用できる最善の研究成果を臨床技能と統合することである」

と定義されています。

多文化価値観を尊重することがコクランの発想とも一致していますし、患者が選んだ心理療法はドロップアウト率も低くなるでしょう。

価値に基づく実践(Value Baced Practice)VBPで、支援者にとって正しいと思われる選択肢と被支援者にとって正しい選択は必ずしも一致しないことを示しています。

原田によれば、ナラティブなNBMの語りもまたEBMに包含されるので、矛盾しないと述べています。(原田隆之 2015)

心理療法にも適正処遇交互作用ATIの考え方は必要になります。

3.11後に報道されたのでご存知の方もいるかも知れませんが、被災児童にアートセラピーを実施したところ、悪夢にうなされた児童が多数派出たということがニュースになっています。これは適正処遇交互作用を誤った例ではないでしょうか。

◯ TTM

transtheoreticalモデルTTMで知られているProchaska,J.O.は心理療法による行動変化を6つのステージとして概念化しています。

現任者テキストでもこのステージは書かれているのですが、厚生労働省が禁煙プログラムの一環として、このプロチャスカのステージを紹介していて、興味深いものとなっていますので、カウンセリングと交えて紹介します。

https://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/kin-en-sien/manual2/dl/manual2_06.pdf

・前熟考期:問題に気づいていない。
「今後6カ月以内に禁煙を考えていない」関心がない。失敗した。
実際、これまでのカウンセリングは前熟考期のクライエントに対しての手段を持っていませんでしたが、カウンセリング技術の進歩は前熟考期のクライエントについても症状/状況には動機付け面接法、対人葛藤には対人関係精神分析(Sullivan,H.S. Fromm,E)
家族葛藤には戦略派家族療法、(Jay,Haley)個人内葛藤には精神分析的心理療法が有効とされています。
(この辺りは、何の構えがなくとも、セラピストが主体的に話をしていくことや心理教育的なかかわりで相手の変化を促すことができるからでしょうか。戦略派家族療法では動機付けが低いクライエントにかなり強力に働きかけていくからでしょうか。)

・熟考期:関心がある
「今後6カ月以内に禁煙を考えている」

ただし、この熟考期があまりに長引くことは問題を先送りするということにもなるので推奨されていません。

この時期になると不適応な認知についてアドラー派心理療法(器官劣等性を持っている、共同体感覚をみにつけるため、勇気付けが有効だからでしょうか)
対人葛藤について交流分析(Transactional Analysis,TA Berne,E PACモデルはわかりやすく、人生脚本などで動機付けを高められます)
家族葛藤について、ジェノグラム分析的で知られるボーエン派家族療法が有効です。

この時期の個人内葛藤には実存心理療法が有効です。

準備期:「今後1カ月以内に禁煙を考えている」

心理面では医師、カウンセラーに実際に相談に行きます。

不適応な認知では、論理情動心理療法(イラショナル・ビリーフ、非合理な(あるいは有益ではない)信念の変容をせまる)、認知療法、第3世代行動療法(マインドフルネス行動療法MBCT、ACT)があります。

マインドフルネスは自ら変わろうとする内省的行動と思考の変化をクライエントが求めます。

ACT(関係フレーム療法)でも不快な気分について、特にそれをあるがままで受け止めることが能動的に要求されます。

対人関係療法Interpersonal Psychotherapy IPTは短期間のうちに対人関係の中でその人が果たしている役割の変化、喪失の体験を受け入れることを分析します。

具体的には
1.喪失(重要な他者を喪失したことを受け入れられない)
2.役割期待についてお互いの相違
3.役割変化の不適応(結婚、出産、昇進等)
(4)対人関係の欠如(孤立、孤独)

会社員、主婦、学生が「甘えている、怠けているだけだから」という歪んだ認知を持ちながら無理しようとしていたらIPTではクライエントに「病者の役割」を付与して、休むという処方をします。

