ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2019年03月

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◯ 公認心理師資格取扱説明書

1.心理職のみなさまの忌憚ない意見

⑴ 苦労して取ったけど役に立たない。

え、と思うのですがすでにそういう話を聞いています。

職場によっては「あ、国家資格取ったの?臨床心理士と何か違うの?」と上司や非心理職の同僚に言われて答えに窮する方もいたと思います。

心理職一人職場だと心理の資格のことは誰も興味を持っていません。

だから何?

という扱いです。

⑵ 名刺にでも書いてみる?

心理職は元々大学教員やEAP(従業員支援プログラムサービス企業)の営業兼カウンセラー、プレゼンターでもなければ名刺は作りませんが、名刺に

公認心理師
臨床心理士
産業カウンセラー
医学博士
精神保健福祉士
社会福祉士

と併記してあったとします。
名刺の裏側にスラッシュ付きで
公認心理師/臨床心理士/・・・と併記して名刺の裏側いっぱいに肩書きを入れることも可能です。

さまざまなところで心理職を掛け持ちして役職があり、職能団体に入っていれば日本◯◯協会会員、自治体から委嘱された青少年健全育成委員の肩書き、果ては所属学会の名前などを書けばもう名刺の裏側は小さな文字で読めないほどになります。

学会で独自に出している資格もあります。

そんな中に公認心理師の文字が埋もれていたとしましょう。

さて、こういった名刺をもらった人はその人を信頼できるでしょうか?

スラッシュキャリアと呼ぶらしいですが、僕なら胡散臭さ満載だという印象を持ってしまいます。

クライエントさんに名刺を渡す人もいるようです。

名前を覚えてもらうという意味ではいいかもしられませんが、スラッシュキャリア名刺にドン引きするクライエントさんは多いでしょう。

たとえ顧客に営業をかけるとしてもスラッシュキャリアの中に公認心理師を埋もれさせたらもったいないです。

自営カウンセラーは名前を覚えてもらう必要があるので意味があるかもしれませんが、事務所やカウンセラーの方針で変わって来るでしょう。

勤務カウンセラーがスラッシュキャリア併記をする必要はないなあと思います。

⑵ とりあえずみんな取るから取った。それからのことははわからない。

これはあれですね、「みんなが行くから高校に進学する」
と同じノリですね。

青春なので盗んだバイクで走り出してしまいたくなるような刹那的意見ですが多数意見でもあります。

2.公的機関からの資格取扱説明

公認心理師と臨床心理士のやる仕事は変わりません。

一番親元の厚労省公認心理師制度推進室がそう言うのですから間違いないでしょう。

素敵な赤紫色の資格認定証を保管しておいて飾って眺めて何万〜何十万円かかった資格と思っていてもただそれだけです。

日本心理研修センター、日本公認心理師協会も特に臨床心理士と公認心理師の相違について明確な説明はなされていないままです。

3.倫理

職務範囲も倫理義務、基準も曖昧です。

もしこれが「全力で公認心理師のみなさんの倫理的課題についてアドバイスします。全責任は取ります。

だったら相当印象は変わるでしょう。

さて、日本公認心理師協会も公認心理師の会も絶対にそんなことは言わないと思いますが「お前のことは俺が最後まで面倒見るぜ」と言われたら僕もクラっときてしまいます。

日本公認心理師協会倫理委員委員長の先生は大変立派な方で人格者の方です。

残念ながら問い合わせをしても返信がないので、申し訳ありませんが日本公認心理師協会全体としては真面目に会員の相談に乗ってくれるわけではなさそうです。

メール無視、連絡先としての電話番号なしです。

したがって公認心理師資格ホルダーのみなさんは法律と倫理を自己解釈しながら仕事をしなければなりません。

⑴ 主治の医師の指示

なぜ僕がこれほど公認心理師の倫理にこだわるかというと、まずは「主治の医師の指示」のガイドラインが
曖昧だからです。

そこが臨床心理士との一番の相違です。

教育現場にいてチーム学校の一員のスクールカウンセラー、校長の指示で「学校の教育体制をあげ、教育委員会の協力を得て全力で取り組む」と言い切ってそこに主治の医師に報告するするのはその後からにしましょうと決定が出たら当該スクールカウンセラーはどうしたらいいでしょう。

校長の意向を無視して勝手に主治の医師に連絡し、主治の医師と学校の方針が真逆(よくあることです。)、結果、主治の医師の指示も守れない、そして学校を激怒させたらスクールカウンセラーの来年度の雇用はありません。

随所で出てくるだろうこういった公認心理師の活動と主治の医師との方針の齟齬、特に病院と別機関で働いている場合はどうすればいいの?

