ひなたあきらのおけまる公認心理師たん

新制度公認心理師の検証をしばらく続け、この制度がよりよいものになるための問題提起を行いつつ、カウンセリングの在り方について考え、最新の情報提供を行っていきます。ほか心理学全般についての考察も進めていきます ブログ運営者:ひなたあきら メールアドレスhimata0630★gmail.com(★を@に変えてください。)

2018年12月

◯ 公認心理師制度は性悪説に基づいたものなのか?

公認心理師受験のため、公認心理師法を穴が空くほど読み込んだ受験生の方は多かったと思います。

復習しつつ今後の公認心理師制度について考えていきたいと思います。

◯ 公認心理師法第三条第二号

第三条
次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。

二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者

※ 以前公認心理師法解説編でも書いたのですが、例えば時速60〜80キロメートルオーバーで運転して捕まったとします(僕には信じがたいスピードですが)。

そうすると速度超過でも罰金刑では済まず、懲役刑が求刑される本式裁判になります。

いわゆるDQNな人が「執行猶予がついたぜ、ラッキー、金払わなくて済んだ」と言った発言を聞いたことがあります。

しかし執行猶予がついたにせよ懲役刑には違いありません。

禁固刑より重い懲役刑実刑判決が出たら公認心理師免許は取り消されます。

◯ 公認心理師法

第三十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

 一 第三条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至った場合

※ これは「必要的取消し事項」に当たるので、大臣は該当者の公認心理師免許を必ず取り消さなければなりません。

さて、医師の私的非違行為や保険点数不正請求などは毎年話題、ニュースになっています。

処分機関は厚生労働省医道審議会です。

医道審議会処分結果を見てみます。

例えば刑法典だと覚せい剤を含む多数の薬物使用所持で捕まった歯科医師が医業停止3年、詐欺で3年、覚せい剤取締法違反で2年の業務停止です。

とある医師が業務停止1年6月、この医師は過失運転致死、道路交通法違反で、懲役2年6月、執行猶予5年の有罪判決を受けています。

つまり医師、歯科医師は刑法典に違反して懲役刑になろうが診療報酬不正請求をしようが「停止」ということでのちに医業を再開できます。

公認心理師の秘密保持義務も他職種に比べて重いものです。

医師、看護師の秘密保持義務違反は秘密漏示罪に当たります。

(秘密漏示)
第134条  医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

◯ 次に再度公認心理師法です。

(秘密保持義務)

第四十一条 公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。

第四十六条 第四十一条の規定(秘密保持義務)に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

※ このように行政処分としても刑罰としても公認心理師は重い処罰が課せられることになります。

「主治の医師の指示」についてもコメディカルや福祉職に比べて重い規定になっているということは再三各方面から指摘されているとおりです。

どのような議論や立法経緯があって公認心理師法罰則規定となったのかは不明ですが、法で定められたものを守らなければ他職種に比較して厳しい処分は免れないということです。

約2万8千人が(北海道はこれから発表ですが)合格した公認心理師は倫理的には大変厳しい目で見られていることは間違いないでしょう。

今後誰かが何かの処分を受ければ「それ見たことか」と新制度公認心理師は危ういものになります。

まだ主治の医師の指示の概念は曖昧な定義のままです。

クライエントさんが主治の医師に情報を伝えるのを断固として拒否した場合にはどうすればいいのか明解な答えはありません。

守秘義務と安全配慮義務の間にも立たなければならず、秘密保持と人命の比較衡量をしなけれはなりませんが、結果があっても迷っている際に絶対的正解はありません。

私的関係、多重関係が禁止されている中でそれを遵守することが難しい機関に公認心理師が勤めている場合もあるでしょう。

真面目に仕事をしていくほど倫理的問題という壁に当たるかもしれません。

公認心理師は、そのような厳しい目で見られていることを念頭に置きながら毅然としつつ自らの職務に誇りと矜持を持ち、業務をこなしていくしかないのだと思います。



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日本臨床心理士会ホームページに2018/12/25付で会員向けニュースの記載があります。

