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◯ 反社会勢力と芸能人のつながりを心理学的に考察

そもそも日本では歌舞伎が文化として隆盛を誇った鎌倉時代ぐらいから花形スターの役者とは別途、日の当たらなかった芸人たちが糊口を凌ぐために芸を披露していたと言われています。

伝統芸能として認められた歌舞伎、能は物凄く気合が入ったもので、その様式美は素晴らしいものです。

そういったいわば「高尚な」芸能に比べ、日銭を稼いでいた芸人たちは当時から大変だったでしょう。

現代でもデビューしたてのいわゆるひな壇芸人がなんとか食べられるように努力する生き様はさぞ大変なものだと思います。

よく知られているように芸能人の主要な稼ぎはテレビに出て露出することだけではなく、地方巡業してぱちんこ屋やさまざまな店舗で集客をすることなども大事な収入源です。

そうするとどうしても地元のいろんな関係者たちとのつながりを持たなければいけないわけで、そこに反社会的勢力も含まれていたということが今回の一連の騒動となっているのでしょうか。

反社会的カテゴリーに属する人間は「反社会的」という特殊な自己認知を持っています。

他人からも反社会的と思われているという意味では対人認知的にも同じことです。

報道などで反社会的勢力の構成員が逮捕された時には、ボスが「◯◯容疑者、無職、76歳」と報じられるように彼らは違法か違法すれすれの行為をなりわいとしているため、社会的認知としては無職、マイナスのイメージのままの日陰の存在です。

さて、心理学的に考えると、精神科医故福島章氏先生が「対抗同一性」という著作で、子どものころから勉強を頑張って、いい学校からいい会社に入って、というレールから外れる人たちを裏社会のトップエリートとみなしていました。

対抗同一性、カウンターアイデンティティを持つ人たちは反社会勢力に所属することで自らの自尊心を高めます。

実は反社会勢力はそれ自体が「ネガティブかもしれないけど一種の適応」と犯罪心理学では言われています。

反社会勢力芸能人が友好関係を保ってつながりを持てればお互いに儲かって楽しめるWIN-WINの関係でしょう。

僕はそういった関係を決して肯定しません。

こういった闇の部分の関係を一般市民が見れば「あり得ない、許しがたいこと」と人々は思いますし許せないとも感じます。

「たまたまこういうことが起きた」と思っても憤ります。

芸能人は楽しくて明るいもの、という認知の「帰属」が裏切られてしまいます。

たまから「こんな風におかしなことが日常的に繰り返されている」という認識は十分ニュースになります。

「楽しくて面白い芸人だからいい人に違いない」という認識は、「美人だから性格がよくて仕事もできるだろう」という誤った確証バイアスと呼ばれる現象にも通じます。

皇室の記事を以前書きましたが、今の一連の事案では同じような現象が人の心の中では起こっています。

「芸能人の中にはたまたまそういう人がいる」わけでなく「一部の芸能人がそうなのだからみんな同じだろう」というとらえかたをする方が簡単に物事を片付けられます。

人は認知・思考過程の中で複雑な判断をするのを面倒がるのでどんどんA ≒Bと判断がマイナスの方向に極端になっていきます。

さて、こういった芸能界の傾向はもちろん許容されるものではありません。

芸能人の中にはいつも刑務所を慰問に訪れ、受刑者の更生や社会復帰を願う人もいます。

社会活動に熱心でボランティア精神豊かな人もいます。

反社会勢力とではなく、一般人と芸能界がお互いに良好なWIN-WINの関係を保つためには、業界や団体の健全化に向けた努力も必要なのだろうなあと思ってニュースを見ていました。

参考文献:公認心理師の基礎と実践
社会・集団・家族心理学 野島一彦・繁桝算男監修 竹村和久編 遠見書房