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◯ ゲーム依存に期待される公認心理師・臨床心理士の役割

(架空事例・A社カウンセリングルームで)

ちぎ太「ひなたさんまた来たよ」

僕「うん、どう?」

ちぎ太「辛いっす。スマホ開くと課金ゲームアプリダウンロードしそうだから、絶対無課金のゲーム探して無課金チーム作って遊んでる」

僕「簡単なようだけどそこは工夫だね」

ちぎ太「うーん、スマホは生活で手放せないけどガラケーにしようかと迷ったり」

僕「それも安全だろうね」

ちぎ太「もう地獄見たからね」

僕「うん」

ちぎ太「熱くなって最初はほんの少額だけ課金してたらいつのまにか1日20万円課金してた。それが10日間続いて200万円。カード会社から『枠いっぱいでもう使用停止です。』って言われて気づいて」

僕「うん」

ちぎ太「法テラスの弁護士さんに相談したらもうちょっと多い額だと自己破産できるけど中途半端って言われてさ」

僕「うん」

ちぎ太「俺、なんとか入れた会社だしクビになるかって思って超困るんだなコレ」

僕「でも自己破産してもここの社員としての地位は失わないって言われたでしょ」

ちぎ太「それな。わかりみのある会社で助かった。でも分割で200万円支払ってる。新入社員だからカード支払い請求支払えないってカード会社と話し合って、月5万ずつ払うことにした。で、リボにしても払えないからカード使用はもう禁止、支払いだけが残った」

僕「そうだねえ。でも払う気があればブラックにはならないでしょ?」

ちぎ太「カード会社の人にもそう言われた。つらたん。ボーナス出たら全額支払いにつぎ込む」

僕「依存はなんでもそうだけど、底尽き体験をしないと治らない。アルコールとかね、一流大学でて上場企業で働いてウイスキー1本飲みながら仕事、二日酔いで仕事休み過ぎてクビ、奥さん子ども連れて出て行ったとかね」

ちぎ太「ひなたさんキッツいこと言うなあ」

僕「いや、ちぎ太くんは直後に自分でなんとかしようとしたから良かったんだよ」

ちぎ太「友だちから借金しようとしたら絶交されたし。親お金ないから借りられない」

僕「あーそれうまくいってたらまた繰り返してただろうね。イネイブラーっていう依存物質や対象の供給者がいるとずっと依存は続いていくからね」

ちぎ太「そかも」

僕「ちぎ太くんは自分ですぐにやめようとしたから良かったんだよ。でもまだつらくない?」

ちぎ太「そうそう、めちゃくちゃつらたんでね、またあのゲームでガチャ大当たりしたこと考えると幸せホルモン満開、夢に出てくる」

僕「依存って快楽物質ドーパミンが出まくるからねえ」

ちぎ太「もう魂抜かれて抜けがらになったみたいでやばタン」

僕「もうやめて再開させないって自信はないよね」

ちぎ太「ない。毎日っつーか毎時間毎分毎秒やめるための戦い。ここで負けたらクズになる」

僕「負けてもクズになりゃしないけどさ、ガマンしたり僕のとこ来るのは偉いと思うよ」

ちぎ太「デート代全然出せないからゲームのこと話したら彼女からクズって言われた」

僕「僕もちぎ太がカウンセリングの関係じゃなくて、もっと近い人だったら熱く怒り出したり冷静になれなかったかもねえ」

ちぎ太「あのさ、休憩室でゲームやってて先輩から『おい、いい加減にしろ』って何回言われてもゲーム止まんねえ。朝起きてゲームやってたら面白くて仕事休んだら年休足りなくなりそうで語彙力なしに草生える」

僕「うん」

ちぎ太「ゲームに夢中になって社内全部のシステム止めさせそうになったことあるwww」

僕「うん」

ちぎ太「超ヤバみん」

僕「ま、生きてられて良かったよ」

ちぎ太「破産してシヌとか?」

僕「いや、飲まず食わずで何十時間もやってて、エコノミー症候群と同じなんだけどさ、血栓ができたり脳梗塞や肺疾患で救急に運び込まれたらもう手遅れみたいな」

ちぎ太「なにそれこわい」

僕「やめてられていいこともあるでしょ」

ちぎ太「金、時間、メシもわりかしマトモなもの食えるようになったなあ。前はおにぎり1個とか」

僕「ここは専門の病院じゃないけど僕でよかったらいつでも話聞くよ。というかむしろ会社のカウンセラーもちぎ太くんのこと支えてくれって頼まれてるからおいでよ。自助ミーティングもサボらずに行っててすごいって依存症専門の◯◯病院から連絡きてる」

ちぎ太「あざっす」

※ 報道などでご存知のとおりゲーム依存は2018.5月にWHOで正式に疾患と認定されました。

他の精神疾患と重奏している場合もあります。

古くからアルコール依存治療で有名な国立久里浜医療センターはインターネット依存治療外来を行っています。

そのほか依存症治療の古くからある病院でも自助ミーティングを開催、治療を行っているところも多いです。

依存症治療には精神療法家の1日やめていられることへの大きな賞賛、コンプリメントが治療的に有効です。

たいていの患者さんは家族や職場で依存の問題から周囲と軋轢を起こし、ダメな人扱いされていて自尊心は最低レベルにあります。

そんな患者さんたちを救うため、保険診療の見直しの機会に公認心理師のかかわりが重視されることもあるかもしれません。

ゲーム依存は大きなメンタルヘルス上の、そして社会的問題になっています。

そして教育や医療現場でもゲーム依存を扱っている心理職は多いと思います。

今後行政や社会、個人から求められてゲーム依存へのかかわりを心理職が求められていく場面は大きくなってくるでしょう。

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