エンプティ・チェアや夢をポジティブに捉えて語るドリームワーク、自己や他者になって演じる能動的なゲシュタルトセラピーも準備期に個人内葛藤を解決するために有効です。

これらは準備期にあって、カウンセリングを受けるレディネスがないと受け入れられない心理療法でしょう。

心理療法にはさらに2つの段階があります。

実行期Actionと維持期Maintenanceですが、症状についてはかなり患者さんにとってきつい思いをするかもしれませんが、行動療法では暴露Exposureに晒され続けて恐怖を克服するという試みも必要でしょう。

Exposureは不潔恐怖の人に着衣のまま床を転がるように強力な暴露をさせることがあります。

EMDRはShapiro,Fが偶然に編み出した、眼球運動等両側性刺激を行い、PTSD患者さんに特化した心理療法です。クライエントはEMDRを受けながらカウンセラーの認知の編み込みの言葉を聞くというものですが、Trauma記憶が次々に引き出されたり、ストレスを想起、右大脳半球に停滞しているTraumaの消去を試みるという意味では、クライエントによっては侵襲性が絶対にないとは言えません。

もっともEMDRはPTSDに対して3回のセッションで70パーセントを劇的に好転させたというEBMでもあります。

また、EMDRは脳に直接働きかけるかのような強力な技法なので、疲労を感じる人もいます。

それでも治療を受け続けるのは実行期以上だから可能なことです。

家族葛藤を抱える準備期以上のクライエントには構造派家族療法を使います。Minuchin,S.による家族療法で、境界線(boundary、提携(alignment)、権力(power) のうちどれかを変革させます。

ワンウェイミラーを見ながら家族の様子を観察、葛藤場面を実際に再現してもらうエナクトメント(enactment)技法を使います。

例えば暴れる子供について母親が「悪い子」とラベリングしていれば「もっとかかわって欲しいのでしょう」とリラベリング(re-labeling)します。

セラピストがシナリオを演出し、ドラマティックな介入を行い、家族に対してかなり厳しい言葉を使いながらも労うという、Kick and Hugという技法も使います。

◯ その他

現任者テキストにはその他の心理療法として遊戯療法、絵画療法、心理劇Moreno,J.L.音楽療法、ダンスセラピーがあげられています。

運動療法がSSRIよりも効果的だというRCT結果の論文は多数発表されています。

現認者テキストに書いてあるとおりですが、心理至上主義でさまざまな弊害が起きるので、敢えてカウンセリングをしないという選択が正しい場合もあります。

過呼吸癖はパニック障害だから認知行動療法で収まる、というのは医師がカウンセリングを命じた時はそうしてもいいでしょうが、医療機関以外で過呼吸の患者を抱えていると、実は心肺に異常があり、放っておくと生死にかかわるWPW症候群ということもありますので、循環器内科の除外診断が必要なことがあります。

あってはならないことですが、産業場面では無茶な労働をさせるため、辞職させるためにカウンセリングを受けさせることもあります。

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◯ 公認心理師・心理職が本当に取るべきお役立ち資格とは?

以前衛生管理者が役立つのではないか(産業領域の人なら抜群にお役立ちです。)他にはお役立ち資格はないかな?と思って見ていたらふと目についた資格がありました。

それは「認知症ケア専門士」「認知症ケア准専門士」です。認知症ケア専門士は認知症介護施設の教育、就労経験、研究3年以上の人が受験資格があります。

2005年から始まった資格で、2018年までの受験者は認知症ケア専門士に限って言えば累計受験者10万3,098人、合格者5万3,452人と合格率51.8パーセントとなかなかの難関資格と言えます。

合格者内訳を見ると介護福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター、社会福祉士、作業療法士、理学療法士、精神保健福祉士etcが多く、医師の有資格者もいます。

