カウンセラーひなたあきらが公認心理師について考えてみた

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。 ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2019年01月

北海道公認心理師試験総括

1.総括

北海道の追試は難しいという評価が多かったのですが、問題発表があってひと通り僕も自分で解いてみました。

第1回目2018.9.9試験よりも難しかったという感想が多かったですが確かに僕も難しいと思いました。

内容を検討してみましたが、聞いたことがない理論、学説が出ている割合が多いと感じる方も多かったでしょう。

合格率も初回試験79.6パーセントに対して64.5パーセントというのは厳しかった試験の結果を示していると思います。

2.率直な直感的感想

「難しいなあ」と思いながら解きました。

予備校でも難易度が高い問題が多かったという講評が出ています。

北海道追試組の人たちの中には「本試験が受けられればよかったのに」と思っている人たちも多かったのだろうなあと感じました。

3.公認心理師試験に求められている知識

基礎分野は「ここは捨てた」という学習方法は致命的になる可能性があります。

心理基礎分野を苦手としている人でも実験法、統計、発達心理、記憶、学習領域は必須です。

応用分野では、元々自分が活動している分野に自信があればいいでしょうけれども、狭くて深い知識も要求されます。

医療領域で仕事をしている人は多いでしょう。

リハビリ部門の心理職は詳しいと思いますが、クリニックなど勤務の心理職が普段触れない脳科学分野の学習は必須です。

受験者のみなさんが感想を述べていたとおり、高齢者、認知症やその対応についての問題も多かったです。

特に認知症の中核症状と周辺症状(BPSD)は必修と改めて思いました。

児童福祉領域は緊急性が高いことから今後も頻出でしょう。

主要5領域(医療・教育・福祉・産業・司法)は自分の活動分野でなくともきちんと学習を深めておかないとならないと思います。

3.求められている学習方法

基礎を固めるためには心理学検定、身体医学や法律行政をしっかりと知っておくためには精神保健福祉士、社会福祉士過去問を解いておいた方がいいです。

それからDSM-5はポケット版でもいいので、きちんと熟読しておかないとならないでしょう。

精神薬理学も必ず出題されます。

最新の精神薬理学の教科書は読んでおきたいものです。

難しい知識は要らなさそうです。

SSRI、抗精神病薬、ベンゾジアゼペン系抗不安薬の作用と副作用は押さえておかなければいけません。

賦活症候群が本試験、追試と連続して出ていました。

セロトニン症候群、アカシジアやジスキネジアは把握しておかないとならないでしょう。


心理テストは自分で施行したことがなくてもその概要を網羅して覚えておかないといけません。

点数を稼ぐには精神医学、心理、教育領域の厚生労働省及び文部科学省のガイドラインやパンフレットの熟読が必要です。

司法分野の学習については裁判所や法務省のホームページはかなり親切に一般人向けに説明していて、有用です。

そして公認心理師法は辰已のテキストを暗記するまで読み込むとかなりの得点源になります。

ダイバーシティの概念からLGBTの問題も出ていましたが、これからも1問は出題されると思います。

認知行動療法も丹野氏が推しているとおり出題されていましたが、基礎的な教科書を2、3冊読んでおけばいいのかなと思います。

精神分析はサリヴァンやエリクソンがまた出題されていたので、出題委員会は好きだなあと思いましたが、これからも出る可能性が高いかもしれません。

4.試験の解法

知らない用語、学説が出ていたから投げやりになる必要はないと思いました。

この試験についてはいろいろな人がそう述べていますが、公認心理師試験は落とすための試験ではなく、知識と臨床能力があるかを測るための試験です。

国語力でわかる問題も多いです。

昔見た運転免許試験で「高齢者は人生経験が豊富なので歩行していても注意する必要はない」というサービス問題がありました。

今回の追試でもサービス問題がいくつもありましたが、ストーカー男性にカウンセラーが「はっきり断らないあなたが悪いんですよ」というような事を言うカウンセラーは皆無なので、この対応が正しいと思った人はいなかったでしょう。

知らない領域と感じても、常識、ヒューマニズム重視の視点から正答できる隠れサービス問題も多かったです。

5.結語

僕は第1回試験よりもこの追試に出題委員会の本音が出ていたような気がします。

難問でもきちんと出題して、その対応能力を見極めたいのではないかと思います。

今後の公認心理師試験は多分この追試の水準の難易度がスタンダードになるのではないでしょうか。

多くの人が言っているように、特にケース問題は「自分ならこうする」ではなく「出題者の意図は何か?」を解き明かすために作られています。

この試験に挑戦するために得られる知識は臨床活動をする上でも有用になる、そう思って前向きに取り組んで欲しいと考えました。

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公認心理師を目指す人に知っておいて欲しいメリットデメリット

