カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2019年09月

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◯ 公認心理師第1回試験と第2回試験・乖離の理由

想像というよりも妄想に近いものかもしれませんが、標題の件について他国家資格とも対比させながら考えてみます。

1.難化していく各国家資格の実情

⑴ 言語聴覚士

第1回試験と第2回試験で大幅に合格率が減少した試験の代表としてあげられているのは言語聴覚士(ST)があります。

STは機能的な聴覚、発話機能に加えて、よりメンタルな要因にも踏み込み、発達障害圏の患者さんへの機能回復にも取り組んでいる、心理職とも近縁の資格です。

この言語聴覚士は

第1回試験(1993年)

受験者数4,556人

合格者数4,003人

合格率 87.9パーセント

第2回試験

受験者数1,565人

合格者数 664人

合格率 42.4パーセントでした。

さぞこの時は阿鼻叫喚だったのかもしれませんが、ST試験の40パーセント台合格率は第5回まで続き、第6回目から突然68.2パーセントに転じていて、それから6割〜7割で推移しています。

言語聴覚士も公認心理師と似たような経緯で設立されており、言語聴覚士側の団体がアメリカのような修士レベルの教育を資格要件として求めたのに対し、日本医師会、日本歯科医師会は専門学校卒を要件としました。

言語聴覚士法でも「医師の指示」をめぐって紛糾があり、結局は医師、歯科医師団体の意向が反映されて現行制度となりました。

⑵ その他の国家資格

公認心理師とよく同等に対比される精神保健福祉士も第1回試験89.1パーセント→第2回73.2パーセントで現在はほぼ6割前後の合格率です。

初回試験に限っては現任者優先、その後は一定レベルを想定して問題の難易度を上げ下げしているのかもしれません。

昔は自動車整備工場の社長さんが簡単に取得できた行政書士資格の合格率も今では10パーセント程度、不動産取引に必要な宅地建物取引主任者は資格創設時には9割超えの合格率が現在は15パーセント程度です。

2.公認心理師試験の狙い

初回は他試験と同様、現任者救済の意味合いが強かったと思われます。

第2回試験難易度が高かったのは試験結果、登録者数、資格協会への加入者数、実際に公認心理師資格取得者がどの程度現場で活躍しているのかさまざまな要素が勘案されていたのではないかと今になってみると思います。

試験委員会は「この程度の知識やセンスは最低限欲しい」と要求水準を高めましたし、官の側も合格点調整はしませんでした。

2024年度の制度見直し、公認心理師課程修了新卒者を見据えてこの水準の試験を出題するという予鈴とも思えますし、2024年まではこの難易度の試験で合格者を制限するという意図があるようにも思えます。

官の正確な意図はわからないので、試験は来年度は揺り戻してひょっとしたら易しくなるかもしれませんが不明です。

少なくとも138点合格点、知識1点事例3点の配分は今後も変わらないということだけは確からしく思えます。

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◯ 第1回公認心理師受験者の声〜第2回試験46.4パーセント合格率について

僕のように毎回公認心理師試験を解いて、文献や問題集を調べて、分析して、と第2回受験生でもないのに酔狂なことをしているのは予備校の先生方のような職業人が主でしょう。

こんな駄文でも書き連ねているとさまざまな人たちからのリアクションがあります。

第1回受験者の方々とコンタクトを取ることができたので、第2回試験の概要や試験結果発表についてさまざまな意見や感想を聞くことができました。

まず、大学相談室や専門学校で教えているMさん(医学博士を持つ才媛)です。

彼女は第1回試験の時から「ひなた君も他の人も受験資格がある人は絶対第1回試験を受け逃しちゃダメよ」と言っていて「様子見」見送りをしようとする人を徹底して諭していました。

彼女は精神保健福祉士を含めて他の資格ホルダーだったのでなんとなく感じるものがあったのか、転職や引っ越しで一番多忙な時期に受験していました。

僕「Mさんどうでした?」

と去年聞いたところ、

Mさん「大変だった。私結構ギリギリで◯◯点で合格できたから本当に第1回で受験しといてよかった」

そして昔からの知人で臨床心理士のA君に「僕は現任者講習出たからもういいや。無勉で受験しようかなあ」と僕が言ったところ、

A君「それだけは絶対にやめとけ。この試験はきっと滅茶苦茶厳しくなる。ナメるな」ときつく言われました。

もし彼のアドバイスがなければ僕はこのブログを書こうと思わなかったでしょう。

僕はこの試験を教習所を卒業していれば合格できる運転免許試験のようなものだと軽く考えていました。

2019.9.13、第2回試験結果発表直後、10年来の知己、RさんからSMSが届きました。

Rさんは産業医療心理領域で働くごく常識的な方、心理1人職場ならではの辛さも知っていて、他関連領域資格を持ちつつ心理に移ってきて大学講師経験もある苦労人の才女です。

