ひなたあきらの公認心理師でポン!

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2019年11月

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2019年11月27日、こころJOBのWEBサイトに厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課 風間信之公認心理師制度推進室長にインタビューした記事が掲載されていたので紹介させていただきます。

こころJOBさんはやはりGルートの現任者公認心理師についてさまざまな意見があることを承知した上でしょう。

以下の質問をしています。

「現任者の方の受験区分では臨床心理士以外の方も多く受験されていますが、多職種の方の受験についてはどのように感じていますか。」

これに対し

「現任者の方の受験区分については、特定の職種が受験資格として認められているのではなく、5年以上、心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うなど、公認心理師法第2条第1号から第3号に定められている行為を行うことを業とする方、または業としていた方が該当します。」

(風間公認心理師制度推進室長)

と回答しています。

僕はこれは字義通り、臨床心理士だけを優遇して合格させる、ということではなく、受験者が臨床心理業務として何をしていたのか、ということが受験資格要件で、厚生労働省は特定資格者優遇をよしとしているのではなく、公認心理師試験はあくまで心理業務をしていた受験者の得点で合否を決めるという、シンプル、公平な基準で行っていく姿勢なのだと感じました。

この記事には公認心理師が資格を取得した後のキャリアアップをどのようにすればいいか、公認心理師の職能や権限の拡大を期待するかのような風間室長からの発言もあり、公認心理師制度をかなりエンパワーメント、力を入れていくという意欲があることがわかります。

公認心理師の職務状況の把握が大切だということを繰り返して風間室長が述べておられることから、現在公認心理師が現場でどのように活躍して運用されているのかが将来に向けて大切になってくるのだとも読み取れます。

リワーク(復職訓練)における期待等についても風間室長が言及しています。

インタビュアーの方がかなり鋭い質問をしていることと、それに対する風間公認心理師制度推進室長の明確な見解が示されていることから、かなり僕は面白く読みました。

こころJOBさんの厚生労働省公認心理師制度推進室へのインタビューは2回目になるので併せて読むと厚生労働省の意図、試験の目的等も透けて見えると思います。

読者の方には原記事やこころJOBさん独自で行っている心理職の転職支援活動など幅広い記事を読んでいただきたいと思ったのであえてトップページのリンクを貼りますが(http://cocoro-job.jp/)、興味深い記事を読ませていただきましたのでこのブログでも紹介させていただきました。

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◯ 公認心理師試験委員が期待する生活習慣病への心理職の関与と今後の保険点数化

公認心理師試験では難病ALSが第1回で出題、糖尿病の生活習慣病への治療アドヒアランス(意欲)への公認心理師のあるべき関与の姿が出題されていました。

数万人以上の職員を抱えている某大手では心理職が医療機関等と連携して生活習慣病への積極的関与を行うようにトップダウンで命令が出ていると聞きます。

さて、診療報酬のためには医科で医師ほかコメディカル、医療従事者等が関与して多くの保険指導料を請求しています。

糖尿病指導料、外来栄養食事指導料等ですが、心理職がもし今後何らかのかかわりがあるとすれば生活習慣への関与があり得ます。

クライエントさんが生活習慣を変化させていくためにはどのような心理的かかわりが必要なのかということについての出題はいずれその可能性を考慮しての事だと受け止めています。

厚労省では社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課 公認心理師制度推進室が公認心理師制度の所掌ですが、厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会との繋がりは確実に存在していることから、健康管理指導ができる公認心理師の指導=保険点数算定対象となる可能性は十分にあると思います。

例えば、熊野宏昭氏(試験委員)の訳書では、ACT(focused acceptance and commitment therapy )と呼ばれる認知行動療法、あるいは行動療法による生活習慣病へのアプローチが紹介されていますが、従来の認知行動療法と違い、ACTはより「気づき」や自己感情の受容、「いま、ここ」を大切にします。

(受験生の方々はACTのコアプロセスFEARや関係フレーム理論についても再学習するといいのではないかと思料します。)

糖尿病治療において、あるいは他の生活習慣病や健康を取り戻すためのダイエットでも、患者さんは自分の生活習慣を大幅に変える事を受け入れなければなりません。

否認、怒り、悲哀、罪悪感、恥、これらの複雑な感情は全て心理療法の対象と思われます。

精神疾患もそうですが、生活習慣病の心理教育のためには心理職も疾患の知識を持っていないといけません。

ここでは主に糖尿病DMについて触れますが、特に血糖値HbA1cやその自己測定についての知識を得ること(もちろん医師の診断を経てですが)、血糖値上下について心理職がコメントをして励ますことや自己測定穿刺の辛さに共感を示す事は治療に有効かもしれません。