心理カウンセラーというのはとても魅力的な響きのある仕事に聞こえます。

大学、大学院を出て国家資格が取れるようになりました。

国家資格となれば就職もしやすくなるのではないかという期待もふくらみます。

これから公認心理師を目指す高校生の人や他学部の学生さんが公認心理師を希望する、現在社会人の人が退職して心理学部からやり直すこともあるでしょう。

心理職の人々が抱いている、そして置かれている状況から、以下のようなことを念頭に置いて欲しいと思います。

1.医学部受験(再受験)についても前向きに考えてください

精神科医師は生物学的アプローチを行うので、心理の仕事とは違います。

ただ、名医を頼って患者さんは病院に来ます。

短時間の診察でもきちんと治る絶妙の投薬をしてくれて、親身になって話を聞いてくれる医師への患者さんの信頼は絶大です。

「どこの病院のどのお医者さんの先生がいいの?」とよく言われていますが、「誰がいいカウンセラーなの?」とはあまり言われません。

もちろん医師と心理職の収入は全く違います。

心理職はバイト待遇で雇われて生活は当初大変かもしれません。

心理職3人分集めて医師と同等の給与です。

社会人の人が再入学して公認心理師を目指すなら、必ず給与水準は落ちて、しかもアルバイト待遇になる可能性があるということを知っておいて欲しいです。

ベテラン中学教員から学校に入り直して公務員中途採用心理職になった人は月給手取り10万円安くなったと言っていました。

2.公務員心理職は安定就労

国家公務員総合職は人間科学区分の募集をしています。

裁判所総合職でも家庭裁判所調査官補を毎年募集しています。

転勤はあってもかなりの給与保障がされます。

地方公務員で心理区分の募集もあります。

総合職はキャリア採用です。

公認心理師の資格も不要です。

公認心理師資格必須の公務員も増えて来ますが、不要の心理職もあるでしょう。

目指す人はよく調べて受験しましょう。

3.クライエントさんからの信頼を得るには相当な努力が必要

心理院卒でストレートで24歳、なりたての若い心理カウンセラーが10歳以上歳上の人の家庭の悩み、不登校の子どもの悩みを聞くのは、こちらが良くても向こうは抵抗があります。

「こんな若造に何がわかる」(精神科医師もそういうことはありますが)と思われます。

「会いたくて仕方がなかった心理の先生に会えた!」という反応は期待できません。

マンガ動物のお医者さんにもありましたが「先生、治してくれてありがとう」という反応は期待しないでください。

もし初対面から期待しまくりのそういうクライエントさんが来たら今度は期待にこたえる義務が生じます。

なかなかの重圧です。

さて、もちろん心理職ならではのメリットもあります。

4.やりがいはあります

クライエントさんの多くには、「誰にも言えないからここに来た、話を聞いて欲しい」という人がいます。

こっちが真剣にあいづちを打っているだけでかなり満足して帰っていきます。

それに加えてきちんとした知識や技法を習得していたら、クライエントさんからは相当に専門家として信頼されます。

この病気や障害の養生、負担が少なく治りやすい、寛解しやすい、適応しやすい過ごし方を心理教育的に教えてもらうとそれはクライエントさんにとってとても助かるわけです。

クライエントさんにとっては目からウロコのこともたくさんあるわけで「頑張るのではなくて休むことが必要ですよ」と言われて抵抗していても「心理の先生から言われたからなあ」と納得していく人も多いです。