Rさん「公認心理師。。。去年受かっていてよかった。。。と、つくづく自己本位なことをしみじみ深々考えてしまいました。。。」

Rさんの勤める組織は割とあちこちに心理職が働いていて、心理1人職場ですがいろんな心理の人とのつながりがあり、仲の良い第2回受験生、再チャレンジ組の人たちのことも知っているはずです。

後輩思いの方なので色々第2回受験生の話を聞いていたのかなあと。

Rさんは続けて

「去年の現任者講習の時からずーっとこの資格は蓋を開けて見なければなーんもわからんことばかりやん!!!」

というメッセージ、受験生たちにとっては混乱に近い状態をもたらしたのではないかという感想でしょう。

僕もリチャレンジ組の後輩を知っていますが、ものすごく多忙な職場で、状態が変わっていないという話を伝え聞いているのでその後連絡するのに躊躇してしまっています。

まだ直後で周囲からの声をたくさん聞けているわけではありません。

第1回試験は比較的合格しやすいとみなさん思っていたとしてもこれほど第2回と合格率乖離が生じるとは思っていなかったでしょう。

自分がもし第2回受験生だったらどうだったろうという懸念を聞くことはあっても、第1回受験者からも総じて第2回受験者に対して批判的な声を周囲から聞いていません。

僕自身もまだ頭の整理がついているとは言えず、試験制度について時間をかけながら今一度考えていきたいと思います。

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第2回公認心理師試験受験生Y先生

※ Y先生は産業・開業領域の先生です。

Y先生と9月13日夕方仕事の打ち合わせの予定が入っていて「そういえばY先生も第2回公認心理師試験受けたんだなあ」と思いながら気にしていたらLINEに「ギリ合格だった、141点だったよー」

とメッセージが入っていました。

(夕方)

僕「Y先生、忙しくて大変だったって言ってたから試験結果心配してたんですよ」

Y先生「いやあ、去年は様子見で受験見送ったのは大失敗だったわね。今回の試験難しくて、去年のうちに受けとけばよかったわよ」

僕「Y先生、会社の経営が忙しくて大変だったって言ってたから勉強時間取れたのかなあって思ってて」

Y先生「ひなた君から『この試験は大変だから心してかからないと』って言われていじめられたしね(笑)だからかなり勉強やったのよ」

僕「いやそんなつもりじゃ」

Y先生「うちの事務所のK君もなんとか受かったの。彼は140点」

僕「うわあ、大変だったんですね、Y先生の事務所はY先生も含めてみんな資格持ちの人多いのに」

Y先生「そうそう、キャリアコンサルタントやキャリコン技能士(国家資格、国家認定資格でその人のキャリアでの職業選択やキャリアアップをアドバイスする専門性、技能がある資格)取っても資格取って事務所に入るお金が増えるわけじゃ全然ないのにねえ」

僕「うーん、名刺やY先生みたいな代表取締役の肩書きとしてみたいな?」

Y先生「そうねえ、ま、そのぐらいの感じかも?それでね、もうすぐA学会関連の会合があるのよ」

僕「はい」

Y先生「でね、第1回試験に受かった人、落ちて再チャレンジした人、私みたいに第2回試験初チャレンジする人もいて、それぞれ合格した人も不合格だった人もいるんだけど、会合でどんな顔したらいいと思う?」

僕「いやそこは日本人らしく聞かれるまでは答えないで聞かれたら『いやとっても難しくてまあなんとか』とか言えばいいのかなあと」

Y先生「ま、実際そのとおりだしね」

※ これは仕方ない、というか、各社や各先生方が頑張って解答速報を出していてもその結果が分かれていましたから当落点すれすれの方々は相当な不安を抱いたでしょう。

Y先生も合否線上ギリギリだったので、試験結果の事をあまり考えずに淡々と日常業務をこなしていたらしいです。

ただし、Y先生のところにも第1回試験に合格したのと同等レベルと思われる第2回受験した人たちが今回は落ちていたり、連絡が来ない人たちが多いとのことでした。

Y先生は産業心理領域ではかなり実力があり、各自治体や大企業からの受注を受けて手広く仕事をしている先生です。

Y先生のようにあちこちの職場を転々としていて経験を積んで心理職キャリアが長い人でもこの試験は難しかったんだなあと思いました。

彼女の周囲で学会やワークショップ運営に携わっていて優秀と言われる人たちが不合格だったというのを聞いて「うーん」と思いました。

彼女は厚生労働省所管、ストレスチェックテストを公認心理師でないとできない分野が多くなるので助かると言っていました。

そして、医療教育福祉等の領域では資格の有無が死活問題にかかわっている。

それでも今回は残念な結果だったという方々も多く聞いています。

仮説は多く考えてみたものの、第1回試験と第2回試験との合格率の乖離が合理的納得ができる説明ができないのはそのままです。

第1回と第2回試験のレベルの相違に不全感を抱きながらもまた諦めずにリチャレンジする、もう今日この日から再受験の準備をしているという方々の話を聞いていると頭が下がる思いです。