治療アドヒアランス、治療への意欲は患者さんによって様々です。

医療の介入に積極的な人もいれば、健康食品だけを摂取して運動や体重コントロールをしない人もいます。

生活習慣病に心理職が介入し、結果として患者さんが自分の生活に自信を持てるようになるということは、患者さんが自分を健康に保つ権利を行使するということにも繋がります。

今後中医協(中央社会保険医療協議会)がどのように診療保険点数を考えていくのか、まだ明確ではありませんが心理職の活躍の舞台はますます増えていく事も予測されます。

参考文献:ジェニファー,A,グレッグ他 熊野宏昭(監訳)糖尿病を素晴らしく生きるマインドフルネス・ガイドブック ACTによるセルフヘルプ・プログラム

※ 熊野宏昭氏は第2回公認心理師試験出題者です。

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◯ 公認心理師の除名・資格抹消

手元に日本臨床心理士資格認定協会が発行している「臨床心理士報」があるのですが、毎回「倫理公告」ページがあり、臨床心理士倫理要領に違反した心理士の処分が載っています。

それを見ると厳重注意、3カ月〜2年間の登録停止、登録抹消等厳しい処分が下されています。

たまーにニュースで見ますが、臨床心理士のわいせつ行為による逮捕、というような事案はが報じられていると、その後除名されているんだろうなあと思います。

臨床心理士には臨床心理士倫理委員会規定があって、主にクライエントさんとの私的関係の禁止や、クライエントさんに害のある介入をしてはならない事等が定められています。

そうすると「元」臨床心理士H氏が複数のクライエントさんと私的関係を持った、ということでどうやら2年間の登録停止処分を受けて資格返上したという有名なゴシップを思い出す方もいるかもしれません。

大学で微生物研究をしていた教授(非臨床心理士)が突然心理療法に目覚めて若い女性のクライエントさんだけを対象にカウンセリング的行為を始めました。

ついには育て直しの一環として一緒にお風呂に入って準強制わいせつで告発、大学を追われたこともあったなあと思い出します。

公認心理師法の登録取消しは

1.秘密保持義務違反

2.禁固刑、医療福祉教育に関する罰金刑以上の処分を受けた

3.信用失墜行為

4.主治の医師の指示に背く

(一般人代表ちみちゃんは「なんでなのよう、ヤブ医者より心理師のほうが頼りになる時もあるんじゃないの?」と言っていましたが)

5.虚偽申告による受験の判明

5年間以上、週イチでもいい心理臨床経験というのはそれほどハードルが高いわけではない(と思う)ので公認心理師になった方々がきちんとこれを満たしていないと取消しになるというところでしょうか。

真面目に経歴申告した方なら問題ないでしょう。

以前厚生労働省の方に「どこが公認心理師の罰則を審査するんですか?」と聞いたら「うーん、うちかもしれないし、わからないですねえ」という曖昧な答えでしたが今倫理規定はどうなっているのでしょうか。

某学会でやっぱり凄い大騒ぎになっていたハラスメント?事案があって裁判になっていたんだっけ?等と思い出します。

カウンセリング・ハラスメントやアカデミックハラスメント(大学、大学院教育におけるセクハラ、パワハラ)はたくさんあって、訴訟も起きているのですが、民事訴訟で「和解」してそれ以上どこにも訴えない、通告しないという規定が盛り込まれた場合、どうなるのでしょうか。

(民事訴訟では「甲は乙に◯◯円を支払い今後一切の債権債務がないことを確認する」という文言が入る事が多いのですが、そうなると和解した側は審査機関に訴え辛いのではないかなあと思います。