となるわけです。

さて、

公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について

では

4.主治の医師からの指示への対応に関する事項

(5) 要支援者が主治の医師の関与を望まない場合 要支援者が主治の医師の関与を望まない場合、公認心理は、要支援者の心情に配慮しつつ、主治の医師からの指示の必要性等について丁寧に説明を行うものとする。


とあり、これは心理職みなさんが同様に思うことでしょうけれども

公認心理師「お薬全然飲みたくないから飲んでないってことはお医者さんにかかっている中で、かなみちゃんにの健康を守るためには大事なことなの。主治医の先生に連絡させてもらっていいかしら?あの先生優しいからかなみちゃんの治療について真剣に考えてくれると思うの」

かなみちゃん「ヤダ、あのヤブハゲのヒゲジジイにチクったら死ぬ。今日死ぬ。おうち帰ったら死ぬ。言いつけなかったら死なない」と言われたら、「どうすりゃいいの?」と思うでしょう。

こういう主治医の医師との齟齬は各領域でたくさん出てくるでしょう。

その度に公認心理師は資格剥奪になるのでしょうか。

⑵ 多重関係

公認心理師が自分が兼務している医療機関にクライエントさんをリファー(紹介)するのは多重関係に当たります。

リファーはいくつかの機関を提示してクライエントさんに選んでもらうのが原則ですが、たとえば子どもを児童精神科医に紹介する際に公認心理師の勤務先がその病院、しかも地元で一番評判がいいところだったら?

公認心理師は自分が勤務している病院の良さを説明できますが、リファーの原則には反しています。

僻地勤務、公認心理師が勤務している医療機関がただ一つだけの精神科だったらどうすればいいのでしょうか。

クライエントさんは自分で自己決定ができない人も多いです。

いくつか医療機関候補を提示しても「決められないから困ります。先生決めてください。だって何がなんだかわかりません」ということもありがちな話です。

学校教員も公認心理師を多く取っています。

看護師も作業療法士もほか福祉職の人たちも公認心理師を取得しています。

それらの教育、医療、福祉専門職務と公認心理師心理職としての理念が相反した時には?

4.まとめ

さて、保険点数になるよとか、ストレスチェックの権限があるよ、採用に有利になることもあるよということ以外、考えてみればみるほどこの公認心理師資格の活用法はダイレクトには不明朗なままです。

せっかく初の心理職国家資格なのですから、この資格はなんなのかの定義付けをきちんとしておかなければならないのにと思います。

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◯ 第2回公認心理師試験ブループリント・初回試験からの変更点と対策

1.はじめに

さて、やっと、という感じがしますが3月20日に第2回公認心理師試験ブループリントが発表されました。

初回試験と北海道追試を検証していて痛感したことですが、小項目は必須学習領域で、必ず出る可能性があるので学習は欠かせません。

小項目の中のさらに隠された小項目があり、それらはブループリントには書かれていない用語です。

少しでも高い点数を取ろうと思うのならばブループリントや参考書だけに頼らない、心理学全体を俯瞰して網羅した学習が必要となります。

過去の問題を見ていると、ブループリントの小項目を学習したから必ず正答できるというわけでは全くないです。

これが前提です。

2.平成31年度試験ブループリント変更点

・公認心理師としての職責の自覚

ここでは平成30年度現任者講習、現任者テキストで痛いほど叩き込まれていた多職種連携、地域連携が平成31年度には消えています。

多職種連携、地域連携は心理職としては必要なのですが、あえて外したということは、推測ですが秘密保持義務との関連性があるのではないかと思います。

連携を深めれば深めようとするほどクライエントさんの秘密を守ることは困難になります。

公認心理師倫理が固まっていない今、多職種連携を声高に叫んでも試験委員会も日本心理研修センターも「え、あの時連携が大事だっていってたから秘密保持を外しました」と言われても責任を取れない。

