
皇室ゴシップに学ぶ社会心理学
令和を迎えてニュースや巷の噂は皇族ゴシップがあちこちで騒がれています。
1.眞子さまと小室圭さん
僕は小室圭さんが近くにいたとしても「まあ、こういう人もいるだろう」ということであまり気を払わないだろうと思います。
今日のニュースでは小室さんがニューヨークで学位を取ったとのこと、家庭的に恵まれた状況ではなかったのかもしれませんから「よく頑張ったなあ」と思います。
若い2人だから恋愛は自由なはずなのに引き離されて気の毒だなあとも思ってしまいます。
ところが「皇室」というだけで尊いもの、人間を超越したものだと世間は思っていて、その尊さが貶められたと思えば「おかしい」となりバランスが崩れます。
眞子さまがICUに進んだとき皇族なのに別の大学にチャレンジしたその勇気をマスコミや世間は褒め称えていました。
ただ、それが崩れた、いい印象を受けたあとに悪い印象を受けるとより悪い印象となる印象形成理論やとハイダーのバランス理論でこの現象を説明できそうです。
2.佳子様のご様子
佳子さまは学習院からICUにAO入試で入学し直しました。
学習院では佳子さまが進みたがっていた教育学部を創設して用意し、そのために学習院の学費が上がったという噂が流れました。
で、どうにも成績不振だった佳子さまは実は東方神起を始めとしたダンスファン、清楚な雰囲気で皇室スマイル、ところが裏ではダンサー風のメイク、顔バレしないようにマスクをして隠れて外出、余暇を楽しんでいる。
皇室の雰囲気にそぐわない、何事か!
と女性週刊誌などが騒いでいたわけです。
これは元々マスコミ受けが良かった佳子さまとダンサー佳子さまのイメージのギャップが大きかったので起きた認識の不統一です。
フェスティンガーの認知不協和理論を援用すれば、人は自分の認知に合わなければ善悪どちらかの判断に偏りがちになるでしょう。
つまり佳子さま=善ではない
というジャッジをマスコミや大衆がしたわけです。
A-B-Xモデルというコミュニケーション理論でも説明できそうです。
認知にずれがあれば下方修正するわけです。
僕の個人的な所感では
若いんだし、好きなことしたい年頃なんだから別にいいじゃん?
と思ってしまうわけです。
元々皇族は皇族というだけで素晴らしくなければならない、佳子さまはご公務にあたる姿が清楚で今どきの若者と違っているに違いないというハロー効果(光背効果、公認心理師試験出題済)が働いているわけですが、そういった思い込みがゴシップを加速させているのでしょう。
皇族は元々遠すぎて「知り合い」になる栄光浴(社会心理学用語、自分も偉い人と知り合いなら価値が高くてなる)も得られない存在です。
他者の価値を引きずり落とすことによって自分の価値を高めようとするのは排除の論理とも黒い羊効果(たった一頭の黒い羊は排斥される)とも言われています。
ひとつの意見が出るとネット上で拡散されてさらに過激な意見に同調化されるのは集団斉一化現象です。
3.皇族の発達障害者説の定期的出現
愛子さまが幼い頃になんの根拠もなく発達障害ではないかというネットの噂を読んで恐ろしく思ったことがあります。
蓋を開けてみると今愛子さまは学習院ほぼトップの成績で一般受験で東大を充分狙える位置にいるということです。
人は自己高揚感を獲得するための社会的比較の下方修正を行い自尊心を高めようとします。
悠仁さまについても「目つきがなんらかの障害を示している」ということで同じようなことを言われています。
有名な流言、デマの伝播についてはAllportの図式が当てはまり、流言の伝播量Rumorはその曖昧さに比例するというものがあります。
つまり根拠が曖昧ambiguiltyであればあるほど関心度も伝わる速さも重要性も情報伝達濃度も高まるわけです。
説得的コミュニケーションの一部としてスリーパー効果sleeper's effectがあります。
不確かな情報を繰り返して聞いているうちに人はそれを真実だと思い込んでしまうのです。
4.秋篠宮家全体に対するネガティブな評価
マスコミはこぞって、令和の儀に紀子さまが雅子さまよりも立派なティアラを身につけようとしたから自己顕示欲が強いに違いない、秋篠宮さまは妻や娘のことで頭を痛めているのでやつれた顔をしているなど秋篠宮家を揶揄して面白おかしく書いています。
マスコミは単独で効果を発揮するわけではなくこれだけSNSが発達しているとKlapperの一般化理論が当てはまり、相乗効果で流言が流れるわけです。
記者たちは今やツイッターで取材をしている状態です。
5.総論
第2回公認心理師試験に書かれている「態度」という単語は社会的態度のことを示します。
「そっかあ、態度は大事だね」という日常用語ではなく専門用語です。
Katz,Dの社会的態度の4分類は
⑴ 適応機能adjustment function
好ましく思えるものに接近化します。
その間は日常生活の嫌なことを忘れていられる、皇族のゴシップはイギリスでも最大のエンターテイメントです。
⑵ 自我防衛機能ego-defensive function
好ましくない自我を直視するよりも他者を貶める方が人は心理的にラクです。
なのでバランスを取ろうとして好きになれない時には投射(精神分析用語では投影projection)が起こります。
つまり「あいつらはダメだ」というのは自己の劣等感や満たされなさの裏返しと考えることができます。
⑶ 価値表出機能value-expensive function
正義とはこうあるべきだ、皇室はこうでなければならないという「正義」をふりかざすと自我は満足感を得ることができます。
自らの価値観と事実を一致させるように心が動くのです。
⑷ 知識機能knowledge-function
自分だけが知っている、皇室はこう振舞っているけど自分はゴシップを読んでそうでないことを知っている、複雑な仕組みを解き明かしている、という知識による満足感です。
以上、僕が何を言いたいかというと、皇室の人々だって
人間だもの、いいじゃない?
ということでした。
参考文献:試験に出る心理学 社会心理学編 髙橋美保 北大路書房
※ 当サイトは公序良俗に反するサイトを除きリンクフリーです。また、当サイトからのリンク先情報についての真偽は保証しかねますのでご了承ください。


(スポンサードリンク)
コメント