
◯ 通信制大学から公認心理師を目指す
1.序
現在どの大学も公認心理師養成のためのカリキュラム整備に大わらわだと思います。
先日は専門学校からも公認心理師が目指せる、という理論的には可能ですが、実現はほぼほぼ無理ではないなという東京福祉専門学校について疑問を呈した記事を掲載しました。
(ちなみに最近知ったのですが、東京福祉専門学校と東京福祉大学とは全くの無関係な別法人だそうです。)
さて、「通信制大学からも公認心理師を目指せる」という触れ込みの聖徳大学についてのホームページを見ました。
この大学は通信制大学卒でも所定の単位を取得した上で聖徳大学大学院まで進めば問題なくAルートで公認心理師受験資格が得られます。
ただし、公認心理師を目指すルートでこのホームページに記載されている
「進路2 大学→実務経験→国家試験受験」
の記載がBルートが容易に可能になる大学と謳っているように見えました。
2014年次入学 3年次編入学の心理・福祉学部在学生のハローワーク在籍の還暦間近の在学生が掲載されています。
大学に電話で質問したところ、この方は実務経験Gルートで受験するので問題ないとのことでした。
この方のプロフィールのハローワーク勤務、職業相談窓口にいる職員は多くいますが、公認心理師法施行令第5条だと障害者のための職業支援センターや無業青少年のための職業支援センターでないと公認心理師法施行令では職業支援の実務経験とは認められていません。
ただし、コード901その他の施設として公的機関での心理支援をしていたという証明があれば公的機関なので、比較的認められやすいのではないかと思います。
心理支援という公認心理師法の定義は漠然としているので職業指導も心理支援に入ると言えば入りそうですし、確かに精神的に悩んでいる人たちが多くハローワークにはやってきます。
だからといって901にすぐ認められるかどうかは日本心理研修センターの審査によるところなのでわかりません。
なぜこんな細かなことについて言及しているのかというと、どこの大学も躍起になってカリキュラムの整備に取り組んでいる中で、新受験生が大学卒Bルートという、かなり狭き門がオーソドックスな公認心理師ルートとして現時点で安易にとらえられては困ると僕は考えているからです。
いろいろなルートを現行法内で考えて公認心理師養成をするのはいいのですが、「通信制大学卒業してもそのあと経験を積めば簡単に公認心理師になれるんだ!」と思って入学したあとに「通信制じゃない大学院に進まなければ無理ですよ」と言われて愕然とする人たちが出てきては困るとも思います。
聖徳大学のホームページにはBルートに関しては厚生労働省ホームページを参照するようにとの記載があるので、確かに嘘は書いていないのですが、
「還暦を迎える通信制大学生が公認心理師を受験するのに大学の単位を取ってハローワークで働いている、それじゃ自分もどこか卒業後に適当に施設を探して公認心理師になろう」
という誤解をしたら困るなあと思ったのです。
先ほど聖徳大学に電話して再確認したらこの坂寄さんがGルートで受験するとしたらなぜ大学で単位を取ろうとしているのかこの記事の意味はわからないと逆に言われてしまったので、わかるようにしてくださいと申し入れておきました。
せっかく通信制大学から公認心理師のルートを用意してあるのにもったいないと。
ちなみに通信制大学で公認心理師課程を修了できるのは聖徳大学のほか
1.放送大学
放送大学は公認心理師養成については大学レベルでは対応できるけれども大学院については対応はまだできていないと書いてあります。
2.京都橘大学
です。
京都橘大学は学部通信制で公認心理師単位を取得したあとにのほかにA、Bルートのそれぞれの学習が必要なことについて明記してあります。
3.総論
新入生の方々が公認心理師や臨床心理士を目指してGBAをくぐり抜けるために一般教養課程から必死に勉強したり、大学や院の教える側が苦労をしてでも、それについていくために努力していく学生さんはとても素晴らしいと思います。
大学の経営側の方針もあるでしょうかれども、安易に「大学にさえ来れば簡単に公認心理師になれるよ」と資格の看板を安売りせず、厳しさについても伝えて欲しいと思います。
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