ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2019年08月

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◯ 臨床心理士>公認心理師の図式

先日、何冊も著作がある臨床心理士の偉い方、日本◯床心◯士会運営とも距離が近いA先生とお話する機会があったのですが(A先生は公認心理師取得済)

「今後臨床心理士はどうなっていくんでしょうか?」

と聞いてみたところ、

「変わんないよ、平成30年度の受験者数も前年度とほぼ同じだし」

(日本臨床心理士資格認定協会発表、平成29年度受験者2,427人、平成30年度受験者2,214人、今年度の試験はこれからです。)

という回答、「A先生、今後はどうなっていくんでしょうかね?」

A先生「うん、公認心理師制度はまだ過渡期だからね、これからまだ5年10年はまだ臨床心理士の時代じゃないかな。臨床心理士は公認心理師の上位資格ってことになるよ。臨床心理士資格更新者数も変わらないでしょ」

とのこと

※ A先生とは研修のほんの合間の時間に話したので短時間しか話せませんでした。

臨床心理士の団体では上の方にいた方なので臨床心理士制度に対する信頼が強いのかなあと。

去年の合格率80パーセントの試験には何なく?かどうかわからないですが、A先生は多分高得点で合格したのだろうと思います。

ただ、第2回試験の問題は見ていない様子でした。

A先生は大学勤務でないのであちこちの大学院で臨床心理士養成コースを廃止、公認心理師養成コースをその代わりに新設したことは知らないか、あまり意に介していないようです。

A先生は自分の専門領域ではそれなりに地歩を築いて固めてきた人です。

これから心理職としてやっていくのは多くの後進たちのスーパービジョンもあるので忙しそうです。

僕はいつも急激に公認心理師シフトが始まる、そうしたら今まで働いてきた心理職がもし公認心理師取得できなかった場合の扱いや地位はどうなるのだろう?

と危惧感に近いものを抱いていたのですが、A先生のように時間がゆっくりと流れていて泰然自若とした態度でいられる余裕ある先生もいるのだなあと思いました。

公認心理師資格登録者が出てから半年以上経ちます。

(ちなみに第1回試験でいつも4000人未登録と書いていましたが、読者の方からの指摘で未登録者1,807人と教えていただきましたので謹んで訂正させていただきます)

実際には公認心理師資格取得者の扱いは現場で何も変わらない。

これまで心理職専属で仕事をしていた他に教育、医師、看護師などのコメディカルや福祉職の方々の仕事の仕方、公認心理師として必要性を求められることが多くなったと現場からの声も聞きません。

最近第2回試験のことばかり書いていましたが、臨床心理士一押しのA先生の話を聞いていたら、そもそも公認心理師資格を取得する意味とは何か?

ということについて考えさせられました。

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◯ どうすれば第2回公認心理師試験で6割取れたの?

のっけから6割取れなかったら合格できないの?ダメなの?と思われそうなタイトルで申し訳ありませんがそう僕が考えて断定しているわけではありません。

楽々と6割取れた、という感想は今回の試験ではなかなか聞けなかったです。

今回の問題を良問と言う人もいますが、どうすれば6割取れたのか?ということについて再考してみます。

以前述べた内容の繰り返しもありますが、より詳しく記述してみます。

まだ点数調整があるかないかもわからない段階で「もう今回の試験は捨てて来年にしよう」という人もいます。

じゃ、来年の対策を今から考えよう、ということではなく、今回の試験とは何だったのかをもう一度、より細かく考え直してみたいのです。

第2回試験は実際に出た問題よりも10倍以上の勉強をして、それでも合格できるかどうかという非常に厳しいものでした。

第1回試験はなんとなく感覚で解けた事例問題が多かったと思います。

だから事例問題3倍傾斜配分で救われた人は多かったでしょうけど、第2回は違いました。

第2回試験のハードルでまず受験生の前に立ちはだかったのは公認心理師法を含む法律です。

法律の条文では心理学専修者では読みきれない意味合いが多く含まれています。

「罰則」「行政処分」の違い、公認心理師法の条文をなめるように一言一句理解していないと答えられない問題もありました。

基礎心理学は充実した出題内容、第1回試験は心理学の基礎的な教科書をある程度読み込んでおけばよかったと思いますが、心理学検定特1級レベルでもまだわからない問題があったと思います。

統計学は僕が試験直前書いたように、例えば多変量解析、主成分分析、判別分析、数量化Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ類、分散分析、重回帰分析などを読んで理解しておけばなんとなく正答にたどり着けるかと思っていたのですが、どんな場合にどういった統計手法を用いるのかをきちんと理解しておかなければ正答に結びつかなかったようです。