つまりこれは問題の知識を問うのではなく、連携という哲学をいったん棚上げしたということではないでしょうか。

そしてスクールカウンセリングが消滅してカウンセリングとなっています。

これまで長い歴史の中で臨床心理士会によって培われてきたスクールカウンセラーの集団守秘義務(出題されていましたが)は見直されるかもしれません。

確かに「なぜ児童生徒保護者には秘密がないの?」という疑問は出てくるところです。

ここには教育学、チーム学校などの教育哲学的な問題や安全配慮義務の問題もかかわってきます。

・心理学・臨床心理学の全体像

構成主義が要素主義に置き換わっています。

構成主義と要素主義とよく似た概念で、同列にされることもありますが、僕は構成主義はTitchener,E,BがWundt,Wの要素主義を心的最小単位として分解したものをさらに再構成したものと考えています。

つまり、要素主義まで遡って小項目にしたということは、心理学史の初期の初期まで戻り、Wundt,Wの意識心理学や内観を含めた心理学史全般が学習範囲に入ったのかなと推測します。

・心理学における研究

⑴ 心理学における実証的研究法

中項目の中で事例研究、量的研究、質的研究が実践的研究に置き換わっています。

僕の推察です。

科学的心理学的研究は統計的実証性がなければなりません。(と考えたのでしょう)

過去問には事例研究も質的研究も出題されていません。

この際バッサリと「統計的実証性がない研究は心理学的研究ではない」という思想が(科学も思想、さらに言えば信仰のようなものだと思います)反映されているのかと思いました。

⑵ 心理学で用いられる統計的手法

の中で多変量解析が残され、多変量データ解析、マルチレベル解析が消えました。

確かにマルチレベル分析は出題されていませんでした。

研究を行うためには多変量解析中の重回帰分析、主成分分析、因子分析、判別分析、数量化理論 (I類、II類、III類、IV類)辺りができれば科学論文が書ける程度の知識は身に付きます。

ただ、この辺りの知識は統計、数学ができなくても、どんな実験にどの検定方法を使えばいいか暗記してしまえば正答できます。

これまで臨床心理士試験にもこの辺りは頻出だったと思います。

excelは優れた統計ソフトでSPSSでなくとも多変量解析はできます。

しかしながら試験委員にはSPSSソフトの専門家もいますので油断はできません。

マルチレベル分析もexcelである程度のことはできますが、まずは心理学研究法として多変量解析はしっかりと覚えておくようにという意図があるような気がします。

⑶ 統計における基礎知識

回帰検定、仮説検定が消えました。

回帰検定は割と統計初心者でも正答できやすいかなと思っていました。

仮説検定も同様で、統計ではなくただの論理学です。

易しい分野は省いたのかなと思います。

新ブループリントには点推定が参入しました。

この辺りは母集団と標本を理解するのに割と簡略にも学べます。

ただ、奥深い概念なので難しくなるのかな?

とどちらの可能性もあると思っています。

・知覚及び認知

から失認が消失してしまいました。

失認、失行、失調は老年医学の基本ですが、そちらにシフトしたのかな?

と思います。

脳梗塞における半側空間無視は臨床的にはかなり厄介なのですが。

・学習及び言語

この項目はかなりシンプルにまとめられました。

古典的条件付けとオペラント条件付けだけになりました。

ただし、なぜかわかりません。

出題もされていたのに実験神経症(PTSD研究では人工PTSDを検証するのにラットに使用しています。)や自己効力感、セルフエフィカシー(教育心理学小項目には残っていますので必須学習分野です。)がなぜ消えたのでしょうか?