医師の威圧的なハラスメントが「ドクハラ」と言われるように「カウンセリングハラスメント」ももちろん起こりえます。

見捨てない、利用しない、傷つけない、は心理職の倫理として厳しく言われ続けていることです。

狭い世界で働いていれば多重関係も起こりやすくなりますが、災害等緊急時には仕方ないことがあるかもしれません。

そういった際でも平時に戻ったら多重関係を解消すべく努力しないとならないと思います。

きちんと自分自身が行っている心理職としての行動を振り返って見てみることが大切な事ではないでしょうか。

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◯ 公認心理師が成年後見人制度に期待される役割の増大

成年後見人制度は過去2回出ています。

司法関係は裁判所のホームページで検索すると、少年・家事事件双方とも調べられるので便利ですが、やはり心理学プロパーや周辺諸科学専攻者には馴染みがない知識なのでなるべく噛み砕いて説明してみます。

まず、成年後見人制度が一番多く使われるのは認知症患者さんの財産保護や、遺産分割目的です。(たとえば旦那さんの遺産分割をしたいけれど、遺産分割協議が奥さんが認知症のために困って子どもたちが申し立てをする)などです。

この制度は、被後見人の判断能力不十分なため被後見人の財産保護、身上監護といった権利保護のために作られた制度です。

成年後見人制度には3種類あります。

以下裁判所のホームページからの引用になりますが、
(以下引用)
□ 契約等の意味・内容を理解し、判断できればこの申立てはできません
□ 支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することが難しいことがある→「補助」
□支援を受けなければ、契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない→「保佐」
□支援を受けても契約等の意味・内容を自ら理解し、判断することができない→「であれば「後見」の申立てをしてください。

とあります。

管轄家庭裁判所は本人が現に住んでいる住所地です。

申立権者は本人、配偶者、四親等の親族です。

後見されても戸籍には記載されません。
(引用終わり)

成年後見人は家庭裁判所が選任します。

その職務は身上監護(施設入所契約等)と財産管理です。

後見人は被後見人の財産目録(預貯金、不動産等財産一切)を作成、家裁に提出します。

親族が後見人になるということは、推定相続人が後見人になる可能性もあるわけで、子が後見人になった場合、被後見人と後見人の財産管理に紛争性が生じることがあります。

後見監督人、家庭裁判所、後見人以外の親族、検察官は後見人の不正があれば後見人の解任ができます。

代理権を持った「特別代理人」が選任されることもあります。

ちなみに後見監督人は最初から選任される場合もあれば選任されない場合もあります。

したがって問題になるのはきょうだい間で遺産分割争いをしている際や感情的葛藤が存在していると、後見人は親族が家庭裁判所に選任されないケースは多いです。

全てではないですが後見監督人が選任される場合もあるので、しっかりとその辺りは管理されます。

後見人は親族が選任される場合もあれば、弁護士、司法書士、社会福祉士が選任される事もあります。

(最近では成年後見人サポーターという後見人育成制度を自治体で作っている場合もあります。)

既出問題ですが、本人の意思能力が制限されるのは主として取引行為等の契約行為で、民事上は無能力者の行為は取り消しになります。(百万円の土地を一万円で売り渡す等)

ただし、被後見人だとしても一身専属の婚姻、選挙は制限されません。

さて、この辺りが理解できれば成年後見人制度はだいたいいいかなと思います。

試験対策のためにはぜひご自分でも調べてみてください。

ちなみに試験には出ない?かと思われますが、本人が認知症になったら発動させる任意後見制度は公証人役場で書類作成できます。

後見制度に類した「家族信託制度」という最先端制度は知らない専門家も多いのですが、意思能力がはっきりとしているうちに選択した、例えば親族の一人の受託者受益者が自由に財産処分をすることできる制度です。

認知症になる前にこの制度を活用しておくと便利だと思いますが、家族信託だけだと受託者受益者が自分の家のローン支払いに財産を充当することもできるので、紛争が予想される場合にはやめておくべきでしょう。

また、任意後見と家族信託は重ねる事ができます。

また、任意後見と家族信託は重ねる事ができます。

ラクナ型脳梗塞は血管型認知症を引き起こし、梗塞を繰り返しやすく、その度に死滅した部位が広がるので医学・心理と成年後見人制度は無関係とは言えません。

アルツハイマー型、ピック型認知症も頻出問題なので覚えておく必要があるでしょう。

併せて認知症中核症状記憶障害失認(ハサミの使い方がわからない)失行(着替えができない)、見当識障害(自分のいる場所時間が不鮮明)BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)に見られる徘徊、暴力、暴言、せん妄、興奮などの区別も大切です。

