カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2019年08月

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◯ 第2回公認心理師試験平均点は?

まず合格率8割の第1回試験について受験者の平均点を振り返ってみます。

第1回試験平均点は日本心理研修センターから公表されていません。

わかるのは合格点138点ということだけです。

ここで正確に平均点を予測するには、果たして受験者の点数が正規分布曲線に従っているか、標準偏差、分散(点数のばらつき具合)や歪度がわからない、ということでどんな仮説を立てても統計的検定ができません。

もちろん日本心理研修センターは平均点を把握しているでしょうけれども公表されていません。

そこで以前本当にざっくりと勘で平均点を求めようとしたのですが、160点前後だろうという曖昧な数値しか推測できませんでした。

第1回試験、回答入力式のサイトでの平均点が170点少し欠ける程度、今回は平均点が15点程度低いと入力者から聞きました。

回答入力式サイトはそれなりに意識が高かったり、自信がある受験生が入力しているので点数は高目に出るでしょう。

多分実際の得点平均は入力サイトからマイナス15点ぐらいと思います。

漠然としていますが第1回試験を解いた受験生も第2回では15点から20点程度のマイナス得点だったと聞いています。

そのあたりが平均得点なのではないかという、根拠の薄い僕の周囲のサンプルにしたがって行った予想です。

そうすると平均点は高く見積もっても140点から145点前後、これは受験者の方々が相当に焦るのは理解できます。

120点〜130点前半の方々も多かったと聞いています。

今後も多分公表されないだろう第2回試験平均点ですが、第1回試験と全く合格基準点を同じとして138点を堅持してしまうと多分合格率は50パーセントかそれ以下になってしまうでしょう。

どこの諮問委員会でも公認心理師の望ましい合格率については出ていません。

正答率は6割程度としてあっても、合格率については何のガイドラインもないのです。

だから合格率何パーセントにしようが試験実施側の自由です。

試験難易度の設定も実施する側の自由です。

第1回試験は合格率80パーセント、第2回試験は50パーセントでも何の法律にも規則にも反していません。

だから合格率はどなように定めてもいいのですが、不公平感が募れば試験の価値は大幅に下がると思うのです。

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(ちみちゃんと見に行った百日草)

◯ 第2回公認心理師試験は本当に難化したのか?

「第2回試験がそれほど難化したとは思えない」「ひなたさんが想定している平均点の算出基準は何なのか?」「レベルを下げて合格させるのはどうかと思う」など僕の見解への疑問、異論を含むコメントやメッセージもあります。

対面でも「あれ、書いてあることはそういうことでいいの?」と直接聞かれることがあります。

第2回試験は本当に難化したのか?

という点について検証してみたいと思います。

全ての問題について検証はできませんが、曖昧な選択肢が多かったことは確かだと思います。

実際の問題を振り返ってみます。

問2はケア会議です。

平易な問題かもしれませんがどんな対応をするべきかという設問で、適切な対応を選択させるのは知識問題というよりは配点3点の事例問題がふさわしいと思います。

問3、心理学史です。

頭の中に心理学史が入っていれば解けます。

ただし、設問のような形でいつの時代が主な心理学かというずばりの解答に基づくテキストの文言はありません。

そしてこの心理学史問題には価値観が入っています。

自分が拠って立つ学派にとらわれてしまうと正答は出せません。

問10、これは感情に関するモデル・説を問うています。

どの公認心理師受験テキストでも見たことがない用語でした。

問35、公認心理師の責務、法文上罰則と行政処分の違いを理解しておかないとならないですが、司法心理関係者よりも純粋に法律論を理解しておく必要があります。

問37、メタ記憶的活動、記憶モニタリングについてきちんと理解している受験生がどれだけいただろうと思いました。

問39、思春期クライエントとのかかわりについても、困難な問題ではないですが本来事例問題かと思います。

問45、SOAP、診療録の扱いはきちんと学んでおけばいいという事はわかりますが心理の問題かなと思いました。

問56、女性更年期の特徴について試験前に勉強して知識を得られた受験生はいたのかなと思います。

以上、これはほんの一例です。

統計法、脳科学、発達心理学、各省庁から出ているガイドラインを全て読むだけでなく論文まで遡らなければ解けなかった問題もあると思います。

精神医療以外の医療知識全般を問う問題もあります。

基本的な心理学的知識や法律は全分野にわたって理解しておく必要があり、落とせません。

心理テストは100種類以上を網羅して使用法、目的を理解しておかなければなりません。

それに加え、紛らわしい選択肢のうち、レミニセスバンプ、COGNISTAT、ジストニア、トラウマティック・ボンディング、怒りの進化心理学、運動視のMcGurk効果、マッハバンド、McCollough、ソマストタチンなどの(僕が感じた難語)をどれだけの人が理解していたのかと思います。