謎です。

⑵ 言語の習得における機序

に音韻論、形態論が新設されました。

統語論、意味論に加えて言語心理学学習を深めることを課題設定したのでしょう。

音韻の規則を分類する、「白薔薇」は「白」「薔薇」になるという形態論についても学習を求められます。

以前書きましたが「私はラーメン」は意味論的にどうか、統語論的にどうかなどの問題だといいのですが。

復習ですが、語用論だと「カレーライス食べたい」は店主への注文になります。

・感情及び人格

⑴ 感情に関する理論と感情喚起の機序

「感情に関する生物学的基礎」→「感情に関する神経科学」になり、生物学的な側面よりも神経心理学的になり表題はすっきりとしました。

出題はされませんでしたが相変わらず掲載されている感情の低次回路、高次回路は理解しにくい概念だと思います。

精神力動理論がこの項目から除かれたのは完全に出題委員の意向でしょう。

精神療法の歴史を勝手に塗り替えるのはやめて欲しいものです。

感情の進化
・感情の機能
・感情、情動、気分
・個別の感情

が加わっているので感情心理学は必修という気がします。

試験出題委員 中村真宇都宮大学国際関係学部教授の専門分野です。

⑵ 感情が行動に及ぼす影響

として

感情の制御
感情と動機付け
感情と情報処理

の3項目が追加され、「個別の感情」が削除されました。

グロス;Gross,J.が感情制御、動機付けについては内発的、外発的もあり学習範囲不明です。

感情と情報処理については萩原将文慶應義塾大学教授(工学)が詳しいようです。

⑶ 人格の概念形成及び形成過程

では自己特性論が消えて「人格」に変わりました。

自己特性論はオルポート、アイゼンク、キャッテル、ビッグファイブに代表されます。

特性論は⑷人格の類型、特性に統合されたと解釈しておくのがいいでしょうか。

・11 社会及び集団に関する心理学

⑴ 対人関係並びに集団における人の意識及び行動についての心の過程

の中項目について小項目では

(新)親密な対人関係←(旧)対人関係、対人魅力、対人行動(攻撃行動、援助行動、協同)と変化しています。

社会心理学は臨床とも割と密接なので出題していたのかなというのが私見でしたがざっくりと消えていますね。

だからといって社会心理学軽視ではなく、小項目には

社会的影響
・集団内過程 、集団間過程
・社会的ジレンマ、社会的アイデンティティ、社会的ネットワーク
・ソーシャルネットワーク、 ソーシャルサポート
・集合現象
・集団、組織

が入っています。

社会心理学はきちんと公認心理師受験用のものを読みつつ用語を徹底的に解釈(あくまで僕のやり方です)した方がいいと思いました。

出題者の好みなのでしょうか。

⑵ 人の態度及び行動 - 思考
対人行動、対人的相互作用

⑶ 家族、集団及び文化が個人に及ぼす影響 家族関係 -異文化葛藤

も社会心理学分野に加わっています。

12 発達(大項目)

から小項目「不適切な養育(虐待、ネグレクト)」が除かれました。

これは中項目

⑴ 認知機能の発達及び感情・社会性の発達から除かれたものです。

昨今の児童虐待批判の流れに逆行しています。

反応性愛着障害、アタッチメント障害が他項目にも見受けられるのですが、ここを切り落とすのはどう?と思うのです。

当然のことながら被虐待児が持つ知覚的、身体的な発達の遅れが出題されないのかなあと思ってしまいます。

公認心理師試験は児童に手が回らないという行政のまわし者なのでしょうか?

と大親分が厚生労働省だけに考えてしまいます。

※ 以下、精神保健福祉法が出題範囲として大項目

13 障害者(障害者)の心理学

に入ったのはそうかと思うのですが、受験生はさらに学習を深めなければならないので負担は増えます。

ただ、実務上でも必要な知識と思いました。

14 心理状態の観察及び結果の分析(大項目)