一般社団法人認知症ケア学会が設立している資格です。認知症ケア専門士について老人福祉施設やリハビリテーション病院などで聞いたことがあり、有資格者が誇りを持って働いているということを聞いて、早速認知症ケア専門士認定事務局に電話取材を試みました。

僕:認知症ケア専門士という資格があり、ほかにさまざまな有資格者がこの資格を持って働いているようですが。
事:はい、主に介護の資格ですが、民間資格なので一般教養的なもので、取ったからといってすぐ何かに結びつくというものではないのですが。
僕:公認心理師とか心理職のブログを書いている者ですが、心理の仕事をしている人でこの資格を取得している人はいますか?
事:あまりいないのが実情ですね。でも学会の要職には心理の先生もいらっしゃいます。
僕:認知症ケアを行う施設には心理職も多く勤めていると思います。心理職が認知症の知識を深めるためにこの資格を取るのはいいことだ、と思いまして、ブログに書かせていただきたいのですが。
事:それはぜひお願いします。事務局のXと申します。

以下、事務局のホームページからの引用です。この試験に必要なのは
筆記試験では

認知症ケアの基礎
認知症ケアの実際I:総論
認知症ケアの実際II:各論
認知症ケアにおける社会資源

となります。試験はケアの理念、医学、心理、社会、関係法令と多岐にわたっていますので確かに相当な難易度を持つ試験だと思います。

さて、職場としての老人福祉施設・病院ですが、近年幼稚園、保育園に老人ホームが隣接していて子どもにも老人にもいい影響を与えるから、ということでなかなか明るい雰囲気です。

病院でも特別養護老人ホームでも、ヘルパー資格を取得したての元気な若者が生き生きと働いていて、重い物を動かす力持ちの男性は重宝されています。

老人施設で働く心理職は心理テストとして長谷川式知能検査HDS-RやMMSEは成年後見制度との絡みで必ず取れなければいけないのですが、認知症の程度を見てケアプランに役立てるためにCDT、ADAS、WAIS-Ⅳ、前頭側頭葉アセスメントバッテリー(FAB)、高齢者うつスケール(GDS)、脳波測定記録を読めることが採用条件となっている、大変ハードルが高そうな施設もあります。

アセスメントのほか、個人療法としての回想法、認知症の中核症状だけでなく、怒りっぽくなったり感情の障害が出てきたり、施設から離脱したがる認知症周辺症状BPSD Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaへの対処、集団デイケアや家族へのかかわりや研修会などやることは目白押しです。

最近明るい雰囲気の老人施設が増えて来たとは言え、通常の人よりもハンディのある人たちを預かる施設ですから職員は重労働で、介護、看護職員は交代で宿直勤務をしています。

また、施設内で亡くなられる入所者さんや患者さんが多いことも事実です。児童を扱う施設は虐待経験がある子どもたちを扱いつつ、宿直勤務をしながら重労働に直面している心理職が多くいます。

それでは老人施設、病院はどうかというと、認知機能が低下した老人であっても人間としての尊厳があることを忘れず、その人の人格を尊重しながらかかわりを持っていくという、大変やりがいのある仕事だと思います。

そこで僕の持論なのですが、厚生労働省も全く認めていないのに専門公認心理師やら専門◯◯公認心理師を作ろうとする日本公認心理師協会はおかしくないかい?

参考;
https://www.jacpp.or.jp/pdf/jacpp20190426.pdf
(日本公認心理師協会が 実施する生涯研修について (暫定版)2019/4/10
生涯研修委員会)

と思うのです。福祉公認心理師制度を作るとして、福祉といってもリハビリ分野、高次脳機能障害、認知症、児童、知的障害、発達障害、老人、児童、就労支援施設など一口に福祉といっても実に幅広い領域があります。せっかく心理職が各分野で働いているのですからひっかき回してごちゃ混ぜにするような上級資格は不要です。

むしろほかの資格を取得して自己研鑽、周囲からも一目置かれる知識を身につけて自らの専門性を高めることが足元固めになると思うのです。

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