CF5D28CE-797B-4E2C-88BE-6658105AF68F

◯ 公認心理師が資格喪失する時とは?(公認心理師法試験知識)

公認心理師試験をこれから受験する方々にとっては公認心理師法の復習代わりに、現在公認心理師の方は今後、資格を維持していくためのご参考になればと思い、公認心理師倫理について考えてみます。

まず、厚生労働大臣及び文部科学大臣は「必要的取消し事項」として、必ず公認心理師資格を取り消さなければなりません。

(登録の取消し等)

第三十二条 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。

 一 第三条各号(第四号を除く。)のいずれかに該当するに至った場合

 二 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合


を定めてあります。

第三条は以下の通りです。

(欠格事由)

第三条 次の各号のいずれかに該当する者は、公認心理師となることができない。

 一 成年被後見人又は被保佐人

 二 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者

 三 この法律の規定その他保健医療、福祉又は教育に関する法律の規定であって政令で定めるものにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者

 四 第三十二条第一項第二号又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者


ちなみに第三十二条第一項第二号又は第二項

まず第三十二条第一項は、

二 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

で、これは必要的取消し事項に当たります。

第三十二条第二項は

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。

で、

第三十二条第一項、「虚偽または不正の事実に基づいて登録を受けた場合」は必要的取消し事項ですが、第三十二条第二項に「虚偽または不正の事実に基づいて登録を受けた場合」と重複して明記されているので第三条第四号における必要的取消し事項から除かれています。

第三十二条第二項は任意的取消し事項に当たり、文部科学大臣及び厚生労働大臣が取消しをしなければならないかどうか審査をすることになります。

2 文部科学大臣及び厚生労働大臣は、公認心理師が第四十条、第四十一条又は第四十二条第二項の規定に違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて公認心理師の名称及びその名称中における心理師という文字の使用の停止を命ずることができる。

ということで、次は任意的取消し事項の中身を見てみます。

第四章 義務等

 (信用失墜行為の禁止)

第四十条 公認心理師は、公認心理師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

 (秘密保持義務)

第四十一条 公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。

(連携等)

第四十二条 公認心理師は、その業務を行うに当たっては、その担当する者に対し、保健医療、福祉、教育等が密接な連携の下で総合的かつ適切に提供されるよう、これらを提供する者その他の関係者等との連携を保たなければならない。

2 公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。


なお、秘密保持義務は

第五章 罰則

第四十六条 第四十一条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。


とあり、公認心理師が秘密を漏らしたとしてもそれに対するクライエントさんからの告訴がなければ罰則は適用されません。

これまで法律条文だけ並べると、何がなんだか、と思えるかもしれませんが、

噛み砕いて説明を試みてみると

まず、

「成年被後見人又は被保佐人」

ですが、成年被後見人は

民法第七条 「精神上の障害によって事理を弁識する能力を欠く常況に在る者」

なので、たとえば脳死状態にあるとか、認知症がかなり進行しているような状態であれば後見人を選任して成年被後見人の権利を守ることになります。

法改正が行われる前は「禁治産者」と呼ばれていました。

また、被保佐人は、民法第十一条  「精神上の障害によって事理を弁識する能力が著しく不十分な者」です。

これも以前は「準禁治産者」と呼ばれていたのですが、

相当に意思能力を欠く場合です。

精神的、知的な制限がありどんどん買い物をしたり、契約行為を結んでしまうといういわゆる浪費癖から被保佐人を守るためにもうけられた制度です。

双方ともお金に関する権利の制限なので、遺産相続を巡って申立てが行われることが多いようです。

精神的に疾患がある、買い物依存だ、というだけでは家庭裁判所は成年被後見人、被保佐人の認定はしません。

意思能力がきわめて高い程度で欠缺していること、また財産管理ができない人についてはまず周囲が財産管理をすることで解決する場合が多いので、被保佐人に対する保佐開始の審判で保佐開始まで認められる場合は申立て数に比べて少ないです。

成年被後見人、被保佐人は法文上で「精神の障害」とあるので、たとえば公認心理師が過労とストレスでうつ病になってしまった、試験前後にかかわらず双極性障害や統合失調症を発病していても投薬維持療法を受けていて安定しているような場合などは精神の障害があってもこの成年被後見人、被保佐人には当たりません。