学説、用語、人名についてもR.L.Selman、Flynn効果、E.H.Schein、J.Belskey、I.D.Yalom、PECSを事前にどれだけの受験生が理解していたかは疑問です。

難用語、各分野での正確な知識、迷いのある選択肢が多かったので、第1回試験のようにすらすらと7割8割解けた受験生は少なかったでしょう。

ブループリントの学習範囲に明記されていないし参考テキストが役に立たなかった問題群を見て呆然とした人たちもいたでしょう。

勘や国語力で解けた問題もありましたが難易度は高くなった印象を受けています。

僕が不勉強で、実はこのぐらいは常識だという受験生の人もいるかもしれません。

「この知識を抑えておくべき」というガイドラインがブループリントと実際の出題の間で乖離していたように思えるのです。

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◯ 公認心理師資格を取らない方がいい人・取る必要がない人々

これまで公認心理師試験のことばかり書いてきました。

公認心理師数が必要だと書いて来たので、公認心理師資格をどんどんいろいろな人が取得すべきだ、と僕の主張が受け取られているかもしれません。

実は受験者の中にも「取らない方がいい人」や「取らなくてもいい人」はいます。

医師はほぼ必ず医師の仕事に就きます。

公認心理師取得者のスタンスは異なります。

公認心理師は名称独占資格に過ぎないのですからタンス資格にしてしまう人もいるでしょう。

1.取るべきでない人

⑴ 多重関係が生ずる専門家

養護教諭のしている援助業務はほぼ心理と同じ仕事なので、意義は十分にありそうです。

管理職、一般の教員は公認心理師資格登録とともに教員業務に支障をきたすことが考えられます。

多重関係が生ずるので立場上資格を取らない方がいい人はさまざまな領域にいるでしょう。

⑵ 資格を取るだけで満足する人

他資格ホルダー、もしくはすでに心理以外の職に自己のアイデンティティを持っている人がいます。

教員もそうですが、公認心理師を取得すれば確かにハクはつきます。

今までしていた仕事を捨てて心理職に転職するなら心理専門家として生きることができますが、心理職はそれほどまでに魅力的でしょうか?

名刺、名札に「公認心理師」と書いてあっても「心理面接をしてください」「心理テストをしてください」というクライエントさんや現場医師からのオーダーに応えられない、やる気がない人で「あ、それできませんから」と答えるようでは「取っただけ資格」になってしまいます。

それでも他領域の人でも心理知識を得て元々の仕事の幅を広げることは意義があります。

資格取得したから心理専門家と対等以上になり、心理職と競い、プライドだけを満たすという資格の取り方は違うと思います。

僕は他職種の人も幅を広げることにも意義があると思いますが、試験実施側では違う意図がありそうです。

資格を取っても心理業務の実働人員にはならない、養成施設で指導に当たれない人は資格を取得しても戦力外とみなされているかもしれません。

⑶ 心理業務をしていないし今後もしない人

こういった人は受験を自ら辞退すべきと日本心理研修センターは考えています。

企業でも官公庁でも「◯◯相談員」という名目だけで相談業務をしていない、実質上は総務や人事の仕事をしていて、今後も心理相談をしないであろう人たちでこの資格を取りたがるもいます。