中項目

⑷ 心理検査の適応、実施及び結果の解釈

には小項目

「実施上の留意点」が加わりました。

うがった見方になるのですが、今回出題委員にはどうしても日本心理学会の影が見え隠れします。

認知行動療法家は心理検査を専門とするわけではありません。

心理検査に謙抑的であれという見解があってもおかしくないでしょう。

15 心理に関する支援(相談、助言、指導その他の援助)−大項目

中項目

⑴ 代表的な心理療法並びにカウンセリングの歴史、概念、意義及び適応

から構成主義が除かれました。

認知行動療法と構成主義療法は深い関係がありますが、それは論理情動療法(REBT)につながる流れです。

確かに出題委員にはREBT専門家がいるとはいえ、あまりに僅少学派、日本人生哲学感情学会は主流ではありません。

だからといって出題されない保証はないのですが。

⑵ 訪問による支援や地域支援の意義

心理職が今後活躍が期待される場でもあります。

小項目「アウトリーチ」は「アウトリーチ (多職種による訪問支援)」に進展しています。

小項目にはまた

「・地域包括ケアシステム
・コミュニティ・アプロ―チ、コンサルテーション」

及び

「・転移
・エンパワメント
・ナラティブ・アプローチ、ストレングス」

が加わりました。

実際にそうなるかどうかは別として地域包括システムに公認心理師を含めたいという意欲は伝わってきます。

17 福祉に関する心理学(大項目)

中項目

⑴ 福祉現場において生じる問題とその背景に

小項目として「精神障害」が加わりました。

福祉心理学でも認知症や神経心理学的障害、児童心理学のみでなく精神医学的なさまざまな疾患の知識を必要とするという概念からでしょうか。

中項目

⑵ 福祉現場における心理社会的課題と必要な支援方法

からは小項目

・基本的生活習慣の未熟さ
・ケアマネジメント、介護

が除かれました。

確かに心理学よりは福祉、介護領域の視点の項目です。

より心理寄りにしたいという出題意図でしょうけれども、連係という意味では学際的知識を切ることへの危惧はあったでしょう。

中項目

⑶ 虐待、認知症に関する必要な支援

は従前「アウトリーチ (訪問支援)」とされていたのが「 アウトリーチ (多職種による訪問支援)」と多職種連携を重視しています。

初回訪問に心理職が同行してアセスメントを行うならば守秘義務とのジレンマはないでしょうから、無難な連係とは思えます。

ただ、実際にこれがより定式化されて役立って欲しいところでもありますが。

大項目

18 教育に関する心理学

中項目

⑴ 教育現場において生じる問題とその背景

から

小項目

「セルフモニタリング」
「学級崩壊」

が除かれました。

セルフモニタリングは認知行動療法上では大切な技法でレコーディング(記録法)によって内省を深めることができますが、果たして教育学心理学上では効果はどうなのかと言われると小項目にわざわざ入れるのも確かにどうかと思います。

ただし、第2回試験はさらに認知行動療法推しでしょうから、用語としては押さえておきたいです。

学級崩壊は価値観が入ります。

学級崩壊をさせたのはどういった特質を持つ児童生徒でそれにかかわる教職員、さて、スクールカウンセラーにできることがあるのか?

教育に関する臨床心理学分野に入れておくのには無理があるのかもしれません。

ただし小項目として

・教師-生徒関係
・プログラム学習
・発見学習

が新たに加わりました。

これは純粋に教育心理学的、教育学的観点から加わっている項目です、

公認心理師養成大学教員連絡協議会には日本学校心理学会も加わっています。

心理関連諸学会の意向もあるのかなと思ってしまいます。

中項目

⑵ 教育現場における心理社会的課題と必要な支援 学習障害

には学習障害が加わった代わり「学業不振」が除かれました。

初回試験に受験生や各種予備校、大学教員らの判断を混迷させた「あの少年」の学業不振問題があまりにも不評、悪問と言われていたかもしれません。

「教育評価」もどちらかと言えば純粋に教育学的な視点でしょう。

19 司法・犯罪に関する心理学

大項目中にはがっちりと司法・非行心理学が入りました。

中項目

⑵ 司法・犯罪分野における問題に対して必要な心理的支援

小項目に

非行・犯罪の理論
・非行・犯罪のアセスメント
・施設内処遇と社会内処遇
・司法面接

が入りました。

このあたりをサクサクと解けるのは司法現場の心理職だけです。

司法心理学の学習は関係がない領域で働く方でもじっくりと取り組みましょう。

何度も繰り返しのアナウンスになりますが、じっくりと司法面接の手法について研修を受けながら報酬が得られる萩野谷博士の研究は臨床心理士ならば参加できます。

大項目

20 産業・組織に関する心理学

です。

⑴ 職場における問題に対して必要な心理的支援

からはポジティブ心理学が除かれました。

実はポジティブ心理学は学問としての成立を謳うにはまだ早いかなという個人的な印象を受けていたのでこれはいいのではないかと思います。

小項目に加わった「労働災害」は「心理学しか知りません」では過労死などに対応できませんので産業分野では不可欠な知識です。

「ワーク・エンゲージメント」は組織における活力を高める概念です。

厚生労働省資料もあるので一読しておくと受験生以外の方々の参考にもなると思います。
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大項目

