◯ 公認心理師資格取扱説明書
1.心理職のみなさまの忌憚ない意見
⑴ 苦労して取ったけど役に立たない。
え、と思うのですがすでにそういう話を聞いています。
職場によっては「あ、国家資格取ったの?臨床心理士と何か違うの?」と上司や非心理職の同僚に言われて答えに窮する方もいたと思います。
心理職一人職場だと心理の資格のことは誰も興味を持っていません。
だから何?
という扱いです。
⑵ 名刺にでも書いてみる?
心理職は元々大学教員やEAP(従業員支援プログラムサービス企業)の営業兼カウンセラー、プレゼンターでもなければ名刺は作りませんが、名刺に
公認心理師
臨床心理士
産業カウンセラー
医学博士
精神保健福祉士
社会福祉士
と併記してあったとします。
名刺の裏側にスラッシュ付きで
公認心理師/臨床心理士/・・・と併記して名刺の裏側いっぱいに肩書きを入れることも可能です。
さまざまなところで心理職を掛け持ちして役職があり、職能団体に入っていれば日本◯◯協会会員、自治体から委嘱された青少年健全育成委員の肩書き、果ては所属学会の名前などを書けばもう名刺の裏側は小さな文字で読めないほどになります。
学会で独自に出している資格もあります。
そんな中に公認心理師の文字が埋もれていたとしましょう。
さて、こういった名刺をもらった人はその人を信頼できるでしょうか?
スラッシュキャリアと呼ぶらしいですが、僕なら胡散臭さ満載だという印象を持ってしまいます。
クライエントさんに名刺を渡す人もいるようです。
名前を覚えてもらうという意味ではいいかもしられませんが、スラッシュキャリア名刺にドン引きするクライエントさんは多いでしょう。
たとえ顧客に営業をかけるとしてもスラッシュキャリアの中に公認心理師を埋もれさせたらもったいないです。
自営カウンセラーは名前を覚えてもらう必要があるので意味があるかもしれませんが、事務所やカウンセラーの方針で変わって来るでしょう。
勤務カウンセラーがスラッシュキャリア併記をする必要はないなあと思います。
⑵ とりあえずみんな取るから取った。それからのことははわからない。
これはあれですね、「みんなが行くから高校に進学する」
と同じノリですね。
青春なので盗んだバイクで走り出してしまいたくなるような刹那的意見ですが多数意見でもあります。
2.公的機関からの資格取扱説明
公認心理師と臨床心理士のやる仕事は変わりません。
一番親元の厚労省公認心理師制度推進室がそう言うのですから間違いないでしょう。
素敵な赤紫色の資格認定証を保管しておいて飾って眺めて何万〜何十万円かかった資格と思っていてもただそれだけです。
日本心理研修センター、日本公認心理師協会も特に臨床心理士と公認心理師の相違について明確な説明はなされていないままです。
3.倫理
職務範囲も倫理義務、基準も曖昧です。
もしこれが「全力で公認心理師のみなさんの倫理的課題についてアドバイスします。全責任は取ります。
だったら相当印象は変わるでしょう。
さて、日本公認心理師協会も公認心理師の会も絶対にそんなことは言わないと思いますが「お前のことは俺が最後まで面倒見るぜ」と言われたら僕もクラっときてしまいます。
日本公認心理師協会倫理委員委員長の先生は大変立派な方で人格者の方です。
残念ながら問い合わせをしても返信がないので、申し訳ありませんが日本公認心理師協会全体としては真面目に会員の相談に乗ってくれるわけではなさそうです。
メール無視、連絡先としての電話番号なしです。
したがって公認心理師資格ホルダーのみなさんは法律と倫理を自己解釈しながら仕事をしなければなりません。
⑴ 主治の医師の指示
なぜ僕がこれほど公認心理師の倫理にこだわるかというと、まずは「主治の医師の指示」のガイドラインが
曖昧だからです。
そこが臨床心理士との一番の相違です。
教育現場にいてチーム学校の一員のスクールカウンセラー、校長の指示で「学校の教育体制をあげ、教育委員会の協力を得て全力で取り組む」と言い切ってそこに主治の医師に報告するするのはその後からにしましょうと決定が出たら当該スクールカウンセラーはどうしたらいいでしょう。
校長の意向を無視して勝手に主治の医師に連絡し、主治の医師と学校の方針が真逆(よくあることです。)、結果、主治の医師の指示も守れない、そして学校を激怒させたらスクールカウンセラーの来年度の雇用はありません。
随所で出てくるだろうこういった公認心理師の活動と主治の医師との方針の齟齬、特に病院と別機関で働いている場合はどうすればいいの?
となるわけです。
さて、
公認心理師法第 42 条第2項に係る主治の医師の指示に関する運用基準について
では
4.主治の医師からの指示への対応に関する事項
(5) 要支援者が主治の医師の関与を望まない場合 要支援者が主治の医師の関与を望まない場合、公認心理は、要支援者の心情に配慮しつつ、主治の医師からの指示の必要性等について丁寧に説明を行うものとする。
とあり、これは心理職みなさんが同様に思うことでしょうけれども
公認心理師「お薬全然飲みたくないから飲んでないってことはお医者さんにかかっている中で、かなみちゃんにの健康を守るためには大事なことなの。主治医の先生に連絡させてもらっていいかしら?あの先生優しいからかなみちゃんの治療について真剣に考えてくれると思うの」
かなみちゃん「ヤダ、あのヤブハゲのヒゲジジイにチクったら死ぬ。今日死ぬ。おうち帰ったら死ぬ。言いつけなかったら死なない」と言われたら、「どうすりゃいいの?」と思うでしょう。
こういう主治医の医師との齟齬は各領域でたくさん出てくるでしょう。
その度に公認心理師は資格剥奪になるのでしょうか。
⑵ 多重関係
公認心理師が自分が兼務している医療機関にクライエントさんをリファー(紹介)するのは多重関係に当たります。
リファーはいくつかの機関を提示してクライエントさんに選んでもらうのが原則ですが、たとえば子どもを児童精神科医に紹介する際に公認心理師の勤務先がその病院、しかも地元で一番評判がいいところだったら?
公認心理師は自分が勤務している病院の良さを説明できますが、リファーの原則には反しています。
僻地勤務、公認心理師が勤務している医療機関がただ一つだけの精神科だったらどうすればいいのでしょうか。
クライエントさんは自分で自己決定ができない人も多いです。
いくつか医療機関候補を提示しても「決められないから困ります。先生決めてください。だって何がなんだかわかりません」ということもありがちな話です。
学校教員も公認心理師を多く取っています。
看護師も作業療法士もほか福祉職の人たちも公認心理師を取得しています。
それらの教育、医療、福祉専門職務と公認心理師心理職としての理念が相反した時には?
4.まとめ
さて、保険点数になるよとか、ストレスチェックの権限があるよ、採用に有利になることもあるよということ以外、考えてみればみるほどこの公認心理師資格の活用法はダイレクトには不明朗なままです。
せっかく初の心理職国家資格なのですから、この資格はなんなのかの定義付けをきちんとしておかなければならないのにと思います。
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