「 第1回公認心理師試験において、受験資格が認められなかった会員(最終的に認められた会員を含む)の方へ(情報提供のお願い)」というもので、内容は会員向け情報なので詳細には記載できませんが、今回受験資格が認められなかった日本臨床心理士会員に対し、情報提供を呼びかけるものです。

今回の公認心理師現任者受験資格は公的な、あるいは心理職が働いていそうな施設なら、所属長の職印、上司の私印があれば受験書類は提出可能でした。 実質的な内容審査はなく、もし念を期すなら「受験所属証明書」と「実務経験証明書」の2枚があっても良かったのかもしれません。

現任者としての資格にふさわしくないのではないかという受験者がいたという噂を聞いたことがある人もいるかもしれません。

僕も実際聞きました。

しかしながら心理カウンセリングを主として行っていた私設カウンセリング事務所の登記簿定款の書き方などで受験資格を得られなかった方々がいると聞きます。

日本臨床心理士会は試験資格審査団体とは大変近い位置にあるので、情報収集のみでなく、今後会員が受験可能となるためにも力を注いで欲しいと思います。

もうひとつニュースがあります。

日本臨床心理士会リンクから飛べる日本公認心理師協会についての記事の更新です。

(以下引用)

【協力・協賛団体】 (2018年12月22日現在)

一般社団法人 日本心理臨床学会

公認心理師制度推進連盟

一般社団法人 日本臨床心理士会

一般社団法人 学校心理士認定運営機構、日本学校心理士会

一般社団法人 スクールカウンセリング推進協議会 特定非営利活動法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会 (引用終わり)

実はこの中で「公認心理師制度推進連盟」という団体はどこを調べてもこの名称団体は出てこないのです。

ご存知の方がいたら教えてください。

「日本公認心理師協会のご案内チラシ」は2018.12.22に更新されています。

以前のチラシを印刷していなかったのが悔やまれるのですが、公認心理師、臨床心理士以外にも臨床発達心理士、学校心理士、特別支援教育士が含まれています。

年会費1万円と高額に感じるのですが、入会金今なら1万円無料キャンペーンを行っています。

(これらの記載は初めて見たような気がします。)

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◯ 医療観察法における公認心理師の役割など

医療観察法は公認心理師試験の出題範囲でもありましたが、今後公認心理師が深くかかわる領域です。

医療観察法は犯罪を犯した者を精神科治療を受けさせるという趣旨のものです(入院治療に限りません)。

社会復帰調整官がこれまで臨床心理士だったのが公認心理師になる、という噂を聞いたことがある人もいるでしょう。

医療観察法指定機関(病院、専門更生施設など)では、臨床心理技術者、精神保健福祉士、作業療法士と対象者の数は5:1程度に定められています。

(厚生労働省(1)指定入院医療機関運営ガイドライン)

平成30年3月28日、「基本診療料及び医療観察精神科専門療法の施設基準及びその届出に関する手続の取扱いについて」の一部改正について

という厚生労働省の文書により、これまで臨床心理技術者が公認心理師に読み替えられる、その際に公認心理師が加わることによって保険点数が確保できる、とされています。

この医療観察法施設においては法定の人数変化があった際には届出をしなければならないと定められています。

また、

2 通院対象者通院医学管理料
(1) 通院対象者通院医学管理料に関する施設基準

① 当該指定通院医療機関に、作業療法士、精神保健福祉士又は公認心理師が1名以上配置されていること。

⑵ 通院対象者社会復帰体制強化加算に関する施設基準

② 当該指定通院医療機関に専任の作業療法士、精神保健福祉士又は公認心理師を2名以上配置していること。

3 医療観察通院精神療法
(1) 医療観察児童思春期精神科専門管理加算に関する施設基準
20歳未満の対象者の診療を行うにつき相当の実績を有している指定通院医療機関であること。なお、「相当の実績を有する」とは以下のことをいう。

