
◯ キャリア組心理職残酷物語
霞ヶ関本省採用組のキャリアで法律、行政、政治・国際のような東大法学部か経済学部しか取らないよ、というような財務、経産省のようなところは恐ろしく激務です。
昔から離婚の◯◯省、飛び◯りの▷▽省とか、とかくキャリア組の仕事の仕方は無茶苦茶です。
本省課長ともなると指定職なので行政職俸給表を外れて民間企業で言えば黒塗りの車が迎えに来るようなトップエリートです。
この前心理と関係ない、そういったキャリア役人で心理業務に興味を持ってくれた人と話したのですが、いわく自分は東大出身でないから三流官庁にしか入れなかった(でもかなりの日本の中枢です)。
内地留学で修士、博士号を取得しつつ午前9時から午前4時まで仕事をしていたとのことでした。
彼は同じ省庁の医師が部下にいます。
行政の中枢に入ると医師が医務行政にかかわることがあるのですが、臨床を医師にやらせないのはなんと勿体ないと思います。
そのほかにも中央官庁では厚生労働省では医系技官の採用を昔からやっています。
キャリアの彼の生活を聞いていて、うわあと思ったのですが僕もやや近い生活をしていたことがあるわけで頑張って終電で帰宅して始発で職場に行く、泊まり込みも多々という数年間、あれをもう一度やれと言われてももうできません。
前置きが長くなりましたが、国家公務員総合職人間科学は法務省だけではありません。
過去人間科学分野採用実績があるのは厚生労働省、文部科学省、農林水産省、総務省、警察庁、内閣府、総務省、公安調査庁(!)です。
農林水産省は最近は採用実績がありませんが、昔内定を取った人に聞いたら農村部の社会心理学的調査をやる仕事だったそうです。
公安調査庁は昔から心理職を採用しているのですが、何なのかは恐ろしく、いつものように気軽に電話して「なんの仕事やらされるんですかあ?」と聞こうとも思いません。
さて、国家の中枢で働く人文科学職で立派な人もいますが、若いと野心ばかりが先走って空回りすることもあります。
法務省は検察官をはじめとした法曹がキャリアの中枢を占めていて、その次が法律職、人文科学職はスターダムではないけど大切な仕事です。
そこを飛び越えて検察官を打ち負かして必死になろうとしてもムダなのに頑張ろうとしてる若い人を見ると、できることをやって欲しいなあと思うわけです。
さて、中央エリートは大変だなあ、やれやれ、地方自治体は楽だからいいやと思っていると全くそんなことはありません。
人口10万人に満たない小都市でもデキる行政マンは「これよろしく」と永遠に終わらない仕事をさせられるというのは本当です。
行政キャリアは部下のキャリアが徹夜して作った分厚い資料を持ってくるとぱらぱらとめくって「うーん、もうちょっとvividな雰囲気で」と3秒ぐらいして突き返し、部下はそれから資料お直しのためにまた徹夜のデスマーチです。
こういった話を僕はクライエントさんから聞いているのではなく心理職から聞いているのです。
たまに研修会で会うと「あ、まだ生きてる」と思ってしまいます。
国家だろうが地方だろうが心理職が行政施策をしなければならず、現場を離れて企画立案をさせられると地方でも上級職だからねー、とすごいボリュームの仕事をさせられます。
臨床心理士でも公認心理師でも大学院卒上級職の能力を期待されての仕事ですからキャリア待遇ということになります。
さて、行政場面から解放されて現場で心理職がほっとできるかどうかはその現場にかかっています。
児相は報道で批判を浴びせられていますが365日24時間対応で仕事をしています。
「叩かれた子どもが泣いてる」程度だと児相は身動きが取れないのが現状です。
命が危ない子どもでも家庭内再統合を迫られるという矛盾した仕事を児童福祉司も児童心理司もしています。
専門家以外の短期研修を受けた素人行政新卒者が児相に入って来ます。
児相所長も定年間近の行政職や飛び石のひとつの石として所長業務をすることがありますので児童行政にかかわってくれるかどうか。
児童福祉司、児童心理司の専門家はいつも厳しい局面に置かれています。
心理職は採用上級が臨床心理士資格なのでそれを活用して就職することもありました。
多分これからは公認心理師にシフトしていくでしょう。
地方上級心理職は資格不要で採用する場合はもあります。
大学院卒でなくても採用してくれるので優秀な学部卒の人材が心理の現場に出てカウンセリングやテストをしています。
自治体採用で病院心理職をしていれば医療心理の仕事ができます。
別に臨床心理士や公認心理師資格は採用必須条件ではない場合が多く、心理療法士という職名で仕事をしている公務員もいます。
患者さんにとってはいいカウンセリングをして欲しい、◯◯県の職員なら信頼できる、ということで資格は二の次です。
そうやって現場で通常の心理職(は決して楽と思いませんが)をしている人もいれば修羅場のような児相の戦場で働いている心理職もいます。
そして心理で採用されて行政職の中に混じって書類仕事をしてキャリア扱いされると「できて当たり前」と思われます。
ノンキャリアから一線引かれて人間関係に溶け込むのが難しくなると仕事もやり辛くなります。
行政業務で困った時には相談できるスーパーヴァイザーもいません。
中央省庁ではみんな徹夜続きなので課長補佐クラスの40代キャリアが机に突っ伏しているとみんな可愛そうに思ってそっとしておきます。
ところがそのままお亡くなりになっていた例があると別ルートから何件か聞いたことがあるので都市伝説ではないのかもしれません。
中央でも地方でも心理職は公務員なのでとても安定しています。
新卒から心理職をしていてそのまま長く勤められれば待遇としてはとてもいい職場です。
「お金に困ったことはないんです」と研修会で言っていた公務員が一斉に白い目で見られていて「この場におけるジョイニングをしなさい」と思われていたのを見たことがあります。
公務員心理職も働いてみないと実情はわからない世界でしょう。
「いろいろな人生の選択肢がありますしこれからどうやって仕事を選んでいくか、はっきりとした答えはないんですねえ」とクライエントさんに同調している心理職は同じことを自分にも言っているのかもしれません。
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