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◯ 公認心理師が何でもカウンセリングすればいいってもんじゃない

僕が現場に出たての時には、学校で学んだ知識がそのまま通用して名カウンセラーとしてあらゆる理論を駆使してクライエントさんの病状を良くできると思い込んでいたのがそんな甘いものじゃないという事実を一瞬後に悟りました。

心理職がクライエントさんから「ぜひ治してください、お願いします」「治してくれてどうもありがとうございます」と言われることはまずあり得ません。

クライエントさんから愚痴を目一杯聞いたのち緊急対応に時間外に呼び出され、その翌日にまたクライエントさんからのSOSの言葉を聞くということは多々あるかもしれません。

カウンセラーが目一杯クライエントさんのために働いていると、そうしてくれるのが当然だろうと思われるかもしれません。

心理職のアウトリーチ(外部機関への介入)は公認心理師制度が施行されたことによって難しい局面を作り出してしまったのではないかとも危惧しています。

児童虐待の発見者が小中学校の相談担当教員、通告を受けたのが児童相談所、そして以前から子育て支援課などがかかわっている。

そしてこのケースに社会的養護児童施設が里親探し、あるいは家族再統合に向けて動いている場合もあります。

さらにこの場合、発達障害を持っている児童、精神科に受診している親、DVの事実があれば相談センターも動いています。

さて、この場合、いったい何人の心理職、場合によっては公認心理師資格取得者が動いているのでしょうか。

市区町村役場が自立支援援助のために家庭に介入している場合もありますし、就労支援にかかわっているかもしれません。

産業場面や医療機関でこういった親が不安定になっている(のは当たり前だと思いますが)場合、「最近◯◯さんが落ち着かないからカウンセリングしてくれない?本人も希望してるからさ」と言われ、はいはいと引き受けたらどんな事態になることが想定されるでしょうか。

めちゃくちゃ多くの相談員がかかわっているこのような事例の場合、どの相談員もまず児童の安全確保優先で動いています。

確かにこの親が希死念慮を抱いていたり精神科症状を示していて相談に来る場合はあり得ます。

ただ、そこで個人面接をしている心理職が「あなたの気持ちはよくわかります。子どもを児童相談機関に奪われた気持ちになってみたら、さぞ辛いと思いますよ。あなたのその苦しさはわかります」というような共感を示したらどうなるか?

親はその心理職の言葉を金科玉条のようにして他機関にねじ込むかもしれません。

何がどうなっているのか?

どの機関がどんな動きをしていて何を望んでいるのか?

多職種連携といってもお互いに守秘義務を持っています。

関係機関同士で情報共有ができないかもしれないこのような場合、「カウンセリングに来た困っている人だから相談に乗ろう」という、個人療法に前向きな姿勢がいい結果につながらないことはしばしばあると思います。

この辺りの多職種がみんな公認心理師資格を持っているかもしれないのが現在の状態です。

そしてSNSカウンセリングだけでなく、従来から行われているメールカウンセリングは必ず形として残ります。

それを言質として、裁判資料として使われることを常に想定しておかなければなりません。

臨床心理士が訴訟に敗訴した事例もいくつかあります。

国家資格としての重み付けを持った公認心理師だからこそその責任も重大になったと解すべきでしょう。

カウンセリングを行うことが家庭や社会全般の利益に寄与することになるのかどうか、情報共有ができるかどうかを慎重に見極めていかないとならない時代になってきたと考えています。