5.努力した成果もあります。

クライエントさんの中には自分で電話をかけることもできない人も多いです。

どこに行ってどういう支援を受けられるのか、所属機関によっては心理職がやらなければならない場合もあります。

心理職がケースワーカー的な仕事をすると現実的解決ができます。

教育、福祉、産業分野ではこういった働きかけをルールにのっとって行うとクライエントさんの頭の中でごちゃごちゃになっていたところが整理されるわけです。

クライエントさんはとても弱っていて1カ月ぐらい悩んでいたことをサクサクと目前で30分ぐらいで解決してくれることもあるわけです。

6.勉強は血肉になります

研修に行きました、そこで新たな知見を得ました、技法をセミナーで継続的に学びました、というこれらの資源はとても有用です。

即効性がなくても繰り返しているうちにクライエントさんの役に立っていることがわかるのは励みになります。

7.結語

心理職の仕事は給与待遇面で恵まれないことも多いですけれど、やりがいはとても大きいです。

ですのであちこちで情報を調べてなりたい人が真剣にやりたいのならばぜひ仲間に加わって欲しいと思います。

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野良公認心理師、心理臨床家への危惧

公認心理師も臨床心理士もスーパーバイズSVで先輩心理職や師匠からの指導や助言を得なくても特に差し支えなく仕事ができてしまいます。

公認心理師Gルート現任者は日本心理臨床学会ほか各種学会には学歴要件で入れない可能性がある、学びたいという機会も剥奪されてしまうかもしれないですし、他の学会や研究会の動向はまだわかりません。

他分野から来た人でもせっかく心理職の仲間に入ったのですし、持っているケースのケースフォーミュレーション(初回の面接からケースのマネジメントまで)の持っている知見を当方の勉強のためにも教えて欲しいと思います。

医療安全委員会でさらっと「ま、こんなケースがあって危険性がありますけどやってますよ」という報告があるだけではどうにも危なっかしい。

何かあった時に「以前から話しておきましたよ」というエクスキューズや言い訳だけでは心元ないですし、インフォームドコンセントが守られていたのかどうかわからないということは怖いかな、と。

心理職の仕事は密室で行われています。

猜疑心が強いクライエントさんが録音している場合もあります(違法ではない)が、治療同盟を結んで治療契約をするまできちんとマネジメントをしていて欲しいと思うわけです。

心理職は一人職場が多いので、せめて心理職が集まる研修会に参加して欲しい、最新の心理学の動向も知っておいて欲しいのですが、更新なしの資格だと特に何の義務もないですし、勉強会をこれ以上しなければならないノルマもありません。

主訴が変遷としていてわからない、意思能力が判然としないクライエントさんを半年以上カウンセラーだけで抱えている例を聞くと、医師の判断や家族の意向、職場での適応状態など気になることが多いです。

「ちゃんとして」と心理職仲間としては思います。

それでもまだそういった危うさを話してくれるだけでもかなりマシです。

何も言わないでコツコツと臨床活動をしていて「あ」と思った時はもうどうにもならないのはまずいなあと。

自傷、医療からのドロップアウト、もしくはその両方は心理の世界では失敗とは言い切れなくてもきちんと経緯やリスク管理上どうなっているのか明らかにしないとまずいと思います。

スピンアウトしたクライエントさんを「いや、あの人はそういうパーソナリティなので」と簡単に片付けて欲しくはないですし、それはあまりにも危険なことです。

だから「ちゃんとしましょう、してください」と思います。

心理の仕事はクライエントさんがかなりの勇気を振り絞ってカウンセリングに来る場合が多いです。

現状の心理職の集まりでもそう思うことが多いわけですが、今後心理だけをバックボーンにしてきた人ではない、あるいは院卒でも経験値が浅くても資格を取得した人の活動は注視されています。

「自分の評価は他人がする」「カウンセラーの評価はクライエントさんがする、クライエントさんの表情や訴えかけを聞く他職種がする」ことを今現に仕事をしている心理の人もこれからする人も自覚を持って欲しいと思うのです。

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公認心理師学歴階級社会

一例ですが、色々な機関の中で、心理職の扱いに関する高い基準を設けている組織があります。

院長の医師管理職トップ-部下1500人医療職の頂点

歯科医-テクノクラートの中の専門職で年収1000万円程度

心理(公認心理師含)専門職集団の中の高級幹部で部下150人ぐらい年収800万円以上〜

のっけからわかのわからない基準を出しましたが、心理専門職に相当に高い格付けでの公的評価を与える(機関やシステム)も一部あります。

こういった基準はさておいて東大博士号を持っている公認心理師でも医師の指示には従わなければなりません。

ヒエラルキーがはっきりとしている医師-心理職の世界にも例外はあって

医師「クエチアピンで患者が過鎮静だって心理の先生のところで言ってるけどどうしたらいいの?」

心理「1日300mgきつそうですから75mgでどうですかね?」

医師「カルテに処方書いておいて」

という話も聞いたことがあります。

職務領域に関して医師は心理にメンタル領域を丸投げのこともありますが信頼もされています。

僕の所感で個人的なものですが、学歴偏差値と地頭の良さと公認心理師試験得点は弱い相関関係係数ρがあるかな?という気がします。

ただそれが臨床能力にダイレクトに反映されるわけではありません。

学歴が高くて共感性が低い心理職もいます。

クライエントさんにとっていい心理カウンセラーというのは、どこの学校を出ているのかということとは全く関係ありません。

僕もクライエントさんに「どこの大学出身ですか?」と聞かれたことは一度もないのですが、開業のカウンセラーが学位などを宣伝しているのならばそれを参考にする人もいるかもしれません。