今回の試験は事例問題で曖昧な選択肢が多かったので、知識問題も1点も落とす事ができないぐらい大切で、基礎心理学、統計法の比重は大きいものでした。

発達心理学、社会心理学については某出版社から公認心理師受験対策シリーズとしてそれぞれ発達心理学、社会心理学の巻があったのですが、第2回公認心理師試験後にこのテキストを読んでみたのですが、そこに書いてある知識だけでは太刀打ちできませんでした。

このシリーズが出版された際には「高い本だし、こんなに読みきれないほどの学習量は必要ないだろう」と思っていたのですが、実際に全然足りないものでした。

基礎、統計、発達、社会、教育等の心理学はみっちりと学部でその授業を1年間受けて自分でもどんどん調べていたレベルないとハイレベルでの正答率は取れなかったでしょう。

医療、神経心理学、脳科学は臨床心理学を超えた完全に医学、看護学的出題です。

現役医療従事者でなければ、医療の基礎からきちんとした医学用のテキストを読み込んでおくことが必要でした。

精神医学についてはアメリカ精神医学会診断基準DSM-5で、どんな疾患や障害について出題されてもほぼ1冊丸暗記しておかないと解けない問題が多かったでしょう。

精神医学の教科書も、非医師、看護師で知識が不足しがちな人(ある人でも復習で)は厚めのものを読んでおかないとならなかったと思いますし、それだけでも足りないかなと思いました。

厚生労働省、文部科学省のガイドラインは関係ありそうなものは全部読み込むこと、基礎の基礎から応用各論まで根拠を学ぶことが必要でした。

心理テストは以前、心理テスト販売会社のカタログをインターネットで読み込んでおくこと、と記述したのですが、これだけでは足りないかもしれません。

心理検査を総花的に記載してあるテキストはあまり役に立たないでしょう。

PF-スタディ、バウム、TAT、K-ABCや新版K式は詳しく知識を得ておき、それ以外も知っておく必要性がある、ということだったと思います。

ブループリントの用語を調べたり、市販のテキストだけでは対処でき切れないということでした。

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第2回公認心理師試験合格点下方修正論への反発

僕は第2回公認心理師試験について、あまりにも第1回試験と難易度レベルが違い過ぎる、下方修正すべきだ、ということを書いています。

それについてさまざまな人々からの反発があります。

合格基準点を下げるべきではないという、制度的な意見もありますが、そういった記述をする僕自身への反発も多いです。

曰く「あなたは出題委員でもなければ基準点を決めている人でもない。公人でもない。今回試験の成績が取れなかった人々の中には藁をもすがるつもりであなたのブログを読んでいる人たちもいる。あなたは藁を差し出し、すがりついた人たちを結局裏切ることになるかもしれない。そんな濡れた弱い藁を差し出していいのか?やり過ぎではないか?」

というもので、一理も二理もあるものです。

ネットの世界はさまざまな情報が渦巻いています。

大学の先生、有識者、予備校など公的な人や機関と違って僕は一介の心理学ブロガーです。

その発言に全面的な責任を取れるのかというと、確かに基準点を操作することもできませんし、期待していた人をフォローして救い上げることもできません。

こんなブログでも何かの機会にどこかに取り上げられることがあり、僕を何らかの有識者と思う人もいますがそれは違います。

とはいえ多くの人が関心を持って読む記事ならば次第に僕には責任が伴って来るという考え方は自然なものです。

先日心理職の集まりでこの話をしていたら、「世の中にはいろんな情報が集まってくる。金融商品で必ず儲かるような広告を出していたり、信頼性のない高い情報商材の販売もある。結局それを信じるかどうかはその人次第。それがネットリテラシーというものじゃないの?」

と言われましたが、こういった情報と公認心理師合格基準点とは全く違う性質のものですので同列には扱えないと思います。

この記事が言わんとしている目的は、さまざまな見解もあり、意見もあり、それに反発する自由もあるということです。

僕は第1回試験では正答率5割台での合格もあり得るし、合格率は高いだろうと書いていましたが、事例問題3倍の傾斜配分でずいぶんと合格率算定そのものが様変わりしました。

第2回試験はかなり難化したので平均点はどこの団体の算出でも軒並み下がっていると聞きます。

「第1回試験と第2回試験の乖離をきちんと埋めるべき」「試験そのものの統一性の危機」というのは巷でも言われていて、僕も主張している事です。

これがSNSの誰かのつぶやきなら個人的見解で済むでしょうけれども、多くの人々が読んでいるということについての社会的責任について確かに僕がその責任を問われるいわれはあります。