21 人体の構造と機能及び疾病

は中項目として

⑴ 心身機能、身体構造及びさまざまな疾病と障害

小項目

解剖学、生理学

が入り、「人体の正常機能と構造」
と「主要な疾病(循環器疾患、内分泌代謝疾患、呼吸器系疾患、神経疾患、筋・骨格系疾患、がん等)」が除かれました。

各医学領域で働く心理職は多く、何科でも心理職が働いていておかしくない時代ですし、難病への理解はあった方がいいと思っていたのですが除かれてしまいました。

身体疾患を除いて解剖学、生理学必須にするというのでは「何これ、コメディカルとして身体治療でもするの?」と思われても仕方ないでしょう。

大項目

22 精神疾患とその治療

中項目

⑴ 代表的な精神疾患の成因、症状、診断法、治療法、経過、本人や家族への支援

小項目

「アドヒアランス」が加わりました。

精神科で病識がない人に治療アドヒアランス(意欲)を持たせるのは難しいです。

また、医療者が思っていることを(法的には公認心理師は医療者でも医療従事者でもないので念のため)
公認心理師が代行して患者さんを説得するのは医師の仕事だけど公認心理師がやる勉強をさせられるの?

と思いました。

実際には医療現場では医療行為以外ならなんでもお手伝いさせられる可能性がある心理職です。

日本精神神経学会が出した意見書内に

2 「基本的な考え方」に関して
1)「支援行為は、(略)医行為には当たらない」という記載について(2-3 行目)。 そもそも、医師が医師法により「国民の健康な生活を確保する」ために行う「医行為」 は、身体的だけではなく、心理的、社会的成因や要因を検討評価することから、公認心理 師が公認心理師法により「国民の心の健康の保持増進」のために行う「支援行為」の多くが含まれる可能性の高いものであり、「医行為」と「支援行為」との峻別は通常困難である。 さらに、業務独占の立場から主治の医師が指示する「医行為」の場合には、名称独占であ る公認心理師の「支援行為」は含まれるものであり、それが、公認心理師法第 42 条第 2 項 (以下、法第 42 条第 2 項)において「主治の医師があるときは、その指示を受けなければ ならない」と規定された所以である。したがって、この記載は法制度上また医師の実務上、 首肯できない記載である。


日本精神神経学会では医師がいるのに勝手に患者さんに心理的支援をしちゃいけないよ、全部医師の指示を受けてからじゃないとダメだよ。

ということを言いたいわけですが、治療アドヒアランスに関する出題を含めて公認心理師が、医師団体が言う業務独占医行為をしてもいいの?させてもいいの?と思うわけで、ここに矛盾を感じました。

実際には治療アドヒアランスは医師を頂点としたチームで協力して行っているので実務上の問題はないですし、試験に出したからきちんと仕事としてね、というのは日本精神神経学会の意見書の趣旨とあまりにも異なるなあと思った次第です。

続いて中項目

⑶ 医療機関への紹介

「精神科に紹介すべき症状」→ 「精神科等医療機関 へ紹介すべき症状」

と変わりました。

基礎医学知識は試験勉強としては学んでいないのですが実際には身体疾患にかなり詳しい心理職は多いです。

ですが教育を受けさせていないけれども的確な科に紹介してね。

という無責任さが透けて見えてしまいます。

大項目

23 公認心理師 に関係する制度

について

中項目

⑵ 福祉分野に関する法律、制度

小項目に障害福祉計画、障害者基本法が加わったことには異存はありません。

⑷ 司法・犯罪分野に関する法律、制度

更生保護施設、地域生活定着支援センター、自立援助ホーム、自立更生促進センター

これも大切な知識です。

法務省や裁判所のホームページを検索して覚えましょう。

⑸ 産業・労働分野に関する法律、制度

ストレスチェック制度が抜けたのは、必要な人は学ぶからということでしょうか

最後に自死予防は入っていなかったのが不思議です。

厚労省にたくさんガイドラインがあります。

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公認心理師医療過誤訴訟は起きるか?(倫理検証編)