初めてカウンセラーと接するクライエントさんなら、そんなことよりもまずは「どんな機関に所属しているか」「その人は自分に何をしてくれるのか」「カウンセリングの値段」

が関心事です。

もっと言うなら、公認心理師資格を持っているか、他の資格があるかということにも関心が及ばないクライエントさんもいるでしょう。

よく調べてくるクライエントさんなら、その道の権威で、助けてくれる先生を求めて必死で、自分を治してくれるそんな機関やセラピストを求めている場合もあります。

それでも「この人は国立出身だから腕がいい」「私立で偏差値がこのぐらいかあ」とそれだけを基準に評価するクライエントさんは僅少でしょう。

例えばA先生は大学教授。

彼は中学生高校生時代はやんちゃで遊んでばかりいたけれども割と地元で入りやすい偏差値50ぐらいの大学心理学部に入学した。

その後臨床心理をやりたいと一念発起してレベルアップ(学歴ロンダリング)した修士課程修了、他大学でまた博士号を取得した。

そしてアカポスの階段を上って教授、さて次は学部長か、それとも学長選挙かと言われるまでになる、に近い話を聞いたこともあります。

クライエントさんにとってはA先生の人生遍歴、出世コースはどうでもいいわけで、このA先生が大学教員の権威をひけらかすことなく、一個人としてクライエントさんを尊重して真摯に向き合ってくれる、それだけを求めていてA先生が勤務している相談機関に来るわけでしょう。

A先生は志が高く、臨床研究にもカウンセリングにも人生をかけているからこそいい心理面接ができているのです。

長い間心理職はクライエントさんとの信頼関係を結ぶことだけを必死に研究して臨床をしてきた実績があるわけなので素晴らしい業績が残っています。

公認心理師現任者合格者は学歴不問です。

在野の臨床家の腕は学歴や資格で決まるわけではない。

僕にはっきりとそう言い切った先輩もいます。

曰く「お前の評価は他人がするんじゃない。お前が自分でしろ。それが正解だ」

これは正しいのですが、二重の意味で間違っています。

まず、必ず評価は他人がします。

所属機関がします。

そしてそれに満足できないと心理職のプライドは傷つきます。

そしてクライエントさんも評価します。

心理職のところにクライエントさんが来ないのは

1.上司や所属機関が心理職を信頼していない

2.クライエントさんから信頼されていない

3.治ってしまった。しかも感謝している。or治ったのでカウンセリングを受けたことすら忘れている。

僕の体感だと)「1」「2」は少なく「3」が意外と多いです。

初心者のころは千客万来で自分の臨床能力は素晴らしいに違いないだろうから引きも切らないと思っていた僕自身は、万能感の仮面を被った劣等感の塊だったのかなと思います。

今では無理をしてアウトリーチ(働きかけ)をせず、クライエントさんがいつでも来られるように待つのがいいですし、焦らないでいいのだなあと思います。

これも僕の個人的感覚ですが、できる心理職はレジリエントで関係諸方面への調整能力が高く、そこにクライエントさんの意向を尊重しながら当てはめるという能力が必要です。

学校の勉強とは違った能力が臨床活動には求められているというのがいろんな心理職の人たちと接してきた僕の感想です。

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児童心理司増員・公認心理師への大きな期待

◯ 児童行政をめぐる問題と課題

平成30年7月20日付の厚生労働省こども家庭局長「児童相談所における専門人材の確保等について(協力文書)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000335997.pdf
では、児童心理司の任用区分に公認心理師の任用がはっきりと定められています。

児童心理司は以前は児相では「心理判定員」と呼ばれていていました。

心理判定員は臨床心理士取得者が多く、日本臨床心理士会中央理事や地方臨床心理士会長などを務める志の高い人がこの心理判定員を非常勤、常勤で行いながら心理士会の要職を務めていることもあります。