成年後見人制度ではこれまで、心理職の動きとしては家庭裁判所調査官が当事者調査をするという役割を担ってきました。

認知症や精神疾患で判断能力が低下している方の財産、身上監護の目的で病院心理職、訪問看護チームでの公認心理師の役割が増大していく可能性は十分にあると考えています。

(校正by my lovely wife 千美梨)

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◯ 公認心理師制度を動かす隠れた団体
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(久しぶりにGoogle先生で検索したら「おい」と思った検索候補)

公認心理師制度には、厚労省と文科省という行政組織が主導するほか、2つの公認心理師職能団体があります。

しかしこれとは別に、心理職で構成されていない組織が介入し、制度を大幅に変えていく可能性があります。

今日はその背景について書いてみます。

1.歴史・問題提起

以前「 産業公認心理師ちゆみちゃんのリベンジ」という記事で「心理職=安上がりの精神科医」という構図があるのではないかと書きましたが、その傾向はだんだん加速されていくのではないかと危惧しています。

最近のSNSでも書かれていましたが、心理職を国家資格化する上で日本臨床心理士会が求めていたのは大学院卒レベルでした。

それが学部卒、専門学校卒の水準にまで切り下げられたことに関連する歴史的事実への言及もありました。

結局公認心理師資格創設者たちの内紛が公認心理師を安い資格にしてしまったのではないか?という趣旨の内容の投稿と読めました。

2.現状

実際公認心理師カリキュラム検討委員会では週1ボランティアカウンセラーも「その程度の実務経験があれば大丈夫」と決めてGルート実務経験者資格を定めたわけです。

これについては

⑴ 心理テストも取れるかどうかわからない専門性が低い公認心理師は即戦力にならない。

という批判があります。

また、それに対する反論としては

⑵ 現役臨床心理士も落ちるような難しい国家試験に合格したのだから、心理畑出身でなくても専門性は十分にある。

多職種協働を謳っている資格なのにそれを認めないのは主として臨床心理士側の既得権主張のエゴイズム

というところでしょうか。

3.未来予測

産業場面では、産業医が衛生管理者資格を持っていると「たくさんの人間を雇わなくてもいいから便利」なように医療現場でも「精神保健福祉士と公認心理師両方持っているからデイケアも任せながら心理職業務をやらせて保険点数も取れるなど」の理屈で人員削減も可能になるわけです。

(実際公認心理師カリキュラム検討委員会第5回では他職種からの公認心理師資格取得者参入の可能性はすでに予測ずみということが言及されていました。)

医療、福祉保険点数加算や産業での権限増加、教育、司法での心理職登用資格に公認心理師が加わることは、それ自体はいい事ですが、危険性もあります。

開業精神分析家北川清一郎先生も心理畑出身でない新公認心理師に臨床心理学の研鑽を求める発言をしていましたが、他職種から参入した公認心理師が心理職専門にキャリアチェンジしていく場合に確かにそれは求められるべき事です。

公認心理師資格を取得した他職種の人たちが近縁職種の専門家としてそのまま働いていく場合を考えてみます。

僕は心理の素養と心理専業プロパーに理解を示してくれる他職種の人たちとの協働ができればいいと思っていますが、上記のようなSNSでの発言や、中医協での公認心理師権限の強化を推進したいという厚労省の発言、公認心理師成立の経緯等を考えてみると若干の不安があります。

4.分析

保険点数化され他資格と併任させられる心理国家資格は、安上がりなメンタルヘルス担当者として特に待遇を上げるわけでもなく、責任だけを負わせられる使い勝手がいい便利な存在になってしまうのではないかという危惧を抱きます。

ちなみに2019.11.25現在ハローワークインターネットサービスで常勤雇用職を検索するとキーワード「臨床心理士」は334件、フリーワード「公認心理師」162件のヒット数でした。

まだ公認心理師は臨床心理士に比して少ないように思えますが2019.4.15時点での検索では臨床心理士307件、公認心理師71件だった事を考えると劇的に増加しています。

公認心理師に対する社会からの期待が増えるにつれ、公認心理師の運用が便利屋として使われてしまったり、ただの人数合わせとなってしまうのでは創設の意図とは正反対になってしまいます。

様々な弱味を抱えている公認心理師制度が他職種団体からの介入で、大幅に変質させられるのではないかという心配が杞憂であればいいと思っています。

(校正by僕の愛するちみちゃん)

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