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◯ 公認心理師試験復習・ストレスチェック制度の問題点と今後の課題

2015年12月から施行されているストレスチェック制度は厚生労働省が企業のメンタルヘルス対策として鳴り物入りで実施されていますが、さまざまな問題点がその制度計画段階から、そして制度施行5年目の現在に至るまで多く指摘されています。

で、何が問題なの?

というと、まずはハイリスク者でも申し出がなければ産業医など医師の面接を受けなくて済むということです。

まずはこのストレスチェック制度は希望者でなければ受検しなくても済むということですし、ハイリスク者のうち医師との面談希望をした人は全事業所について0.4パーセントにしかなっていないということです。

なぜこのように医師との面談希望者が少ないかというと医師と面談したらその後の人事上の措置で不利益を受けたらどうしよう?という受検者側のおそれによるものです。

これはストレスチェック制度の中では面接指導指導の結果を理由として、解雇、雇い止め、退職勧奨、 不当な動機・目的による配置転換・職位の変更を行うこととして厳密に禁止されています。

こういったテストの特徴として、ハイリスク者が医師による面接指導の申し出を行わなかったことについても不利益処分を受けないことも明示されています。

結果として、労働者側の誤解や曲解によるものかもしれませんが、こういった心理検査を産業場面で使う際には「どう使われるかわからない」という危惧は当然労働者側にあるでしょう。

そしてこのストレスチェック質問制度の57項目を見てわかると思うのですが、どれも自己申告式なので自分で低めに得点を操作できます。

産業場面において特に起こりがちなのですが、こういった自己申告式のメンタル状態を査定する心理テスト、SDS、CMIやSTAI、OSIといった心理テストは受検者の構えでいくらでも得点を低目(問題傾向なし)に出すことができます。

「このテストで高い得点を取って、お医者さんの面接を受けたら仕事楽にしてくれるの?」というお役立ち感覚は少なそうです。

どこの産業現場も人手不足、少子化の影響で若手が足りず7人野球ぐらいの負担を強いられています。

外国人を雇用できるぐらいダイバーシティ概念に理解があってもまだまだ労働力は足りません。

みなさんご存知のとおりストレスチェック実施者には「医師、保健師、厚生労働大臣の定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士」+研修を受けた歯科医師と公認心理師も加わりました。

実施者は段取りするまでが仕事で、アフターケアは医師の面談の結果、その中でさらに希望する人、そして事業所の体制が整っている場合だけは臨床心理技術者の面接を受けることができるわけで、このあたりは法文上の規定も曖昧です。

労働者が得られるアドバンテージもわかりにくいです。

ストレスチェック制度結果としてハイリスク産業なのは

1.運輸

2.医療・福祉

3.生活・娯楽

で、この辺りも知識として覚えておいた方がいいでしょう。

ストレスチェック制度は50人以上の事業所では義務、それ未満の事業所でも努力義務です。

義務化されている50人以上の事業所は労働基準監督署に報告しなければ罰則規定もあります。

働き方改革では月45時間を超える勤務は好ましくない(1日2時間ぐらいの残業)とされています。

労働基準法36条に定められた36協定(さぶろくきょうてい)では専門的職業に従事している労働者について1カ月45時間残業させる、休日出勤をさせる場合の特別な協定を結ばなければならないことが定められています。

厚生労働省基準では月間80時間残業をしている労働者は虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)のハイリスク者で、労働基準監督署の立入検査も入ります。

この記事を読んでいる特に医療・福祉の方、それにかかわらず心理職や僕のブログを読んでくださっているメンタル疾患を持つ方々は「月80時間?なにそれおいしいの?」という感想を持つ人たちも多いと思います。

それから

「どうせストレスチェック制度受けて大変だーって言っても何も変わらないよね」

という意識はこの制度の形骸化につながります。

ストレスチェック制度上は当該労働者から医師を通じて申し出があった際にはその労働者の勤務軽減の措置をとらなければならないということにはなっていますが、「だって人手足りないからどうしようもないよ?」

と上司は考えて部下を閑職につけなければならなくなったらやがてその労働者はリストラ候補や低評価になっても仕方ないのが多くの事業所の現実、それを労働者も知っているからメンタルの状態より低めに自己申告します。

労働環境改善のためにストレスチェック分析結果は10人以上の部署には出しても個人が特定されるのでそれを下回る部署には組織分析の結果通知もありません。

年1回のストレスチェックが事業所ではまあ限界だと思いますが、人間が仕事で追い詰められるスピードはもっと早くて1カ月ぐらいで仕事の環境変化でメンタルダウンする人は多々います。

そういったところもこの制度のジレンマです。


また、労働環境全体について考えてみす。

国家公務員は労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)は原則適用されません。

地方公務員一般職だけは労働基準法の一部が適用されます。

公務員でも病院、保安職、治安維持組織や緊急出動を必要とする組織、行刑施設は当直もあり、夜中に叩き起こされることが仕事のうちです。

僕は1カ月のうち1週間泊まり勤務をしていたら体力精神力の限界を感じたのですが、もっと日数が多い泊まり込みの仕事をしている人たちはたくさんいます。

さあて忙しいから朝1時間早く出勤しようかな、ちょっと残った仕事片付けようかな、あ、電話入った、心理テストの結果整理しなきゃ、片付けなきゃいけない書類仕事あるなあ、とかやっていると大体午後8時、1日4時間残業×20時間で簡単に80時間残業になってしまいます。

働きすぎだぞーと上司から言われたことは一度もありません。

というわけでいろんな意味でストレスチェック制度はまだまだ未成熟っぽいのですが、官制でスタートしたひとつの試みです。

厚生労働省作成のパンフレットはわかりやすいので必読です。pdf

必ず一題は出ると思いますので第2回公認心理師試験を受ける方は学習した方がいいのではないかと思います。