児相への相談件数のトップが心理的相談ということを考えると児童心理司の果たす役割は大きなものです。

上記の協力依頼文書は

公認心理師養成機関連盟
日本臨床心理士養成大学院協議会
臨床心理職国家資格推進連絡協議会
医療心理師国家資格制度推進協議会

宛の文書になっています。

児相の職員増員は2018年12月18日に閣議決定され、2022年までに児童心理司1360人を2150人、2024年までに2500人と大幅増員を予定されていますが、厚生労働省のこういった動きは世論に大きく影響を受けています。

2018年3月に船戸結愛(ゆあ)ちゃん5歳が悲惨な家庭内でのネグレクトて低栄養死した事案があり、大きく報道されたました。

ちなみに児相職員は児童福祉司も現行の約3000人から2022年までにさらに2000人を増員する予定です。

今回公認心理師試験を受験した児童福祉司と話したことがあるのですが、昔から「児相は動かない」と苛立ちを込めて言われていましたが、動かない」のではなく「動けない」現状があると言っていました。

全国の児相が扱っている事件は年間12万件、それに比して例えば東京都の一時保護所収容定員は200人台です。

児童福祉司はの人は、深夜まで仕事をしても捌き切れない、そんな現状について話していました。

また、児童福祉司の任用者は法的には社会福祉士や、社会学、教育学を学び、一定の研修や実務経験がある専門家を採用することになっていますが、実態はそうではないということに注目しておく必要があるでしょう。

とりあえず自治体の職員に事務職として採用された、わけがわからずに児相に配置されることも多く、営林署職員もいたなあと思い出します。

児相所長も出世の階段の一段でさかなく、児童福祉には素人ということもあります。

児童精神科医杉山登志郎先生がその著作の中で書いていましたが、日本の施設内児童養護、社会的養護の現状はひどすぎる、独裁チャウシェスク政権下で両親を喪った子どもたちがチャウシェスクベイビーと呼ばれ、社会的にひどい不適応状態になりました。

DSM-5で規定された反応性愛着障害は代理養育者にも無反応で無関心、脱抑制愛着障害は反対に大人にべったりとして離れず、泣いてでもしがみつく、これら愛着障害は社会的養護でしか起こり得ません。

杉山登志郎先生はチャウシェスクベイビーの研究結果を踏まえても日本の社会的養護の現状はひどい、あまりにも職員数が少な過ぎて愛着障害の温床となっていることを指摘しています。

つまり日本の社会的養護は相当に立ち遅れている環境なのです。

そうであればきちんと職員数を確保、施設、施設内で養護を受けられる児童の人員のキャパシティも十分になければいけません。

南青山の児童施設建設住民反対運動はデベロッパーの利権追求の結果なのか、市民の無理解から来るのか、子どもをそれだけ追い詰めていることを理解して欲しいと思います。

公認心理師は公認心理師法施行規則第5条に定められている施設での実習生経験、実務経験が認められることになるのですが、児童相談所及び児童福祉施設もその中に含められています。

公認心理師はそういった社会的養護の場での活躍も今後期待されていくことになるでしょう。

さて、心理職国家資格化とほぼ同時期にこういった行政の動きがありました。

この動きは、単に公認心理師の雇用確保ということではなく、厳しい人手不足の環境の中、傷ついた子どもを対象に心理職も働くことを意味しています。

並大抵の仕事ではない厳しさが児童にかかわる職務には要求されます。

僕が乳児院にボランティアで行った時には、今ではかなり改善されていますが、ずらっと並んだ布団、忙しく立ち働く職員、ボランティアたちに寄ってくる子どもたちは一様にしがみついてきます。

ただし、ボランティアが帰る時間になると子どもたちは途端に無関心になります。

職員の話では「みなさんが来ても、すぐいなくなるというのはわかっているんですよ」とのことでした。

これもまた愛着障害なのだと思います。

児童行政に対する公認心理師の期待は大きなものです。

行政がきちんと人材を育てることも大事ですが、児童にかかわる公認心理師もまた相当な覚悟をして働かなければならないと思うのです。

児童にかかわる仕事をする医療、福祉専門職に限らず、一般人にも児童福祉法上の通告義務があります。

市区町村役場も通告の窓口です。

火のついたような泣き声、怒鳴る親、親も何らかの理由で追い詰められているのかもしれません。

「泣き声通報」という通報で役場の子育て支援課などの職員が家庭訪問をしてかなり親が落ち着くこともあります。

心理職はさまざまな人間模様を見てきますが、隠れたクライエント、最も救いの手を必要としている子どもたちに目を向けて欲しいと思うのです。

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