どの機関も公認心理師の倫理について知らんぷりしているので折に触れ自分でも公認心理師倫理義務に考えてみることにします。

自衛のために公認心理師が自分でしかガイドラインを作れないというのは実に残念なことです。

3月18日、公認心理師現任者講習も行っている日本遠隔カウンセリング協会(JTA)と損害保険ジャパン日本興亜が共同で公認心理師向けの保険商品を売り出したということがニュースで報道されたのです。

公認心理師が職務上訴えられた時の民事訴訟に備えるためのもので、日本臨床心理士会がこれに先立って東京海上日動火災保険の保険商品を販売していました。

公認心理師が被告になる時という記事で書きましたが、確かに心理カウンセラーが刑事上、もしくは民事上の被告になることはありそうな話です。

どこまでの範囲を保障する保険か、約款を読んでいないのでわかりませんが、クライエントが予告して被害者タチアナ・タラソフさんの命を奪った、その際に患者から予告を聞いていて何の警告も発しなかったカウンセラーが訴えられ敗訴したというタラソフ事件は有名です。

手元の「精神科医療事故の法律知識」(星和書店)をひもといてみたのですが、例えば「誤診」によってスティグマ、医療の現場で偏見を押し付けられた、人格を傷つけられたという、センシティブな事案は裁判例として掲載されていません。

死の危険性がある入院患者の安全配慮義務を怠ったので自死したという物理的な医療側敗訴は掲載されていますが、心理的なものについては判例なしです。

これは患者さん側に情報が少な過ぎることが一因として考えられます。

患者の個人情報については
厚生労働省ガイドラインで定められており、「例えば、カルテの開示の場合、インフォームドコンセントの考え方から相当程度の病状等を開示することが考えられる場合がある一方で、患者の精神状態、病状の進行状態等から、開示が病状等の悪化をもたらすことが予見される場合もあり得る。」場合にはカルテ不開示にすることもできます。

病院はカルテ開示請求があった際には審査して開示、不開示の決定をしますが病院の事務方はめちゃくちゃなことを言って患者の当然の異議申し立て権利は「院長が決めたことなので異議申し立ての余地は全くありません」と嘘をつく場合があります。

独立行政法人病院なら総務省、都道府県個人情報保護審議会に不服申立てができますし、審議会で開示決定が出ている場合も多いのです。

それを知らない患者さん、家族、遺族に「ダメです」という法の違反がまかり通っているのは実に遺憾です。

無知なのかもしれませんが決して許されることではありません。

ただし、個人情報保護違反、情報漏洩には罰則がありますが情報の不開示については罰則はありません。

「事実の錯誤はこれを罰せず、法の錯誤はこれを罰する」という言葉があります。

例えば熊が迫ってくるものと間違えて山中で黒い服を着た人を鉄砲で撃ったらそれは身を守るための「事実の錯誤」、「捨てられてる自転車を持ち去ったら犯罪になるなんて知らなかった」(占有離脱物横領罪)です。

公認心理師試験にも出そうですが、死者の情報は個人情報に当たりません。

間違って開示すべき情報を手前勝手に不開示にしたり、異議申し立て方法について嘘をついた職員は法の不知でもインフォームドコンセントの観点から、罰せられればいいと思うのですが、残念ながら罰則規定がないのです。

公認心理師もカルテ開示請求について聞かれることがこの先あるかもしれませんが間違っても「無理じゃないでしょうか、難しいと思います」と答えてはいけません。

本当かどうかわかりませんが「先生とあの世で一緒になれると信じています」という遺書を残して亡くなった女性の夫が治療者に莫大な損害賠償請求をしたという噂がかなり根強く精神療法の世界で流れていたことがありました。