今のところ、の方針ですが特定のコメンター同士の誹謗中傷や公序良俗に反しないコメントである限り、僕に対する批判でもコメントを掲載して行こうと考えています。

この試験がガラス張りの合格基準、出題基準になるのはまだ年数がかかるかもしれません。

僕は新しく心理職としてスタートしていく人たち、国家資格を取得して自らの見識の幅や活動領域を広げて行こうとする人々の思い入れや生き様に共感していきたいと考えています。

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第2回心理師試験・受験生、読者からの生の声

実は毎日のように受験者の方々、その他この試験にご意見がある方々からのコメントをいただいているのですが、なかなか時間が取れなくて返信できないでおり、申し訳ありません。

それらのご意見、コメントに一括返信するような形での記事になります。

時間が取れたら個々に返信をしていければいいなと思っていましたがなかなか時間が取れず、お詫びいたします。

まずはいただいた貴重なご意見をきちんと掲載した上で、大変失礼ですがまとめた形でまずは僕の見解も載せます。

◯公認心理師試験合格点下方修正予想

◯ 第2回公認心理師試験は本当に難化したのか?

◯ 第2回公認心理師試験合格水準厳格論への反論

◯ 第2回公認心理師試験は臨床能力を測定できたのか?

これらの記事に新たについたコメントです。

僕はいろんな角度から自分の視点で記事を書いているのですが、「公認心理師試験下方修正論」に対する反対意見は多いようです。

点数、合格ラインに関する記事をただのブロガーが過度に期待させるような発言をするべきじゃないという意見は正当性があるものです。

さて、この試験の難易度は人によって感じ方が違います。

それは当然のことと思います。

第1回試験より北海道追試は難しかったけれども、第2回試験の方が易しかったという声もありました。

これは人によって得意分野としている出題領域が違うので当然のことと思います。

ただ、「第1回試験の方が第2回試験より易しかった」

という声は誰からも聞いていません。

第2回試験の受験者のうちとても厳しかったと述べる人たちは、第1回試験、北海道追試を経て穴がないように全問正解できるレベルまで学習したにもかかわらず、今回の試験は知らない用語、知識ばかりで答えようがなかった。

どう考えても前年度の138点には届かない、もう浪人を覚悟している、それでも再受験を考えているけれどもこの先どうやって勉強したらいいのかわからない、今後どうやって勉強すればいいですか?

不意打ちのように知らない知識がどんどん出てくるようでは対策ができない。

などの声がありました。

こういった、今回試験が難しかったという感想は僕のところに来るコメントだけなのかなあ、と疑問に思っていたらベテランで心理の実務経験が長い人でも120点台やそれ以下が多かったという人たちのことを聞いて驚きました。

それがこの試験の困難さを示しているのでしょう。

実際に臨床心理士などの資格を持って現場第一線で働いているにもかかわらず、第2回試験では合格水準の得点は取れない、そんな試験を実施するのはどうなの?

という感想もありそうです。

第1回試験との第2回試験水準の不整合についての不満も多いでしょう。

それから、合格点を下方修正をすべきだという僕の意見は結構な数の方から反対もされています。

その中のいくつかについて紹介します。

1.この試験は面接もなければ実技もない、点数だけが全て

2.試験は厳格な基準で6割合格とするのが公平性がある、試験とはそういうものだ

と雑駁に言えばそういうものです。これらの見解も理はあります。

実際基準点6割厳守の試験もあります。

例えば言語聴覚士です。

簡単な試験ではありませんが合格率は約8割です。

公認心理師試験がどのような水準を求めていてどうなっていくかは現時点では不明なことが多いのです。

今回、多くの人がそれぞれの見地からコメントを下さっています。

自由な意見を述べる権利があるのは民主主義社会においては当たり前のことです。

皆様が「意見」「見解」という形で冷静なコメントを下さるようであればきちんと掲載していきたいと思っています。

コメントを下さった方々には大変感謝しております。

お礼を申し述べるとともに、今後とも宜しくお願いいたします。

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第2回公認心理師試験は臨床能力を測定できたのか?