そもそも意志が欠缺していても誰か利害関係者が申立てをしなければ成年被後見人とも被保佐人ともならないわけです。

ただ、実際にこのレベルまで意思能力が低下していたら公認心理師どころか日常の生活をするのも困難と思います。

公認心理師のみでなく、医師、税理士などの資格職も被後見人や被保佐人にはるとその資格を喪失しますし、また公務員にもなれないと定められている職種がかなり多いです。

次は犯罪歴についてですが、懲役刑は刑務所の中で懲役作業を行う、禁錮刑は作業の義務はないという相違点があります。

ここで注意しなければならないのは執行猶予であっても懲役刑となると公認心理師資格を喪失します。

これは公務員にも共通している要件です。

過失運転致死傷罪で禁錮刑、執行猶予付きの懲役刑判決が出たら資格はアウトですし公務員も失職します。

自転車の酒酔い運転で執行猶予となっても同じです。

故意に傷害、窃盗などをすれば信用失墜行為に当たる可能性もあり、禁錮刑以上ということで資格喪失事由にも当たる可能性もあります。

スピード違反は30キロオーバー以上は非反則行為となり、反則行為ではなく犯罪として扱われます。

先日高速道路120キロ制限を90キロオーバーでオービス(自動速度探知機)にパシャっと写真を撮られて逮捕された事件が先日報道されていました。

速度制限超過は80キロオーバーは一発逮捕されます。

それ以下でも情状により逮捕されますし、執行猶予だけで済まず、実刑判決となる場合もあります。

DQNな人が「執行猶予だから罰金払わなくて済んだぜ、ヒャッホーウ!」ということもあるかもしれませんが、速度超過で正式裁判になった場合、懲役刑を避けるためには相当の情状酌量の余地がなければいけません。

点数に余地があっても自主的に免許返納、二度と免許を取得しませんという誓約書を書いて、さらに改悛の情を示すために交通遺児等育成基金に3百万円程度の寄付をして、それで許されるかどうか?の瀬戸際です。

公務員は懲役刑になると自動的に失職するので必死です。

公認心理師法における罰金刑の対象は秘密保持義務ですが、医療、教育、福祉領域で罰金以上の刑罰を受けたらこれもアウトです。

医療者でないのに医療行為をした、医療福祉教育分野でその資格を持っていないのに持っていると詐称したなどで罰金刑を受けたらアウトです。

上記の刑法上の罰を受けたら必要的取消し事由に当たります。

虚偽申告、これは僕が伝え聞いたので、伝聞は証拠にならないのですが、某企業の総務庶務担当係長が相談員指定を受けていて公認心理師試験に幸いにも落ちた、また今回試験を受験するとか。

管理職として部下の相談に乗るのは心理相談ではありませんし、名ばかり相談員で誰も相談には来ていなかった。

虚偽申告で受験して合格したら取消しの対象になるでしょう。

さて、任意的取消し事由については今後論議を呼びそうですが、信用失墜行為をした場合、何が信用失墜行為になるのか、万引きや盗撮などはダメだろうとすぐ思います。

公務員も昔と違って厳しいので酒酔いは解雇、酒気帯びは停職、道に落ちてた財布を拾ってネコババして1万円だと停職原級、2万円だと解雇など省庁ごとに厳格なルールがあります。

司法関係者は特別公務員です。

したがって刑務官が受刑者を虐待死させた事件が過去にありましたが、これは特別公務員暴行陵虐罪刑法195条で7年以下の懲役で、まずほぼほぼ実刑です。

判例では、司法関係者が被疑者被告人と関係を結んだらその地位を利用したものとみなされ、自由意思によるものと見られませんのでこの195条に当たる可能性が高いです。

心理職も司法関係者であれば同様です。

一番厄介なのは主治の医師の指示です。

はっきりとした公的ガイドラインがありません。

ちなみに過去問にもありましたが、医師以外との連携をしなかったからといって罰則はありません。

厚生労働省も倫理規定、細かな倫理審査機関は「ない」と言っています。

ただし、この時電話で聞いたところ、通報されればその時は公認心理師制度推進室が動くかもしれないとのことでした。

とある機会に日本心理研修センターに電話したところ、決めるのは上級官庁の厚生労働省公認心理師制度推進室で、あくまで日本心理研修センターは試験機関という答えだったので、今のところはきっとその通りなのでしょう。

必要的取消し事由は該当すれば即取消しとわかりやすいですが、任意的取消し事項はどこかが審査しなければならないですし、多分厚生労働省、そして試験機関とはいえ公認心理師資格認定業務の一端を担っている日本心理研修センターになっていくるだろうという推測をします。

公認心理師試験に今後出題されるとすれば必要的取消し事由や任意的取消し事由に当たるかどうかだと思います。

ちなみに厚生労働省医道審議会は医師、歯科医師の処分を行う機関ですが、覚せい剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、傷害、診療報酬不正請求、児ポ法、窃盗などで医業停止処分となっても免許取消しにまでならない場合がありますが、さて、新設資格公認心理師はどうでしょう。

第1回試験だけで2万8000人の合格者がいたので誰も絶対に何の問題も起こさないということはないでしょう。

多重関係、金品の収受(契約行為によらないもの)など争点は多そうです。

あと余計な知識ですが、司法行政的な送り仮名の使用法は取締法、と名詞の場合には送り仮名を使いません。

取締り、と取り締まることが行為として名詞になっていればこの書き方をします。(例:交通安全運動が行われるので一斉取締りが行われます。)。

動詞として使われるのであれば取り締まる、という用法です。

心理職が法にかかわる可能性はゼロではないので何かに役立つかもしれません。