(ア、イ略)
ウ 20歳未満の患者に対する当該療法に専任の精神保健福祉士又は公認心理師が1名以上配置されていること。

となっています。

認知集団療法、依存症集団療法など公認心理師が出でくるであろう場面は医療観察法上多い上に、これは一般的な精神科集団療法の上でも言えることだと思います。

医療観察法上は正式に保険点数化されていく精神療法も多いでしょう。

一般精神療法でペアレントトレーニングや患者さんのミーティング、集団認知行動療法など集団通院精神療法は本来なら医師がしなければ保険点数を請求できない事を心理職が代行している職場は実際にはかなり多いのではないでしょうか。

将来的にはこの領域にも公認心理師の関与がきちんと保健点数制度化されるべきだと考えているのですが、いかがでしょうか。

保護観察所では社会復帰調整官の募集を精神保健福祉士などの職種に加えて公認心理師についても始めました。

公務員社会は独特の採用時待遇による序列のようなものがあります。

社会復帰調整官は経験10年程度で行政職(一)3級、かなりの高待遇で準キャリア採用といってもいいでしょう。

医療観察法は法律と精神療法の架け橋になる重要な法制度を規定しています。

公認心理師はこのように機会を与えられて制度という外形的な箱がどんどん決まりつつあります。

その箱に公認心理師制度が追いつかないということでは困るでしょう。

公認心理師各個の自助的な「協会」での自己研鑽や学会頼みでなく、行政にも円滑な公認心理師制度運用を行って欲しいと考えています。

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1.概要

厚生労働省のホームページに大卒後2年の経験を経て公認心理師が受験できる実習施設という通知があったので電話質問をしてみました。

公認心理師必修5領域のうち、法務省矯正局は少年鑑別所、少年院、刑務所、拘置所などを統括する部門です。

僕が聞きたかったのは、矯正局が実務経験を積める施設と同時に、これから公認心理師を目指す大学生の実習先としても予定されているのか?

という疑問でした。

法務省が実習先施設としてこれらの行刑施設を開放するなら、日ごろ司法関係を扱っていない心理職にとっては大きな意味があります。

クライエントさんでも過去にこういった施設を経験したその実体験を話す人がいますが、見ていないとその実態はわからないものです。

また、もうひとつの疑問としては、こういった施設に入所している受刑者や未決囚、少年のプライバシーへの配慮です。

公認心理師を育てていくためには確かにこういった実習は必要だと思いますが、反面前科前歴、保護処分、受刑歴といったものは最高度に守られなければならない個人の秘密です。

そこでまず法務省矯正局が実習を予定しているのかどうか、そして実習を予定しているとすればどのような形態で行おうとしているのかということについて率直なところを聞きたいと思ったわけです。


◯ 以下法務省矯正局への電話照会

Q「法務省矯正局は公認心理師養成実習先として大学等を受け入れる可能性はありますか?」

A「いくつかの大学からそのような申し出をすでに受けており、実習受け入れを行います」

Q「実習の内容はどのようになりますか?実際に受刑者や少年に接することになりますか?」

A「いいえ、施設見学のようなものを予定しています。心理検査実習もありますが、あくまで模擬的なものになります。」

※ 以上、法務省矯正局担当者からのお話でした。

2.感想など

僕の個人的な所感としては、刑務所などは一般人がボランティアとしてかかわることもできる場でもあり、また、心理の専門家が心理検査、行動観察、それに基づいて鑑別結果通知書を出したり、更生プログラムを実施する場です。

入所者のプライバシーとの兼ね合いから、模擬的な見学になるのは必然という気がします。

ただ、実習時間としてはどうしても短期間となるでしょう。

今後どこの実習先施設でも問題になるところではありますが、施設側が学生を受け入れることが可能な人員は限られており、特にこういった保安施設は入所者の安全確保という意味合いからも多くの実習生を受け入れることは困難と考えます。