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◯ 第2回公認心理師試験結果分析

1.序

今回の公認心理師試験は46.4パーセントの合格率という、大変受験生にとっては厳しい結果となりました。

なぜこういった数字となったか自分なりの分析をしてみました。

2.問題の質の変化

各予備校等の結果でも第1回試験に比して平均点が20点近く落ちたという情報がありました。

相当に試験難易度が上がった、僕自身が解いてもそう思ったことからこれについて合格水準点を補正すべきなのではないかと思いました。

それでも問題が難しかった、合格しなかった、だから見直してくれという異議申し立てはどの試験実施機関も受け付けたことはありません。

試験委員会としては今回の試験は適正な問題で、平均点が落ちたのは受験者の側の問題じゃないか、第2回は初回で出さなかった領域を出したからたまたまこうなった、といくらでも言いようはあります。

3.受験者の質

大変心苦しいのですが、去年は7千人の不合格者が出て、この方々も合格率は低かったのだろうということについて触れておきます。

7万円の現任者講習料を払った方々もいて、昨年の不合格者で再度受けた方々がほとんどだったのでは?

と思いました。

どの試験でも第2回目のチャレンジャーは第1回目よりも困難なハードルをくぐり抜けないと合格できません。

業務や家庭の多忙な中、かなりの不利さを乗り越えて時間がなく受験した方々も多かったでしょう。

しかも問題が難化したということは相当に苦しかったのではないかと思います。

3.行政的思惑

これが一番今回の合格率に影響したのだと思います。

さまざまな可能性があります。

第1回試験では傾斜配分(今回もありましたが)をしてまで合格者数を28,500人確保した、果たしてそれはこの公認心理師資格にとって良かったのか?

という批判があったのかもしれません。

受験の時に配布されるアンケートは個人の合否とは関係ありませんが、「心理の専門職として今後活躍してくれるか?」という判断材料になったかもしれません。

3月末での未登録者4千人は厚生労働省にとっては意外なことで、即戦力として公認心理師業務をする多くの合格者を求めていたのかもしれません。

公認心理師の合格者数、合格率は国家施策や予算との兼ね合いとして決められることになるだろうとこのブログのコメントをいただいたふみさんの文中にもありましたが、これはかなり説得力がある見解です。

大きな予算を使って公認心理師制度が導入した、さてその効果は?

という予実管理(予算と実効性)で厚生労働省が財務省を説得できるだけの材料があったのかどうかについての折衝はどうだったのでしょうか。

国益を出すことができるだけの大きな説得力がないと、たとえば財務省は公務員の定員についてただの1人も増やすことは認めませんし、合格者を大量に出した第1回試験の正当性について、つつかれた可能性もあります。

公認心理師制度が現在うまく機能しているかどうかという結果価値を求められたのかもしれません。

4.各関係団体の意向

この要因が一番大きいかもしれません。

医学寄りの設問や基礎心理学重視の問題が多かったというのは第1回試験に対しての批判が関係団体や学会からあったからそうなったのかもしれません。

そこで練って作成された問題について「この程度の問題で6割取れなかったらどうするの?」ということで6割基準厳守となったことも考えられます。

今後も第2回試験について考えていきたいと思うのですが、この試験の難易度水準はこれがゴールドスタンダードになっていく可能性がきわめて高いと言えるでしょう。

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◯ 第2回公認心理師試験合格基準予想についてのお詫び

まず人数です。

17,000人強とした聞き取りをそのまま17,000人を少し超える程度と思っていたのが人数は実際には16,969人でした。

そして最も大切なことですが、今回の試験は相当に困難な試験だったと思われるので、第1回試験の138点から合格点は下方修正されるのではないかとの予測をしていました。

類似各資格が下方修正することも得点調整することもあったからです。

実際には得点調整はなく、138点合格基準は変わりませんでした。

そして全体としての合格率は46.4パーセントと、第1回試験の約8割の合格率からかなり激減しました。

合格率は以前に6割程度と予測していました。

下方修正が行われるのではないかという僕の個人的予想アナウンスで期待を持たせてしまった受験生の方々には深くお詫び申し上げます。

今回の試験の性質等、合格率がきわめて低調だった要因について等次記事で分析結果をまとめていきたいと思います。

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