さて、公認心理師も守秘義務違反だけでなく、職務に関して刑罰対象になるということがほかの法律で定められていることを記しておきます。

国家公務員、地方公務員にも守秘義務違反があります。

個人情報保護法、行政個人情報保護法の秘密漏洩で刑事罰を受けることもあり得ます。

贈収賄は心理職にはあまり関係なさそうですが、不当に物品、利益、肉体関係を迫れば公務員法違反です。

一般刑法典でも恐喝、カウンセリングでクライエントさんを信じ込ませて「これは治療の一環だからね」と性行為に及べばクライエントさんが自由意志を奪われた状態で被害に遭うわけで、準強制わいせつなどに問われます。

こういった職務上の地位を利用した犯罪は、微生物学者でありながら突然思い立ってカウンセリングをやり始めた元国立大学I教授が育て直しと称して女性クライエントとお風呂に入って有罪になった判例があります。

こういった犯罪は全く情状酌量の余地がないので、告訴があれば漏れなく実刑になります。

司法領域における処罰はさらに厳しく、国家公務員の職権濫用罪は2年以下の懲役ですが、義務のない者に勝手に義務を負わせた司法関係者は特別国家公務員職権濫用罪、特別国家公務員暴行陵虐などほぼ執行猶予なしの実刑になります。

性的多重関係は相手との合意があろうがなかろうが、捜査、裁判の公平性を欠くので司法の世界では厳しく裁かれます。

現代催眠原論(金剛出版)にも催眠を使って相手から金品を要求したり関係を迫った催眠療法家はもれなくその地位を追われていると記載されていますが、当たり前のことです。

保険に入っていても故意の倫理違反、セクハラ、パワハラ、アカハラは訴えられればそれまでで、民事で和解に達しても「和解ってことは認めたってことね」ということで資格剥奪や地位の喪失につながりかねません。

心理職、資格職は罰則もさることながら資格を剥奪されたらそれまで築き上げてきた心理カウンセラー人生が終わってしまいます。

実際に心理士向け雑誌を見ていると資格剥奪、停止処分は頻繁に出ています。

記録を確実に残しておくことは心理職の基本です。

臨床心理士の敗訴裁判例はもうすでに出ています。

心を扱う仕事は実に重大な責務が伴います。

知る権利とインフォームドコンセント概念が非常に重視されている時代です。

5領域全てに重い倫理義務が課せられていることを知悉しておくべきです。

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全文
【日本心理研修センター】お問い合わせの件

日本心理研修センター事務局です。
お問い合わせの件、当センターは公認心理師の指定試験機関及び指定登録機関です。
インターネットに公表することがある場合は、当センターのホームページで行います。
 
日本心理研修センター事務局


以上日本心理研修センターからの回答でした。

前の記事で、公認心理師が倫理問題で困った際には日本心理研修センターが相談窓口になれるかどうかという問い合わせに対する回答です。

厚労省の回答もつれないものでした。

私見になりますが、日本心理研修センターは基本的に試験・登録のための機関です。

ということで、定款には公認心理師の能力や資質を向上させるということが謳われていますが、実際には初回試験、現任者講習、1カ月早まった第2回試験のための対応に追われていて、相談を受け付けるどころではないのではないでしょうか。

実際、ブループリントもまだ公表されていないありさまです。

日本心理研修センターが定款には明確にしていないものの将来的に公認心理師倫理について考えることができるのは少なくとも5年10年はかかりそうです。
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※ 以下送信した本文です。

件名

公認心理師の倫理相談機関について

日本心理研修センター御中

個人で心理学ブログを運営しております。
公認心理師がその職務上、倫理問題で困惑してした際、日本心理研修センターは相談窓口として機能しているのでしょうか。

ちなみに先般厚生労働省公認心理師制度推進室に電話照会した際には「ない」と明言されました。

1.主治の医師の指示において、主治の医師の指示を受けたくとも緊急対応が必要でいとまがない場合

2.守秘義務と安全配慮義務との間で公認心理師が困った場合

など倫理問題では公認心理師がさまざまに困る場面が出て来るのではないかと思います。

以上、インターネットに公表して構わない範囲内でご回答よろしくお願いします。

以下ブログタイトル、アドレス

「カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた」

http://hinata.website/

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