当面の間は医療機関での実習が主となるにせよ、膨大な公認心理師養成実習時間の中に行刑機関が入るということは十分に意義があることでしょう。

公認心理師法に定められた施設として、売春防止法における婦人更生施設は現在ほとんど機能していません。

ほか法務省管轄施設としては、現在も臨床心理士が勤務している入国管理局、また、更生保護施設もあります。

保護観察所は矯正局とは異なる系統にありますが、公認心理師である社会復帰調整官の活躍が期待される場でもあり、保護司の活動、BBS会員の活動など、心理職がプロとして活躍するにはその内容を知っておいて決して無駄ではありません。

今後法務省の方針が徐々に転換、学生受け入れ実習にも慣れていけばさらに受け入れの間口は広がるかもしれませんし、その期待もしたいところです。

この電話照会については、細かい点で聞き違えなどありましたら後ほど修正して再度アップさせていただきます。

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◯ ある時点での公認心理師議論から透けて見える国家資格構想

インターネットでも検索可能な日本臨床心理士会作製の「資格問題の諸情報・電子版速報」がいくつか出回っています。

公認心理師の資格が産まれるまでに相当の数の団体、学会が無数の会合を重ねてきたことがわかります。

この資格成立までの経緯を追っていた人には周知の出来事かもしれませんが、日本臨床心理士会ではこの議論のために資格法制化担当者会議の機会を何度も持って来ました。

心理関係三団体は三団体要望書を提出(推進連、推進協、日心連)会談を重ねました。

ここでいう三団体とは臨床心理職国家資格推進連絡協議会、医療心理師国家資格制度推進協議会(後述の精神科七者懇を含みます。)日本心理学諸学会連合です。

2013年4月には一般財団法人日本心理研修センターが設立されました。

医療関係を含む国家資格化なので、医師団体の意見も反映されることになります。

そこで精神科七者懇(この国家資格だけでなく、医療会、政治の場でも相当の影響力がある団体です。)。

精神科七者懇の構成は日本精神神経学会、日本精神科病院協会、日本精神神経科診療所協会、日本総合病院精神医学会、国立精神医療施設長協議会、精神医学講座担当者会議、全国自治体病院協議会精神科特別部会
となります。

2013年2月21日精神科七者懇総会での「見解」は医師の指示を前提としたもので、心理相談行為は医行為(医師のみが専権的に行える行為)が多く含まれたものと規定しています。

この「見解」には医療機関としての開業は医行為独占の見地から心理が行うことはできないと宣言しています。

解釈によっては「クリニック」などの医療法第三条第二項に反するような開業はいけないと読み取れますが、心理職が開業してはならないとも読み取れるので不分明なところです。

この当時は精神科七者懇は「士」がふさわしいという見解を出していました。

また、2014年5月には臨床心理士の職業的専門性と資格を考える有志の会から医療機関外での医師の指示を受け入れるのは困難、医師の指示ではなく指導と連携という文言にできないかという文書が出ています。

公認心理師法が成立するまでには数多の団体が数多の主張をしていて錯綜を見せています。

国家資格成立させるとしても更新制の資格にしないと専門性と質の担保ができないという意見がありました。

公認心理師の成立までには相当な紆余曲折がありましたし、それは書ききれないほどです。

特に医師団体との関係については錯綜したものがあり、覇権争いと言っても良いでしょう。

日本精神神経学会は日本最大の精神科医師の学会で発言権も大きいことは周知の事実です。

日本精神科病院協会は私立病院が多く加盟している一大組織です。

今回の心理職の国家資格化をあたかも医師団体に心理学会、団体が魂を売ったかのように言う人もいます。

実際のところ公認心理師の行く末は、始動してみないとわからないということが今のところの真実なのだと思います。


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