2.取る必要がない人々

医師は取らなくても業務に支障はありません。

公認心理師を取得して養成指導に当たる立場の医師は資格が必要と思います。

他資格ホルダーで自らの立ち位置がはっきりしている人、自分の職務領域だけで仕事をする人も取得する必要はありません。

私設開業をしていてキャリアコンサルタント、コーチング等で一定以上の地歩をすでに築いている人たちも無理をして取得する必要はないでしょう。

私設相談員が仕事の幅を広げるために取るならば十分に意義があることですが、資格と関係なく、ただ事務所の集客を考えるのならばそれも違うような気がします。

3.結語

資格がどうしても必要な人々に加えて、公認心理師を資格マニアのイチ経歴だけとしてしまう人々がいることを行政は把握しています。

また、他領域活躍者中、公認心理師資格を生かして将来的に心理業務を側面から支えていく人も求められていそうです。

「不合格だから職業人生が終わってしまう、取得しないと相当な不利益をこうむる」人たちはこの資格が必要です。

確かにこの試験は難しく、下方得点修正があると決まっているわけでもないので、得点率6割厳守だと軒並み元々の心理プロパー以外は合格できなくなってしまいそうです。

「不合格だからダメ、自分の人生が終わる」わけではない人々も多いでしょう。

もちろん試験は人格、人柄やや知能を問うていません。

不合格だったからといってその人の人生そのものを否定するわけではないのです。

今回心理の世界に触れた、そして元の仕事で自分を磨くというプラスのチャンスが与えられているという考え方もできると思うのです。

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そもそも誰のための公認心理師試験なのか?

昨年第1回、今年第2回を終えて受験生たちが合格発表待ちの公認心理師試験はいったい誰のためのものなのか?

という目的について考えてみることがこの資格を必要としている人にどのように役立っていくのか、ということが公認心理師試験の難易度や公認心理師必要数を論じる上でのスタートにもなります。

そして今後この資格がどう生かされていくのかを考える材料にもなるのだと思います。

1.受験者のため

すでに合格している公認心理師の人が「試験に合格してよかった、これで仕事先でクビがつながったよ」

ということは誰からも一言もはっきりと聞いていません。

その逆に資格を取らなかったから失職したということも聞いていません。

厳しい職場はたくさんありますので例外もあって僕が聞いていないだけ、今後どんどん締め付けは厳しくなるかもしれません。

元々臨床心理士のようにどっぷりと心理の世界に入っていた以外の人は、元々行っていた相談業務にプラスαが加えられたことは大きな収穫になったと思います。

(近縁他資格所有者、非院卒の私設
相談員など)

2.クライエントさん、患者さんのため

本当はこれが一番大切なはずですが、忘れ去られがちになっています。

この資格は間接的にしか役立たないと現時点では思います。

確かに公認心理師シフトは始まり、心理師でないと保険点数が取れない仕事も多くなってきました。

クライエントさんからしてみると、心理の先生が一対一のカウンセリングの回数を増やしてくれた、集団療法の出番も増えた、やってくれることが増えた、とクライエントさん方から有難がってもらえるなら本当にそれは価値のあることです。

資格を取ったからといって心理職がクライエントさんに自慢する内容のものではありませんし、そういう人がいたのを聞いたこともありません。

3.医療を中心としたヒエラルキー制度構築・維持のため

合格者の中で未登録者はこの理由も大きいと聞いています。

これまで臨床心理士としてやってきていてそれなりに厳しい倫理観を持ってやってきた。

しかし公認心理師の「主治の医師の指示」に疑問を持つ人たちが多いと聞きます。

医師や校長を頂点としたヒエラルキー社会の中では公認心理師マインドを身につけた従順な心理職は扱いやすく、また命じやすい対象となることも確かです。

公認心理師には資格取得者として専門家としての太鼓判が押されるとともに義務も伴うことになります。

以前から指摘していたことですが、教員公認心理師が生徒指導、教科指導、部活指導をしながら心理相談活動を行うことはかなり無理があると思います。

多重関係とみなされるでしょうし、「資格取ったし職場に届け出もしたし、生徒や保護者にもアナウンスしたりそれはそれでまあ今は置いておいて生徒に厳しくする」

というような理屈は頭が良く勉強熱心な保護者には通用しません。

ヒエラルキーから外れたところで公認心理師資格を活用しようとすると自らのクビを締めかねません。

「勉強ばっかりさせられてお金取られてしかも自由奪われるの?」一般人から聞かれたことがあります。

4.結語

公認心理師となって登録し、心理職として第一線で活躍する人は大多数ですが、資格を取っただけという人たちの母数もかなり多いと思います。

行政側は第1回目に80パーセントの合格率を得点傾斜配分をしてまで行いました。

数が欲しかったからです。

それにもかかわらず当局としては未登録者がこれほど多かったのは意外だったと思います。

今回の試験問題がおしなべて悪問だったと僕は思いません。

ただ、これだけ専門性が高い試験を行ったのだし、有資格者絶対数も不足しているでしょうから、実働できる有資格者がどんどん現場の最前線で活躍させることの方が試験で切り捨てることよりは大切だと思います。

