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◯ 公認心理師大卒実務経験ルートは超難関

公認心理師法第7条第2号では、大卒後2年間の実務経験を経ることで公認心理師受験が可能とされています。

これまでのところ認定施設は

1.法務省矯正局(採用年間100名程度)

法務省矯正局で毎年行っている矯正心理専門職(心理)は倍率2〜3倍程度ですが、近年では臨床心理士資格取得者が多く、決して簡単な試験ではありません。

また、国家公務員総合職(人間科学)は年間15人程度の採用です。

2.裁判所職員総合研修所及び家庭裁判所(採用年間60人程度)

これは家庭裁判所調査官補のための教育課程で、裁判所は総合職の調査官補のために全国から著名な心理学者、精神科医を招いて講義を行ったり、関係施設の見学(医療など)にも行くことができる大変養成にコストがかかる試験です。

倍率は8倍程度ですがかなり難易度が高く、旧帝大院試や臨床心理士試験よりはるかに難易度は高いです。

法務省も裁判所の総合職試験も学歴不問となっていますが、国立旧帝やその他国公立、私立でも早慶上智、GMARCH、KKDRレベル以上の受験生がしのぎを削って受験しています。

3.病院の実習施設

※ 一般財団法人愛成会 弘前愛成会病院

この病院の田崎院長は公認心理師大卒ルートの実習に大変意欲的な方です。

公認心理師カリキュラム検討委員会会員を経て、第38回心理臨床学会の公認心理師実習プログラムにもシンポジストとして参加されている、公認心理師養成に関して大変意識が高く理解ある先生です。

この愛成会病院の公認心理師養成実習は年間2名を採用しています。

公認心理師大卒ルート養成については、大学院ルートと同様のかなり細かい規定が定められています。

実習生に実習を行わせるほか、大学院レベルの教育、実習も行います。

働きながらの実習なので大卒実務経験ルートは3年間を基本年限と厚生労働省では考えています。

また、実務ルートなので、この間に実習生にきちんとした労働条件の下、給与や賞与を支給して休暇も与えながら実習を行わなければならないので実習生は労働者としての側面も持ちます。

これらの条件を全てクリアすることは実習施設にとってはかなりハードルが高いものになります。

愛成会弘前病院の実習生2名、さっぽろ駅前クリニックの募集は2020年度に4名、メンタルクリニックダダは2019度4名、2020年度5名です。

賃金を払いながらこれだけの実習を含む教育を行うということは施設にとっては並大抵のことではありません。

病院、クリニックは単に施設内実習をするというだけでなく、グループホーム、作業所や幼保施設、老人施設やデイケアなどサテライト機能がないとこれだけの実習を行わせるキャパシティはないでしょう。

施設側にとってメリットは?

というと金銭的なものよりも高い理念が必要になります。

それでも大卒ルートを担保するための試みは非常に貴重なものなので実習施設側には頑張って欲しいものです。

4.総論

大卒後実務経験を積めば簡単に公認心理師になれますよ?という大学や専門学校は軽々しい謳い文句の割には無策です。

これだけの少数の実習を獲得できる難関をそう簡単にはくぐり抜けられるようには思えません。

受験生の方々はよく考えてから進路を決めて欲しいものです。

心理職国家資格論議の中で臨床心理士(院卒)と医療心理師(大卒)2ルートの資格が過去、提唱されたことがありましたが、実習施設側に高い要件を厚生労働省はもうけました。

医療心理師案の際には医師団体が「国家資格を持つ心理職は大卒で十分」と考えていたのが皮肉にも大卒者区分B(2024年度誕生)あるいは区分Fは受験者に非常に高いハードルが課せられることによって高度な専門性が担保されることになりました。

ここ5年間の現任者Gルートが公認心理師施行令5条に定められている施設勤務経験があれば受験OKということで玉石混交、心理職採用側が公認心理師の採用に躊躇しているということを以前記事にしました。

これから(これまで合格した人たちも)どんどん実力を発揮して公認心理師の専門性の高さを現場示していくことが期待されます。

Gルート合格者で心理職プロパーでなかった方々が公認心理師資格をどう活用していくかも今後の課題ですし、その実情も今後の資格のあり方の見直しに大いに影響があるでしょう。