受験生の方々から話を聞いていると、本当に日常的に臨床業務を頑張っている人たちが多いです。

臨床心理士資格があって総合病院精神科でバリバリと働いている人がいます。

「明日開頭手術する患者さんなんだけどさ、脳腫瘍じゃなくて統合失調症の可能性ないかなあ。心理テスト朝イチで所見を出といてくれる?」(医師)「えっ」(心理)というのはあり得る話ですし、そんな仕事の仕方をしている心理職はあらゆる分野にいます。

心理職も福祉職も多忙な現場で残業漬けになって働く人は多いです。

個人的事情はどんな試験でも一切考慮されません。

子育て、家事、介護でクタクタになっている人もいます。

「さてどうやって勉強時間を捻出しよう。あ、できない。ぶっつけ本番でテスト受けちゃえ」

と受験して合格点スレスレで合格した人、不合格だった人がいます。

以上第1回試験の話です。

臨床心理士試験の合格率は6割、第1回公認心理師試験合格率は8割、一見合格率は高いように見えるので「なんだ、こんな試験簡単じゃない」と一般的に思われるかも知れません。

ところが例えば臨床心理士試験については、毎年専門の大学院を卒業しても4割の人が落ちるわけです。

1回、2回と落ちて「もう1回落ちたらもう受験やめようかなあ」という人が3回目に合格した、どこかへ行って消息不明いう話も何回か聞いたことがあります。

公認心理師試験は第1回目から受験者の臨床能力を測定する試験ではありませんてました。

新公認心理師になったからといって、さきほどの例えのように迅速に心理検査ができる能力が身につくわけではありません。

認知行動療法はバリバリの本流の精神療法のように扱われていますが、精神分析、芸術療法、催眠、EMDRなど学派は星の数ほどあります。

心理テストも描画を極めているとクライエントさんの顔を見ただけでどんな絵を描くかを見抜く能力がある達人もいます。

そういった実情の中で公認心理師試験問題は臨床能力を測定できたでしょうか?

研究に役立つだろう心理統計、実験法の設問を一生懸命勉強、臨床能力の向上に役立って、クライエントさんが「なんだか心理の先生は国家資格を取ってから全然一味違うしキレがあって素晴らしい」と思うことはありません。

5領域にわたる詳しい知識の学習は日ごろの臨床活動に深みを与えますし、何かの際にはどこにつなげることができるかということについて法的、制度的な知識は伝えてくれます。

公認心理師受験勉強が全く実務に役立たない試験とは思いません。

アメリカの臨床心理士は博士課程卒後基礎心理学中心の50パーセント合格率の試験に合格しないとライセンス取得は不可能です。

そして基礎心理学、統計、自分が寄って立つ立場とは別の知識を学ぶことに意味がないとは思いません。

しかし難易度のハードルを上げ過ぎて正答困難な試験にしてしまうことが正義という説も難があります。

公認心理師試験が行われると聞いた時、僕は勝手な憶測で応用分野については医療、教育、福祉、司法、産業領域から2領域を選んで答えればいいと甘い見通しをしていたのですがそうはいきませんでした。

全科目をきちんと学ばせるということにはそれなりの意味があることは認めます。

社会福祉士は0点科目が18科目中1科目でもあると合格できません。

ただし、社会福祉士のその科目は社会福祉に関するものがほとんどでばらつきはあまりありません。

それでも社会福祉士は合格率が低い難関資格です。

医師国家試験は合格率9割程度ですが既卒者の合格率は5割程度、絶対に選んではならない禁忌肢問題もあり、医師になれなければどんなに優秀な成績で医学部に入ったとしても、ただの人より格下に見られる人間となってしまうと思い国家試験受験者は必死でしょう。

医師国家試験は基本的な生物学から全科臨床能力知識が必要で、かなり困難な試験です。

何が言いたいかというと、公認心理師資格は他の資格とは違う独特の癖を持った資格として位置付けられているし、今後もそのようになっていくだろうということです。

基礎心理学も知っておいた方がそうでないよりもいいですし、統計も同様です。

基礎心理学や社会心理学も知っている、自分が所属して仕事をしている主務領域だけでなく、他領域も知っている心理職はクライエントさんに信頼されやすいでしょう。

将来的に公認心理師が国民の中で広く認知された時、幅広い知識がある心理職は感心されるだろうと思います。

しかし試験の難易度が高すぎて当の公認心理師にどこに行っても会えないということでは国民に知ってもらうことすらできません。

臨床心理士も地方になればなるほど、患者さんがカウンセリングを受けたいというニーズにはこたえられないでいます。

多くのカウンセラーから誰か相性がいい人を選ぶよりもカウンセリングを諦める人たちは多いでしょう。

公認心理師試験は臨床心理だけでなく基礎分野、臨床近接分野が多く出題されてもいいと思います。

ただしそれも限度があり、誰も正答できない、正答率30パーセントぐらいの設問は難問というよりも悪問なのかもしれません。

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