魅力ある資格とするためには各所で活躍する実力ある公認心理師が増えて欲しいと思います。

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◯ 公認心理師試験合格点下方修正予想

1.総論

公認心理師試験合格点が6割よりも下方修正されるのではないかという、期待を込めた予測が飛び交っています。

ところが厳然として「公認心理師試験の合格点は6割138点が望ましい」という意見もあります。

6割厳守のこの主張は、根拠があることです。

前例踏襲、合格基準を変えるべきでない、そもそも公認心理師になりたいのならばこの試験で6割取れるのは当たり前、などなどです。

第2回試験問題が作成された際には得点調整は全く論外で、国家心理職としてふさわしい知識やセンスを問うつもりだったと思います。

平均点数がこれほど下落するのは予想外だったでしょう。

もちろん絶対に合格基準が下方修正されるという断言はできません。

現時点でもう合格基準点は定まっているものと思います。

あとは事務手続きの準備ぐらいです。

僕のような木っ端ブロガーが今何を書いたところで基準が変わるわけではないでしょう。

ということでこの時期になったので、かなり大雑把に下方修正を前提としてその点数を推測してみます。

2.合格基準引き下げの点数幅

これは全くの僕の勘です。

合格点数は少なくとも15点は引き下げられるのではないかと思っています。

はっきりとした根拠はありません。

強いて言えば某回答記入式採点サイトの平均点、周囲の人たちの第1回試験、追試試験、今回の試験を解いてみた点数のブレ幅です。

15点が「少なくとも」と書いたのは、実は20点かもしれないし、25点かもしれないですし、そこも予測できないところです。

2.下方修正される根拠

⑴ 人員不足

第1回試験はケース問題傾斜配分までしたのに、合格者2万8千人のうち4千人が未登録、公認心理師の活躍が期待されている26施設のうち、地域包括支援センター、訪問看護には圧倒的に人員が足りません。

医療、ストレスチェック、スクールカウンセラーなど保険点数加算が見込まれる分野でもまだ人員は不足しているでしょう。

大学指導教官、受け入れ先実習施設にも公認心理師数は一定数以上の確保は必要ですがどの大学も実習施設確保に苦慮しています。

⑵ 試験難易度が1回目と2回目で違い過ぎる

「第1回の試験受けた人は良かったね、第2回以降は試験が難しすぎて合格率ががっくり落ちたから不利だったよ」

ということでは均質の試験とは言えません。

第1回試験と第2回試験は別モノ、だと同一性に欠けてしまい、国家資格としての統制が取れなくなります。

⑶日本心理研修センターの情報提供内容の変遷

定かな理由はわかりません。

第1回試験の際は全くブラックボックスでどんな問いにも「ホームページを見て欲しい」という回答の一点張りでした。

8月7日には受験者1万7千人、8月16日には下方修正の可能性もある、と情報提供が行われるようになりました。

情報開示をある程度してもいいという方針になったものでしょう。

多分日本心理研修センターへの直接間接の問い合わせは個人からも大学等の団体からもあったでしょうし、今やSNSやブロガーなどのインターネット情報は大きな世論です。

世論を無視して強行する風潮は今の行政にはほぼありません。

3.懸念事項

下方修正されるとしても「今回の受験生の質に問題があったから点数が低かっただけ」「2回目は合格率を落とすことに初めから決めてた」などの理由で合格点数下方修正幅が少ない、そもそも下方修正しない、ということも考えられます。

この記事は、公認心理師必要数や試験の均質化を考えた際の僕の「こうあるべき」という私論です。

だから「絶対に6割遵守は変えない、変えたくない」という、これも論理的に一貫性がある基準は覆らないかもしれません。

ただ、メンツにこだわり過ぎてしまうと国家心理行政に大きな損失を出してしまうだろうと感じています。

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